弦楽五重奏曲の魅力を追求 京響メン
バーによる「レ・ミュジシアンde Ky
oto」デビュー

クラシック音楽のジャンルの1つである弦楽五重奏。室内楽において弦楽四重奏と並ぶ重要な分野だが、演奏の場は必ずしも多くはない。こうした中、常設の団体として弦楽五重奏の可能性を追求しようと結成されたのが、京都市交響楽団のメンバーによる「レ・ミュジシアンde Kyoto」だ。2023年3月28日(火)にはあいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホールで、その団体名を冠した初めてのコンサートを行う。京都の練習場にレ・ミュジシアンde Kyotoのメンバーを訪ねた。
「ヴァイオリン2本にヴィオラ、チェロというストリングカルテット(弦楽四重奏)が室内楽の1つの完成形とすれば、ストリングクインテット(弦楽五重奏)は作品によってチェロが2本になったりコントラバスが加わったりとさまざまな編成が書かれていて、より自由さを持ったジャンルだと思います。僕らはヴィオラ2本の編成を基本に、時にゲストもまじえながら、クインテットの魅力を届けていきたいと考えています」。そう語るのはヴィオラの小峰航一。メンバーは彼を中心に田村安佑美(ヴァイオリン)、塩原志麻(ヴァイオリン)、丸山緑(ヴィオラ)、ドナルド・リッチャー(チェロ)。京響の要を担う弦楽奏者が揃う。田村と小峰は関西弦楽四重奏団のメンバーでもある。5人はすでに京都のカフェ・モンタージュでモーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスの全弦楽五重奏曲を完奏。その手応えを感じながらの満を持しての旗揚げである。
ヴィオラ:小峰 航一
コンサートはオール・ドヴォルジャーク・プログラム。「チェコの作曲家ならではの和声感や旋律があって、歌の魅力に溢れている」と田村安佑美が語れば「ドヴォルザークはすごく日本人の心に響く作曲家だと思う。どこか懐かしい旋律が民族的なリズムと絡み合って独特の郷愁を感じさせてくれる」と塩原志麻。またその音楽はヴィオラ奏者でもあったドヴォルザークならではのもの、と語るのが丸山緑だ。「アンサンブルにもソロにもヴィオラの良さを活かした響きが出てくる。同じヴィオラ奏者としてはぜひ、そのあたりを聴いてほしい」と続ける。
第1ヴァイオリン:田村 安祐美
第2ヴァイオリン:塩原 志麻
ヴィオラ:丸山 緑
今回の大きな聴きどころとなりそうなのが前半に演奏される弦楽五重奏曲 第2番 ト長調。この曲では同じく京響からコントラバスの黒川冬貴を迎え、ヴィオラが丸山1人の編成となる。「コントラバスが入ったクインテットではチェロも自由に歌うことができるから、いつもの5人で演奏する時とは違ってシンフォニックな弦楽合奏の響きに近づく。オーケストラみたいに」とドナルド・リッチャー。そして後半にはドヴォルジャークのアメリカ時代を代表する名作、弦楽五重奏曲 第3番 変ホ長調を演奏する。これら2曲の異なる個性は、最初に小峰が語った「クインテットの自由さ」を存分に感じさせてくれるものとなるだろう。
チェロ:ドナルド・リッチャー
ゲスト:黒川 冬貴(コントラバス)
「シューベルトやメンデルスゾーン、多くの作曲家が弦楽五重奏曲の名作を残しています。そして何といってもモーツァルトの6曲は僕らが常に立ち返るべき作品として、繰り返し演奏していきたい。でもまずはこのドヴォルジャークでクインテットの魅力をお客さまに知っていただいて、そこから一歩ずつ進んでいければ」と小峰。豊富なアイデアと情熱を持って、関西にまた1つ魅力的な団体が登場した。この春、彼らが届けてくれる室内楽の新しい響きを聴き届けたい。
【コメント動画到着】レ・ミュジシアン de Kyoto ~京響メンバーによる~ ~オール・ドヴォルジャーク・プログラム~

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