大物お笑いコンビを生んだ街、尼崎の
印象はーー舞台『尼崎ストロベリー』
出演俳優陣が劇中漫才に自信「きっと
大爆笑の渦」

成海隼人原作の同名小説を舞台化した『尼崎ストロベリー』が2023年3月4日(土)、5日(日)に兵庫県のあましんアルカイックホール・オクトにて上演される。同作は、ダウンタウンが誕生した街としても知られる尼崎を舞台に、病床の母親を笑いで救おうとする若者の奮闘を描く青春群像劇。脚本・演出をつとめるのは、兵動大樹と桂吉弥が共演した『はい!丸尾不動産です。』シリーズなどで、現代社会の課題を笑いに絡めながら表現してきた木村淳。今回の作品には、「将来的に尼崎市民に愛され、尼崎に根づいた作品になってほしい」という木村らの願いがこめられている。そんな『尼崎ストロベリー』の見どころについて、主人公の渡部駿一を演じる真丸、駿一と漫才コンビを結成するマコト役の井本涼太、駿一に片想いしている萌役の春名真依、マコトの恋人である美樹役の堀くるみが、稽古の合間をぬって語ってくれた。
真丸
――真丸さん、井本さんは劇中でストロベリーズという漫才コンビを組んで、ネタを披露されますよね。お客さんを笑わせる自信はいかがでしょう。
真丸:めちゃくちゃ自信あります、きっと大爆笑の渦ですよ!
春名:そんなに自分でハードルをあげて大丈夫ですか(笑)。
真丸:そりゃあ、もう(笑)。台本にある漫才のネタがおもしろくて、ひとりで笑いながら読んだんです。でも、実際に駿一とマコトとしてそのネタを口にしてやってみると、テレビで観る漫才師の方々のようなテンポ感が全然出せませんでした。単純にテンションが低い人になったり、なにを言っているのか伝わらなかったり。「思ってたんと違う!」という感触がたくさんあります。
井本涼太
井本:真丸くんとは今回初めてお仕事をご一緒したんですが、漫才の稽古をしていても「意外とこんな感じでグイグイと来てくれるんや」とやりやすさを感じています。ただ、漫才のネタを詰めれば詰めるほど課題がどんどん出てきて。この前もふたりで公園に行って漫才の練習をしました。
堀:公園でネタ合わせとか、本当の芸人さんみたい!
井本:真丸くんが言うように、やっぱりテンポが難しい。ただ、このふたりがやるからこそおもしろい漫才を最終的に突き詰めたいです。
堀くるみ
――堀さん、春名さんは2021年までアイドルグループ、たこやきレインボーのメンバーとして活動されていましたが、当時、いろんなお笑い芸人さんたちとお仕事をご一緒していましたよね。
堀:芸人さんは本当にすごいなと思います。笑いに来ている人を、ちゃんとバチっと笑わせる。尊敬するし、カッコ良いですよね。そういえば真依は前からお笑いが大好きだったよね。
春名:そうなんです、お笑いを観るのが好きで。真丸さん、井本さんの漫才はおふたりの温度感が伝わってくるし、駿一、マコトの人柄もちゃんと出ているから観ていて楽しいです。漫才は、ネタをやっている人の本質が反映されるところが笑えると個人的には考えていて。
堀:確かに「この人達、ずっとコンビをやってたんかな」という感じがします。だけど稽古中に漫才の台詞が飛んだときがあって、おふたりが焦って目配せしあうのがおもしろかった。「お前やろ」「いや、お前の番やろ」みたいな。物語のなかでは、駿一とマコトが漫才を披露中、とある人に話を振るくだりがあってそこが好きです。
春名真依
――物語の舞台となるのは、兵庫県の尼崎。ダウンタウンの故郷としても知られていますが、町のイメージはいかがですか。
春名:今回の稽古や原作を読んで感じたことは、尼崎には熱い人が多いイメージです。親しい人、大切な人に対してかける熱量が高い。それが作中にも反映されていて、主人公の駿ちゃんは、いろんな人にさまざまな言葉をかけたり、かけられたりしながら行動へと移していくのです。そうやって人を動かす熱さが尼崎にはあるのかなと感じました。
真丸:尼崎はやっぱり、ちょっとヤンチャなおじさんたちが多い印象ですよね。でも台本読むと、確かに言葉遣いがキツイところはあるけど、それは人間としての熱さ、温かさにつながっているんだなと。押しの強さがあるけど、それは相手とちゃんと向き合って生きている証拠なのだと思います。
春名真依、堀くるみ
井本:僕は神戸出身なので、阪神線に乗ると尼崎駅を通るんです。車窓から尼崎城も見えたりして、「いつか行ってみたい」と思っていました。物語の冒頭でも、尼崎の雰囲気がよくあらわれています。いろんな人がいて、自転車がたくさん通っていて。人柄も、大阪とは場所的に近いけど違うというか。大阪はコテコテ感があるじゃないですか。お笑いの街だから、すぐにボケたり、ツッコミをいれたり(笑)。逆に尼崎はチャキチャキしていて、手際が良い。そういう雰囲気が舞台にも出ている気がします。
堀:私は先日もお仕事で尼崎へロケに行き、商店街を回って、昼飲みできるお店の多さにびっくりしていたところなんです(笑)。しかも、昼の1時、2時でもすごくにぎわっていて。それが尼崎のパワーをあらわしている気がしました。あと聞いた話だと、そういうお店で飲むと近くのおっちゃんたちと仲良くなれて、最終的に1杯奢ってもらえると。私ももう少し大人になったらそういうお店に行って、おっちゃんたちにご馳走になりたいです(笑)。そんな人情味と景気の良さが尼崎にはあるのではないでしょうか。
真丸、井本涼太
――舞台ではみなさんが尼崎に生きる人々を演じていますが、各キャラクターの魅力を最後に教えてください。
真丸:駿一はお笑いの英才教育を受けてきて、漫才のネタも書くことができる。だけど人前に出るのがちょっと苦手なんです。ただオカンのこと、そしてまわりの人たちのことが大好きで、そのために行動しようとする。考えこんだり、のめりこんだり、そうやって必死に生きている駿一を見て笑ったりホロッとしたりしてほしいです。
井本:マコトは良い意味でアホなんです。でも、アホなりに必死に生きようとしている。駿ちゃん、美樹、萌のことが大好きで、ムードメーカー。駿ちゃんに振り回されるところもあるけど、アホなりにいっぱい考えてがんばっています。そういう気持ちがお客様に伝わるように演じたいです。
堀:美樹はおもしろいことが好きで、ボケたりもして、とにかく元気いっぱい。そしてたくさん笑いたいタイプ。一方でマコトのことが大好きで、純粋な女性です。ちょっと空気が読めないところもあるけど、そこに人間味があります。今回の舞台では台本にもないようなことをやったりするパートもありますが、そういう場面でも美樹としてしっかり気持ちを動かしていきたいです。
春名:萌は良い子ちゃんタイプ。だからこそ苦労している部分もあります。幼馴染である3人の賑やかさに憧れたり、駿ちゃんのお母さんの明るさを格好良いと感じたり。彼女のそういう純粋な性格に注目してください。
『尼崎ストロベリー』
取材・文=田辺ユウキ 撮影=福家信哉

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