「初演よりさらに上を目指し、観る人
を熱狂させたい」~戸塚祥太、加藤和
樹、辰巳雄大、JUON、上口耕平らが再
集結! 『BACKBEAT』製作発表会見レ
ポート

20世紀を代表するロックバンド・ビートルズがハンブルクで巡業していた時代を描いた1994年公開の伝記映画を、イアン・ソフトリー監督自ら舞台化した『BACKBEAT』。結成当初のベーシストであり、メジャーデビュー前に袂を分つことになるスチュアート・サトクリフと、学生時代からの親友ジョン・レノンにスポットを当て、ビートルズが伝説のバンドに成長するまでを描いた作品だ。
2019年の日本初演は、20曲を超える楽曲の生演奏に乗せてビートルズのドラマチックなストーリーを描き、大好評のうちに幕を閉じた。そして2023年4月〜5月、再び彼らが帰ってくる。翻訳・演出は、日本初演に引き続き石丸さち子。音楽監督も初演と同じく森 大輔が務める。 さらに、スチュアート・サトクリフを演じるのは戸塚祥太(A.B.C-Z)、 ジョン・レノン役は加藤和樹、ジョージ・ハリスン役に辰巳雄大(ふぉ〜ゆ〜)、ポール・マッカートニー役にJUONFUZZY CONTROL)、ピート・ベスト役に上口耕平と初演キャストが再集結! スチュアートの恋人となるアストリッド・キルヒヘル役は新たに愛加あゆが務める。また、1966年のビートルズ初来日公演で前座を務めた歌手で俳優の尾藤イサオも再び参加するなど、実力と個性を兼ね備えたキャストが集結した。
製作発表では、劇中で演奏される楽曲の中から「Rock And Roll Music」「Love Me Together」「Long Tall Sally」の3曲を披露。お互いにアイコンタクトをとり、楽しそうに演奏する5人から目が離せなくなる。初演から4年という歳月を感じさせない堂々とした演奏と歌唱、熱量たっぷりのパフォーマンスに、再演への期待がグッと高まった。
続いて行われた質疑応答には戸塚祥太、加藤和樹、辰巳雄大、JUON、上口耕平、愛加あゆ、尾藤イサオが参加した。
■4年のブランクは一切感じなかった
ーーまずは4年ぶりに演奏してみていかがでしたか?
戸塚:一気にタイムスリップした感覚。「これを求めていたんだ、これがやりたかったんだ」という気持ちが沸き起こってきます。これからのリハーサル、本番が楽しみです。
加藤:それぞれが練習したものを持ち寄ってスタジオに入ったらすぐに感覚を取り戻しましたね。
辰巳:「やっぱこれだね」って感じです。人前に立って、自分の右にポール(JUON)、左にジョン(加藤)、後ろにピート(上口)、奥にスチュアート(戸塚)がいる中でギターを弾く。ここがジョージの居場所だと感じながら、最高の気分でやらせていただきました。
ーー初演の思い出がよみがえることもありましたか?
辰巳:実は僕、嘘ついてキャスティングしていただいたんです。「ふぉ〜ゆ〜でギター弾ける人いる?」と聞かれて、これ多分『BACKBEAT』だ! と思って、Fのコードもギリギリなのに「僕弾けます!」って。演出の石丸さんやギターの先生、プロデューサーさんの前で初めて披露した時に、人ってこんなに口が開くんだと思いました。今日の演奏でちょっとは恩返しできたかなと思います。
戸塚:ギターソロを弾いてましたからね。
辰巳:前回はポールに頼ったけど、今回はできること全部チャレンジさせていただこうと思っています。
JUON:(辰巳のソロに)痺れました。ポールとしてはジョージのギターが大好きなので、ソロを弾いてくれるとあがります!
加藤:(JUONは)また左に戻したんだよね?
JUON:ポールは左利きなので、初演の時は半年くらい左利きで生活しました。今回も左利きの練習を始めています。
加藤和樹
ーー4年ぶりの演奏で苦労した点は。
上口:稽古や本番の合間を縫って練習しましたが、みんなスキルがキープされた状態だったので、ある種すごく落ち着いたというか、まとまった演奏でした。音楽的にクオリティを高めていこうという練習をしていたんですが、今日久しぶりに本番という形で披露するのを後ろから冷静に眺めて「そうだ、こいつらこうだった」と思いました(笑)。全然違うんですよ、リハーサルでやっていることと。今日の演奏で、本当の意味で心が当時に戻った気がします。練習ではすごくクオリティをあげていきますが、きっと本番でぶち壊してくると思うので改めて身が引き締まりました。自分は後ろでしっかりキープしようと思います。
■共演者から見た“令和のビートルズ”の印象は……
ーー実際にビートルズの演奏を生で見た尾藤さんから見て、このメンバーの演奏はいかがですか?
尾藤:初演もですし、今の演奏も本当に驚きました。JUONくんなんかは敢えてポール・マッカートニーに合わせてサウスポーにしていて、それであれだけの演奏をしていますからね。さらに、皆さん本当は役者さんなわけですから。今の若い子たちはやるなと驚いています。私は今年80歳になりますが、若い人たちと一緒にできるのは本当に幸せだと思っています。たくさんの方に、楽しいステージを観ていただきたいですね。
辰巳:僕たちもそんなに若くないです。
戸塚:意外とヴィンテージですよ。
尾藤:加藤くんが39歳だっけ? でも僕から見たら半分以下ですからね(笑)。
一同:頑張ります(笑)!
尾藤イサオ
ーー愛加さんは初参加ですが、皆さんの演奏を聞いていかがでしょう。
愛加:袖で拝見させていただきましたが、ものすごい迫力でした。自然と一緒に踊っていたり、歓声をあげちゃったり、とてもワクワクしましたね。皆さんの絆ができあがっているのを感じますし、初演が成功した舞台に新参者が参加させていただくのは正直プレッシャーもあります。でも、皆さんの絆に私も入りたいという思いがリアルに芽生えましたし、本物のアストリッドもきっとビートルズを見てこんな気持ちになったんじゃなかと思います。この感覚が、再演においてプラスになればいいなと思っています。
愛加あゆ
■常に絆を感じることのできる仲間たち
ーーこの4年間、交流はあったんでしょうか。
加藤:連絡はとっていましたね。
辰巳:JUONくんは僕らのために曲を書き下ろしてくれたんです。それをいつかみんなでやろうって話してます。
上口:すごいかっこいいんですよ!
辰巳:このバンドでまたCDデビューの夢が近づいたなって思います。ライブツアーしたいですよね。願いを言葉にすれば何かが動くと言うのを、ふぉ〜ゆ〜として生きててずっと実感しているので。
ーーそんな辰巳さんのギターの腕について、皆さんから見ていかがですか?
戸塚:人間ってできるんだと(笑)。今回はソロを弾いてるからびっくりした。「雄大ギターソロ弾いてる、めっちゃいいじゃん!」と思ったし、その姿勢に自分も何かやらなきゃと思わされましたね。
辰巳:前回は1日8時間練習が普通でした。今回も1日にそれくらい練習することもあるし、家に帰っても触っていないと落ち着かなくなってきています。地方公演の時などは、ギター初心者用の指を鍛えるダンベルみたいなものを持って行ってます!
JUON:上達ぶりもすごいけど、同時に辰巳くんが弾いてくれないとアンサンブルにならない。上手い下手を通り越した僕らのバンドサウンドができ上がっています。だから、ジョージの音を久しぶりに聞いた時は、「またこの時間が始まるんだ」と嬉しい気持ちになりましたね。
上口耕平
ーー5人の絆を感じる瞬間を教えていただけますか。
加藤:演奏中に示し合わせたわけでもなく、お互いの目を見て笑い合う瞬間ですかね。意外とないことなんですよ。この5人だからこそ、目と目で通じ合うというか。
JUON:常に絆を感じながら過ごしていますね。日常になっています。
上口:久々に会った時も、久しぶりな感じがなかった。小学校の同級生とかみたいに、再会したらすぐあの頃に戻れるというか。
辰巳:あとは加藤和樹くんの家でラーメンを食べる時。加藤二郎というのがあって、かずくんがラーメンをいちから仕込んでくれて。
加藤:僕のラーメンをみんなで食べる会をしましたね。その時の動画を見返したらすごく面白かったです(笑)。公演が終わったあと、お酒も飲まずひたすらラーメンを食べてね。
上口:雄大が一言も喋らなかったもんね。麺だけ見てた。
辰巳:こんなにお喋りな僕が、あまりの美味しさに何も言わずに食べました。
加藤:あの時のとっつーの名言が忘れられない。「これを嫌いな男子には会ったことない」って。
上口:ちょっとよく分からないね(笑)。
戸塚:最高に美味しかったので。ビートルズも好きな味だと思いますよ。あれを食べていれば、もっと疲れずに演奏できたんじゃないかと思う。
一同:(笑)。
■初演を踏まえて、芝居も楽曲もさらにパワーアップさせたい
ーー初演で一番大変だったこと、見て欲しい部分を教えてください。
戸塚:見どころだらけですね。最初は何曲演奏するか決まっていないところからスタートし、蓋を開けたら全部自分達で演奏してお芝居もやる。無我夢中で乗り越えました。ハードルの高いことをやったけど、だからこそ絆を得られたんじゃないかと思います。当時の自分たちをリスペクトしつつ、新たな自分たちで、また皆さんに熱狂して欲しいですね。
上口:心の流れと一緒に演奏も変わっていくのがとても高度な挑戦でした。楽曲のクオリティはそのままで、緊張している状態だったり、すごく弾けていたり、とっても疲れていたりというお芝居を乗せていくのは役者ならではの楽しみ方だと思います。今回も芝居と楽曲のシンクロみたいなものが上がっていくと面白いのかなと思っています。
ーー逆に、アーティストであるJUONさんが演技をする中で苦労した点は。
JUON:初演は僕にとって初舞台。何もかも初めてな中、必死でみんなについていきました。再演ではさらにパワーアップしたビートルズの音楽をやりたいですが、お芝居もステップアップしたと思ってもらえるようなものにしたいです。
辰巳:前回の稽古場ですごく勇気をもらった瞬間があって、(JUONが)石丸さんから演技指導をいただいて「どう、分かる?」って言われた時に「分かんねえ!」って言ったんです(笑)。言っていいんだなと思いましたし、そのおかげで分からないことをみんなで聞いていく時間になったのがありがたかった。
JUON:違和感を覚えることがプラスへの道だと思うんです。分からないまま自分の中で落とし込んでも納得できることってない。自分でも違和感があった部分を石丸さんが指摘してくれると、「あ、言ってくれた。この違和感はあってるんだな」と確かめられる。それを蓄積してステップアップしていく稽古だったので、再演ではそのまた先に行きたいと思います。
JUON
ーー初演を経て、ビートルズのイメージは変化しましたか。
戸塚:マッシュルームヘアーで高い位置でギターを構えて、演奏が終わったらご挨拶して……というビートルズがやっぱり印象的だったんですが、そうなる前のやんちゃなビートルズに触れて、またさらにビートルズを好きになりました。
ーーちなみに(A.B.C-Zの)メンバーは皆さん観に来てくれましたか?
戸塚:全員来てくれました。橋本(良亮)に至っては休憩中にビールも飲んでくれて、すごく楽しんでくれましたね。再演が決まったのは恥ずかしくてまだ言えていないんですけど。
辰巳:ふぉ〜ゆ〜は僕が報告する前に「おめでとう!」って言ってくれました。
戸塚:福ちゃん(福田悠太)もノリノリだったもんね。
辰巳:メンバーも、本当に大好きな舞台と言ってくれています。前回は松崎(祐介)か越岡(裕貴)のどっちかが来てないんですけど、今回から観てもらった方が「こんな弾けるの!?」って驚いてもらえると思います(笑)。
■その公演だけの体験をしに、ぜひ劇場へ
ーー最後に、お客様へのメッセージをお願いします。
加藤:4年の時を経て再演できることを本当に嬉しく思っています。初演は越えるべきものですし、初演から学ぶべきことも多いので、恐れることなく新たな挑戦をして行きます。素敵なカンパニーで上を目指して突っ走って行きますのでぜひお越しください。
辰巳:「I’ m only myself when I have a guitar in my hands」。これは僕が大好きなジョージの言葉で、「自分自身はギターを持っている時だけだ」っていう。色んなジョージを調べてきましたが、静かなビートルと言われたジョージが天才のジョンとポールに挟まれ、スチュアートという才能とピートという安定した男と生きていく様をステージ上で見せたいです。とにかく演奏に命をかけて、ジョージが抱えていた葛藤や希望を一つひとつの音に乗せて、ジョージとして生きていきたいと思います。
JUON:一生懸命、自分の人生を乗せてロックしまくりたいなと思っています。よろしくお願いします。
上口:今日の演奏で、本番は全公演違った爆発が起きると確信しました。そのライブ感を体験しにぜひ劇場にお越しください。
愛加:初演の映像を拝見し、生演奏の迫力と演劇的にすごく洗練された人間模様にどっぷり浸かってしまいました。私が演じるアストリッドも劇的な人生を送っているため、心して挑みたいと思っています。
尾藤:若い皆さんと芝居をするチャンスをまた与えていただけて嬉しいです。4月からの公演を、とにかく皆さんに応援していただきたいと思います。
戸塚:令和のビートルズが帰ってきました。ビートルズが常に変化して進化し続けてきたように、僕たちも初演をなぞらず、進化した自分たちで皆さんの前に立ちたいと思っています。『BACKBEAT』はここでしか体感できません。ぜひ劇場でお会いしましょう。
取材・文・撮影=吉田沙奈

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