『仮面ライダー BLUCK SUN』の主題歌
、メジャーデビュー、YouTube動画総
再生回数が3億回を突破ーー現在地を
更新し続ける“超学生”のメジャー1
stアルバム『超』を紐解く

“ガナリヴォイス”でリスナーを魅了する歌い手・超学生が、2023年2月15日にメジャー1stアルバム『超』をリリースする。

本記事では、初のオリジナル曲やcosMo@暴走P書き下ろし曲「ガトリングアジテイタア」など全11曲が収録され、「こんなこともできますっていうのをたくさん詰め込んだ」アルバム『超』の制作過程。そして、着実に夢をえ、スケールアップしている超学生の“これから”について、たっぷりと話を訊いた。
――2022年8月にインタビューさせていただいたあと、『仮面ライダー BLUCK SUN』の主題歌に起用された「Did you see the sunrise?」で10月28日にメジャーデビューを果たし、2月15日にはメジャー1stアルバム『超』をリリース、3月5日開催の1stワンマンライブはチケットが即完売。怒濤の展開に驚愕しております。「作品の主題歌を担当したい」「いつかライブができたら」という夢を爆速で叶えてしまった超学生さんご自身は、現況をどうとらえて、どんなことを感じているのでしょうか。
ありがたいことにメジャーアーティストになったことはなったんですけど、自分的にはあまり実感がないんですよ。デビュー以降、たくさんお仕事をいただいて外に出る機会も増えたものの、今も家でパソコンに向かって作業している時間が一番長いですから。“歌ってみた”をこれまで通り続けることができているし、相変わらずな感じではあります。
――前回も同じことを言いましたが、もし自分だったらと想像するともっと浮かれているはずなのに……やっぱり地に足がついていますね。2023年1月にそらるさんのワンマンライブにゲスト出演された際には、大舞台、大先輩との共演にして、実に堂々とした姿を見せて。
そのように見えていたならよかったです……!
――そのように見えていたら、ということは内心ドキドキしていたのですか。
ステージで歌うことに対しては緊張しないタイプではあるものの……それはもう、そらるさんですし。僕が歌い手を始める前から“歌ってみた”で活躍されている方なわけで、ソロでステージに立つよりも緊張しました。でも、同じくゲスト出演されていたりぶさんや__(アンダーバー)さん、天月-あまつき-さんが、楽屋でそらるさんのことをいろいろ教えてくださったおかげで、そらるさんとのほぼ初めての会話となった本番のMCもなんとかなりました。優しい先輩方、温かく迎えてくださったそらるさんファンのみなさんに、とても感謝しています。
――そういったイベント出演や、『仮面ライダー BLUCK SUN』の主題歌担当などで、リスナー層がだいぶ広がっていたりするのではないでしょうか。
そうですね。同年代だけでなく、大人の方たちにも興味を持っていただけているということは感じていますし、「Did you see the sunrise?」のMVをYouTubeに投稿したあたりは、リスナーさんの男性比率が極端に上がったんですよ。
――特撮好きな男性も虜にしてしまったのでしょうね。
そうだったら嬉しいです。もっと多くの方に超学生を知ってもらえるように、ほかの歌唱曲も聴いてもらえるように、なにが刺さるのかを研究していきたいなと思っていたりもします。
超学生
――そういう意味では、2月15日リリースのメジャー1stアルバム『超』はとんでもなく色彩豊かな作品ですし、音楽好きなら刺さる曲がきっとあります。
それは、今回のアルバムの一番のテーマというか。超学生はこんなこともできますっていうのをたくさん詰め込んだのが『超』。聴いていただければ1曲くらいは好きな曲があるはず、と僕も思います。
――既発曲で覚悟はしていましたが、想像以上に多様性に富んでいて。
ここまでやっちゃったんだなっていう感じですよね(笑)。なかでも、1月リリースのシングル「Let's go」で超学生が急にメジャーっぽくなっちゃったなってみんなが思っているところに投下される「ガトリングアジテイタア」は、だいぶインパクトがあるだろうなと。
――タイトルからして攻めすぎな「ガトリングアジテイタア」、ぶっ飛んだ轟音高速ロックンロールで、早口に巻き舌に壮絶な曲になっております。
前々からオリジナル曲を作っていただきたかったcosMo@暴走Pさん。「こういう曲どうですか?」って最初にデモをいただいて、「もうちょっと狂った感じにしていただけますか?」「もっと詰めた歌詞にしていただいても頑張って歌います」ってお伝えしたら、見事そういう曲になりました(笑)。早口で巻き舌の曲ばっかり歌ってきた経験がいきているといいなと思うんですけど。今の時代において新しいというか、ちょっと前のボカロ曲っぽさを踏襲したような「ガトリングアジテイタア」、MVも楽しみにしてもらえたら嬉しいです。
――またまた、虚を衝くようなものになるのか……「Let's go」のMVはあまりに爽やか&レトロムード漂う映像で、一瞬、違うアーティストの動画を再生したかな?と思いました。
そういう反応をしてもらえたらいいなと思って投稿したので、よかったです(笑)。あのミュージックビデオ、めちゃめちゃ好きなんですよ。
――画面比率から画質からキャストのスタイリングから振付から、80年代にタイムスリップしたかのようで。
最初は地上波デジタル放送やYouTubeなどに採用されているワイドな16:9のアスペクト比で高画質映像を作っていただいていたんですけど、4:3(アナログテレビ時代のスタンダードなアスペクト比)でもうちょっと画質もガビガビにできますか?」っていうお願いをしました。
――まさかの要望(笑)。それもまた、世代によって懐かしく感じたり、新しく感じたり、ですよね。その「Let's go」、歌はとてもソウルフルで、超学生さんならではの“ガナリヴォイス”もまた違った映え方をしているなと。
仮歌の時点でコーラスがたくさん重なっていて、手法としては今っぽくない作りの曲なんですよ。超学生としては最高数の声を重ねることになって、その作業はなかなか大変ではあったんですけど、いい経験になりました。“ガナリヴォイス”にしても、レトロな曲に合うものにできたと思います。
――マイナス感情を力に変えよう、コンプレックスも全肯定で人生謳歌しよう、という歌詞を歌う超学生さんも新鮮ですし。
これまでの超学生の活動や歌ってきた曲調からして、「おまえがそれを言うんかい」っていう歌詞だし、「Let's go」っていうタイトルからして半分ギャグみたい感覚もあったんですけど、ちゃんと受け止めて、共鳴してくれる方もたくさんいて。僕としても新鮮でした。
超学生
――超学生さんの歌声、表現に説得力があるからこそです。さらに、「Give it to me」はオシャレなK-POP的ナンバーじゃないですか。
作家さんがまさに韓国の方で、デモ音源の仮歌が韓国語で歌われていたんですよ。僕自身K-POPが大好で、それゆえに納得いくものに仕上げるまで試行錯誤もしつつ、超学生らしく歌うことができたとは思います。
――ファルセットもとても美しくて、耳に心地よい歌声です。失恋を描く歌詞を歌うというのも新しいですよね。
僕は斜に構えがちで、こういう失恋の歌って歌ったことがなかったんですけど、「Let's go」からの流れで真っ正面から失恋曲にチャレンジしてみました。
――<涙に溶けてしまいたい><幻だけでも会いたい><部屋に残る影は ふたつからひとつになって まるで抜け殻の様 暗闇の世界>など、とにかく切なすぎます。
<繋いだ手は解けたまま 部屋の隅で泣いている>って、出だしから泣いていますからね。
――聴き手の心を動かす歌、超学生さん自身の記憶を重ねて歌ったりもしたのでしょうか。
いやぁ、こんなに哀しくて切ない経験はしたことがないし……僕の場合、ニッチになりすぎないように、みんなの公約数的なものになるように、どの曲も完全に想像したり妄想したりしながら歌うんですよ。あとは、これまで観たり読んだり聴いたりしてきた、映画やドラマ、本や漫画、歌を参考にしたりとか。失恋したとき、前向きな曲を聴きたい人もいれば、敢えて哀しい曲や切ない曲を聴きたい人もいると思うんですけど、後者にはぜひ、という曲です。
――それにしても「Let's go」「Give it to me」「ガトリングアジテイタア」という新曲3曲だけでも、同一人物が本当に歌っているのかと疑いたくなるというか。
そうだと思います(笑)。毎回、違った表現に挑みたくなってしまうんですよ。
――前回のインタビューで「あくまでその曲その曲に相応しい表現をしたいし、再現芸術として成立させたい」と発言していましたが、表現の幅広さ、豊かさにあらためて驚かされます。それでいて、全11曲聴き終わったあとに、どれも超学生さんだったなと思うのはどうしてなのでしょう。
たぶん、僕自身の変わらない認識みたいなものが全曲に適用されているからなんじゃないかな、と思っていて。恋愛とか人間関係とかそれ以外のカオスとか(笑)、曲それぞれにちりばめられた断片がちょっとずつ一致しているような気はします。あとは、普段自分が“歌ってみた”のミキシング(音量バランスや音色の調整)まで手がけているということもあって、エンジニアさんに音的な面で細かく要望しちゃったりもするんですよ。そのことで、聴き心地的な統一感みたいなものが生まれるのかもしれません。
――なるほど、納得です。そして、すりぃさん作、超学生さんにとって初のオリジナル曲である「ルーム No.4」に始まり、同じくすりぃさん作の「サイコ」に終わる構成。そこにも、きっとこだわりがありますよね。
1曲目に超学生初のオリジナル曲「ルーム No.4」を、最後にメジャーデビュー直前の「サイコ」を、その前にメジャーデビュー曲「Did you see the sunrise?」を持ってこよう、ということだけは決めていて。インディーズラストのナンバー「サイコ」で締めくくることで、“歌ってみた”時代の超学生もちゃんとメジャーに連れて行くよ、という意味合いを持たせたかったんです。
――ファンの方にとって、それはとても嬉しいことです。加えて、「ルーム No.4」では“偽者”、「サイコ」では“本者”と投稿動画の概要蘭に書かれていましたから、そういう面での考察もできそうです。
受け取る方それぞれ、そうやっていろんなとらえ方をして楽しんでいただけたらいいなと思っています。
超学生
――これまでの超学生さんを詰め込んで、未来の可能性も感じさせる『超』。タイトルに相応しく、やっぱり規格外の超人だったと圧倒されてしまう作品になっておりますが、制作を経てなにか見つけものもあったのでしょうか。
『超』ではいろいろな表情を見せることができましたけど、次にアルバムを作るとしたら、なにかテーマやコンセプトを掲げて一貫性のある作品を作ってみたいという願望が芽生えました。エンジニアさん含めたくさんの方にお手伝いいただいた『超』の制作で学んだことを今後にいかして、次はできるだけ自分で音源のミキシングや録音、MVの映像編集も手がけたいという想いもあります。
――メジャーデビューしても変わらず、裏方的な作業にも直接関わって、妥協したくないと。
音作りを自分でするシンガーって少ないと思うし、作曲家の方やボカロPさんも、音作りはエンジニアさんにお任せすることが多いんでしょうけど……なんでしょうね、僕は単純に興味があるんですよ。アルバム制作でそこまで自分で手がけるのは時間的にしんどくなるのは覚悟で、やってみたい気持ちが強いです。
――たくさん吸収して、そのぶん閃いてアウトプットしたくなって。
そうなんですよ。映画やアニメも観たいし、アーティストのライブにも行きたいし。世の中に面白いものがあふれていて、それに触れるとやりたいことがどんどん出てきて。時間が足りなくて困っています(苦笑)。今年は自分で曲作りもしたいなと思っているんですよ。
――曲作りまで!?
幸い、曲作りに関しても助けてもらえる知り合いが僕の周りにはいるので。3年くらい前、趣味で作って別アカウントで投稿したりもしたんですけど、久々になにかしらの形で発表したいです。
――ちなみに超学生さんの場合、曲作りはどうやって行っているのでしょう。
僕は、打ち込みで先にトラックから作ることが多いです。
――メロディからではなく。
そうなんですよ。まずはかっこいい音を作って、あとからメロディを乗せるっていう。非効率的だし、曲として優れたものになりにくいから、たぶんみんなはそういう作り方をしないんでしょうけど(苦笑)。
――でも、超学生さんは素敵なメロディをたくさん歌われてきていますから、ご自分で曲を作るにしてもきっと耳を奪うメロディがついてきそうです。
いろんなボカロPさん、作家さんから学ばせていただいているので、そう信じてやってみたいと思います。
超学生
――それからですね、『超』というアルバムタイトルから、超学生さんが最近“超”だなと思ったこと、ものを教えていただけますでしょか。
最近、超学生のYouTube動画総再生回数が3億回を越えまして。それが、自分にとって最近の“超”かもしれないです。YouTuberさんみたいに毎日投稿しているわけでもないのに、本当にありがたいし光栄なことだなと。あとは、そらるさんのライブに出演させていただいたこともあらためて“超”だなと思うし、3月に天月さんのライブ『ムーンライトパレード〜sweet bitter〜』にゲスト出演させていただいたり、ほかにもライブや動画でいろいろな方とコラボレーションさせていただいたりしますので。今年は“超”がたくさんな1年になりそうです。
――なんと、刺激的な化学反応がたくさん起きそうです。3月5日には1stワンマンライブ『入学説明会』が日本青年館で開催されますが、これはチケットがすでに完売しているんですよね。
そうなんです、おかげさまで。チケットを取れなかった方たちには申し訳ないなと思いつつ、超学生のライブが観たい!とたくさんの方に求めていただいて、本当にありがたいことだなと。
――運良くチケットを入手できた新入学生は、どんな心構えで臨んだらよいでしょうか。
特にないんですが……普通のライブだと思って来ていただけると。オリジナル曲はもちろん、みんなが好きな超学生の“歌ってみた”も歌うかもしれないし、これ生で歌うの!?っていう曲もあるかもよ、ということも言っておきます。
――楽しみにしております。先程、テーマやコンセプトを掲げたアルバムや自作曲の制作など、今後挑戦したいことをお話しいただきましたが、ほかに今抱いている夢はあるのでしょうか。
『仮面ライダー BLUCK SUN』の主題歌はやらせていただきましたけど、映画好きとしてはいつか映画の主題歌を担当して、映画館で超学生の声を聴きたいですね。
――その夢も、超学生さんなら近い将来叶えてしまいそうな予感。ライブに関して、こんな会場でやってみたい、あのステージに立ちたい、という願望は?
これまでは、あまりそういう願望はなくて。もちろん、たとえば日本武道館のステージに立てたらすごいなとは思うんですけど……変なところでライブがしたいんですよね。
――といいますと?
あんまりみんながやらないところというか。ツイキャスでよく言う、「宇宙」はまだ難しいと思うんですけど、海とか野外とか。超学生こんなところでライブやるの?っていうところで伸び伸び歌う、というのも夢です。応援してくださる方たちに楽しんでもらえるような活動をこれからも続けていきたいし、いろいろ挑戦していきたいなと思っています。

取材・文=杉江優花 撮影=大塚秀美

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