天下の大将軍へ、伝説の幕開け! 三
浦宏規・高野洸ら出演の舞台『キング
ダム』ゲネプロ・会見レポート

舞台『キングダム』が2023年2月5日(日)、東京・帝国劇場で開幕した。原作は、原泰久による同名人気コミック。紀元前、春秋戦国時代の中国を舞台に戦災孤児の信(三浦宏規/高野洸)と、のちの始皇帝となる若き王・嬴政(小関裕太/牧島輝)の2人の少年が、史上初となる中華統一を目指す物語。6日に行われたゲネプロ公演、7日の開幕記念会見の模様をお伝えする。
本作はメインキャラクターの多くがWキャストで構成されており、6日のゲネプロ公演には高野と牧島が出演。河了貂を華優希、楊端和を美弥るりか、壁を梶裕貴、成蟜を神里優希、紫夏を石川由依が演じた。
(左から)高野洸、牧島輝
地方の村で下僕として働く信と漂は、幼い頃から天下の大将軍になることを夢見ていた。真剣ながらも、どこか楽しげに剣を交わし鍛錬を積んでいく2人。しかしある日、偶然にも村を訪れた秦国の大臣・昌文君(小西遼生)に連れられ、漂だけが王宮に仕官することになった。間もなく、王宮で反乱が起こったとの噂が聞こえてくる。
ある夜、重傷を負った状態で村に戻った漂。最期の力を振り絞り、信にある地図を渡す。将軍になる夢を信に託し、息絶えてしまった。漂の導きに従い、村を飛び出した信。たどり着いた場所には、漂と瓜二つの人物——王都を追われた若き秦王・嬴政が匿われていた。嬴政の身代わりとして漂が命を落としたと悟り激昂する信だったが、漂の遺志を汲み、嬴政と共に王都奪還を決意する。
高野洸
高野が演じる信からは、感情がダイレクトに伝わってくる。友を失った悲しみ、ぶつけようのない怒り、必死に前を向く力強さ……純真で愚直なキャラクターだからこそ真摯な演技がよく映え、心が揺さぶられた。気高き王である嬴政の振る舞い、声色に確かな説得力を込めた牧島は、1人2役を務める。漂には心優しき少年らしさを滲ませ、瞬時の演じ分けは見事だった。
牧島輝

(左から)高野洸、梶裕貴、華優希

2人が歩き始めた道には、魅力的なキャラクターたちが寄り添っていく。フクロウの被り物が特徴的な河了貂は、愛らしく和やかな空気を与えてくれる。昌文君の腹心である壁の親しみやすさ、温かさも精神的支柱に。幼き嬴政が出会う紫夏の慈しみ深さも、本作にとって重要なエピソードをもたらす。
(左)石川由依、(右)牧島輝

美弥るりか

山深い地で暮らす“山の民”と、彼らを率いる楊端和の美しきカリスマ性は圧巻。反乱を起こした嬴政の異母弟・成蟜の人間味あふれる憎たらしさも光り、左慈(早乙女友貴)やバジオウ(元木聖也)といった刺客も強敵ぞろいだ。
山口祐一郎
冒頭から象徴的に登場するのが、秦国六大将軍のひとり・王騎(山口祐一郎)。長く大きな矛を難なく扱い、鬼気迫る存在感は場の空気を掌握する。計り知れない強さが強烈に焼き付いた。
本作の見どころのひとつが、激しい殺陣。刺客たちとの命を懸けた戦いが連続し、剣が交わる瞬間の迫力が生々しい。奥行きのある空間や高低差のあるセットが存分に生かされ、見応え抜群。山の民たちによるパルクールを駆使したアクションにも注目したい。
(左から)三浦宏規、梅澤美波
公演ごとに、キャストの組み合わせもさまざま。醸し出される魅力が異なることもまた、観劇の醍醐味となりそうだ。
(左から)三浦宏規、有澤樟太郎、小関裕太

三浦宏規

クライマックスに向け、スピード感が増していく展開。帝国劇場の舞台が、どこまでも果てしなく続いているような気さえする。壮大な世界観がスケールを狭めることなく、板の上に落とし込まれていた。
7日には開幕記念会見が開かれ、主演の三浦宏規、高野洸らキャスト11人が登壇。初日を終えた感想や意気込みを語った。
三浦は「何とかスタートすることができました」と稽古を振り返りつつ、原作者の原泰久が観劇したことに触れ「開口一番『4度泣きました』と言ってくださって感無量。頑張ってきてよかった」と話した。高野も「憧れだった歴史ある帝国劇場に立ったことを、初日のカーテンコールでようやく実感できた」と噛み締め、「『キングダム』の熱き時代が始まる。劇場で世界観を体感してほしい」と力を込めた。
三浦宏規
高野洸
嬴政・漂を演じる小関裕太は、初となる帝国劇場の舞台について「王として鼓舞するシーンでは、(舞台から見える)お客さんからエネルギーをもらいながら踏みしめている」と明かした。原作ファンという牧島輝は「大好きな『キングダム』の世界にどっぷり浸れてとても幸せ」と、原作者・原からのメッセージを代読する一幕も。

(左から)小関裕太、三浦宏規、高野洸、牧島輝
河了貂役の華優希は「Wキャストの川島海荷さんと一緒に、力を合わせて役を作ってきた。5月の大千穐楽まで、一回一回大切に演じていきたい」と語った。
梅澤美波(乃木坂46
楊端和を演じる梅澤美波(乃木坂46)は「稽古の時からキャラクターの言葉に心を動かされ、出演者の皆さんの姿勢に力をもらっていた」と振り返り、美弥るりかも「お客様から熱い拍手をいただき、私たちとお客様の思いがひとつになった」と感激していた。
壁役の有澤樟太郎は「帝国劇場に初めて立ち、感極まる瞬間も。地方公演からは(東京公演のみの出演となる)梶さんの思いも受け取り最後まで駆け抜けたい」。本格的な殺陣は初めてという梶も「このカンパニーに入ることができて幸せ。最後まで原作へのリスペクトを込めて演じ抜きたい」と座組の絆を垣間見せた。

有澤樟太郎
成蟜を演じる鈴木大河(IMPACTors/ジャニーズJr.)は高校時代からの『キングダム』ファンだと語り「IMPACTorsの名の通り、インパクトを残せるよう1公演ずつ噛み締めながら頑張りたい」。神里優希は「ロングラン公演、キャストの組み合わせも毎公演違う。真摯で丁寧に、大胆に演じていけたら」と意気込んだ。
鈴木大河(IMPACTors/ジャニーズJr.)
主演の三浦と高野は、互いが出演するゲネプロ公演を観劇。「身内のような目で見ていた。やっぱり主人公が似合うなと心から思った」(三浦)、「帝劇を背負える男。かっこよくて力強くて、心の底から信らしい。刺激をもらった」(高野)と感想を語り合う場面もあった。
(左から)三浦宏規、高野洸
原作者の原から「目の前で繰り広げられる壮絶なアクション、白熱のドラマ、とにかくキャストさんたちの圧倒的な熱量がダイレクトに伝わってきて、想像を遥かに超える感動がありました」とメッセージが寄せられた本作。会見の最後には高野が「『キングダムを浴びた!』って気持ちになってもらえるよう、最後まで戦い続けたい」、三浦は「世界初演、舞台『キングダム』の伝説が始まりました。皆様ぜひ見届けてください」と力強くアピールした。
取材・文=潮田茗

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