写真左上段より時計回りに、sindee(Ba)、はやしゆうき(Fl)、だいじろー(Gu&Cho)、猫田ねたこ(Vo&Key)

写真左上段より時計回りに、sindee(Ba)、はやしゆうき(Fl)、だいじろー(Gu&Cho)、猫田ねたこ(Vo&Key)

【JYOCHO インタビュー】
一番トレンディーなかたちの
JYOCHOを見せられている

最新のJYOCHOの雰囲気とか、
メンバーの技術といったことも味わえる

ラストの「366」は静かな導入からクレッシェンドしていくドラマチックな流れや、《365日24時間息をしてるだけで 此処に生まれた意味はあるから》という哲学的な歌詞などが光る一曲ですね。

「366」は再録で、もとはJYOCHOの1stミニアルバム『祈りでは届かない距離』(2016年12月発表)に収録されていた「365」という曲なんです。音源のバージョンとは別にライヴバージョンがあって、原曲ではピアノが主軸になって進んでいくんですけど、ライヴではギターのフワッとした音から始まるんですね。そのライヴバージョンを収録したんです。

出だしでボリューム奏法のギターと繊細なヴォーカルだけで深淵な世界を作っていて、“おおっ!”と思いました。それに、後半の盛り上がりを聴くとJYOCHOがロックの心を持ったバンドであることが分かります。

それは嬉しいですね。僕はJYOCHOはロックバンドだととらえているんです。僕らのライヴを観ていただくと分かると思うのですが、イメージ以上にめちゃくちゃロックなライヴをしているんですよ。もう音源とは違うくらいバキバキな演奏をしてしまうし、いい意味でも悪い意味でも(笑)。メンバーそれぞれは結構ロックだと思います。

ロック感の強いライヴになった時は、猫田ねたこさんのヴォーカルも一緒に激しくなるのでしょうか?

猫田さんの歌は初期に比べるとロックになってきているとは思いますが、荒々しい歌になることはないですね。

そうすると、ロック感を放つバンドサウンドと透明感を湛えたヴォーカルになりますよね。それは最高にカッコ良いのでは?

そう思います(笑)。僕もそういう感じが好きなんですよ。

いいですね! 「366」の後半に出てくる荒々しいギターの音はファズを使われたのでしょうか?

ファズです。オベーションのヴァイパーとファズの組み合わせで。それに、Line6の歪みも少し混ぜましたね。イメージどおりの音を出せて満足しています。

歪みの深さや音の質感が絶妙です。ちなみに、今回のレコーディングではアンプはどんなものを使いましたか?

フェンダーのホットロッド・デラックスです。あと、今回はヤマハの古いアンプも使いました。スタジオにあったのを遊びで弾いていたら“これ、めちゃめちゃいいな”と思って、使わせてもらったんです。それに、僕はライン録りはせずに必ずアンプの実機を鳴らして、キャビネットにマイクを立てて録っています。

その辺りにもロック魂を感じます。そして、「366」のアウトロではファズトーンでテクニカルかつ滑らかなギターソロも弾かれていますね。

『祈りでは届かない距離』のバージョンもギターソロが入っていて、今考えるとそのソロはアドリブで録ったんですよ。それを今回はちゃんと弾いたんですけど、“あらかじめ決まっていた感”が出ないことを意識して弾きました。

先ほどJYOCHOはあまりギターソロがないという言葉がありましたので、ソロが聴けるという意味でも「366」は必聴です。もうひとつ今作を聴かせていただいて感じたことがあるのですが、「云う透り」のギターはかなり個性的ですよね。ああいうアプローチができるとなるともっと押し出したくなるような気がしますが、「云う透り」だけというのもいいなと思います。

それは僕も歳をとったということかもしれないですね。昔は全力で“思い描くままのテクニカル”をやっていたんですけど、ライヴではちゃんとしたクオリティーで納得のいく演奏をしたいから、昔ほど無理しないようになっているんです。それに、歌を聴かせたい想いが年々強くなっているから、その辺りのバランス感もちょっと変わってきていると思いますね。

“だけど、やる時はやるよ”というスタンスは素敵です。『云う透りe.p』は最新のJYOCHOの魅力を味わえる必聴の一作になりましたね。

一番トレンディーなかたちのJYOCHO、最新のJYOCHOは見せられていると思います。作品を作るごとに新しいことをしたいと思っていて、過去作でもそれに挑戦してきましたけど、最新の作品だけあって最新のJYOCHOの雰囲気とか、メンバーの技術といったことも楽しめるものになっていると思うから、そこを味わっていただければと。

そんな『云う透りe.p』のリリースに伴って、2月に東阪で2マンライヴが開催されますね。

LITEとjizueは個人的にかかわりがあったり、バンド同士でもかかわりがあったりで、とても信頼しているバンドなので、きっと楽しんでもらえると思います。対バンライヴならではの化学反応をお客さんに楽しんでもらいつつ、僕らとしてはよりひと皮むけたJYOCHOを観てもらいたいですね。『云う透りe.p』の練習でわりとみんなヒィヒィいっているので(笑)、それをいいかたちでライヴとして表現することを目指します。

取材:村上孝之

配信EP『云う透り e.p 』2023年1月20日配信 日本コロムビア
    • ※詳細はオフィシャルHP等をチェック

ライヴ情報

『JYOCHO EP Release TAIBAN「JYOCHOの云う透り」』
2/04(土) 東京・WWWX
W)LITE
2/18(土) 大阪・梅田シャングリラ
W)jizue

JYOCHO プロフィール

ジョウチョ:2015年3月に解散した宇宙コンビニのリーダー“だいじろー”により、16年に始動した京都発のバンド。プログレッシブ~ポップスなどさまざまなジャンルを通過した音楽性に、テクニカルなトラック、温かみ、激情をふんだんに盛り込んだ、まさに情緒感たっぷりな、JYOCHOにしかできない独自の世界観を構築する。JYOCHO オフィシャルHP

「云う透り Maniac ver.」MV

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着