RADWIMPS「すずめの涙」過去に囚われ
た"私"の行く末とは?映画「すずめの
戸締り」から生まれた名曲の歌詞を徹
底考察

「すずめの戸締り」インスパイアソング

2022年11月11日に公開され、絶賛放映中の長編アニメ映画『すずめの戸締り』。
この映画は『君の名は。』や『天気の子』を手掛けた新海誠監督の最新作ということで大注目を集めています。
そして、今回も主題歌や劇伴音楽を手掛けたのは、4人組ロックバンドのRADWIMPS
さらに作曲家の陣内一真を音楽制作に迎え、新海監督が描き出した世界観を音楽で鮮やかに彩りました。
今回ご紹介する『すずめの涙』は、RADWIMPSのボーカル・野田洋次郎が『すずめの戸締り』にインスパイアを受けて作詞・作曲・歌唱した楽曲です。
▲RADWIMPS-すずめの涙【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
本編の挿入歌には含まれていませんが、野田の目線を通して『すずめの戸締り』を描き出した貴重な作品となっています。
さっそく歌詞の内容を辿りながら、その意味を考察していきましょう。
過去に囚われた「私」
すずめの涙 歌詞 「RADWIMPS」
https://utaten.com/lyric/ym22111510
『すずめの涙』で印象的なのは、全体を通して「私」が過去に囚われていることです。
今この時も世界は刻一刻と未来へと進んでいます。
しかし、自分だけが動けずにいるような葛藤を感じさせるのです。
周りに合わせて生きられない自分を、他の人々は気にも留めません。
それでも「私」は、当たり前の日常にどこか生きづらさのようなものを抱えているのです。
すずめの涙 歌詞 「RADWIMPS」
https://utaten.com/lyric/ym22111510
この部分からは、冒頭のフレーズに対する想いが汲み取れます。
なぜ、主人公はこんなにも過去を引きずってしまうのか。
それは想い出や写真に残る過去の記憶が「私」にとって最も愛おしく、美しい瞬間だったからではないでしょうか。
なんてことのない日々の中で、鮮やかに感じられた「あの時」を大切に守りたいという意志が伝わってきます。
同時に、どんなに過去が美しくとも、私達は未来を生きねばならないのも事実なのです。
すずめの涙 歌詞 「RADWIMPS」
https://utaten.com/lyric/ym22111510
早く大切な「あの人」の元へ行きたいと願うのに「私」の脚は過去の沼にはまったまま身動きが取れません。
そんな「私」を突き動かしたのもまた、まぎれもなく「あなた」でした。
「あなた」は優しく主人公の手を引くように、未来へと導いてくれたのかもしれません。
「すずめの涙」に込められた想い
すずめの涙 歌詞 「RADWIMPS」
https://utaten.com/lyric/ym22111510
ここで「僕」という異なる人格が登場します。
恐らく「私」から見た「あなた」に当たる人物なのでしょう。
「僕」にとって「すずめの涙」は、「彼の世界」そのものに大きな影響を与える一滴となったのです。
すずめの涙 歌詞 「RADWIMPS」
https://utaten.com/lyric/ym22111510
「すずめの涙」は「ごくわずかしかないこと」を表したことわざとして広く知られています。
一般的には状況を大げさに説明したり、あまりの少なさに卑下したりする表現で使われることが多いフレーズです。
しかし、この楽曲に登場する「すずめの涙」は、やや異なる意味を持っているのではないでしょうか。
どんなに気丈に振舞おうとしても、愛おしい人の「眼」には心を緩ませる力があります。
そんなあたたかい眼差しに、思わず涙がこぼれる「私」。
しかし、泣いていることを隠したい「私」は、自身の涙を“なんてことのない物”という意味で「すずめの涙」と表したのではないでしょうか。
すずめの涙 歌詞 「RADWIMPS」
https://utaten.com/lyric/ym22111510
「僕」が見て見ぬふりをしても気づいてしまうもの、それは「私」から向けられた“愛情”ではないでしょうか。
それは何物にも代えがたい宝物のような存在に感じられたことでしょう。
「私」と「僕」がお互いに捧げ合った愛情は、彼らが“今この時”を生きようとするのに十分な動機となったのかもしれません。
本編未収録楽曲はサウンドトラックで
『すずめの涙』を聴きたい方におすすめなのが、「すずめの戸締り」オリジナルサウンドトラックです。
こちらには今回ご紹介した『すずめの涙』に加え、野田洋次郎が歌う『Tamaki』も収録。
どちらも映画本編には未収録の新曲なので、ぜひこの機会に手に取ってみてはいかがでしょうか。
RADWIMPSの音楽を通して『すずめの戸締り』の世界観を味わえる贅沢な作品です。

アーティスト

UtaTen

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