アジカン後藤正文と佐藤千亜妃が、大
阪市中央公会堂で「次の世代へ繋げて
いきたい音楽」を届ける、FM802『TA
CTY IN THE MORNING』主催ライブ開催

『FM802 on-air with TACTY IN THE MORNING Daiwa Sakura Aid FOR THE GENERATION LIVE』2022.11.25(FRI)大阪・大阪市中央公会堂
11月25日(金)、大阪・大阪市中央公会堂で大阪のラジオ局・FM802が主催する『FM802 on-air with TACTY IN THE MORNING Daiwa Sakura Aid FOR THE GENERATION LIVE』が開催された。本イベントは同局の朝の番組『on-air with TACTY IN THE MORNING』(月~木曜、6時~11時)が毎年行っている、リスナーを招待しての特別なライブ。今年は後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATON)、佐藤千亜妃がアコースティックライブで出演することに。歴史ある大阪市中央公会堂での特別なステージ、そのひと幕をお届けしたい。
イベントはまず、番組のDJでもある大抜卓人がMCとして登場し、会場の大阪市中央公会堂について紹介。国の重要文化財でありながら、文化や芸術の場として府民から親しまれているこの建物。1918年に建てられ、これまで国際的な一流アーティストやオペラなどの公演のほか、ヘレン・ケラーやガガーリンなど世界の偉人たちが講演を行うなど、大阪の文化や芸術の発展に深く関わってきた。壮麗な内装のステージにはモダンなシャンデリアや金箔で覆われた舞台縁が配され、客席の周りを囲む柱も大理石で造られるなど、細部に至るまで創建当時の姿にこだわっているという。
佐藤千亜妃
そして、イベントタイトルに配された「Daiwa Sakura Aid FOR THE GENERATION LIVE」の言葉。奈良県吉野山の桜保全活動を行っている企業が協賛していることから名付けられたものだが、「桜は人の手がかけられ、ようやく花を咲かせる樹。日本人が大好きな桜を次の世代へ繋いでいきたい」という想いとともに、「次の世代へ繋げていきたい音楽」を届けたいと、出演者への想いを語る大抜。トップバッターの佐藤千亜妃について、「1曲1曲に登場人物がいて、その世界をのぞき見するような感覚を持つ音楽。心が落ち着いたり、騒いだり。大阪市中央公会堂でどんな音が鳴るのか楽しみ」と、彼女をステージに呼び込む。
佐藤千亜妃
ハイトーンカラーにコンパクトなショートヘア、ラフなデニムジャケット姿で登場した佐藤千亜妃。まずは「S.S.S.」で夜の帳に溶けこむようなメロウな楽曲を披露。切ないリリックを囁くように歌うその歌声は、くすぐったいけどなんだかとても気持ちがいい。「たくさんの人の前で歌えてうれしい。桜の歴史を繋いでいく、そのメッセージを音楽で彩りたい」と、桜にまつわる曲として「桜が咲く前に」へ。バンド時代のメジャーデビュー曲でもあるこの楽曲。サポートギタリストのHISAはアコギ一本で哀愁を奏で、佐藤は丁寧に想いを紡いでいく。
佐藤千亜妃
吹き抜けの高い天井を眺めつつ、「音がよく響きわたって、歌っていて気持ちいい!」と初めての会場の雰囲気を満喫しつつ、この日共演する後藤についても「青春時代、いつも聴いていた憧れの存在。やっと挨拶ができて嬉しい!」とコメント。興奮を隠しきれず、満面の笑みを浮かべる。
ライブでは、12月9日(金)に配信リリースされる新曲「1DK」もいち早く披露。想いを重ねていく言葉たちはアコースティックライブだからこそ、とてもリアルに心に刺さり、観客はただ真っ直ぐに彼女の姿に魅入っている。最終曲は「繰り返したい夜、終わって欲しくない夜を歌に」と「夜をループ」を披露。弾き語りならぬ「弾いてもらい語り」と呼んでいたこの日のライブはギター演奏をHIROに委ね、佐藤は立ち上がって観客の手拍子を率いてご機嫌に歌唱。息を継ぐ音さえも、チルなサウンドにハマり、最後の音が止まる瞬間まで満足度の高いステージで魅了してくれた。さらに、ライブ直後にはステージに再び登場し、大抜卓人とトークを展開。来年の活動について「年明けに新しい作品が出るかも。楽しみにしてて」と気になるコメントも飛び出した。
佐藤千亜妃
続いては後藤正文のステージへ。MCの大抜卓人は「イラストレーター・中村佑介(アジカンのジャケなどでおなじみ)の作品展でのイベントで観た、彼のアコースティックライブに感動した。メッセージ性もより強く、曲が持つ体温を届けるようなライブに驚き、今回のイベント出演を懇願した」と、熱意を伝える。
後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATON)
そんな熱い言葉を受けて登場した後藤正文。「素敵な会場でライブができてうれしい」と、ステージを見渡しつつ、さっそく1曲目「ソラニン」へ。ASIAN KUNG-FU GENERATONでお馴染みのライブアンセムも、アコースティックとなると一層表現力が豊かになり、歌声が際立つ。強く、くっきりと耳に残る言葉たち。その言葉たちを強調するように、ステージの背面から強く差す眩い照明。逆光で彼の表情は見えなくて、ただメロディと歌詞だけが頭の中に刷り込まれていく。続く「生者のマーチ」、低音域の歌声はじわじわと心を温めてくれるけど、そこに乗せる言葉は優しくてとても寂しい。後半につれて伸びゆく歌声は心を締めつけて、涙腺を刺激していく。
桜の歌を、と届けられた「海岸通り」。心地よいリズム、語感に観客はうっとりと聴き入っている。それでも熱心なファンは時折首をかしげていて、何かと思えば歌詞を何度か間違えていたらしい。後藤は「歌詞は間違っても成り立つもの」といつものペースで和やかなトークを展開。バンドでのライブはMCも楽しみのひとつだが、この日はソロでのステージ。MCなしでいけば曲が増やせるかも! とおしゃべりは短めにして、「荒野を歩け」でこれまたASIAN KUNG-FU GENERATONのライブアンセムを披露。グッドメロディにつれられ、観客は手拍子で音に応える。
後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATON)
実はこの日のライブ、セットリストを忘れてステージに飛び出てしまったという後藤。実際のセットリストは誰も知らないから……と、急遽「Gotch」名義でのソロ活動で発表した楽曲「A Girl in Love/恋する乙女」を披露。多幸感たっぷりのナンバーはバンドでの印象がガラリと変わり、じんわりと心に染みこんでいく。
「あと1.5時間くらいやりたい!」と、短いステージ時間に歌いたい欲求がさらに高まってしまったと語る彼。それでも残念ながら時間に限りはあって、最後に「集まった人と自分に向けて」と最終曲「今を生きて」へ。いろんな感情をまるっと肯定してくれる、明日は良いことが起きそうな、そんな歌詞に心がどんどん弾んでいって、気付けば観客の手拍子はこの日一番の大きな鳴りを響かせていた。
ステージ終わり、MC・大抜卓人とのトークでは「会場がとても素敵で(歌っていて)気持ち良かった」と、改めてイベントの感想を言葉にする後藤。つい最近、ASIAN KUNG-FU GENERATONは長い全国ツアーを終えたばかりだが、年内にはFM802が主催する毎年恒例のロック大忘年会『FM802 RADIO CRAZY』への出演が決定している。年末の締めくくりとなっている恒例のイベントについて「フェスが戻ってきた嬉しさがある。好きな音楽を聴く場所がある素晴らしさを味わってほしい」とコメント。
後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATON)
鳴り響く生の音、次の世代に繋げたい素晴らしい音楽。それらを一度に体感できた、喜びに満ちた一夜はこれにて終幕。なお、この日のライブの模様の一部は12月8日(木)、FM802『on-air with TACTY IN THE MORNING』にてオンエア予定なので、ぜひともチェックしよう。
取材・文=黒田 奈保子 写真提供=FM802(撮影:渡邉一生)

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