GLAY・TAKURO「メロディーが生まれる
たびに自分が元気になっていき、癒や
されていくのを実感したんです」 ソ
ロアルバムの公式インタビューを公開

GLAYTAKUROが12月14日にリリースする3rdソロアルバム『The Sound Of Life』に向けたオフィシャルインタビューが公開された。
今作は全曲ピアノで作曲を行い、初の試みとなるヒーリングミュージック集となっている。今、TAKURO自身が一番求めていた音楽は、激しいロックではなく、心癒されるミュージックであり、何故彼が今作を作り上げたか、このインタビューから紐解く事ができるという。
また、合わせてCDの先着予約購入特典の絵柄もオフィシャルホームページで公開されている。
TAKURO オフィシャルインタビュー
■アルバム『The Sound Of Life』誕生のきっかけ
2月24日、コロナ禍に追い打ちを掛けるようにして起こった、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻。きっと皆さんも同じだと思うんですが、沈んでいた僕は、自分の気持ちを上げてくれるような、「今、欲しい」と思える音楽を求めてピアノに向かいました。血が流れているところに絆創膏や包帯を巻くようなイメージで、「このメロディーだと傷が癒えそうだ」とか「止血可能だ」とか、心の中で判断しながら。すると、メロディーが生まれるたびに自分が元気になっていき、癒やされていくのを実感したんです。世の中の煩わしいことを忘れるぐらい無我夢中で楽しんで集中して、作曲は4日で終わりました。ピアノだけでアルバム全体の曲づくりをしたのは初めてで、ギターのようには弾けないから不自由ではあるけれど、それが楽しかったし、自由でもあった。奇跡の4日間でした。
■ヒーリング・ミュージックの大家、ジョン・ギルティンとの出会い
作曲したデータを、ロスの知り合いに紹介してもらったジョン・ギルティンに送り、やり取りを重ねていきました。キーボーディスト、作曲家として早くから活躍していたジョンは、‘80年代には中島みゆきさんを中心としたニューミュージックの方々と関わりを持っていて、日本での全国ツアーやレコーディング経験も豊富。ここ10年来はヒーリング・ミュージックの世界に主戦場を置くグラミー賞受賞アーティストであり、商業的なポップミュージックの向こう側にある壮大な音楽世界を知っている、大先輩ですよね。ジョンが送り返してくれるサウンドには、ピアノだけじゃなくて雨音や虫の鳴き声といった環境音が加えられていて、届くたびに作品の方向性が定まっていって。「自分の今一番聴きたい音楽は、これかもしれない」と思えたんです。これまでの僕のソロ2作『Journey without a map』と『Journey without a map II』はジャズやブルースがテーマでしたが、今作はそれとは全く違う。自分の心の根本の部分にある辛さみたいなものが「慰めを欲しがっていたんだな」と、出来上がって改めて感じています。
■ナイロンギターへの挑戦、“時間”という概念
最初はギターを入れるつもりは一切なく、今回はあくまでも作曲家として関わっていこうと考えていたんですが、ジョンが「お前も弾いたほうがいいよ。ナイロンなんかいいんじゃないか?」と言うんです。それで急遽ギターセンターに行って買ったナイロンギターを弾いています。プレイの拙さ、未熟な部分が露わになってしまうことに尻込みしたけど、結果的に入れて良かったな、新しい扉をジョンが開いてくれたな、と感謝しています。レコーディングにしても、GLAYとは違ってクリックを一切使わなかったから、ジョンのグルーヴに合わせていくのは大変で。追い越したり逆に遅れたりしてズレるのを繰り返すうちに、ふと「それで何がダメなんだ?」と思い至って。“時間”というのは人間がつくった概念で、自然というものは決まった時間、テンポでは動かないですよね。今回はそういった自然に身を委ねる、素直になるのもいいんじゃないか?と。自由とは何か? 不自由とは何か?を改めて考える貴重な経験にもなりました。
■ロスのミュージシャンたちとの出会い
「Red Sky」は、リード曲でありながら、このヒーリング・アルバムの中では異質な曲かもしれません。曲を書き始めたばかりの頃に抱いていた無力感、焦燥感、憤りが色濃く出ているから、心掻き毟られるようなメロディーの運びになっているんですよね。ロスで撮影したこの曲のミュージックビデオには、ジョンと、やはりグラミー賞受賞アーティストであるチェリストのEru(Matsumoto)ちゃんも参加してくれています。彼女とは共通の知人を介して親交はあったんですが、今回のアルバムに参加してもらえないか?というオファーを快諾していただけて。レコーディングでは、その圧倒的な才能に畏怖を感じました。ジョンが呼んでくれたベーシストのLe(Leland Sklar)さんも、‘60年代から活躍していて、僕の好きなジェームス・テイラーのアルバムに参加していたような本当にすごいアーティスト。年齢は70代後半だったはずですが、出てくるアイディアは若いし、生き生きとしていて。ロスはミュージシャンの土壌が肥えていて本当に層が厚いので、そういった自分の将来の指針となるような存在にも出会えるのがうれしいですね。
■戦場に送り出した、帰らぬ家族を待ち続けて
インストゥルメンタル作品ですが、1曲だけ、「In the Twilight of Life(featuring Donna De Lory)」は、メロディーをつくったら同時に歌詞も出てきてしまったので、「歌う必要があるのかな?」と。ジョンに相談したら知り合いのシンガーを何人か紹介してくれて、その中で僕のイメージに圧倒的に合うのがDonnaの歌声でした。この曲の主人公は、自分の家族を戦場に送り出す側の人物。送り出した後、報せのある無しに関わらず、帰ってこなかった人の話も当時たくさん本で読んでいたんです。そういった、戦時に身を置いた人たちのその後の人生だとか、全てを表現してくれる人としてDonnaはピッタリだった。彼女はいろいろな経験をしてきて、いろいろな顔を持つシンガーだから、歌詞の意味も理解してくれた上で更に深い物語を与えてくれました。キャリアの浅い人だったら満足できなかったかもしれないですね。
■ソロで得たこと、GLAYに還元できるもの
『Journey without a map』『Journey without a map II』では、ギタリストとしての表現の幅が大きく広がったし、今回は作曲家として学ぶことがとても多かったと思います。GLAYもいよいよ後半戦がスタートして、「これからいつまで、どれぐらいのパフォーマンスができるのか?」を逆算しながら考えるようになりました。ここ最近のGLAYは4者4様の広がりがあって、実験段階のプロジェクトも多く、「往年のGLAYの曲づくりをやっていれば大丈夫!」なんて思っているメンバーは一人もいません。それぞれ自分の新たな引き出しを開けて曲づくりをしているし、それをGLAYが全部飲み込めているのもまた面白いんですよね。悪食というか、胃袋がデカいというか。だから、今回のようなヒーリング・ミュージックのアプローチを僕がもしGLAYに持ち込んだとしても、たやすく飲み込まれるんじゃないかな?と思っています。
■眠れぬ夜に
音楽で戦車は止まらないし、ミサイルも止まらない。人の命も救わないけれど、何かしら人の気持ちを変えるきっかけにはなると思う。虚しいけれど、音楽というのはやっぱり、やりがいのある不思議な仕事ですよ。このアルバムに込めた僕のメッセージは、一つしかないんです。日々疲れている方々、不安を感じている方々、やるせない想いをしている方々……僕自身もそうですが、このアルバムを聴いて「眠れ!」「熟睡せぇ!」(笑)。頭の中でいろいろなことが駆け巡って眠れない夜があるとしたら、スマートフォンを遠くに置いて、これを聴けば1曲目で眠れますから。皆さんにとって癒しの塊みたいなアルバムになってくれたなら、僕としてはうれしいですね。

特典絵柄

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