『ブシロード15周年記念ライブ』リレ
ーインタビュー企画vol.3 『バンドリ
!』愛美 Raychellが語るベルーナド
ームに向けての気合い

2022年11月13日(日)に埼玉県 ベルーナドームにて『ブシロード15周年記念ライブ in ベルーナドーム』が開催される。この日に再集結が発表され、大いに話題を呼んだミルキィホームズを含む、総勢19組のアーティストが出演予定だが、現在SPICEでは15周年ライブに向けてインタビュー連載を特集中。今回はバンドリ!プロジェクトを代表して、Poppin'Partyより愛美とRAISE A SUILENからRaychellの2人にライブに向けての意気込みを語ってもらった。

■拭えぬ不安を抱え、憧れのミルキィホームズファミリーへ
−−15周年ライブということで全ブシロード作品の中から印象に残っていたり、好きな作品があれば教えてください。
愛美:私はやっぱりミルキィホームズです。ミルキィホームズシスターズとして活動していたということもあるんですが、それ以前にミルキィさんの空気感やMCでのしゃべりのとてつもない面白さとか、歌やダンスの安定感とか、もう全部を尊敬していて。そんな先輩の背中を見て育ってきたので、大好きだし特別な作品です。
Raychell:私はやっぱりバンドリ!ですね。私のバンドリ!との出会いは大塚紗英ちゃんがキッカケ。彼女がウチの事務所に入ってきて、それからバンドリ!プロジェクトが始まって、そこに彼女も参加するということで、本当に初期のライブから観に行ったりしていたんです。まさかそこへ自分が加入するとは思ってなかったですし、私の人生をガラリと変えてくれたコンテンツなので、バンドリ!に関わってからの日々はすごい濃い時間を過ごしているなって思いますね。
−−お二人とも声優としてのキャリアはブシロード作品がスタートかと思いますが、改めてブシロード作品に携わることになった時の心境についてお聞かせください。
愛美:私はブシロードライブの前身のカードゲームライブで行われていた「エリーを探せ!ミルキィホームズ声優オーディションツアー」を受けたのが始まりです。オーディションは落ちてしまったんですが、今の事務所に所属させて頂くことになりました。数年後、ミルキィホームズさんの妹分として役をいただいたんですが、当時は戸惑いが大きかったです。既に4人で愛されてるミルキィホームズに、新たな一員として入っても許されるのだろうか? ファンの皆さんの気持ちを考えると不安が常にありました。
■最後の賭けが “ブシロード”だった
−−今の愛美さんのお話を踏まえると、バンドリ!では逆に愛美さんが先輩として、Raychellさんが後輩として加わっていく。その中で、もしかしたら共感できる部分もあるのかと思ったのですが、Raychellさんはいかがですか?
Raychell:私が1番最初にブシロードさんに携わらせて頂いたのは、ソロアーティストとして「カードファイト!!ヴァンガードG NEXT」のED曲を担当したことだったんですが、それがキッカケで前回の「ブシロード10周年ライブ」にも出させて頂いて、その時に大塚紗英ちゃんと夏芽ちゃんとスリーピースバンドで演奏していたのを木谷さんが見てらっしゃって、そこからバンドリ!第3のリアルバンドを作ろうということになって、今のRAISE A SUILENの活動に繋がっていて……。ソロアーティストとして10年近く活動していたんですけど、それまで全然売れてなくて、ラストチャンスの想いで出したのが「Are you ready to FIGHT」という曲だったので、ブシロードが本当に人生を変えてくれたし、そもそもバンドリ!自体も愛美さんが他の活動でギターを弾いていらっしゃったから、プロジェクトが生まれたと言っても過言じゃないので、今の私がいるのは本当に愛美さんとブシロードさんのおかげなんです(笑)。
−−むしろRaychellさんの場合は不安というよりも、背水の陣って感じだったんですね。
Raychell:そうですね(笑)。
愛美:確かに、Raychellさんがバンドリ!に加わった時の第一印象として“覚悟”を感じました。バンドリ!って特殊なコンテンツだし、右も左も分からないって所からスタートする子も多い中で、Raychellさんはいつでも真っ直ぐで、迷いがないというか、自分のすべきことに向かって努力を怠らないというイメージがあります。
−−でも、そういう気合いと覚悟はちゃんとパフォーマンスにも表れている気がします。
愛美:そうですよね!RASさんのライブからは、迫るものがありますよね!
■無茶なことを実現するのがバンドリ!の役割
−−続いて、お二人が活動するバンドリ!についての質問です。ブシロード15周年記念ライブでは数多くのコンテンツが一堂に会するわけなのですが、その中でバンドリ!はどんな役割を任されていると思いますか?
愛美:バンドリ!の役割か……。無茶なことを実現すること、かな?(笑)
Raychell:確かに、声優さんが楽器持って演奏してって、初の試みですもんね(笑)。
愛美:声優が継続的にバンド活動をするとか、ロックフェスに参加するとか、普通じゃありえないって思われるようなことを切り開いていく存在なのかな、とは思っていて。
Raychell:ポピパさんが武道館に立った時とかスゴかったですもんね!その前の渋谷のduo MUSIC EXCHANGEでやってた3rd LIVEも観に行ってたんですが、まだオリジナル曲が全然なくて、カバー曲をみんなで代わる代わる歌ってたのが、その1年後には武道館をセンターステージで満員にして、オリジナル曲もバンバン歌ってて、すごく感動しましたね。
愛美:武道館は「本当にお客さん来てくれるかな」ってすごく不安でした。スタンバイした時に隙間から1番上の席がチラッと見えて「良かった~お客さん沢山いるよ!」ってメンバーみんなでウルウルしながら喜んでいたのを覚えています。あの頃は「なんとかバンドリ!を形にしなくては!」っていう思いが強く、お客さんやファンの方に喜んでもらったり認めてもらえて初めてコンテンツとして成り立つのかなって思っていたので、武道館でライブを終えてようやく「バンドリ!」が「バンドリ!」になった気がしました。
−−上松さんの話は私も直接お伺いしたことがあって「無謀だ!と思ってたけど、今じゃ難しいだろうな~という事も要求しちゃう」っておっしゃっていました。
愛美: メンバーみんな、楽曲の難易度の高さに苦しんでいます(笑)。バンド練習でも個人練習でもギャーギャー言いながらみんなで乗り越えている感じですね!
−−でもバンドリ!さんは本当に歌って弾いてるからこそ、ライブパフォーマンスにちゃんと血と汗が滲んでる感じがしてますよね。貰った曲をただ歌ってるんじゃなくて、ちゃんと自分たちのモノにしてアウトプット出来ているのが、ファン目線から感じる1番の魅力だと思います。
Raychell:新しい曲をもらったら、もう死ぬほど練習しないと弾けないし歌えないし。新曲の度に「無理だ!」って思うんですけど、それを何とか形にしているので、ホントに愛美さんがおっしゃってる通りだと思います(笑)。
■とにかく現場で学べ!ブシロード式成長メソッド
−−続いてはもう既に話の節々で出てきている話題ではあるんですが、ブシロードに携わるようになって自分自身にどのような変化があったと思いますか?
愛美:人として、役者として、成長させていただきました。ブシロードコンテンツの共通点として、とにかく経験させる! というのがあると思います。 アフレコだったりライブだったり、本番がすぐそこにあるって環境がほとんど。なので、私は未熟な面や失敗もすでにすべて見せてしまった気がしていますね。ですが、その成長する過程もファンの皆さんに見守ってもらえるっていうのはブシロードならではですよね。
Raychell:私の場合はもちろん人生がガラリと変わったんですけど、一番は声優への挑戦ですかね。演技はやったことがあったけど、声だけっていうのは初めて。これがめちゃめちゃ難しいんですよ(笑)。声の抑揚とか奥行きで表現しなければならないんですが、逆にそれを発見出来たことで自分自身の歌い方が変わった部分も大きな成長だと思います。それにアフレコ現場での所作とかも何もかも分からないことだらけだったので、声優さんへの研究っていうのはすごくしましたね。
−−声優さんの研究というのは、具体的にどんなことをされたんですか?
Raychell:私はずっと歌を歌ってきたので、まずはアニソンを聴きまくりました。それこそ愛美さんや三森すずこさんとか、色んな声優さんの歌う曲を聴くことでアニソンの歌い方を研究して「この人にはこういう歌い回しのクセがあるな」とか気付くんです。それを今度、自分がRASとしてアニソンを歌う時にどう取り入れようかと考えた時に、自分とは別人格のキャラクターがいるんですよ。ライブに立ったらどういう風に振る舞うんだろうとか、次はキャラについて考えていくとドンドン歌い方が決まっていきましたね。アフレコでいうと、やっぱりとにかく現場で学びました(笑)。
愛美:そこはやっぱりブシロード式で(笑)。でもすごく贅沢な話ですよね。いきなり現場に出させてもらえるなんて。
Raychell:いやホントにそうなんですけど、今はコロナの影響もあって分散収録とかも多いので、自問自答しながらお芝居を進めてくってことが多くて。きっと愛美さんが新人の頃だと自分のせいで現場を待たせちゃうとか、そういうこともあっただろうから、私だったら絶対にもっと辛い思いをしただろうなって思います。
愛美:自分が発したセリフがあまりにも下手すぎて現場が凍る、みたいな経験を何度もしてきました……。一人だけ居残りなども経験しましたし、一回OAを見たら自分が演じた役がキャスト変更になってたこともありましたよ。
−−それは……かなり辛いですね。
愛美:それでもここまで活動させていただけて、本当にありがたく思っています。いつまでも感謝の気持ちを忘れたくないです。
■より、バンドとして成長できたなって
−−ブシロード作品を語る上で、メディアミックスは欠かせないキーワードかと思います。キャラクターを演じる中で特に意識していることはありますか?
愛美:ライブでのパフォーマンスは、キャラクターという軸がそこに存在するので「香澄だったらこう考えるだろうな」というような、大前提の意識はブレないようにしています。例えばギターを弾いてて、すごく難しいフレーズとかあるんですけど、香澄だったらきっと楽しそうに弾くんだろうなって思うから、しかめっ面しないように気をつけたり。練習ではどうしても「ムズい~!」とか言いながら苦しい顔をしていますが(笑)。
Raychell:私もやっぱり常にレイヤを思いつつ、一方でRASというバンド自体のキャラクターあるので、そこもみんなで考えて他のメンバーに「こうしてみよう」って相談したりもしますね。
愛美:確かに、バンドとしてのカラーもあるから、そこも大切ですよね。ポピパに関して言えば、最近バンド内の空気がガラッと変わったなと感じていて。やっぱりみんなそれぞれの声優としての活動もあるので、歩幅が合わないのはしょうがない。けどバンドだから歩幅を合わせなきゃいけなくて、これまでは「他のメンバーに迷惑かけたくない」って思いから、スタジオ練習の日までに無理矢理でも覚えてくる。それがプレッシャーだったりストレスに感じちゃうこともあったんですけど、物理的にどうしても無理なものは無理だから「ごめん、この曲全然覚えられてなくて」って子がいても「OKOK、じゃあ別の曲やろ!」とか「立ち位置だけ確認しとこ!」みたいな何でもOKなスタンスになって、それによってバンド内の空気も良くなったんです。けどなんだかんだ、みんな本番までには仕上げてきてくれる信頼感があるし、そういう身を預け合える関係性がすごく居心地が良くて、またひとつバンドとして成長出来たのかなって思います。
−−ガールズバンドという括りで考えても、7年も続いてるバンドってなかなか無いと思いますし、ポピパがそういう域に達しているのは、ある意味納得できる部分もあるのかもしれません。
Raychell:いや、ポピパさんは本当にスゴイですよ!
−−例えば愛美さんの場合だと、D4DJなど他のメディアミックス作品にも出演されてて、今回の15周年ライブだと同じ日に違うキャラで2回3回ステージに立たなきゃいけなかったりするじゃないですか。そういう場合ってスイッチの切り替えってどうやっているんでしょうか?
愛美:普段は自然とスイッチが切り替わります。でも確かに1日で何度もっていうのはなかなか機会がないので、どうなっちゃうんだろ(笑)。ぜひそこも注目してみてもらえたら(笑)。
■バンドリ!のライブ感を味わってほしい!
−−今回、お二人にはバンドリ!を代表してお話しして頂いてるわけなんですが、他コンテンツと比べて「バンドリ!は〇〇では負けないぞ!」というアピールポイントがあれば教えてください。
愛美:やっぱりライブ感ですかね。生音だし!……どうですか?(笑)
Raychell:いいと思います! しかも今回リアルバンド4組が勢ぞろいするのは初だと思いますので、それぞれのライブ感を味わってもらって、これまでバンドリ!をあまり通ってこなかったって人にも好きなバンドが見つかってくれたら嬉しいですね。
−−最後に改めて15周年ライブに向けての意気込みをお願いします!
愛美:バンドリ!の代表として、そうですね……。前日のGBP2022でかなり燃え尽きちゃってるかもしれないので(笑)。まずはしっかりと朝食を食べて~……でもどうしよう、夜食べたら太るじゃないですか。えっ、どうします?
Raychell:いや、でもしっかりご飯食べないと歌えないですよ! 私はお腹いっぱいじゃないと眠れないタイプなのでガッツリ食べちゃいますね。晩ご飯も朝ごはんも(笑)。
愛美:うわ~、どうしよう。でもどちらか必ずエネルギー補給して、ニュー愛美に生まれ変わります(笑)。前日とは全く違うポピパが観れると思いますので、楽しみにしててください。
Raychell:それこそ10周年ライブでソロで立ったことがきっかけで生まれたRASで15周年ライブに出られるというのは、本当に感慨深いですし、メンバーとバンドリ!チームのみんなでしっかりと盛り上げて、ブシロードさんの15周年をお祝いしたいし、バンドリ!をまだ知らない人にも私たちの良さをキチンと届けられるように頑張りたいと思います!
インタビュー・文=前田勇介

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