演劇カンパニー・ノアノオモチャバコ
、新作公演『コノマチノナマエハ？』
中野・テアトルBONBONで上演

演劇カンパニー「ノアノオモチャバコ」（活動拠点・東京、主宰・寺戸隆之）が、2022年10月26日(水)～10月30日(日)中野・テアトルBONBONにて新作『コノマチノナマエハ？』を上演。カンパニーとしては1年ぶりの有観客での公演となる。

丹羽隆博(希望の星)、寿春歌(バクステ外神田一丁目)といったお馴染みのメンバーを迎えつつ、辻崇雅(10・Quatre)が10数年ぶりに出演。また、今年から新たに劇団員となった真坂雅も出演する。

ノアノオモチャバコとは、寺戸隆之（脚本・演出）が上智大学在学中に旗揚げ。2006年より俳優・ダンサーを構成メンバーに加え、本格的に活動を開始。東京を拠点に、創作戯曲の上演や日本・海外戯曲のリ・クリエーションを手掛けている。

人に囲まれても孤独だと感じる、都会の矛盾した感覚を創作の基点とする。「芝居の一つ一つのシーンがまるで油絵のようだった。音響、照明、役者の立ち位置を駆使してシーンを構成する手腕に感心させられた。」（2011年京都舞台芸術協会コンペ講評）、「空間を利用して、作品の重層構造が明確にきめ細かく提示されており＜演出＞の存在を感じさせる。」（2007 年利賀演出家コンクール講評）等と評される、繊細な空間造形と身体の連動によるダイナミックな変化が持ち味。現在の構成員は演出兼作家1名、役者5名の計6人。

『コノマチノナマエ ハ？』

『コノマチノナマエハ？』あらすじ

山に囲まれた花山町と海に囲まれた海星町。ある日、二つの町の間に見えない壁が突然出来て、行き来が全く出来なくなってしまった。この事態に両方の町に住む住人達は大混乱に陥った。

壁が出来た翌日、国から派遣されたという管理官が住民達にこう宣言した。「花山町と海星町は合併して一つの町となることになりました。合併すればこの壁の処置は終わり元の生活が戻ります。期日までに合併を完了して下さい。」と。

納得できないことは山のようにあったが、花山町と海星町の住人達は町長を中心に合併を進めることにした。合併に伴うややこしい課題が国から毎日のように届いた。当初はその課題に花山町と海星町の住人達は頭を抱えていたが、両町の境にある居酒屋が突破口になった。この居酒屋は両町の境にあるおかげで両方の町の人間が壁の制限を受けることなく利用できたのだ。住人達は日中、国から出された課題に頭を抱えるふりをして、夜な夜なこの居酒屋で両町の住人達で話し合い、合併へ一歩一歩進んでいった。

話し合いの中心になっていたのは両町の若い町長であった。そして居酒屋の店長は二人の同級生だった。そして町長の一人ともう一人の町長の妹は結婚の約束をしており、こんなことで結婚を邪魔されたくないという気持ちも、現状を打破しようとする大きなエネルギーとなった。二人の町長を中心に両町の話し合いは進み合併は目前のある日、国からまた一つの難題が出された。それは合併した後の町の名前だった。国が決めた新たな町の名前はほのぼのスカイ町だった。その名前を聞いた両町の住人達の反応は千差万別だった。

順調に思えた合併の話は一気に頓挫した。解決の窓口となっていた居酒屋には人が集まらなくなった。そして結婚の約束をしていたはずの二人の間にも見えないヒビが入っていた。ヒビの原因を作ったのはかねてから妹に恋をしていた居酒屋の店長であった。

店長は町長のいないところで妹に、妹のいないところで町長に、会えないことで生まれる猜疑心をくすぐる言葉を囁いた。二人は転がるようにその言葉に乗せられてしまい、合併なんて不可能なぐらい二つの町にも大きな溝が出来てしまう。

そんな中、国が決めた期限が迫る。両町は合併できるのか。行動を制限された中で人はどのような行動をし、状況を打破していくのか。制限に屈服するのか。それとも打ち勝つのか。人間の強さを問う物語。