僕らの知っているアニサマが帰ってき
た『Animelo Summer Live2022-Spark
le-』DAY2レポート

『Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-』

DAY2 2022.8.27(SAT)さいたまスーパーアリーナ
2022年8月27日(土)、埼玉スーパーアリーナにて『Animelo Summer Live2022-Sparkle-』DAY2が開催。久しぶりの行動制限の無い夏に、昨年のような入場者数制限の無い、通常の来場者数での開催となった。コロナ禍以前の2019年には約8万4000人の来場者を記録したという『アニサマ』。今年のDAY2もアリーナ席はもちろん、スタンド席まで席が埋まっている様子を見るに、3日間でまた当時と変わらぬ数のアニメファンが集いそうだ。それだけでも「僕らの知っているアニサマが帰ってきた」という気持ちに胸が熱くなってくる。感動の締めくくりを迎えたDAY1に続き、DAY2にも総勢20組ものアーティスト(サプライズゲストやフィーチャリング含む)が出演。5時間弱にも及んだ圧巻の舞台の模様をレポートしていく。
FLOW×GRANRODEO×angela (c)Animelo Summer Live 2022
1番手としてヒーローのごとくステージ中央に登場したのは、FLOW✕GRANRODEO✕angelaのベテラン3組。いきなりの大型コラボで、しかもJAM Projectのライブ定番曲でもある『SKILL』をカヴァ―で歌った。原曲を歌うJAM Projectとも交流の深い3組だからこその実現した、まさに「最初からクライマックス」のようなステージ。お馴染みの「I can fly,You can fly, We can fly! Motto Motto!」のフレーズでは観客一同もその場で一斉に跳びはね、体にも心にも大きな振動が伝わり続けた。
圧倒的な熱量の舞台を終えた後、そのまま去ってしまうのかと思いきや、ステージに残って「もうちょっとしゃべってから……」と、MCパートに移る3組。「まずGRANRODEOです」「FLOWです」と最初の2組が自己紹介した後で、angelaのatsukoはと言えば「奥井雅美でーす」と原曲を歌うJAM Projectメンバーの名を名乗ってしまう定番ギャグを披露。谷山紀章も漫画のように背中から派手にズッコケる中、「すみません、angelaです、よろしくお願いいたします」と改めて名乗り直した。
「初っぱなからやっちゃいましたね」「すごいっすね、1曲目から」「(観客の)皆の方がすごいよ!大丈夫?」「今日、長いんでね」「このあと、どんどん若いやつらが出てくるから」「パワーが上がっていく一方だから!」などなど、思い思いに場を和ませ、「盛り上がってください。よろしくお願いします!」と、会場の熱を残したまま、次のアーティストへとバトンをつないだ。
MADKID (c)Animelo Summer Live 2022
2番手には、5人組ダンス&ボーカルユニットMADKIDがステージに登場。TVアニメ『盾の勇者の成り上がり』から、1期と2期のOPテーマ「RISE」と「Bring Back」を2曲続けて披露。バックのスクリーンにはアニメ映像が映される中、心地よい男性3人のボーカルに、スパイスのようなラッパー2人の超高速のラップが混じり合う。そして5人の息の合ったダンスには目も奪われてしまった。
続く3番手、声優アーティストユニットDIALOGUE+が、アリーナ席後方からトロッコ2台で登場登場。半分ずつに分かれ、それぞれアリーナを半周して「恋は世界定理と共に」を歌いながらメインステージを目指していく。メインステージで合流し、メドレーで「僕らが愚かだなんて誰が言った」を披露。歌の途中でステージが暗くなると、ステージ衣装の蓄光が輝くなど演出も凝っている。最後は「デネブとスピカ」を歌い、踊り、楽し気なステージを締めくくる。
DIALOGUE+は6月25日よりメンバーの内山悠里菜が体調不良のため休止中、また8月21日には飯塚麻結の新型コロナウイルス陽性が確認されたため、6人でのステージとなった。最後のフォーメーションはあえて欠けたメンバーの隙間を空けておくような位置取りで、この場に姿は見えなくても8人の気持ちは確かに揃った舞台であることを象徴しているようだった。
梶原岳人 (c)Animelo Summer Live 2022
4番手にはアニサマ初参戦の梶原岳人が登場。ステージの中央に現れ、アニメ『ブラッククローバー』第12クールEDテーマ「A Walk」を披露した。曲の合間には「初参戦の僕が、皆さんの心に何かひとつでも残せるように精一杯歌います!受け取ってください!」と力強いセリフも。
MCでは、埼玉スーパーアリーナにちなんで、大学生の頃のコンサートスタッフのアルバイトの思い出を披露。当時はめちゃくちゃ好きなアーティストのステージ前警備の仕事を任され、ステージの方を振り向けずに耳だけで音と気持ちを感じ取って楽しんでいたそう。まさに「アニサマ2022」テーマとなっている「Sparkle」にもピッタリの青春エピソード。そんな彼自身が今はステージの上に立っているというのも胸が温まる話だ。
そして次に歌う「色違いの糸束」にちなんで「ライトの色を、それぞれが思う好きな色に、自分の個性の色で降ってくれないでしょうか」と呼びかけ、色とりどりのペンライトが客席に輝く美しい景色の中で熱唱。歌の終わりには「本当に素敵でした。ありがとうございました!」と、まるで少年漫画の主人公のように熱く叫び、舞台を去っていった。
5番手。アリーナ中央のスペシャルステージにて、スピラスピカの幹葉が、フィーチャリングアーティストの重永亮介が奏でるピアノに乗せて「サヨナラナミダ -piano ver.-」を披露。客席にはブルーのペンライトの海に、星のように所々に灯る黄色い光。落ちサビの直前にはフロアがしんと静まり返る中、「さよなら涙」と、アカペラで泣きたくなるような歌声を響き渡らせる。たくさんのスポットライトが、まるで雨上がりの空のようにステージに降り注ぎ、幻想的な光景を作り出す。その舞台へ、客席からは長い長い拍手が送られた。
スピラスピカ (c)Animelo Summer Live 2022
今年でアニサマ3度目のスピラスピカ。MCでは、初登場した2019年の舞台に触れ、その年はスペシャルステージからゴンドラに乗ってメインステージを目指したものの、ゴンドラの上で演奏を終え、そのまま舞台の向こうへ消えてしまったという懐かしいエピソードを語った。去年は念願のメインステージに立つことができたものの、「今年のアニサマはスペシャルステージに出戻りとなってしまいました……」と悲壮感たっぷりに語ったところで、「エモーい!」と叫びながら楽器メンバー2人が登場。ここで「スペシャルステージがしっくりくるね!」と、幹葉もいつもの明るい調子を取り戻し、怒涛のしゃべりを繰り広げた。
MCの後には、先程の雰囲気とは打って変わって、TVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』OPテーマ「燦々デイズ」をメンバー3人で披露。黄色一色のペンライトの海の中、小さなスペシャルステージを元気いっぱいに駆け回りながら歌った。
StylipS (c)Animelo Summer Live 2022
6番手には、サプライズゲストがメインステージに登場。なんと声優の小倉唯石原夏織豊田萌絵伊藤美来の4人からなるStylipSが復活を遂げたのだった。白いドレスでそろえた4人がステージに現れるや、会場からは割れんばかりの拍手が送られる中、1曲目にはTVアニメ『ハイスクールD✕D』EDテーマの「STUDY✕STUDY」を披露。息のそろった動きで、久々の再結成であることはまったく感じさせない。
さらにMCでは「いにしえの自己紹介」として、「学級委員担当、伊藤美来です!」「全国のお姉ちゃんの成績を下げてしまう魔性の妹担当、豊田萌絵」「ラムもぐラムもぐラムもぐもぐ ラムモグモグラムモグ小倉唯ヽ(>ε<)ノ」「みんなのFUSHIGIを解決ちゃん(´∀`)ノ゛♥石原夏織」と、それぞれキャッチコピーを披露したのも貴重な瞬間であった。
続く楽曲には、「MIRACLE RUSH」と「Chose me♡ダーリン」をメドレーで披露。曲の合間には「皆の近くに行きますよー!」と2人ずつ分かれてステージの端と端へ向かい、手を振りながら歌う場面もあった。最後には4人ステージ中央に集まって、「みんな声出せないけど、一緒に跳べるよね」と、観客も全員で大きくジャンプ。ドシン!と会場全体が揺れた気がした。やがて「楽しんでいってねー!ばいばーい!」と4人がステージから去り、夢のような時間が幕を閉じた。
雨宮天 (c)Animelo Summer Live 2022
StylipSの余韻に浸っている間もなく、7番手に雨宮天が登場。初めて自身がヒロインを務めた作品、TVアニメ『一週間フレンズ。』EDテーマとなった「奏(かなで)」を歌えば、聴き手としては一気に感情のコントロールが奪われる。同席していたSPICEアニメゲームジャンル編集長の加東も、思わず天を仰いだほど。メインステージに、またアニメの映像が流れる演出がニクい。
観客席は青いペンライト一色となり、「すごいきれいな景色を作っていただいて、ありがとうございます」と曲の終わりで言う雨宮天。実は明日が誕生日ということで、これが28歳の最後の景色となることを感謝してくれた。続けて2曲目には「フリイジア」を披露。ステージには両手に扇を持ったダンサー2人も現れ、雨宮天も雅に舞う。客席のペンライトは一点、曲のイメージに合わせた赤に染まった。
続けて舞台が暗転し、姿を隠す雨宮天。場内アナウンスでは、TVアニメ『理系が恋に落ちたので証明してみた。』より、ヒロイン氷室菖蒲(ひむろあやめ)の声が響く。「好きの気持ちを言葉や声じゃなく別の手段によって解明する」と語り、まずは観客席のペンライトの色を変える実験を開始。早くステージに戻ってきて欲しい人の色を思い浮かべ、ペンライトの色を変え欲しいと言う。「もちろん空気読むのよ」とスゴまれ、客席の色は一気に雨宮天カラーの青へ。これには氷室菖蒲も「優秀なリトマス試験紙だわ」とご満悦である。
続けてライトの振り方を合わせる実験へと移行。ドラムのリズムとダンサーの動きに合わせて、振り方のレクチャーを行う。最後に「実験体Aを投入するわね。空ちゃん、よろしく頼むわよ!」と、デート風の衣装に着替えた雨宮天が登場。披露したのはもちろん、「Love-Evidence」である。舞台のダンサーたちと、客席のペンライトの動きがしっかりシンクロし、「みんなと一緒に、アニサマが大好きってこと、証明完了!」と言い、チャーミングに舞台を締めくくった。
次は、スペシャルステージにてDIALOGUE+が、制服風のシャツとスカートという衣装で再び登場。TVアニメ『ハナヤマタ』OPテーマの「花ハ踊レヤいろはにほ」をカバーで披露した。参加メンバー全員で舞台一杯に舞う姿に、観客も惜しみない手拍子を送る。「チャチャッチャチャッチャッチャン」と、独特なリズムも練習無しで綺麗に揃うのが、流石アニサマファン一同だ。
大橋彩香 (c)Animelo Summer Live 2022
前半ステージも残り2組。最後から2番目には大橋彩香がメインステージ端からワゴンで発車し、「ダイスキ」を歌いながら観客に笑顔を振りまいていく。会場のペンライトはピンク一色で、「ダイスキ」な気持ちを客席からも返しているような美しい光景だった。
大橋彩香 feat.マーティ・フリードマン (c)Animelo Summer Live 2022
ちょうど一周したところで演奏終了。「お、こんなところにメインステージが!」とワゴンから降りてメインステージ中央まで走る。MCを挟んで、次の曲へ行く前に「ダイスキ」の際に来ていたピンクのジャケットを脱いで、一転、黒いタイトなドレスに。本人曰く、「全身ベルトだらけの戦う女風カッコイイ衣装」となって、2曲目に激しめのロック曲「HOWL」を披露。さらに3曲目には「諸君、地獄より呼び覚まされし、メタルバンドギタリストの召喚を刮目せよ!」とフィーチャリングアーティストにサプライズゲストを召喚。なんとマーティ・フリードマンが現れ、彼の演奏に合わせて「Be My Friend!!!」を披露。めちゃめちゃヘビィな音色に、大橋彩香のラップが乗り、フリードマンもヘドバンをかましまくる。強すぎる組み合わせであった。

angela (c)Animelo Summer Live 2022
そして前半最後には、1組目にも登場したangelaが再登場。TVアニメ『新機動戦記ガンダムW』OPテーマ「JUST COMMUNICATION」を、アニメのオープニング映像と共にカバーで披露した。おじさん世代にぶっ刺さり過ぎる曲を披露しながら、続くMCでは、atsukoがまた「私たち、TWO-MIXです!」と原曲を歌うアーティスト名を名乗るギャグをテンドン。さらに「(ガンダムの映像を背負って歌えたということは)正真正銘ガンダムアーティストです!」と滅茶苦茶なことを叫び、「まだ正式にはオファーいただいてませんからね」と、ギターのKATSUが鋭いツッコミを入れた。

それでもatsukoの喋りは止まらない。先日はタクシーに乗って「三宮のライブハウスまで」と告げたら、なんとそれは別のアーティストの予約者で、「神戸ワールド記念ホールって聴いてますけど」と言われて慌てて降りたという話を披露。後で調べてみると、どうやら運転手からDREAMS COME TRUEと間違われてしまったようだと言い、また「なんの小話やったんや」KATSUが呆れて言う。こんな、大御所ながらのユルイトークで会場を沸かすのは、さすがangelaと言ったところだ。(ちなみにTWO-MIXを名乗るのは、メンバーの永野椎菜からも許可を得ていたという)
2曲目には続けてSparkleメドレーとして「蒼い春」「全力☆Summer!」「キラキラ-go-round」を3曲続けて披露。曲の合間には「じゃあみんな、今からシャンプするよ!半分からこっちのみんな」という具合に、会場を瞬時に2つに分けて交互に跳びはねさせるという楽しい指示も。ペンライトの色もステージに向かって右が青に、左が黄色にと、美しいコントラストを作って見せた。
それだけでは終わらない。ラストの1曲「KINGS」の前には、ジャンプやビッグウェーブの練習も。アリーナ前方から、スタンド席の一番後ろまでウェーブが続いていく様子が見られるのも、久々に満員となった会場でだからこそできることだ。実際に曲が始まると、ジャンプの瞬間にはステージから炎が上がるなど、舞台演出もドハデに見せ、会場の熱気を一気に上げていった。
20分の休憩をはさみ、メインステージからはトランペットのファンファーレが鳴り響く。スペシャルステージには実況席ができ、明坂聡美が「トレーナーさん、実況する準備はできていますか?緑のペンライトの準備はできていますか?」と会場にアナウンスする。とくれば、次に歌うのは4年ぶりに『アニサマ』に帰ってきた「ウマ娘 プリティダービー」のメンバー達だ。
ウマ娘 プリティダービー (c)Animelo Summer Live 2022
今回メインステージにて「出走」するのは、ナリタトップロード役・中村カンナ、ウオッカ役・大橋彩香、テイエムオペラオー役・徳井青空、マンハッタンカフェ役・小倉唯、キタサンブラック役・矢野妃菜喜、アドマイヤベガ役・咲々木瞳、メジロマックイーン役・大西沙織、ツインターボ役・花井美春、マチカネタンホイザ役・遠野ひかる、サトノダイヤモンド役・立花日菜、マルゼンスキー役・Lynn、ダイタクヘリオス役・山根綺と、12人のメンバー達。
1曲目には「ウォーオーオォオーオー、やっとみんな会えたねー!」と、オープニングの「GIRL'S LEGEND U」を熱唱。スクリーンには今回の12人のキャラクターを映し出した特別映像が流れるのも合間って、トレーナーなら間違いなく泣けてくるような演出だ。MCにて一人一人意気込みも述べつつ、2曲目にはWe are DREAMERS!!を曲の合間には「トレーナーさん、盛り上がってください!」「トレーナー君もトレーナーちゃんも、アゲアゲで楽しんでねー!」と、思い思いに気持ちを叫ぶ。
そして3曲目には、「トレーナー、もっともっと盛り上がれるー?まだまだ盛り上がれるー?」と、きっと会場の誰もが待ち望んだであろうナンバー「うまぴょい伝説」で、最後まで全速力で駆け抜けていくウマ娘メンバー達。最後はメンバー全員で「ゴールイン!」と叫び、「アニサマダービー」の輝ける舞台を締めくくった。
石原夏織 (c)Animelo Summer Live 2022
後半戦、2組目には石原夏織が登場。ダンサーズと共にラブリーな楽曲「Cherish」を歌い、観客はピンクのペンライトで気持ちに答える。最後は手でハートをつくってキメポーズを作るのも愛らしい。続くMCで「改めまして、石原夏織でーす」と挨拶。StylipSとして既に前半のステージに立ったことにも触れつつ、「後半戦も、みんな一緒に盛り上がっていきましょうね」と語る。そして2曲目には「夢想的クロニクル」、続けて3曲目には「Abracada-Boo」をスタイリッシュに歌い上げた。
伊藤美来 (c)Animelo Summer Live 2022
3組目にはStylipSつながりで伊藤美来が登場。TVアニメ『古見さんはコミュ障です』2期OPテーマの「青100色」をしっとり歌った。青いペンライトが揺れる中、ノースリーブのドレスでマイクを持っている様が、まるで花束を抱えているかと見まごうような可憐さだ。歌うことが本当に楽しいというような、うっとりするような笑顔を振りまく。
続くMCでは、『アニサマ』ソロ出演4回目となる今年、テーマソングのMVにも出演した伊藤美来。実はキービジュアルの女の子のモデルにもなっているのだという。StylipSも復活を遂げ、特別なものとなった『アニサマ2022』。「みなさんにとっても特別な夏になっていますか?」と、2曲目には会場がクラップで一体となる楽曲「all yours」を披露した。メインステージにはチアガールのように水色のシャツと白のスカートを着たダンサーズたちも現れ、舞台を一層華やかにしていく。
藍井エイル (c)Animelo Summer Live 2022
4組目。藍井エイルがステージから現れ、向かって左手のトロッコに乗り込んで、アリーナをぐるりと回りながら「PHOENIX PRAYER」を披露する。3/4周ほどしたところで、進行方向をアリーナ中央のスペシャルステージへ。そこに降り立って、「みなさんこんばんは!トロッコ、乗れたぞ!」と喜びの声を上げた。実は藍井エイル、10年前からトロッコ乗りたいなと思っていたのだそう。ようやく念願って乗ったトロッコに、「1曲歌っただけで汗だく!」「けっこう体幹が必要だから、もし乗る方いたら、鍛えておいてください!」と、アドバイスも送った。
次の曲は、なんとライブ初披露だというTVアニメ『カッコウの許嫁』2クール目EDテーマの「HELLO HELLO HELLO」を、しかもアコースティックバージョンという特別編成でお届け。手を高くあげて手拍子すると、周りの観客も温かな手拍子でそれに答えた。曲の後半では「また分かり合えなくても」のフレーズで演奏が止まり、藍井エイルが手を突き出してステージをぐるっと一周見渡した後、「君の隣がいい」と歌詞に合わせて気持ちを届けるシーンもあった。
続くMCでは、活動期間が通算で10年経ったことについて触れ、「10年前の自分と今の自分とどう違うか」について語る。レコーディングなど楽曲制作については「完成系がいろいろ見えてきた」ものの、「ライブについてはナマモノだから、ふるえがとまらない」と語った。しかしそれも「みんなの熱量がすごいから。ありがとうございます」とポジティブな理由と感謝を述べた。
そして3曲目には、「10年前に歌ったこの曲をアコースティックバージョンで」と、TVアニメ『Fate/Zero』EDテーマであり、デビュー曲でもある「MEMORIA」を歌った。美しく響くピアノの音色。会場の照明は少なく、客席のブルーのペンライトが、夜空のように一層際だつ。ラストのサビではメインステージからもまばゆい照明が、未来を照らす光のように差し込んできた。最後は「したっけ!」とお馴染みの北海道弁の挨拶を口にし、舞台を去った。
5組目にはReoNaが登場。黒いロングコートを着て、TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』2ndクールOPテーマ「ANIMA」を歌う。透明感あるハスキーな声に、ありったけの魂を込めたように力強く歌う。間奏ではそれに応えるように、トランペット、ギター、サックス、キーボードと楽器奏者たちもありったけの力を込めてソロを奏でる。これほどまでにグサグサと胸に刺さるロック曲があるだろうか。演奏の締めくくりは「ありがとう」の一言を添えるのも「エモ」すぎる。
一度ステージは暗転。再び明るくなった際にはギターを肩から抱え、「こんばんは、ReoNaです」とハスキーな声で挨拶した。来年春には初めてとなる日本武道館でのワンマンコンサートを実施することを告知しつつ、次の楽曲には「私に歌う理由をくれたお歌」として、TVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』劇中歌「Rea(s)on」を披露した。
ステージのスクリーンには、ReoNaと同じくギターを抱える作中人物・神崎エルザの姿が。神崎エルザの歌唱を担当したのがReoNaなのだが、今回はそれだけではない。この『アニサマ』の舞台で、神崎エルザとReoNaが、それぞれ寄り添い合って歌い合っている。見る人によってはそう見えたに違いない、幻想的な光景であった。演奏を終えると、観客席から「2人」に、割れんばかりの拍手が贈られた。
再び舞台は暗転。トランペットの音が鳴り響き、赤のジャケット・ドレスに衣装を変えたReoNaがTVアニメ『シャドーハウス 2nd Season』OPテーマ「シャル・ウィ・ダンス?」を披露した。曲の合間にはフィーチャリングアーティストとして合流したRAB(リアルアキバボーイズ)が「アニサマ、踊ろうぜ!」と叫ぶ。さらにタップ&バックダンサーも大勢現われ、まるでミュージカルのようなステージだ。間奏では、ステージ中央でReoNaもタップダンスを披露。最後に大きくお辞儀をしてステージ袖にはけていくのもショーの締めくくりのようで、長い長い拍手が贈られた。
まだまだアニサマは終わらない。後半6組目にはZAQが登場。1曲目としてTVアニメ『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』OPテーマの「A SEED」を披露し、客席のペンライトは真っ赤に染まった。アニメの激しい戦闘映像もスクリーンに映し出される中、曲の合間に「頭を振ってほしいんだよ頭を。OK?」とリクエストがあると、サビで観客は一斉にヘドバンを始める。
今年で8回目の『アニサマ』参加、そしてアーティスト活動は10周年を迎えたZAQ。続くMCで「『シャル・ウィ・ダンス?』という曲、めっちゃかっこよくなかったですか?」と前のReoNaのステージにも触れ、自分もダンサブルな楽曲をと、ピアノ弾き語りで「Dance In The Game」を披露した。激しく体を揺らす観客たちに、「いやー、アニサマ最高じゃないですかー!」とZAQもご満悦。
と、そこへ「おーい、ZAQさーん。エモエモ、エモいよー!」と雰囲気をぶち壊すような声をかけたのは、前半でステージを終えたかと思っていたスピラスピカの幹葉だ。ちゃっかりメインステージにての再登場となった。
衣装は何やら学校の制服風になっているが、残るメンバーにも異変が。眼帯をはめたり、包帯を巻いたり、グローブをはめたりと、楽器はどこへ置いたのか、いわゆる「中二病全開」のいで立ちである。
ZAQ feat.スピラスピカ (c)Animelo Summer Live 2022
「中二病こじらせちゃった。一緒に歌わせてもーて、2人を治したい」と幹葉は言うが、「みんなでスピラスピカさんの中二病を永遠にさせてもらおう」と逆のことを言うZAQ。「そっち?」と幹葉でさえ呆気にとられたようなセリフを口にする中、コラボにて披露されたのはもちろん、TVアニメ『中二病でも恋がしたい!』OPテーマ「Sparkling Daydream」である。またクセになりそうなアニメの懐かしいオープニング映像が流れる中で、ダンサーたちと共に中二をこじらせたスピラスピカメンバーたちも踊りまくる。そうして愉快でエモい一夜限り?のスペシャルコラボが幕を閉じた。
GRANRODEO (c)Animelo Summer Live 2022
後半ステージも遂に残り2組。次に現れたのは、GRANRODEOだ。1曲目にはTVアニメ『最遊記RELOAD -ZEROIN-』OPテーマ「カミモホトケモ」を、アニメの映像を背負って歌う。続けて2曲目にはFIRE HORNSとのコラボで、「Treasure Pleasure」を披露した。谷山紀章の、男の色気たっぷりの歌声は、高音域でも決してブレない。冒頭に「SKILL」を演奏したのが5時間前とは言え、スタミナの持続には目を見張る。
MCで、「埼玉スーパーアリーナ!元気ですかーっ!お待たせしました、GRANRODEOです!」と叫ぶ谷山紀章。一方でギターの飯塚昌明「さっき、『づかぴょいづかぴょい』やってなかった?」と、勝手(?)に「ウマ娘 プリティダービー」と自分の名字をかけたネタを披露。「一番カワイイおじさんになるんでよろしくお願いします」と、ついさっきまで色気たっぷりのギター演奏をしていたのがウソだったような茶目っ気たっぷりのことを言うが、それもベテランならではの盛り上げ方なのだろう。「(『づかぴょい』は)たぶん、トレンド入りはしないと思うんですけれども!」と、谷山紀章も冷静で鋭いツッコミを入れる。
3曲目には、TVアニメ『黒子のバスケ』OPテーマ「Can Do」を披露。「やるぞ俺たち、やっちゃうぞ!」と、目にもまぶしいチアガール風のダンサーズを従えて、激しいロックナンバーを今日イチのエネルギーで放出していった。ステージ前方から火花の柱が上がるたびに、まだまだ会場の熱気が上がっていくような気がする。
FLOW (c)Animelo Summer Live 2022
GRANRODEOが終わり、いよいよトリを務めたのがFLOW。1曲目から定番曲COLORSを披露。ペンライトが「ルルーシュカラー」である赤に染まる中、2曲目にも「DICE」と「コードギアス 反逆のルルーシュ」からの関連曲を2本続けて披露する。
続くMCで、「皆さん、まだまだいけちゃいますか!」とKEIGO。「声が出せないなんて地獄だと思ってることでしょう。だけど、このアニサマの熱、めちゃめちゃすごいからね!皆さん、自分に、そして周りのオーディエンスに拍手!」ここまで付いてきた『アニサマ』ファンたちを讃えた。
意外にも、FLOWにとっては今回が5年ぶりのアニサマになるという。そして、初めてのトリだそう。「意外」と思うのは、FLOWが去年も一昨年も、コロナ禍の中でJAM Projectらとライブに出演していたことを筆者は見てきたからだが、『アニサマ』に出ていなくても何かしらのアニメ関連イベントにFLOWが関わり続けていたというのは事実である。
そんなFLOWも、実は昔「ロックバンドなのかアニソンバンドなのか。もやもやを抱えてバンドをやらせていただいてて」というエピソードを語るKEIGO。だがその気持ちが払しょくできたのも、『アニサマ』というステージに立って「世界一のオーディエンスを体感」し、「すごいものはすごいんだなと思わせてもらって。ジャンルなんて関係ないんだな」という境地へたどり着けたからだと言う。
そしてデビュー20年目に突入し、来年には幕張メッセで20周年のアニメ縛りフェスティバルやることも告知。「世界一熱いアニサマオーディエンスの力貸してください!」とお願いしつつ、続く3曲目には「GO!!!」を披露。全速力でステージを端から端まで駆ける。KOHSHIとKEIGO。ステージ袖からはRABも合流し、バク転やブレイクダンスも披露する。
さらには、スペシャルステージにMADKIDが登場。スペシャルコラボとして、MADKIDが「Fighting dreamers」と歌うパートも用意された。そして「GO!!!」と言えば欠かせないのが、ビッグウェーブである。前半のangelaのときもそうだったように、アリーナからスタンド席の後ろの後ろまで、大きな大きなウェーブで会場に起きた。
そして遂にFLOWラストの曲、「GOLD」は、ラストのサビ直前で「みんな、まだいける?ラスト、大きなジャンプいくけど、いける?」と、この日ステージに登場した全アーティストが集合。「1、2、1、2、3ジャンプ!」で、「ドカン!」とステージから爆発音まで上がる大盛り上がりを見せた。
いよいよDAY2も締めくくり。最後はアニサマ2022出演アーティスト全員で「Sparkle」を歌う。ペンライトが青春の青に染まる中、ジャンルも違う各アーティストが、それぞれ同じ振り付けで一つになっていく。中でも特に盛り上がったのは、「きゅんとしちゃうでしょ」のフレーズで小倉唯と石原夏織がステージ中央でハートを作った瞬間だ。いったい何人の「アニサマ」ファンが尊死したか測り知れない、最後にまだそんな爆弾が残っていたか!という感想だ。
改めて、長丁場だった『アニサマ2022 DAY2』。確かに去年の、人数制限の中で行われた『アニサマ』も『アニサマ』だった。しかし満員の埼玉スーパーアリーナを見て思う。やはりこれだけの大人数が入ってこその『アニサマ』だと。そして、これまでの日々を耐えて耐えて耐え抜き、ようやく勝ち取った場所がここであると、それは誇りに思っておきたい。まだまだコロナの感染拡大は収まっていない。そんな中で開催される音楽フェスなどに難色を示される方がいるとうのも、致し方ないことではあると思う。ただ、この場所に戻って来たくて、そしてそのために戦い続けてきた人々が、アーティストが、スタッフが、我々ファンがいるということは、ぜひ知っておいて欲しい。
まだまだ日常と呼べる日は戻っていない。けれどこうした感動の先に、本来我々が勝ち取ろうとしていた日常がある。そう信じているから、これからも戦い続けられる。今回のライブが、まさにそれを確信させられるようなライブだったことは間違いないのだ。
文・レポート=平原学
■『Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-』DAY2PHOTO GALLERY
次のページにてレポート内では掲載しきれなかったライブ写真を掲載!
『Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-』DAY2 PHOTO GALLERY
angela (c)Animelo Summer Live 2022
大橋彩香 (c)Animelo Summer Live 2022
雨宮天 (c)Animelo Summer Live 2022
伊藤美来 (c)Animelo Summer Live 2022
FLOW×GRANRODEO×angela (c)Animelo Summer Live 2022
StylipS (c)Animelo Summer Live 2022

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