【Wienners インタビュー】
“こんなアルバムができたんだ!?”
という驚きや新鮮さがある
Wiennersがまたやってくれた! このバンドの進化は留まることを知らない。2年振りとなるアルバム『TREASURE』は、彼らにしか成し得ないミクスチャーサウンドを“これでもか!”と詰め込んだ、間違いなくバンド史上最高傑作である。世界各国、古今東西の音楽要素を吸収しながらも、しっかりポップでダンサブル。“銀河系パンクバンド”の名に偽りはないのだ!
メンバーが“もっとやっていいよ!”と
言ってくれたのが大きい
“音楽人生史上過去最高傑作が誕生”と資料にあるとおり、『TREASURE』はキャリアハイ更新の作品であることは間違いないでしょう。素晴らしく濃厚濃密な作品になったと思います。
∴560∵
アルバムの制作過程というところで言えば、僕の感覚では今までで一番アルバムであることを意識していなかったというのがあって。もちろん最終的にはアルバムを目指していたんですけど、シンプルに目の前の一曲一曲を作ることに集中して作っていっていたら、どんどん曲が溜まっていって、やっとアルバムの全体像を考え始めたというか。全体像を考えるのが今までで一番遅かったんですよ。その結果、一曲一曲それぞれの強さみたいなものが今まで以上に高まったかなというのはありますね。
KOZO
∴560∵の話を聞いていて、本当にそうだったなと思い返していたんですけど、ありがたいことにアニメのタイアップがあることでシングルを出すことも増えていて、そんな中で“アルバムはどうしようか?”という感じではあったんです。アルバムの色を考えてどうこうするというよりは、出来上がった曲をどんどん詰めていって。最終的に“この曲を入れてこういうアルバムにしよう”みたいなことをみんなで相談する時間はありましたが、“想像していた以上に強いカードがめちゃくちゃ揃ってるじゃん!”というワクワクした気持ちはすごくありましたね。
アサミサエさん、マスタリングが終わったあと、全曲を通して聴いた時にはどんな感触でしたか?
アサミサエ
聴き終わった時は“これはもう行ったな!”と思いました(笑)。KOZOさんが言ったように、いいカードが揃ってるんですけど、“完結していないな”というところが結構好きで。曲順も含めて“すごくパワーとエネルギーがあるけど、まだまだ終わらないぞ”という言葉を残しているような終わり方も自分の中ではドラマチックだし、まだまだ進化できる可能性を残していていいなと思います。
まだまだ進化できるというのは素晴らしいですね。玉屋さんはいかがですか?
玉屋2060%
最初に通して聴いたのが自宅のリビングで、そんな大したことがないステレオで、家族がいる中で聴いたんですけど、「真理の風」の最後の最後のメロディーを聴いている時に…何て言っていいか分からないんですけど、1stアルバム『CULT POP JAPAN』(2010年7月発表)を作り終わって、それを聴いた時の感覚にすごく近かったというか。これまで何回も作っているのに、初めてアルバムができた時のような“うわぁ、出来上がったぁ”みたいな感覚になって。単純に感動しましたね。
先ほど∴560∵さんが“今までで一番アルバムであることを意識していなかった”とおっしゃっていましたが、そうした制作行程の違いも関係しているんでしょうかね?
玉屋2060%
そうかもしれないですね。でも、ぼんやりと“派手なものを作りたい”という想いはあったんですよ。というのは、今作でどうにかして突き抜けたい気持ちがあって。だからって、明確なキーワード的コンセプトがあったわけでもなく…(メンバーに向かって)俺、何か言ってたっけ?
∴560∵
今までほどコンセプトらしきものはなかった。“とにかく今持っているWiennersらしさとか、得意なことを存分に出そう!”みたいなことは話してたかな? でも、それはテーマみたいなものではなかったというか。
なるほど。一曲一曲を作ることに集中していたということですし、そういうところが最初期の頃のテンションに近かったのかもしれませんしね。で、今、玉屋さんが“派手なものを作りたい”“突き抜けたい”と思っていたとおっしゃっていましたが、それはよく分かるところではあります。資料に“全14 曲、全90 展開”とあるとおり、『TREASURE』収録曲の多くは一曲の中にアイディアを詰め込めるだけ詰め込んでいて。普通のバンドならそのアイディアをいくつかに分けて、曲数を2倍、3倍にすると思うんですよ。
∴560∵
自分でも“すげぇ曲だな”って他人事みたいに思います(笑)。“サビ以外、全部違うじゃん!”ってことが珍しくないし、それを一曲にしているからメンバー同士で“すごい曲ができたねぇ”って話すこともあるし、自分でもそう思いますね。
1曲目「SOLAR KIDS」からいきなりそれで、この楽曲の迷宮感は特にすさまじくて。“リズム隊は楽曲を支えるの大変だろうな”と勝手な心配をしてしまいましたが(笑)。
KOZO
曲自体のテンポも速いですし、場面転換もすごく早くてコロコロと変わっていくので、物理的に大変ではありましたけど、「SOLAR KIDS」は一曲を通していろんな情景が見えるようにしたいというのがあって、そこを意識しながら作っていたから大変ではありましたけど、楽しかったですね。
∴560∵
玉屋が“全部の夏を詰め込みたい”と言っていて、世界中の夏…夏と言っても日本の夏とヨーロッパの夏とアフリカの夏では違う景色があるけど、その全部の夏をまとめたいと言ったんで、それをみんなで考えながら作っていきました。
「SOLAR KIDS」はまさしく派手で突き抜けた楽曲になりましたね。いい意味でトゥーマッチと言っていいかと思います(笑)。
玉屋2060%
あははは。“過剰なくらいやらなくちゃ!”というふうに僕は思っていたので、それをメンバーが面白がってくれたのも大きかったし、そこが自分の中では一番助かった部分ですね。過剰なくらいのアイディアをメンバーが許してくれた…“好きなようにやんなよ!”みたいなテンションでやってくれたので。「SOLAR KIDS」に関して言えば、最初は“ここまでやっちゃっていいのかな?”みたいな感じで、ちょっと抑えながら作っていたのを、メンバーが“いやいや、もっとやっていいよ!”と言ってくれて。それが自分の中ですごい勇気になったし、“じゃあ、行かせていただきます!”みたいな感じになった(笑)。
歌もポップですね。《太陽系/Are you OK?》《快感で/耐えらんねえ》《Night & Day/大胆で》辺りの歌詞の韻の踏み方もお見事です。
アサミサエ
ありがとうございます。歌詞も玉屋さんと相談しながら書いたんですけど、とにかくチャラくしようと(笑)。精いっぱいのチャラさを独り家で黙々と考えて作っていきました(笑)。“夏のチャラいってどんな感じだろう?”っていろんな曲を聴いたりして。
内容はただただ能天気ですね。思想性はまったくないし。