テーマは「未来へと進む力」『ウルト
ラマンデッカー』松本大輝・村山優香
・武居正能監督インタビュー

テレビ東京系にて7月9日(土)朝9時から放送スタートのウルトラマンシリーズ最新作『ウルトラマンデッカー』。好評を博した『ウルトラマントリガー』の数年後の世界を舞台に描かれる新たなウルトラマンの物語とは? 放送開始を間近に控え、アスミ カナタ/ウルトラマンデッカー役・松本大輝とGUTS-SELECT隊員キリノ イチカ役・村山優香、そしてメイン監督を務める武居正能監督に『ウルトラマンデッカー』への意気込みや注目ポイントなどを語っていただいた。
(c)円谷プロ(c)ウルトラマンデッカー製作委員会・テレビ東京
――今回『ウルトラマンデッカー』に出演して、松本さんは主人公を、村山さんは共に戦うヒロインを演じられることについて、どんな想いや意気込みを感じていらっしゃいますか?
松本:世界中で多くの方に見られている作品に出演できるということで、すごいワクワクしています。そしてウルトラマンになることで他のシリーズにも出演することができたり、色々な可能性を広げることができるのが他のヒーロー番組とは違うとこだろうなと思っていますので、楽しみにしています。
村山:こんな歴史のあるシリーズに出演できるというだけじゃなく、守られる側じゃなくて戦うヒロインを演じられるというのがとても嬉しかったですね。イチカ役が決まった時はカッコイイ女性を演じられるんだという喜びをすごく感じました。
(c)円谷プロ(c)ウルトラマンデッカー製作委員会・テレビ東京
――松本さんは最初に「ウルトラマンの主役決まったよ」と言われた時はどうでしたか?
松本:実感があまり湧かなかったです。でも、子供の頃ヒーロー物を好きで観ていて、今度は自分が“変身して戦う側”になれるということが、すごく嬉しかったです。

――武居監督はお二人の第一印象とかはいかがでしたか?
武居:何二人共ビクッとしてるの(笑)。
村山:何言われるのか怖い怖い(笑)。
武居:キャストを決める際には脚本と合わせながらその役に合うかどうかを見ていたんで、正直な話二人共バチッとほぼ一発目で決まったんですよね。本当に思い描いたとおりのキャラクターがきたって感じでしたね。
――監督の思い描いていたカナタとイチカそのままだったということですね?
武居:まあそうですね。キャストを決める面談をやる時って、こちらが思い描いているキャラクター像があるわけですよ。それでまず話しをしてみた時にだいたいわかって、それで5割くらいは決まるんです。何でかというと、彼らの持っている空気感がキャラクターに合っているかどうかが非常に重要なんです。
撮影:斉藤直樹
――何か決め手になったこととかはありますか?
武居:俺がすごく覚えているのは、松本君が以前出てた作品の助監督をやっていたスタッフが今回の『デッカー』に参加していて、面談の時に彼の相手をしていたんです。でも彼は覚えていなかったらしくて、その話になった時に「あ、そうでしたっけ?」」と笑った顔がイメージにピッタリだったんですよ。
――その笑顔がカナタに通じるものがあったと。
武居:キャラクターってやっぱり自分達で演じてもらわないといけないんで、本人が元々持っている資質や性格がけっこう影響してくるんですよね。めちゃくちゃ暗い人にいきなり明るいキャラを演じろと言っても無理ですし。カナタっていうキャラクターは「明るさ」が重要なキャラクターなので、松本君からは見た瞬間の第一印象や芝居をやってもらってもそんな明るさがかいま見えたので「カナタってこうだな」というのがまずありましたね。
――イチカの方はいかがですか?
武居:イチカっていうキャラクターで一番大事にしているのは、一所懸命さなんですよ。村山さんの第一印象にもそういうところがありましたね。
(c)円谷プロ(c)ウルトラマンデッカー製作委員会・テレビ東京
――すでに撮影中かと思われますが、初めての出演となる特撮ドラマの現場はどうですか? 普通のドラマや映画と特撮者はかなり違うと思いますので。
村山:最初に学んだのは、普通のドラマと同じようにお芝居をしてたら伝わらない部分がたくさんあるってことですね。例えば怪獣との戦いに負けちゃったりした時とか、不自然にならない程度に感情を表に出すお芝居をしようと心がけてますね。そのあたりが最初は難しかったりしたんですけど、より自然に大きく感情を出す演技をできればなと思ってます。
松本:変身する時に使うウルトラDフラッシャーを出すシーンの撮影があって、カナタが願うと光と共に出てくる設定なんですけど、そこでCGとかで合成するために一回止まらないといけないんです。止まった状態で手にウルトラDフラッシャーを入れてもらって掴んで、そこからもう一回撮影スタートなんですが、それがすごく大変で…手の位置が少しでもずれるとおかしくなっちゃうんで、ぶれないようにすごくがんばりました。
――そういうところはかなり特殊ですよね。
武居:特にウルトラマンシリーズだと、主役の子は若手の場合が多いので特撮番組は初めてという人がほとんどなんですよね。『ウルトラマンジード』の濱田(龍臣)くんは子役の時に出ているけど(※2010年公開の『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦! ベリアル銀河帝国』)、その時は変身するヒーローじゃなかったんで、初めて変身シーンを撮った時はやっぱり手が震えてましたね。普通のドラマや映画のお芝居って、日常に実際のあることを再現するって部分が大きいんです。でもウルトラマンや特撮物の場合、目の前で50メートル級の怪獣が暴れているところなんて誰も見たこと無いんです。それをイメージしながら普通のお芝居でやらないことをやったり、ポーズを決めて変身するというのは普通の作品ではないわけで、それが一つのハードルとしてありますよね。そういう特殊な作品で演じるのは最初は苦労しますよね。「目の前に怪獣が居て光線を吐きました! 驚いて!」と言われても、どれくらいのことが起きているんですかって話になりますから。
撮影:斉藤直樹
――想像しながらの演技が必要なんですね。
武居:目の前にミサイルが落ちて爆発したって時の音とか、様々な場面を想像して演じるのは難しいけど、特撮作品はそこをうまく見せないと。空想特撮作品は頭の中で場面を想像して演技しないといけないのがやはり難しいですね。
――松本さんと村山さんはそういった難しいことにチャレンジ中なんですね。
武居:こういう作品は今後もあまり数は多くでてこないですけど、非常に特殊な作品ではあるし、それが面白い所ではあるんですけどね。
――武居監督に松本さん・村山さんの第一印象などをお聞きしたんですけど、逆にお二人から見た武居監督はどんな方ですか?
武居:それは聞きたくないなあ(笑)。
松本:オーディションで初めてお会いしたんですけど、その時はすごく明るくてずっとニコニコしている方だなって印象だったんです。でも撮影に入ったらキリッとした「やるぞ!」という感じが伝わってきたので「あれ? オーディションの時と全然違うな」と、こっちも背筋がピンッとなりました。
村山:私は逆でしたね。最初は凄い怖そうな人で怒られそうだなって。でも撮影始まってから個人でお話ししたりとか、スタッフさんとお話ししている姿とか見てたら、けっこうお茶目な方なんだなって(笑)。それでもっとたくさんお話ししたいなって思うようになりましたね。
撮影:斉藤直樹
――先程松本さんは子供の頃にヒーロー物が好きだったとお話しされていましたし、今回の出演が決まって色々調べたりもなさったと思うのですが、お二人がウルトラマンというものをどう思っているかなどをお聞きしたいのですが。
松本:初めて見たウルトラマンは、小学校に入る前ぐらいに祖母の家でビデオを借りてきて見た『ウルトラマンコスモス』でした。
武居:僕はちょうど『ウルトラマンコスモス』から関わっているので(※助監督で参加)、自分がウルトラマンを撮る上でのベースになっている思い出深い作品ですね。
松本:自分が初めて見た作品の助監督だった方がメインの監督を務めるウルトラマンに出演することになるのは、何か縁を感じました。
(c)円谷プロ(c)ウルトラマンデッカー製作委員会・テレビ東京
――女性だと男の子に比べてウルトラマンへの馴染みが薄いかも知れませんが、村山さんはいかがでしたか?
村山:そうですね、ウルトラマンシリーズだけでなく特撮作品自体をあまり見たことがなかったので、オーディションを受ける際に調べてみたりして、役が決まってから一気に見させていただきました。『ウルトラマントリガー』や『ウルトラマンZ』や『ウルトラマンタイガ』とかが凄く好きになりましたね。どの作品でも共通して「絆」のドラマが凄く描かれていて、それがウルトラマンなんだなと。今度の『ウルトラマンデッカー』でも絆が強く描かれていて、そういうところが好きになりました。
――「絆」というお話がでましたが、そんな絆のドラマを描いた『ウルトラマントリガー』の世界観を引き継いだのが今回の『ウルトラマンデッカー』になるのでしょうか?
武居:僕もずっと『トリガー』には携わってきたんですけど、今回の『デッカー』はあまり『トリガー』を引きずりたくはなかったんですよ。エッセンスや舞台はあるんですけど、キャストも一新して主役も違うのだから新しいものを作りたいなと。『ウルトラマンデッカー』は『ウルトラマンダイナ』を引き継いでいるとうたってますけど、僕はあくまで『デッカー』という新しいウルトラマンを作りたいなと。そこが一番重要かなと思いますね。
――劇中には同じGUTSの名を持つ防衛チームが登場するなど『ウルトラマンデッカー』は25年前の作品となる『ウルトラマンダイナ』を引き継ぐ位置にありますけど、武居監督から見た『ダイナ』はどんな作品でしたか? そのエッセンスをどう持ち込んでいるかなどがあればお聞かせいただけますか?
武居:それを言うと、作品のテイスト自体はもうまったく違いますね。デザインの方向性や、設定はちょっと変えてあるけどスフィアを登場させるなど、エッセンスだけを取り込みながら違う物を作っているので。主人公のアスミ カナタも『ダイナ』のアスカ シンにイメージ的に似せて作っている部分はあるんですけど、演じる人が違えばキャラクターも全然違う物になるので、そういう意味で言うと『ダイナ』を見てこうしようというのは逆に考えないようにしていますね。『トリガー』から引き継いだお話なので、そちらの方のエッセンスが色濃くプッシュされていますね。あくまで設定上の話しですけどね。
――ファンの方々には『ウルトラマンダイナ』のリブートではなく、『ウルトラマンデッカー』として楽しんでもらいたいというところでしょうか?
武居:プレーンな気持ちで見てもらいたいなって思っているので、その中に散りばめてある『ウルトラマンダイナ』の要素を当時楽しんでいたファンの方に見てもらえた時に少し感じてもらえたらいいかなってところです。あくまで個人的な考えですけど、『ダイナ』のリブートが見たいならTSUBURAYAIMAGINATIONとかでオリジナルの『ダイナ』を見ればいいんじゃないかなと。『ウルトラマンデッカー』は今の子ども達に何を見せたいか? 何を届けたいかが重要だと思うので、『デッカー』は『ダイナ』とは違う物だというところを見てもらいたいなと。だからこそ『ウルトラマントリガー』から世界が続いていても、あまりそこまで気にせず『デッカー』の世界観を作っていってますので。
――今回のテーマは「未来」とのことですが、それを選ばれた理由は?
武居:前作の『ウルトラマントリガー』は三千万年前という過去が出発点としてあって、そこで闇の巨人と戦ったトリガーがいて、そこの人間が現代に影響を及ぼしているというお話だったんですね。自分が『トリガー』で担当した11~12話は完全に過去に行っちゃう話しだったり、ドラマの目線が割と過去に向かっているんですよ。そんな『トリガー』を経て、『デッカー』では人類が未来にもっと目を向け始めたという、作品としての大きな方向性を変えてみたんです。そして若い松本君や村山さんが劇中でも実際に若い隊員を演じているので、彼らが一つ一つ成長していく様を描くために、未来に向けてというテーマにしています。他にも色々仕掛けはあるのですが、それは放送を見てのお楽しみということで。
――「未来」というテーマに合わせてフレッシュなお二人が選ばれたと武居監督からありましたが、お二人は感じる物があったりしますか?
松本:武居監督が仰ったように未来に向けて立ち止まらないで突き進むというのは、『デッカー』を見ていたら絶対感じるところがあるので、ぜひそういう部分を見てほしいですね。新しいことにも挑戦しているので、『トリガー』の続きではない『ウルトラマンデッカー』という新しい一つの作品として注目してほしいですね。
村山:私も一つの新しい作品としてみんなに見ていただいて、今までのウルトラマンとは違うものを感じていただけたらなってすごく思います。
(c)円谷プロ(c)ウルトラマンデッカー製作委員会・テレビ東京
――ニュージェネレーションヒーローズなどのウルトラマンシリーズや、現在公開中の『シン・ウルトラマン』など、近年の特撮作品はそれぞれ新たな見せ方を試みながら進化し続けていると思うのですが、『デッカー』ではどのようなところに注目してほしいですか?
武居:最新技術を使った新しい試みもシリーズの後々で出てくるんですけど、まず狙いとしてウルトラマンと怪獣のぶつかる肉弾戦を重要視して撮っているんですよね。ニュージェネレーションシリーズはCGや合成を使って光線を撃って倒すっていう、光線合戦になる部分が多かったりするんですけど、『デッカー』はそういう見せ方よりもできるだけ撮りきり(※実際に撮影した映像)で見せていこうかという方針でいるので。もちろんそれで撮れない部分はCGなどで補っていくんですけど、できる限りやれることは生でやるということにこだわっている部分がありますね。
――自分のようなオールドファンにはグッとくるものがありますね。
武居:やっぱり怪獣とウルトラマンが激突して、デカイ相手に立ち向かっていくというところをやりたかったので、怪獣のデザインや大きさとかも計算してそういったところを重要視してます。私がデカイ怪獣が好きなんで、それと一回り小さいウルトラマンが闘うというシチュエーションの迫力を狙いたいなと。展開というよりも闘っててわかりやすい強さを狙って王道的なものを見せたいですね。
――松本さんにお聞きしたいんですけど、今回ウルトラマンシリーズの主役になられて、今後もヒーローとしてのキャリアを重ねたり子ども達の憧れの存在となって「ウルトラマンとして生きていく」部分が出てくると思うんですが、何か思うところはありますか?
松本:シンプルに、子ども達がかっこいいと思ってくれるような存在でありたいなと思っています。
武居:いままで何人も歴代ウルトラマンを演じてきた役者さんを見てきて思うのは、放映が終わった後に実感する部分が大きいと思いますね。シリーズを全部見終わった時に主人公の思いがファンに伝わって大きな反響が返ってくるので、それを聞いた時にみんな実感が湧いてくるんじゃないかなと思いますね。
(c)円谷プロ(c)ウルトラマンデッカー製作委員会・テレビ東京
――では本放送が終わってから、改めてお二方にはインタビューしてみたいですね。それでは最後に、放送も間近に迫っているのでファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
村山:見ていて元気・勇気・自信をもらえる作品になっているので、みんなの一所懸命さや突き進んでいく気持ちの強さを、小さい子にも大人の方にも伝えられて刺激になったらなと思います。
武居:色々見てもらいたいところはあるんですけど、今回は特にカナタ、イチカ、そしてリュウモン(GUTS-SELECT隊員リュウモン ソウマ CAST:大地 伸永)の若い三人達が成長していく過程を描いていくのがテーマの一つとしてあるので、そこで躍動したり悩んだり、必死でがんばる姿を見てもらって、そこからのウルトラマンのカッコ良さを楽しんでもらえればいいなと思っています。
松本:今はコロナ禍という状況で、世界中で旅行や移動が出来なかったりなど色々な制限がある中で、自分の夢を追えなくなっている人もいると思うんです。『デッカー』の劇中にもスフィアという敵が出てきて、そのせいで人類の行動に色々な制限がかかって夢を追えなくなる人が出てきていて、その中でも今できることをやって前へ突き進んでいく姿を見てもらって、みんなの前へ進む力になれればいいなと思っています。
撮影:斉藤直樹
取材:加東岳史 構成:斉藤直樹 撮影:斉藤直樹

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