L→R Sui(Vo)、Ren(Key)

L→R Sui(Vo)、Ren(Key)

【SUIREN インタビュー】
僕らにとってもこの曲は“黎明”…
始まりであり、夜明けである

SUIRENにかかわった人みんなが
幸せになれる状況を作りたい

そんな『キングダム』の壮大な世界観を忠実に具現化した楽曲から、カップリングの「PLAYer」に曲が移った時、ものすごくギャップを感じたんですよね。言い換えるなら、このギャップこそが「黎-ray-」が持つ厳つさの証拠なんだろうなと。

Ren
このCDがSUIRENにとっては名刺代わりの作品になるだろうから、この一枚にSUIRENのアーティスト性をできるだけ凝縮させました。単純なジャンルの話で言うと、「黎-ray-」はロックなんです。対する「PLAYer」はリズムの感じも違って、もっとジャズ寄り。でも、僕の通ってきたサウンドって、ロックとジャズ、フュージョンなんですよね。それが全てSUIRENに反映されていて。なので、「黎-ray-」と「PLAYer」の曲調は全然違うんですけど、“これがSUIRENである”と胸を張れる2曲を並べたとも言えますね。
Sui
「PLAYer」はちょっとボカロ文脈みたいなところもありますよね。そこから歌詞にも《村人A》だとかRPGっぽいネタを盛り込みつつ、個人的にひとつのテーマとして持っている“存在証明”をモチーフにしました。

存在証明とは?

Sui
“なぜ生まれてきたのか?”とか、それを自分に当てはめるのなら“なぜ歌っているのか?”とか、そういうことですね。代わりはいくらでもいる世の中で、はったりをかましてでも生きていかなきゃいけない。僕はいわゆる弱者の強さみたいなものをずっと歌ってきているところがあって。そんなSUIRENらしいメッセージ性が根幹にありつつ、ギミックとしてRPGという今っぽいものに擬態した曲と言えばいいのかな?

だから、タイトルが“PLAYer”なんですね。3曲目には「一縷(Acoustic ver.)」が続きますが、この表記を見るとアコースティックバージョンではない「一縷」もあるんでしょうか?

Ren
あります! でも、まだないんです。

どういうこと!?

Ren
僕の中ではこういうアレンジ、こういうサウンドになるって決まっているんです。だけど、実際に制作はしていなくて。SUIRENのロックである「黎-ray-」があり、もう少しテクニカルなジャズ、フュージョンの「PLAYer」があるのなら、3曲目ではヴォーカルとピアノのユニットであるSUIRENのかたちを、一番シンプルに削ぎ落した表現でやろうということになったんですね。頭の2曲で結構お腹いっぱいになるだろうし(笑)、3曲目で安らかな気持ちになってもらいつつ、“SUIRENとは何ぞや?”というところが分かってもらえたらいいなと。それで、今回はピアノと歌だけのアコースティックバージョンを先に作ったんです。

先にバンドバージョンがあって、あとからアコースティックバージョンを発表することが主流なのに珍しいパターンですね。

Ren
でも、本来の制作工程を考えると、むしろこっちが当たり前なんですよ。普通はギター弾き語りのデモがあって、そこに肉づけのアレンジをしていくわけですから。つまり、アコースティックバージョンって普通は表に出てこないものだから、そこにみなさんはスペシャル感を覚えるんでしょうね。

そんなスペシャル感のあるものを出し惜しみせず先に出してくださると。ちなみに歌詞を見ると、これはラブソングという解釈でいいんでしょうか?

Sui
まぁ、人と人ですね。それが愛でもいいし、友情でもいい。自由にとらえてほしかったんで、あえて抽象的にしました。僕の好きな『HUNTER×HUNTER』というマンガの中に、“俺たちの絆はどんな糸よりも細くて儚いものだ。でも、ダイアモンドより硬い”という台詞があって、本当にいい関係ってそういうことじゃないかと思うんです。

人と人の関係性をテーマにしたのは完全にふたりの音だけで作る曲だから…という理由もあったりします?

Sui
言われてみればあるかもしれない。俺とRenくんの関係って友達とも違うし、家族とも違うし。でも、一番背中を預ける存在ではあるじゃないですか。誰よりも信用しないといけないし、その反面、期待もしない…っていうのは、Renくんがよく言ってることなんです。それぞれが自立して、自分の持ち場をしっかり果たせば、結果的にいいものになるからって。
Ren
もういい大人ですからね。誰かに圧をかけられたり、無理して取り繕っても絶対に長くは続かない。だから、それぞれの目標は違っていても構わなくて、そのためにSUIRENとしてはどうすればいいのかっていうところが合致していればいいんです。僕の場合は多くの人に自分の音楽を聴いてもらうことが目標で、逆に昔は他のアーティストさんの楽曲を演奏するなど、人の音楽を手伝うことをやってきて、それもすごく楽しかったし、そこでの経験が今につながってはいるんですけど、やっぱり自分で構想して作ったものを聴いてもらうことで得られる喜びは全然別もので。それを今はやり始めたところなんで、次はSUIRENにかかわった人がみんな幸せになれる状況を作りたいですね。かかわる人が増え、チームが大きくなったことで、責任感は絶対的に増しましたので。
Sui
だから、“ただ好きな音楽をやっていければいいじゃん”みたいな気持ちではないんです。やっぱり行くところまで行きたいし、僕の場合は本田圭佑さんが言うところの“リトル本田”じゃないですけど、幼い頃の自分が思い描いていた自分になることが人生における一番のテーマじゃないかと思っているんですよね。実際、生まれて初めて夢を描いた時に浮かんだ自分の姿は、やっぱり歌う人だったし。とにかく人前でたくさん歌いたくて、そのためにバンドをやったり、ソロ活動もやったり…楽器を弾いたのも、曲を作ったのも、歌詞を書いたのも、全部歌うためだったんです。SUIRENを始める前は正直どこかで諦めていたところもあったけど、“リトルSui”が思い描いていたのは当たり前に自分の歌が、街やテレビで流れている景色だったので、やっぱりそこに行かなきゃダメだなって思うんですよね。

そのために、まずは何を叶えたいですか?

Sui
まずはライヴハウスの枠を超えた場所でライヴがしたいですね。
Ren
僕はパンパンに埋まった会場でやりたいです。今はコロナ禍で難しいですけど、SUIRENを観に来てくれた人たちがぎっしりと集まった会場のステージでライヴをやりたいですね。そうして、SUIRENという名前を届けていきたいです。

取材:清水素子

TVアニメ『キングダム』
毎週(土)24:00~NHK総合にて放送中!
※放送予定は変更になる場合がございます。
■公式サイト:https://kingdom-anime.com
■公式ツイッター:https://twitter.com/kingdom_animePR
(c)原泰久/集英社・キングダム製作委員会
SUIREN プロフィール

スイレン:ヴォーカルのSuiと、キーボーディスト&アレンジャーのRenによる音楽ユニット。2020年7月、最初のオリジナル楽曲「景白-kesiki-」を動画投稿サイトにて公開すると同時に突如現れ、その後カバー楽曲を含む数々の作品を公開し続けている。ヴォーカルSuiの淡く儚い歌声と、キーボーディスト&アレンジャーのRenが生み出す、重厚なロックサウンドに繊細なピアノが絡み合うサウンドで、唯一無二の世界観を構築。22年3月に初のワンマンライヴを開催し5月にTVアニメ『キングダム』の第4シリーズ・オープニングテーマ「黎-ray-」を含む自身初のCDシングルを発売。7月に配信シングル「アオイナツ」を発表し、12月に⻑編作品『アンガージュマン』の主題歌「バックライト」をStreaming Singleとしてリリースした。SUIREN オフィシャルHP

「黎-ray-」MV

「PLAYer」

OKMusic編集部

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