猫田ねたこ

猫田ねたこ

【猫田ねたこ インタビュー】
どんなお花でも、どんな人でも、
光の当たり方で見え方は違う

海外でも高い評価を得ているプログレッシブポップバンド・JYOCHOでヴォーカル&キーボードを担う猫田ねたこから1stソロアルバム『Strange bouquet』が届けられた。ミニマムな編成で深みのある世界を構築していることや、統一感がありつつ表情の異なる楽曲が並んでいることなどが印象的だ。そんな彼女のリアルを味わえる意欲作について、さまざまな角度から語ってもらった。

いろいろなことを
愛せるようになりたい

まずはソロアルバムを作ることにした経緯などを教えてください。

ディレクターをしてくださっている方から、ソロアルバムを出してみないかというお話をいただいたことがきっかけですね。その方に“一緒にやりたいです”と言って、作らせてもらうことになりました。コロナ禍の中での制作ということで難しいことがいっぱいあったんですけど、発想を逆転させて、それをいいように考えるアドバイスをディレクターの方からいただきましたね。私は2020年の5月に『犬にも猫にもなれない』というEPを出したんですけど、それは弾き語りで作っていたので今回はどういう作品にしようかと考えた時に、ライヴをするのも難しい時期だったし、“ライヴの再現度とか細かいことを気にせずに、今やりたいことをやってみなよ”と言ってもらえたんです。それで、初めてパソコンでDAWソフトを使って作曲しました。レコーディングも生の楽器で再現したいものは生楽器で録りましたけど、あとはパソコンの音源ソフトを使ったんです。

新しい作り方に挑戦されたんですね。では、曲を揃えていく中でアルバムの指針になった曲などはありましたか?

アルバムのタイトルになった「Strange bouquet」がそうだったと思います。私はコンセプチュアルなアルバムを作ったことがなかったので、今回は“Strange bouquet=変わったブーケ”というアルバムのタイトルを最初に考えて、そこからいろいろ派生させて曲を作っていったんです。ブーケというのは先にテーマが決まっていて、それに合うお花を選んでかたちにしていくものなんですよ。テーマカラーも決まっていたりして、それに合う大輪のお花とか、小さいお花とかを選んで、緑も入れて…みたいな感じで作っていくと思うんですけど、今回のアルバムはいったん好きなものを全部並べて、それを集めてみようということをコンセプトにしたんです。テーマを決めずに、取捨選択をせずに作ったブーケはまとまりがなくて不格好かもしれないけど、それでも私が好きなものを集めたものだから、私は愛せると思うし。そういう気持ちを大事にしたいと思ってアルバムの制作に取りかかって、本当に純粋に“こういう曲を作りたいなぁ”と思って書いたのが「Strange bouquet」だったんです。曲の構成もAメロ→Bメロ→サビ→Aメロ→Bメロ→サビという枠を一回外して、好きなものを束ねてみることにしました。なので、ちょっと変わった構成になっています。

アルバムを象徴する一曲と言えますね。この曲は自然と浮かんでくる流れを活かしたのでしょうか? それともアイディアの断片を組み合わせたりとか?

私は曲を作る時は、わりと楽曲に身を任せて作るので、逆に奇をてらう感じの構成とかはできないんです。なので、この曲も何もない状態から作り始めて、流れに身を任せて作っていって書き上げました。

どんどん展開していく曲でいながら難解だったり、散漫だったりすることなく、整合性のある構成になっているのが印象的です。「Strange bouquet」の歌詞は“誰かに喜びをあげたい”ということを歌っていますね。

この曲は花束の一本一本を人に例えたり、陰と陽を表したり、光と影があったりといったことを表現しているんです。歌詞に《誰かに<喜び>をあげたい/色に宿る光を見つけて/表情を変えるbouquet》というフレーズがあるんですけど、一本一本のお花、その人その人の真価というのは見た目、言動を含め、ひと目見た情報から決められてしまうことが多いと思うんですよ。それは“この人のために時間を割こう”と思わないと、その人のことを知っていけないので仕方がないことですけど、どんなお花でも、どんな人でも、光の当たり方で見え方は違いますよね。自分はそれを見つけて、いろいろなことを愛せるようになりたいという気持ちが、このフレーズには込められています。

それぞれの個性を尊重して、それを受け入れ合うことが大事だと改めて感じます。もうひとつ、「Strange bouquet」もそうですが、猫田さんが書かれる歌詞は文学的な匂いがあることも魅力になっていますね。

ありがとうございます。歌詞に関してはいつも何回かこねてしまうんですよね。実際に歌った時に音としての言葉の気持ち良さを考え始めてしまって、最初に書いた言葉から変えてしまうことがあるんです。そうすると響きは良くなるけど、耳でその言葉をパッと聴いた人にとって理解が難しくなることがあって。それに気をつけつつも言葉をいじったりして作っていて、自分の中では満足していますけど、分かりにくい文章にはなっていないかなと思ったりします。

もちろん楽曲にもよりますが、アーティストによって言葉重視の人と語感や響きを重視する人に分かれるみたいですね。

そうだと思います。ちょっと話が膨らんでしまいますけど、ラジオでTHE ALFEEさんの曲が流れていた時にTHE ALFEEさんは語感より言葉の持つ意味を優先して歌詞を書かれているのかなと感じたんです。作業をしながら聴いていても文章がそのままスッと頭に入ってくるんですよ。私も見習って、そういう曲にも挑戦していきたいと思います。
猫田ねたこ
配信アルバム『Strange bouquet』

OKMusic編集部

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