L→R MARU(Gu&Mandolin&Ba)、PETAS(Vo&Gu&DTM)、JIPON(Ba&Syn)、 TATSU(Dr&Rhythm Machine)

L→R MARU(Gu&Mandolin&Ba)、PETAS(Vo&Gu&DTM)、JIPON(Ba&Syn)、 TATSU(Dr&Rhythm Machine)

【Dortmund Moon Sliders
インタビュー】
世の中のネガティブなことから
離れられるような
アルバムを作りたかった

違う領域のものがうまく合わさった

続いて、アルバムの演奏面について話しましょう。それぞれ今作を録るにあたってプレイヤーとして大事にしたことは?

JIPON
コロナ禍で宅録の環境がどんどん良くなっていったので、家でちゃんとベースが録れるシステムを作ることにしたり、新しいシンセを買ってみたりして、それが音に反映されているというのはありますね。もともとベースを録っていた曲もよりいい音で録れるので、もう一回全部録り直しました。あとは、このバンドのギターはUKロックっぽいキラキラした音が多くて、ドラムはドラムですごくタイトだから、ベースはその中間のところに入らないといけないなと思っているんです。なので、いわゆる音が抜けている帯域のところを埋められるようなベースを弾くことを意識しました。
TATSU
自分はこの3人と違って、もともとやっていた音楽がジャミロクワイのようなアシッドジャズだったりしたので、このバンドに誘われた時に自分がどう機能するのかが最初はまったく見えていなかったんですけど、今は違う領域のものがうまく合わさっていると思います。「Jubilee」では自分がやってきたドラムを活かすことができて、JIPONにはアシッドジャズも聴いてもらったんですけど、想定とは違うベースが返ってきたんですよ。それも面白いと思ったし、特に「Jubilee」と「Night Walk」はこのバンドならではの面白いものになっているんじゃないかと思います。

同感です。それに、「Paralyzed My Tongue」のどっしりとしたシャッフルビートや「Mary Lou」のしなやかなリズムなども含めて、ドラマーとしての幅広さを味わえるアルバムになっていますね。

TATSU
ドラムのデモをDTMで作るようになったから、こういうアルバムにできたのかもしれないですね。今までみたいにスタジオに入って生のドラムを叩くと、自分の手癖とか好きなパターンをどうしても使ってしまうんですよ。そこを客観的に見ることができたからいろんなことができたのかなと思います。

ギターはモジュール系のエフェクターを使って世界観を深めている曲がいくつかあることが印象的です。

MARU
そうですね。「Jubilee」「Hakuchumu」「Life Is Beautiful」あたりのレズリースピーカーみたいな音は、ここ最近ハマっているというか。PETASが好きな音でもありますし、自分が好きなギタリストがああいう音を使っているんです。僕は空間系のエフェクターはそんなに持っていないけど、レズリーはわりと多用していますね。踏むだけでまろやかな音になるし、うねりの回転速度を変えられたりして重宝なんです。「Jubilee」は最初から頭の中で揺らいだアルペジオの音が鳴っていたので、絶対に踏もうと思いました。

レズリートーンはインパクトがありつつ楽曲に馴染むところがいいですよね。もうひとつは、ギターソロやリードフレーズなどのビブラートがすごく心地良いです。

MARU
ビブラートはあまり深く考えたことがないけど、今まで聴いてきた音楽の影響が無意識に出ているのかもしれないですね。メタルのギタリストは大きなビブラートをかける人が多いじゃないですか。そのニュアンスが自分の中に残っている気がするので。でも、楽曲に合わないのにソロイストみたいなことをやるのは違うから、楽曲に合うかどうかを大事にしています。自分が合うと思ってもみんなが“?”みたいになることがあるので、そこは確認するようにしていて。それは僕だけでなく、うちのメンバーがみんなそういうタイプなんです。

PETASさんは今作の歌についてはいかがでしょう?

PETAS
前は声を張って歌っていて、アルバムに入っている既発曲もその名残りでキーが高めだったりするんですけど、「Night Walk」を録った時にちょっと歌い方を変えてみようと思ったんです。力まずに歌うようにしたらより楽曲にフィットすると感じたので、それまで録っていた曲も全部歌い直しました。今は音楽をイヤフォンで聴く人が多いからか、ウィスパーな歌い方をするアーティストも増えていて、その辺りの影響もあったと思いますね。

温かみがあったり、アンニュイだったりする今作の歌は本当に魅力的です。ただ、温度感や表情を決めるのが難しかったのではという気もしますが。

PETAS
慣れていない歌い方だったので、すごくやりづらかったですね。力むと前と同じ歌になってしまうし、力を抜きすぎると弱々しい歌になってしまうんですよ。だから、腹に力を入れつつ吐息と声を混ぜるという。そういう難しさがあったけど、やっと客観的に自分の声に合う歌い方を見つけられたというのがあったし、コーラスとの馴染みもいい。

そのスタイルは大正解だと思います。さて、『Life Is Beautiful』は良質な楽曲と演奏が詰まった必聴といえる一作に仕上がりました。アルバムのリリースが待ち遠しいですし、6月10日に東京・渋谷clubasiaで開催されるレコ発イベントも楽しみです。

JIPON
6月のイベントはYAJICO GIRLさんとmacicoさんに出ていただいて、DJにも参加していただきます。両アーティストともまだ面識はないんですけど、彼らも完全なセルフプロデュースで活動していて、音楽性も含めて我々とスタンスが近いバンドに感じたのでオファーさせてもらいました。あと、我々はこの公演に至るまで、一切ライヴをしてきていないんです。

えっ、そうなんですか?

JIPON
はい(笑)。2019年4月に結成して、2020年の春からコロナ禍が始まってしまったから。ちょっとしたライヴはしたけど、いわゆるライヴハウスに出るというような正式なライヴはしていないので、人前に出るのはこのイベントが初めてなんです。そういう意味でも、ぜひ観に来ていただきたいです。
PETAS
まずはYAJICO GIRLさんとmacicoさんのライヴが楽しみというのがありますね。僕は普通に彼らのファンなので。自分たちのライヴに関しては『Life Is Beautiful』の世界観を僕ら自身がより咀嚼して、理解して、ちゃんと届けられるかたちにしたい。そこはヴォーカルにかかる比重が一番大きいと思うので、そういう意識を持って臨みます。

取材:村上孝之

アルバム『Life Is Beautiful』2022年5月11日発売 405 PRODUCTION
    • DMST-10405
    • ¥2,400(税込)

『CHAMPAGNE SUPENOVA』

6/10(金) 東京・渋谷 club asia
BAND:Dortmund Moon Sliders、YAJICO GIRL、macico
DJ:星原喜一郎(New Action!)、遠藤孝行(New Action!)、U NGSM(SWIMS)、斎藤雄(TIPS)、hisabor(東京定期便)

Dortmund Moon Sliders プロフィール

ドルトムント・ムーン・スライダーズ:楽曲・映像制作、アートディレクションなどバンドに関わる部分をメンバー自らが行ない、完全な“Do It Yourself”をコンセプトに、2019年5月に活動を開始。“誰もが口ずさめるメロディー”を軸にシティポップ、ギターロック、カントリー、ブリットポップなど、洋邦問わずさまざまなジャンルの音楽を横断する。22年5月にキャリア初のフルアルバム『Life Is Beautiful』をリリース。Dortmund Moon Sliders オフィシャルHP

「Jubilee」MV

OKMusic編集部

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