ゆいにしお

ゆいにしお

【ゆいにしお インタビュー】
元気でいることって、
おまじないだと思う

シンガーソングライター・ゆいにしおの最新曲「ワンダーランドはすぐそばに」が4月27日に配信リリースされた。この楽曲は“愛を言葉で伝えることは一瞬、心に残るのは一生”というテーマのもとに制作された、煌々ときらめくポップチューンだ。そんな今作の話とともに今作に至るまでの過程、今の彼女のモードについて訊いた。

悔しさをバネにしつつ
最上級のポップソングを作る

前回のインタビューの際に、“学生から社会人へと変化したことで自立して生きていくことに対するパワーが漲っている”といったお話がありました。最近はいかがですか?

あぁ、そうでしたね! 最近は東京に来て初めて住んだ家から引っ越しをしまして。上京してからは3年ほど経つんですけど、ここでいろんな曲が生まれていったなぁとエモーショナルな気持ちになりました。

初めてというのは想い入れも一入になるものですもんね。前回のインタビューでは3rdミニアルバム『うつくしい日々』(2021年11月発表)についてお訊きしたのですが、あの作品はミニアルバム3部作の完結作という位置づけでした。その経験が今に活かされているという実感はありますか?

3枚のミニアルバムをリリースできたといいことは、自分にとっての大きな自信になりました。でも、それ以上に、ゆいにしおを支えてくれているみなさんへの感謝の気持ちが大きいです。これまでは特定の女の子を主人公にしてきたので、今作っている曲の中では、その子にはさせられなかったことを違う主人公にしてもらっています。今まで書いてこなかった不倫をテーマにした曲もあるんですよ。結婚の予定はまったくないんですけど、独身のうちに書けたらいいなと思っていたので…(笑)。

そういう大胆なテーマを描く上でも、今まで通り、主人公の女の子が勝ち気な性格ということは変わらないんですか?

そうですね。私自身が強いギャルが好きなので、どうしたって強くなっていってしまうんでしょうね。でも、“強い女の子”という共通項があっても、パーソナリティーは少しずつ違うんですよ。性格を作り出す上で具体的にプロフィールを作ることもあれば、SNSで見かけた人の発言をつなぎ合わせつつ、人格を形成していくこともあるので。最近はそういう強さを持った女の子を主人公にした楽曲であることが、自分の核になりつつあると思っています。

なるほど。今年3月には配信シングル「スカイツリー / マスカラ / 息を吸う ここで吸う 生きてく (Acoustic Guitar Ver.)」もリリースされています。アコースティックで届けようと思った経緯であったり、選曲に対する考えはどういったものだったのでしょうか?

「息を吸う ここで吸う 生きてく」をリリースした際、アニメのタイアップだったということもあって海外の方々からの反応も多かったんです。なので、そうした方々にも別バージョンとして喜んでいただきたかったという想いがありました。「スカイツリー」と「マスカラ」についてはリリースが春先だったということもあり、前向きになれそうな楽曲だと思って決めました。もともとはアレンジャーさんとのやりとりを経て完成させた楽曲たちなので、弾き語りでやっていると曲の種が生まれた当時の個人的な感情が蘇ってきたりもしましたね。

時を経たからこそ感じられるものですね。そして、アコースティックの雰囲気とは一転し、最新曲「ワンダーランドはすぐそばに」はホーン隊も入ったアレンジも含め、聴く人の気持ちをグンと上げてくれるポップチューンです。

はい! 元気で心がウキウキするような曲が好きなので、そういった楽曲も作ってみたいという想いから生まれた曲ではあります。でも、一番のモチベーションだったのは“悔しさ”ですね。あるアーティストさんのライヴ映像を観た時に、めちゃくちゃ感動した半面、ものすごく悔しくなったんですよ。その悔しい気持ちを超えるくらいのポップチューンを作りたい!という闘争心が発端となって生まれた楽曲です。

そうした悔しさは常に感じてらっしゃるんですか?

めちゃくちゃ負けず嫌いなんですよ。他のアーティストさんの楽曲を聴いていても、“私だったらこういう歌詞にしたいな”とか“アレンジはこうするな”とか、おこがましくも考えちゃうんです。そうした気持ちから曲ができることは多いので、いつだって“負けねーぞ!”と思っているのかもしれません(笑)。

ゆいにしおさんの楽曲に宿るエネルギーの由縁が分かった気がします。この曲を聴いて、歌い出しが《結局は幸せになりたいだけなんでしょ?》というパワーフレーズであることに意外性を持ったんです。結論を先頭に持ってくるという、今までにない書き方ですよね。

そうですね。今まで以上にポップさを前に押し出したいと思っていたので、物語というよりは、フレーズひとつでその曲がどういうことを歌っているのかを分かるようにしたかったんです。どの年齢の人が聴いても、フレーズひとつで全体像が見えてくる曲であることがポップの掟だと思っているので。

なるほど。“なりたいんでしょ?”という語感の強さは、悔しさをバネにして作ったという先ほどのお話を彷彿させます。

《結局は幸せになりたいだけなんでしょ?》というフレーズが発端となって出来上がったんですけど、そこからインスピレーションを受けて、内側に閉じこもりがちな恋人のことを外に連れ出してあげる女性の姿を描こうと思って書きました。また、物語として完結するのではなく、“ワンダーランドはすぐそばに”というタイトルのとおり、リスナーの人にも“あなたのユートピアは近くにあるんだよ”と伝えられたらいいなって思っています。
ゆいにしお
配信シングル「ワンダーランドはすぐそばに」

OKMusic編集部

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