アイランド所属の
異色の面子が顔を揃え、
ケヴィン・エアーズの
絶頂期をとらえたライヴ。
『June 1, 1974 〜
ケヴィン・エアーズ
&ジョン・ケイル、イーノ、ニコ』
ワイアット、オールドフィールド
というふうに、惜しい点ばかり書いてしまったが、このアルバムがいまいちなのかと言えばそうではなく、むしろケヴィン・エアーズに関しては珠玉のライヴなのだ。私自身、東京九段会館で行なわれた彼の初来日コンサートを観ているのだが、このアルバムでもケヴィンを見事にサポートしているオリー・ハリソール(ギター)を伴ってのライヴは、ハリソールはともかく、主役のケヴィンは普段は楽器も触ってないんじゃないかと思わせるほどに素人っぽく、ユルい演奏だった。だから、ダメだったというわけではなく、彼らしいボヘミアンぶり、微睡んでいる吟遊詩人みたいな魅力にはさすがと思わせられたものだ。だが、大体はライヴはいつもぶっつけ本番なのか、まあまあの評価が大半だ。それがスタジオ作ではどこにやる気を隠していたのか、こちらの裏をかくような傑作、佳作をスッと出したりするから驚きなのだ。で、このコンサートでは、なかなか気合いの入った引き締まった演奏で、歌も色気たっぷりと、ケヴィン節が冴えている。誰かも書いていたが、彼のライヴとしてはベストの出来なのだから参る。これを聴いてケヴィンに惹かれない人、ことに女子なんていないんじゃないかと思う。
さて、このアルバムのキャッチコピーだが、難渋した。こんな感じでどうだろうか。
『June 1, 1974 聖人たちの饗宴』〜ケヴィン・エアーズ&ジョン・ケイル、イーノ、ニコ
TEXT:片山 明