L→R 久米利弥(Ba&Cho)、松本和希(Dr&Cho)、中野未悠(Vo)、神門弘也(Gu&Cho)

L→R 久米利弥(Ba&Cho)、松本和希(Dr&Cho)、中野未悠(Vo)、神門弘也(Gu&Cho)

【Atomic Skipper インタビュー】
出し惜しみをしないことが
大前提にある

2014年4月に結成し、地元・静岡を中心にライヴ活動を展開するAtomic Skipperの1st EP『KAIJÛ』にはライヴの光景が浮かぶものを意識した4曲のアッパーチューンが収録されている。全速力で駆け抜ける今作について、作詞作曲の神門弘也(Cu&Cho)に語ってもらった。

ライヴの景色は
今までとは違うものになった

EP『KAIJÛ』はAtomic Skipper の“守りより攻めを”という姿勢を表したそうですが、そもそもどんな流れでそのモチベーションを持つようになったのでしょうか?

そもそも音楽をやる上で“守り”という概念が自分の中になくて、作曲をする時にも出し惜しみをしないことが大前提にあるんですね。Atomic Skipperは高校の友達同士で組んだバンドですが、それがいつの間にか熱中して、仕事も辞めて、ここまで来てしまった感じなんです。でも、夢を夢のまま漠然とさせるのは嫌だったので、ひとつずつ目標を立てては達成していき、作品も次々に生まれていく中、2019年にドラムの松本がこの“出し惜しみはなし”というスタンスに賛同して加入してくれて、そこから“守りより攻めを”がバンドの性格としてより色濃く表れたと思います。

2021年4月にリリースされたミニアルバム『人間讃歌』にはコロナ禍でできた楽曲が収録されていましたが、同作を経て『KAIJÛ』はどんなお気持ちで制作に取りはかかったのでしょうか?

『人間讃歌』は人と会わないことによって自分を見つめ直して作ったものなので、打ち込みの時点である程度が完成していたんです。でも、それを引っ提げて挑んだライヴやツアーの景色は、時代も作用して今までとは違うものでした。『人間讃歌』を作った時の自分のイメージとは乖離している部分が寂しかったのもあり、『KAIJÛ』ではそこを埋めようと。聴いてくれる人ともっと近い距離で向き合えるように、でも伝えたいことを分かりやすく言葉にするのではなく、より音楽的に表現することは意識しています。あと、自分の中にある“分かってほしい”という気持ちと“理解されてたまるか”の間をうまく取ることにかなりフォーカスしました。

楽曲はどのように作っていったのですか?

もともとはシングルの予定だったので、「幻になって」だけは先にあったんです。でも、バンドにとって新しいものと馴染みがいいものの兼ね合いがなかなかうまくできなくて、『人間讃歌』の時からリード曲がまったく作れなかったんですよ。なので、EPとしてライヴのビジョンが浮かぶものを作るように切り替えて、今回は初めて楽器陣総出でDTMを使いながら、メンバーとああでもないこうでもないというやり取りをして、パッケージできたらそのまま磐田FMSTAGEでスタジオに入る…みたいな感じを繰り返したので、かなり濃密な時間を過ごせたと思っています。

ライヴを意識されているのも大きいと思いますが、『KAIJÛ』は中野さんの溌剌としたヴォーカルや、4曲を通してサウンドがアッパーなのも印象的でした。あと、どの曲にもシンガロングやコーラスなど、声の重なりがありますね。

全曲主役として魅せられるものを作ろうとしたら、自ずと全てシンガロングになってしまいました(笑)。ベースの久米に“いつものコーラスワークに、劇場版のような広がりがあるものにしたい”というざっくりなお願いをしたら、見事にやりきってくれたんです。

攻めの姿勢を表した作品ながら、1曲目の「メイビー」で《だから今夜だけはゆっくり休んでね》と力強く歌われているのは意外に思いました。今は安らぎを必要としている人も多いと思いますが、コロナ禍の真っただ中で休めない人がいるのも事実です。そんな状況も受けて、“休むことは逃げではない”というメッセージを感じるような。

俺自身は休むことは逃げではないって気持ちはなかったですね。個人的には今、どちらかと言えば休みたいけど休めないことのほうが多い状態なので(笑)。ただ、聴いてくれている人に向けて“君は今日も頑張ったし、今日も凛々しくてきれいだった”と伝えたくて作った歌詞でもあります。あとは、ひとりでライヴハウスに来て隅っこで観てくれている人も、友達と来て楽しんでくれている人も、過ごしている時間の濃さと自分自身への肯定感を同じように感じてほしいというか。人それぞれが心のどこかで思っている“誰にも理解されたくない”っていう気持ちを、俺は理解しているつもりなんです。
L→R 久米利弥(Ba&Cho)、松本和希(Dr&Cho)、中野未悠(Vo)、神門弘也(Gu&Cho)
EP『KAIJÛ』

OKMusic編集部

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