【羊文学 ライヴレポート】
『羊文学 Tour 2021
“Hidden Place”』
2021年9月24日
at USEN STUDIO COAST
“メジャーデビューしてから初めてのツアーで、初めてのツアーファイナルです。日々のストレスを発散してください”とライヴ中盤に噛み締めるように告げる塩塚モエカ(Vo&Gu)。そう、この日は昨年末に出たメジャー1stアルバム『POWERS』のリリースツアー振替公演となり、新型コロナウイルスによる収容制限+有料配信ライヴという形式で行なわれた。
観葉植物が置かれたステージに塩塚、河西ゆりか(Ba)、フクダヒロア(Dr)が登場。まず3人が輪になって音を鳴らし始めると、「mother」で本編はスタートした。裏声を活かした艶やかなヴォーカル、そこに透明感のあるコーラスが重なり、観る者をやさしく抱きしめるようなサウンドを奏でる。続く「ブレーメン」では《音楽をならして 一番高い場所まで行こう》の歌詞が胸に飛び込み、何があろうとも音楽を止めたくないという切実な想いが伝わってきた。「変身」「踊らない」と進んだあと、“こんばんは、みなさん来てくれて、ありがとうございます!”と塩塚は感謝の言葉を述べ、1階、2階、配信を観ている人に対して手を振る。やはり無事にファイナルを迎えられ、気持ちが昂っていたのだろう。とはいえ、演奏に入れば、クールな佇まいで迫るのが羊文学の魅力であり、時折魅せるエモーションの発露にこちらはドキッとする。それは後ほど…。
また、「砂漠のきみへ」では塩塚と河西がお互いに向き合ってプレイし、ステージ後方からライトで照らす演出も美しかった。“ハッハッハッ”という神秘的なコーラスが映える「花びら」においては、《あいたい》と連呼する歌詞がタイムリーに響いたことは言うまでもない。「人間だった」を経て「powers」に移ると、パワフルな歌声にフロアーの熱気も高まっていく。歌詞に扇動され、観客は手をあげてノッていた。そんな光景を見て“楽しいです”と河西は喜びを露わにし、塩塚もそれに同意したあと、“フクダのドラムのこだわりは、スネアが見えないことなんだよね”と秘話ネタを暴露する和んだ場面も見受けられた。
ショート曲「ハロー、ムーン」は巨大なミラーボールが回る中で披露。視覚効果を伴い、夢見心地に浸れる一曲だ。ポエトリー風の語りを入れた「ロックスター」、疾走感あふれる「Girls」と続き、QUEENの「We Are The Champions」風のドラムで始まる「涙の行方」を放つと、観客もクラップし、温かな一体感を作り上げていった。後半に入ると、「マフラー」「1999」「ghost」と畳みかけ、本編ラストは「あいまいでいいよ」でビシッと締め括る。ここで塩塚は笑顔を浮かべ、溌剌とした声で歌い上げ、ポジティブな空気を送り出していた。
そして、アンコール一発目にはGOING STEADYの「銀河鉄道の夜」を披露。原曲のロマンチックさはそのままに、ハイトーンで熱っぽく歌い上げる表情は別人格のよう。普段のクールさとは一線を画した魅力を強烈にアピールした。カバーではあるけれど、ホットな羊文学も悪くない。いや、むしろ素晴らしかった。さらに、今年8月に出たEP『you love』収録の「マヨイガ」「夜を越えて」を2曲続けてプレイ。澄み切ったメロディーの良さに惹きつけられ、気づけばライヴは終了。
塩塚の繊細な歌声を看板に、河西とフクダがぴたりと寄り添い、強固なトライアングルを描く羊文学の音世界。楽曲に込められた感情を丁寧に掬い上げながら、たまに一線を超えてあふれ出し、熱を帯びる瞬間にも背筋がゾクッとした。クールさの中に見え隠れする喜怒哀楽を存分に味わうことができた人間臭いショーだった。
観葉植物が置かれたステージに塩塚、河西ゆりか(Ba)、フクダヒロア(Dr)が登場。まず3人が輪になって音を鳴らし始めると、「mother」で本編はスタートした。裏声を活かした艶やかなヴォーカル、そこに透明感のあるコーラスが重なり、観る者をやさしく抱きしめるようなサウンドを奏でる。続く「ブレーメン」では《音楽をならして 一番高い場所まで行こう》の歌詞が胸に飛び込み、何があろうとも音楽を止めたくないという切実な想いが伝わってきた。「変身」「踊らない」と進んだあと、“こんばんは、みなさん来てくれて、ありがとうございます!”と塩塚は感謝の言葉を述べ、1階、2階、配信を観ている人に対して手を振る。やはり無事にファイナルを迎えられ、気持ちが昂っていたのだろう。とはいえ、演奏に入れば、クールな佇まいで迫るのが羊文学の魅力であり、時折魅せるエモーションの発露にこちらはドキッとする。それは後ほど…。
また、「砂漠のきみへ」では塩塚と河西がお互いに向き合ってプレイし、ステージ後方からライトで照らす演出も美しかった。“ハッハッハッ”という神秘的なコーラスが映える「花びら」においては、《あいたい》と連呼する歌詞がタイムリーに響いたことは言うまでもない。「人間だった」を経て「powers」に移ると、パワフルな歌声にフロアーの熱気も高まっていく。歌詞に扇動され、観客は手をあげてノッていた。そんな光景を見て“楽しいです”と河西は喜びを露わにし、塩塚もそれに同意したあと、“フクダのドラムのこだわりは、スネアが見えないことなんだよね”と秘話ネタを暴露する和んだ場面も見受けられた。
ショート曲「ハロー、ムーン」は巨大なミラーボールが回る中で披露。視覚効果を伴い、夢見心地に浸れる一曲だ。ポエトリー風の語りを入れた「ロックスター」、疾走感あふれる「Girls」と続き、QUEENの「We Are The Champions」風のドラムで始まる「涙の行方」を放つと、観客もクラップし、温かな一体感を作り上げていった。後半に入ると、「マフラー」「1999」「ghost」と畳みかけ、本編ラストは「あいまいでいいよ」でビシッと締め括る。ここで塩塚は笑顔を浮かべ、溌剌とした声で歌い上げ、ポジティブな空気を送り出していた。
そして、アンコール一発目にはGOING STEADYの「銀河鉄道の夜」を披露。原曲のロマンチックさはそのままに、ハイトーンで熱っぽく歌い上げる表情は別人格のよう。普段のクールさとは一線を画した魅力を強烈にアピールした。カバーではあるけれど、ホットな羊文学も悪くない。いや、むしろ素晴らしかった。さらに、今年8月に出たEP『you love』収録の「マヨイガ」「夜を越えて」を2曲続けてプレイ。澄み切ったメロディーの良さに惹きつけられ、気づけばライヴは終了。
塩塚の繊細な歌声を看板に、河西とフクダがぴたりと寄り添い、強固なトライアングルを描く羊文学の音世界。楽曲に込められた感情を丁寧に掬い上げながら、たまに一線を超えてあふれ出し、熱を帯びる瞬間にも背筋がゾクッとした。クールさの中に見え隠れする喜怒哀楽を存分に味わうことができた人間臭いショーだった。
撮影:川島悠輝/取材:荒金良介
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