【JAM Project ライヴレポート】
『GET OVER
-JAM PROJECT THE LIVE-』
2021年9月11日
at Zepp Haneda(TOKYO)
有観客での約2年半振りのライヴツアーは今年3月に全国公開されたキャリア初のドキュメンタリー映画『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』にちなんで、“GET OVER -JAM PROJECT THE LIVE-”と命名。厳選された全国4カ所の会場で全5公演が開催された。そのツアー2日目、9月11日のZepp Haneda(TOKYO)をレポートしよう!
1曲目は7月にリリースした最新シングル表題曲「Bloodlines〜運命の血統〜」。アツさとどことない哀愁が胸を打つ楽曲で、サビメロでは5人が歌いつなぎ、間奏ではスケールの大きなコーラスを聴かせる。“これぞJAM Project!”といった威風堂々たる姿を見せつけて、観る者を圧倒した。そして、“お久しぶり。元気でした? 信じてくれたみんなとスタッフのおかげで、今日という日を迎えることができました。感謝を噛みしめて楽しみたいです”と、まずはきただにひろしが感謝の気持ちを表す。
序盤は昨年1月にリリースした20周年記念アルバム『The Age of Dragon Knights』の楽曲を中心に構成。GRANRODEOが提供した軽快なロックチューン「ROCK五銃士」、ALI PROJECTらしいゴシックなサウンドが異質な「龍驤-Ryujou」、壮大さとキャッチーさがマッチしたangelaによる「HERE WE GO !」を披露し、FLOW提供によるアップテンポのスカパンクナンバー「ジャイアントスイング」で会場が一体になる。どの曲もJAM Project
らしいダイナミックさと重厚なコーラスワークが引き立ちながら、楽曲提供したアーティストの個性も発揮。まるでアニソンフェスに足を踏み入れたような、豪華さとバラエティー感で観客を楽しませた。
約2年半振りの有観客ライヴとあって、感無量といった雰囲気の5人。“生JAM、生歌、生配信。目いっぱい楽しんでください”と観客に訴えかけた遠藤正明は「20th Anniversary Acappella Session」で中心に立ってメンバーを指揮する。同曲は昨年開催された『JAM Project 20th Anniversary Special JAM FES.〈JAPAN ANISONG MEETING FESTIVAL〉』でも話題を集めたアカペラアレンジ楽曲。観客の目の前で歌うのは初めてでどこか緊張した面持ちながら、そこはそれぞれ匠の技を持った5人である。5人の声だけとは思えないほどの分厚さと音圧で、人気曲「VICTORY」や「Wing of the legend」などをメドレー形式で歌って会場を驚かせた。
会場に感動が広がったのは、最新シングルのカップリング曲であり、TVアニメ『ゲッターロボ アーク』最終話のエンディング主題歌(※9月26日の放送にて発表)「戦友よ」だ。最初はピアノと影山ヒロノブのヴォーカルから始まる、ノスタルジックなムードを漂わせるバラードで、影山が40年以上のキャリアの中で出会った戦友たちを偲ぶような雰囲気も感じさせ、そのレクイエムに熱い涙がこぼれ落ちるような感覚を得た。そして、静かなムードから一転、9曲目には福山芳樹が“魅惑のゴールデンヒットメドレー”と命名した、21年の活動の中で人気のアニソンナンバーのメドレーを繰り出す。「STORM 2021」で始まり、拳を振り上げて会場がひとつになった「TRANSFORMER EVO.」、デジタルロックのサウンドがクールな「Get over the Border」、真っ直ぐにメッセージを叩きつけるような「未来への咆哮」など、曲調はさまざまながら、胸の奥に熱い炎を灯すJAM Projectのパッションが伝わってくるコーナーだった。
続くバラードの「Blue rise」は力強くエモーショナルなメッセージが胸に刺さり、今の時代を生きる勇気をくれた。同曲を歌うにあたり奥井雅美は“10年前の東日本大震災の時に作った曲で、愛や寄り添う気持ち、絆や当たり前の大切さを歌ったもの。それから10年経ち、今またそれらについて考えることが多くなった”と、同曲を今改めて歌うことの意味を語った。しっとりとしたサウンドに前向きさのあるメロディーを乗せた楽曲で、《今 心ひとつにして》というフレーズが胸に響く。観客はペンライトをゆっくり揺らしながら、楽曲のメッセージを噛みしめるように聴き入った。
終盤はJAM Projectらしい爽快さと熱さがある楽曲を連発! 5人が順に客席を指しながら《愛し合うだけさ》とキメた「ハリケーンLOVE」はペンライトを回して盛り上がり、TV
アニメ『ワンパンマン』のOP主題歌「静寂のアポストル」と「THE HERO!! 〜怒れる拳に火をつけろ〜」では配信のコメント欄にパンチのマークがずらりと並び、拳を突き上げて並んで歌う姿はまさしくヒーローそのもの。本編ラストは、なんと12月22日にリリースする新曲「Drei Kreuz 〜鋼のサバイバー〜」を生バンド演奏、かつ、有観客の場では、いち早くお披露目。何かが始まりそうな予感めいたイントロを始めデジロックのサウンド、マイナー調のメロディーから転調してシャウトとともに力強く爽快なサビメロへと突入する展開、さらに荘厳なコーラスや奥井のメランコリックなソロからオチサビへと入る流麗さ…JAM Projrctの必殺技が凝縮された一曲で、会場を得も言われぬ感動で包み込んだ。
終始興奮気味で観客に“最高!”とMCで連発した影山。映画『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』のインタビューシーンで、少し弱気な発言をしていたことにも触れ、“あの映画の続きが今日だと思ってほしい。俺たちは今日、復活しました”と力強くコメント。“めっちゃ最高だった、めっちゃ分かり合えた。めっちゃJAM魂だった!”との言葉が、この日のライヴがいかにアツいものだったかを物語っていた。アンコールの「VICTORY」「GONG」の盛り上がりは言わずもがな。ラストの「SKILL」では、観客の《Motto! Motto!》と叫ぶ心の声が聞こえてきた。
最後に“JAMの大きな要素はみんなです。みんなの得意技(合唱やかけ声、コール&レスポンスなど)を封じられた状態で、戦場に来てくれた”と観客を讃えた影山。“みんなのアツい気持ちが伝わってきた。俺たちはこれからも歌っていくことを決めました。一緒にGET OVERしていきましょう”と、これからも走り続けることを約束した遠藤。きただには“いろいろな想いがあるけど、お客さんがいて背中に爆音を浴びる、これがJAMだなと。JAM Project最高です”と、ステージをともに作り上げた仲間たちへのリスペクトの思いを叫び、奥井は“みんなから元気をいただきました。これからも健康に気をつけて、また会いましょう”と観客への気遣いを忘れない。そして、“世界一美しい風景を見られて嬉しいです。いつか大声で手を上げて盛り上がれる日まで、頑張って乗り越えて行きましょう”と福山が締めた。
今までZeppのステージが、こんなにも小さく感じたことがあっただろうか。街中の小さなライヴハウスでやっているかのような、一体感と凝縮感、そして熱気が、配信の画面からもありありと伝わってくるようなライヴだった。実際に再出発のステージはホールではなくライヴハウスでと決めていたそうで、ステージ演出も最小限のシンプルさで彼らの原点である歌と魂だけでぶつかりたかったとのこと。決して平坦ではなかった20年の道のりを経て、今や世界に名を轟かせるほどにまでなったJAM Projectであるが、あえてレジェンドの冠を捨てて再びアニソンの平原に降り立ったという印象。新たな伝説に向けた、大いなる一歩を踏み出したツアーになった。
1曲目は7月にリリースした最新シングル表題曲「Bloodlines〜運命の血統〜」。アツさとどことない哀愁が胸を打つ楽曲で、サビメロでは5人が歌いつなぎ、間奏ではスケールの大きなコーラスを聴かせる。“これぞJAM Project!”といった威風堂々たる姿を見せつけて、観る者を圧倒した。そして、“お久しぶり。元気でした? 信じてくれたみんなとスタッフのおかげで、今日という日を迎えることができました。感謝を噛みしめて楽しみたいです”と、まずはきただにひろしが感謝の気持ちを表す。
序盤は昨年1月にリリースした20周年記念アルバム『The Age of Dragon Knights』の楽曲を中心に構成。GRANRODEOが提供した軽快なロックチューン「ROCK五銃士」、ALI PROJECTらしいゴシックなサウンドが異質な「龍驤-Ryujou」、壮大さとキャッチーさがマッチしたangelaによる「HERE WE GO !」を披露し、FLOW提供によるアップテンポのスカパンクナンバー「ジャイアントスイング」で会場が一体になる。どの曲もJAM Project
らしいダイナミックさと重厚なコーラスワークが引き立ちながら、楽曲提供したアーティストの個性も発揮。まるでアニソンフェスに足を踏み入れたような、豪華さとバラエティー感で観客を楽しませた。
約2年半振りの有観客ライヴとあって、感無量といった雰囲気の5人。“生JAM、生歌、生配信。目いっぱい楽しんでください”と観客に訴えかけた遠藤正明は「20th Anniversary Acappella Session」で中心に立ってメンバーを指揮する。同曲は昨年開催された『JAM Project 20th Anniversary Special JAM FES.〈JAPAN ANISONG MEETING FESTIVAL〉』でも話題を集めたアカペラアレンジ楽曲。観客の目の前で歌うのは初めてでどこか緊張した面持ちながら、そこはそれぞれ匠の技を持った5人である。5人の声だけとは思えないほどの分厚さと音圧で、人気曲「VICTORY」や「Wing of the legend」などをメドレー形式で歌って会場を驚かせた。
会場に感動が広がったのは、最新シングルのカップリング曲であり、TVアニメ『ゲッターロボ アーク』最終話のエンディング主題歌(※9月26日の放送にて発表)「戦友よ」だ。最初はピアノと影山ヒロノブのヴォーカルから始まる、ノスタルジックなムードを漂わせるバラードで、影山が40年以上のキャリアの中で出会った戦友たちを偲ぶような雰囲気も感じさせ、そのレクイエムに熱い涙がこぼれ落ちるような感覚を得た。そして、静かなムードから一転、9曲目には福山芳樹が“魅惑のゴールデンヒットメドレー”と命名した、21年の活動の中で人気のアニソンナンバーのメドレーを繰り出す。「STORM 2021」で始まり、拳を振り上げて会場がひとつになった「TRANSFORMER EVO.」、デジタルロックのサウンドがクールな「Get over the Border」、真っ直ぐにメッセージを叩きつけるような「未来への咆哮」など、曲調はさまざまながら、胸の奥に熱い炎を灯すJAM Projectのパッションが伝わってくるコーナーだった。
続くバラードの「Blue rise」は力強くエモーショナルなメッセージが胸に刺さり、今の時代を生きる勇気をくれた。同曲を歌うにあたり奥井雅美は“10年前の東日本大震災の時に作った曲で、愛や寄り添う気持ち、絆や当たり前の大切さを歌ったもの。それから10年経ち、今またそれらについて考えることが多くなった”と、同曲を今改めて歌うことの意味を語った。しっとりとしたサウンドに前向きさのあるメロディーを乗せた楽曲で、《今 心ひとつにして》というフレーズが胸に響く。観客はペンライトをゆっくり揺らしながら、楽曲のメッセージを噛みしめるように聴き入った。
終盤はJAM Projectらしい爽快さと熱さがある楽曲を連発! 5人が順に客席を指しながら《愛し合うだけさ》とキメた「ハリケーンLOVE」はペンライトを回して盛り上がり、TV
アニメ『ワンパンマン』のOP主題歌「静寂のアポストル」と「THE HERO!! 〜怒れる拳に火をつけろ〜」では配信のコメント欄にパンチのマークがずらりと並び、拳を突き上げて並んで歌う姿はまさしくヒーローそのもの。本編ラストは、なんと12月22日にリリースする新曲「Drei Kreuz 〜鋼のサバイバー〜」を生バンド演奏、かつ、有観客の場では、いち早くお披露目。何かが始まりそうな予感めいたイントロを始めデジロックのサウンド、マイナー調のメロディーから転調してシャウトとともに力強く爽快なサビメロへと突入する展開、さらに荘厳なコーラスや奥井のメランコリックなソロからオチサビへと入る流麗さ…JAM Projrctの必殺技が凝縮された一曲で、会場を得も言われぬ感動で包み込んだ。
終始興奮気味で観客に“最高!”とMCで連発した影山。映画『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』のインタビューシーンで、少し弱気な発言をしていたことにも触れ、“あの映画の続きが今日だと思ってほしい。俺たちは今日、復活しました”と力強くコメント。“めっちゃ最高だった、めっちゃ分かり合えた。めっちゃJAM魂だった!”との言葉が、この日のライヴがいかにアツいものだったかを物語っていた。アンコールの「VICTORY」「GONG」の盛り上がりは言わずもがな。ラストの「SKILL」では、観客の《Motto! Motto!》と叫ぶ心の声が聞こえてきた。
最後に“JAMの大きな要素はみんなです。みんなの得意技(合唱やかけ声、コール&レスポンスなど)を封じられた状態で、戦場に来てくれた”と観客を讃えた影山。“みんなのアツい気持ちが伝わってきた。俺たちはこれからも歌っていくことを決めました。一緒にGET OVERしていきましょう”と、これからも走り続けることを約束した遠藤。きただには“いろいろな想いがあるけど、お客さんがいて背中に爆音を浴びる、これがJAMだなと。JAM Project最高です”と、ステージをともに作り上げた仲間たちへのリスペクトの思いを叫び、奥井は“みんなから元気をいただきました。これからも健康に気をつけて、また会いましょう”と観客への気遣いを忘れない。そして、“世界一美しい風景を見られて嬉しいです。いつか大声で手を上げて盛り上がれる日まで、頑張って乗り越えて行きましょう”と福山が締めた。
今までZeppのステージが、こんなにも小さく感じたことがあっただろうか。街中の小さなライヴハウスでやっているかのような、一体感と凝縮感、そして熱気が、配信の画面からもありありと伝わってくるようなライヴだった。実際に再出発のステージはホールではなくライヴハウスでと決めていたそうで、ステージ演出も最小限のシンプルさで彼らの原点である歌と魂だけでぶつかりたかったとのこと。決して平坦ではなかった20年の道のりを経て、今や世界に名を轟かせるほどにまでなったJAM Projectであるが、あえてレジェンドの冠を捨てて再びアニソンの平原に降り立ったという印象。新たな伝説に向けた、大いなる一歩を踏み出したツアーになった。
取材:榑林史章
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