ねじれたポップセンスで異彩を放った
モノクローム・セットの
『ヴォリューム、コントラスト、
ブリリアンス』
本作『ヴォリューム、コントラスト、
ブリリアンス』について
オリジナルのLP収録曲は全部で14曲(CD化に際し多くのボーナストラックが収録されている)。かのアンディ・ウォーホルは“ベンチャーズとヴェルヴェット・アンダーグラウンドを足して2で割ったよう”だと言ったらしいが、僕には前述したようにドアーズに似たサイケっぽさとディック・デイルを足して、カリプソやアフリカンポップスのスパイスをふりかけたようなサウンドに聴こえる。
やはり「戦慄のシンフォニー」が飛び抜けたナンバーだと思うが、アルバムバージョンよりシンプルでGS風サウンドに仕上がっている「ジェット・セット・ジュンタ」、フランツ・フェルディナンドに影響を与えたであろう「シリコン・カルネ」など、どの曲も未だに古臭くなっていない。特にビドが手がけたナンバーは独特の切ない雰囲気があって、それこそがモノクローム・セットのイメージになっているようだ。なにはともあれ、本作が全曲ハズレなしの傑作であることは間違いない。
本作以降の活動
モノクローム・セットはポストパンク時代から現在に至るまでロックシーンに大きな影響を与えた。1985年に彼らは一旦解散するのだが、その後もライヴやレコーディングに引っ張り出され、結局10枚以上アルバムをリリースする。10年以上の活動休止のあと2010年に再結成し、2016年には本作の続編となる『Volume, Contrast, Brilliance…(Unreleased & Rare Vol. 2)』をリリースするなど、まだまだ現役バリバリで活動中である。
TEXT:河崎直人
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アルバム『Volume, Contrast, Brilliance...(Sessions & Singles Vol. 1』1983年発表作品
- <収録曲>
- 1. アイネ・シンフォニー・デス・グラウエンス/Eine Symphonie des Grauens
- 2. ジェット・セット・ジュンタ/The Jet Set Junta
- 3. 愛しのゾンビーズ/ Love Zombies
- 4. シリコン・カルネ/Silicon Carne
- 5. ザ・ルーリング・クラス/The Ruling Class
- 6. ビバ・デス・ロウ/Viva Death Row
- 7. 髭面の男/Man With the Black Moustache
- 8. フランク/He's Frank (Slight Return)
- 9. ファン・フォー・オール・ザ・ファミリー/Fun For All the Family
- 10. レスター・リープス・イン/Lester Leaps In
- 11. イシイ・レ・ザンファン/Ici les Efants
- 12. ファット・ファン/Fat Fun
- 13. アルファビル/Alphaville
- 14. アバンティ/Avanti