東京初期衝動『RUSH BALL 2021』ライ
ブレポート ーーもはや若きカリスマ
パンクバンドと言っても過言じゃない
です

『RUSH BALL 2021』東京初期衝動
白Tシャツに黒ジャージズボンに身を包んだギターの希、ベースのあさか、ドラムのなおが音を乱れ打ちする中、左肩丸出しの黒Tシャツにえんじジャージズボンに身を包んだボーカルのしーなちゃんが全速力で走ってくる。デンジャラスな匂いがちゃんと漂っているし、もう特別なカリスマが走ってくる感じ……。演奏も歌もパンクというか、こんなにドカドカうるさい演奏で、こんなにシャウトして叫んでいたっけと呆気に取られるくらいの衝撃。<バーニラバニラバーニラ高収入!!!>という歌詞が耳から離れない。
東京初期衝動
そんな1曲目「高円寺ブス集合」と比べると、良い歌声で歌詞も聴き取れる「再生ボタン」だが独特のザラツキを感じるサウンド。何度聴いても<あの国がミサイルをうちこむ前に 結婚しようよ 結婚しようよ>という刹那的でロマンチックな歌詞は秀逸すぎる。とにかくライブとしては粗いんだけど、しっかりとした演奏をしている上で、ここまで粗さを出せる真っ当なパンクバンドは中々いないし、それも女子4人組で、この音を鳴らしているのは凄い。何よりも楽曲のメロディーが良いからこそ成り立つ素晴らしさ。
東京初期衝動
4曲目「BABY DON’ T CRY」で改めて感じたが、しーなちゃんはデス声もキュート声も両方出るのが素敵な魅力だろう。あと、しーなちゃんの鍛え抜かれた細身の体の美しさが音とマッチしているのも一種の様式美であった。続く「さまらぶ」での、しーなちゃんがTシャツを脱ぎ捨て、スポーティーなヘソ出しタンクトップ1枚になった時の存在感は凄かった。男性が鍛え抜くと必要以上のエゴイズムとナルシズムが透けて見える事もあったりするが、女性のしーなちゃんの鍛え抜き方は、ただただストイックなだけである。でも、歌っている内容は欲望の塊みたいなサマーチューンなのも、むちゃくちゃ笑けてきて最高。
東京初期衝動
ラストナンバー「高円寺ブス集合(爆速ver)」。その前の「ロックン・ロール」がこれまたドカドカうるさくて耳が破裂しそうになっているのに、あの<バーニラバニラバーニラ高収入!!!>を、それも爆速verでやるもんだから、もうたまったもんじゃない(もちろん良い意味で!)。マイクを叩きつけながら歌い、最後は床にマイクを投げつけて帰っていく。今までもライブを観た事はあったんだが、ちょっと観ないうちに正真正銘の凄いパンクバンドになっていて、おじさんライターは本当に驚いています……。
東京初期衝動
取材・文=鈴木淳史 撮影=ハヤシマコ
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