L→R 亀山敦史(Ba)、陶山良太(Vo&Gu)、もぐ(Dr)

L→R 亀山敦史(Ba)、陶山良太(Vo&Gu)、もぐ(Dr)

【PLOT SCRAPS インタビュー】
“とにかく生きていてくれ”
という気持ちを伝えたかった

今年に入り4カ月連続で配信シングル3作、配信EPを立て続けにリリースしているPLOT SCRAPSから夏を彩るセツナポップソング「透命花火」が届いた。“命”の儚さをストレートな言葉を添えて届ける歌詞と自身初となる季節感を表現したサウンドは涙を誘う一曲だ。カップリングの「陽炎のメモリー」も含めて陶山良太(Vo&Gu)に訊いた。

最近はよりいっそうライヴで
人とつながりたいと思っている

3枚の配信シングル、1枚の配信EPを聴かせていただいたところ、ロックとシティポップを織り交ぜた楽曲、打ち込みを多用したものや歌謡曲を思い浮かべられる懐かしいメロディーなど、PLOT SCRAPSのさらなる可能性を感じることができました。『INVOKE』(2020年5月発表のミニアルバム)からこれらの作品が配信リリースをされるまで約一年も空きましたが、その間はバンドとしてどんな動きをされていましたか?

本格的にコロナ禍に入り、メンバーそれぞれに大きな変化がありました。公言はしていませんが、振り返ってみると実質活動休止のような状況でしたね。ライヴも2月から11月まで空いてしまい、ツアーの企画もしていたけど飛んでしまって。ツアーファイナルは振替公演でできましたが、ライヴもできないし、バンドとしては動けない状況が続いていました。曲もリリースしていないし、ライヴもやっていないからバンド活動が進んでいるとは言えないので、活動休止のようになっていたんですよね。

そうでしたか。

誰も予想がつかない領域に入ってしまい、この先どうなるんだろうと思っていました。でも、音楽を辞めるという選択肢はなかったです。

活動が思うように進まない中、YouTubeでは『ぷろっとすくらっぷすの宴』という企画動画や配信ラジオ『おチルなレイディオ』をスタートしていましたね。

今でこそ4カ月連続で配信リリースをしていますけど、昨年のあの時期は毎月リリースなんて考えられなかったので、その時にやれることはやろうと思ったことから始めました。YouTubeで動画やラジオを配信することしかできなかったし、リスナーに顔を出せる方法も他になかったので。今の自分たちの気持ちで昨年を過ごしていたら、配信リリースに向けて頑張っていたと思うんですけど、その時は僕も迷っていたから動画配信しか出てこなかったです。ラジオは今も配信しているんですけど、面白い企画を出して動画を撮ったりするのも好きなので、少しでもリスナーに楽しんでもらえたらと思って提案しました。

これらの企画はメンバーの人柄も伝わってきますし、今までにPLOT SCRAPSを知らなかった人もバンドに出会えるチャンスにはなりますよね。

ただ、この企画をやったことで最近はよりいっそうライヴで人とつながりたいと思っているんですよね。だから、これからはライヴを増やしていこうとしています。

楽曲の変化の話をすると、配信シングル2枚とEPは『INVOKE』の延長上というか、ポップスを軸とした楽曲が続きましたが、前作「やさしさパラドックス」(2021年6月発表の配信シングル)は久し振りにロックが炸裂した疾走感のある曲となりましたね。陶山さんの中でそろそろロックが欲しくなったのかなと思ったのですが、配信された楽曲は出来上がった順にリリースしたのですか?

言ってしまうと「やさしさパラドックス」までは一回のレコーディングまとめて録った楽曲たちなんです。どうやってリリースをしていこうかと考えた時に、僕たちはギターロックバンドということでバンドカラーを伝えるためにロックに縛りをかけていた部分があったんですけど、コロナ禍に入ってからその制限を取っ払って作った曲も並んでいたし、サブスクリプションでも繰り返し聴けるような曲がいいと思って最初は「Telephone Box」(2021年3月発表の配信シングル)を出しました。そんな感じでリリースする順番はかなり考えましたね。だから、配信EP『IRREVERSIBLE OK?』(2021年5月発表)を3カ月目に出したのは、ここで一度まとめたかったんです。バンドのブランディング兼プロモーションを考えたらそうしたくて。そして、ロックな楽曲をそろそろ出しておきたいと思い「やさしさパラドックス」を放ちました。

EPをひとつの区切りにしたかったと。『INVOKE』から『IRREVERSIBLE OK?』まではバンドがどのようなサウンドでやっていくのかなと楽しみながらも今までのイメージと変わっていったので不安に感じた部分もあったんですよね。だから、「やさしさパラドックス」を聴いた時にどこか安心感もありました。

確かにそういう声をSNSとかで見ましたね。“いい曲だけど、変わっちゃうのかな?”とか。でも、先に言ってしまうと、これからはもうちょっとロックが主体になっていきますよ。

それは楽しみです。バンドが幅広いジャンルに対応できることを提示してくれていたから、ファンとしてはロックなPLOT SCRAPSも好きだけど、他のジャンルも含めて楽曲をいろんな方面から楽しめる可能性が広がったと思うので、このバンドは面白いなと改めて感じました。

楽曲に対する反響も含めて探ってみたかったという気持ちもリリースの順番にはあったんですよね。ジャンルが広がったとはいえ、ライヴで演奏できる範囲に絞って曲は作っているんです。ロックが主体ではなかったのは、バンドとして一発ドカンと曲をヒットさせたい気持ちがあるから試していて。だからと言って、もっと多くの人に聴いてもらえる曲が欲しくなっていろんなジャンルをやっていると、バンドのカラーがとらえにくいと思うんですけどね…

バンドが売れたいという気持ちがあるからこそ挑戦されたんですね。したいと思って幅広いジャンルの曲を作れるのはすごいことですよ。そんなPLOT SCRAPSの最新曲「透命花火」についてうかがいます。歌詞を読めばぴったりな字並びだと思うのですが、透明の“明”にあえて“命”が入ることでインパクト大なタイトルになっています。タイトルは曲が出来上がる中で浮かんだのですか?

楽曲のタイトルはいつも最後になっちゃうんですけど、この曲は制作の途中から“透命花火”に決めました。普通に“透明花火”だと他のアーティストの楽曲にありそうだったから“明”を “命”にして。不思議と勝手にすごくいいところに収まってくれることが多々あるんですけど、今回のタイトルもいいところに収まってくれました。うまく表現できていると思います。

この曲は夏らしいさわやかなメロディーにバンドサウンドが際立つ仕上がりになっていますが、いつ頃から制作を始めてどのように進めていかれましたか?

今年作ったはずですが、スタジオで適当に遊んでいたらサビもAメロもBメロも生まれてきちゃったので、歌詞をひたすらはめていきながら作っていきました。

全体通してサラサラっとメロディーが出来上がったんですか?

まずは今と変わらないメロディーでサビが出てきていたんですけど、それを変えたくなかったから、サビを軸に他の部分をどう彩っていこうかと思いながら考えていきました。

歌い方に関しても急に低音で歌ったり、ファルセットを入れたりと声色の使い方が印象的でした。歌う上でこだわったポイントはありますか?

この曲はキーがとにかく高いんですよ。過去一レベルで高くて。ライヴで一回演奏したんですけど、無理矢理にでも歌える自分に持っていく作業が必要で大変でしたね(笑)。歌い方で言うと、時が進むにつれて“こうやって歌ったほうが届くんじゃないか?”という自分の中の歌い方が見えてきたので、それに近づけるように今は歌っています。
L→R 亀山敦史(Ba)、陶山良太(Vo&Gu)、もぐ(Dr)
配信シングル「透命花火」

OKMusic編集部

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