Editor's Talk Session

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【Editor's Talk Session】
今月のテーマ:
『バーチャル渋谷』が示した
新しいライヴのかたち

『バーチャル渋谷』をご存知だろうか? コロナ禍で外出自粛が続く中でもアプリ『cluster』を使うことで、世界中のアバターとコミュニケーションをとり、バーチャル世界の“渋谷”でさまざまカルチャーを楽しむことができる。第19回目の座談会企画では、『バーチャル渋谷』で開催された『YOU MAKE SHIBUYA VIRTUAL MUSIC LIVE powered by au 5G』の主要メンバーである長田新子氏(一般社団法人渋谷未来デザイン)、佐野 学氏(KDDI)、石川 龍氏(KDDI)を招き、未来のライヴエンターテインメントの可能性を提示した同イベントの開催経緯や反響について語ってもらった。
【座談会参加者】
    • ■長田新子
    • レッドブル時代のスポーツや音楽イベントの主催、ブランド構築の経験から、現在は渋谷を中心にイノベーション事業創造やマーケターとしてさまざまな分野にチャレンジ中。
    • ■佐野 学
    • KDDIで新規事業立ち上げに一貫し従事(事業開発/出資・M&A/システムエンジニアなど)。現在は『バーチャル渋谷』を中心としたバーチャルシティの事業開発に注力。
    • ■石川 龍
    • 音楽、eスポーツ等のエンタメ領域で一貫して事業開発に携わる。ドラマーとしても活動を続ける兼業ミュージシャン。ザ・チャレンジ、ex.LUNKHEAD
    • ■石田博嗣
    • 大阪での音楽雑誌等の編集者を経て、music UP’s&OKMusicに関わるように。編集長だったり、ライターだったり、営業だったり、猫好きだったり…いろいろ。
    • ■千々和香苗
    • 学生の頃からライヴハウスで自主企画を行ない、実費でフリーマガジンを制作するなど手探りに活動し、現在はmusic UP’s&OKMusicにて奮闘中。
    • ■岩田知大
    • 音楽雑誌の編集、アニソンイベントの制作、アイドルの運営補佐、転職サイトの制作を経て、music UP’s&OKMusicの編集者へ。元バンドマンでアニメ好きの大阪人。

どこにライヴハウスがあったら
みんながワクワクするのか?

『バーチャル渋谷』

『バーチャル渋谷』

石田
まずは『バーチャル渋谷』で開催された『YOU MAKE SHIBUYA VIRTUAL MUSIC LIVE powered by au 5G』(以下、『VIRTUAL MUSIC LIVE』)を始めたきっかけについておうかがいできますでしょうか?
長田
昨年7月に渋谷のカルチャーを支援するために渋谷区と行なった『YOU MAKE SHIBUYAクラウドファンディング』がきっかけでした。このプロジェクトで集めた資金をどう使っていくのかについては、当初から渋谷にあるライヴハウスやアーティスト支援も考えていたんです。ただ、コロナ禍で状況が日々変化している中、具体的に話を詰めるためにライヴハウスやHIP LAND MUSICさん、アーティストの意見も訊いたところ、すでに実施されている配信だけでの支援は難しいのではないかということで、『バーチャル渋谷』という渋谷らしいオリジナリティーのあるプラットフォームで新しい取り組みをしてみたいといった意見をいただいて。新しいかたちでの支援を実現するためにKDDIさんにも相談し、“『バーチャル渋谷』でライヴイベントができないか?”という話からスタートしました。実際のライヴハウスともつながるために、今回はあえて『バーチャル渋谷』内のスクランブル交差点の下に新しくライヴハウスを作り、3月31日から5月23日まで毎週末にライヴを開催したんです。
石田
アーティストのブッキングもライヴハウスに協力してもらったんですか?
長田
はい。今回の企画は“音楽業界の方々と一緒になって渋谷の音楽シーンに貢献する”という意図もあったので、アーティストのブッキングも一部の公募を除いて、ライヴハウスやレーベルの方にもサポートをしていただきました。
石田
バーチャルでライヴハウスを作るということで、どんなテーマを掲げていましたか?
長田
新しくも渋谷らしい体験型のライヴハウスができたらいいなと思ったことと、もうひとつはスクランブル交差点のようなアイコニックな場所…いわゆる、渋谷に来たら“ここだ”と分かる場所なので、『バーチャル渋谷』だからこそできる“どこにライヴハウスがあったらみんながワクワクするのか?”ということも考えていました。渋谷区の区長とも話したことなのですが、渋谷のスクランブル交差点の地下にライヴハウスがあったら、アーティストは渋谷の中心から世界にライヴを届けられますし、観に来る人も期待を膨らませながらその場に行けるので、そのユニークさも相まって新しいかたちで音楽が発信できると思ったんです。
石田
渋谷駅前の広場ではなく、地下に作るというのがライヴハウスらしくていいですね。
長田
渋谷駅周辺の地下空間には、ゲリラ豪雨などの集中的な大量降水時に備えて地下貯溜槽の巨大空間があるそうです。渋谷の地下でイベントがしたいという話もよくあるので、だったらバーチャルならその空洞からイメージしたライヴ空間が作れるというのが発想のひとつではありました。

OKMusic編集部

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