木津つばさ、タケミチと自分に共通す
る「守りたい」ものとは 舞台「東京
リベンジャーズ」インタビュー

大ヒットヤンキー漫画『新宿スワン』の和久井健が2017年より連載している新作漫画『東京卍リベンジャーズ』。ダメフリーターの花垣武道(タケミチ)はどん底人生の真っただ中、突如中学生時代にタイムリープ。現代で悪党連合”東京卍會”の抗争に巻き込まれ、亡くなったと報道された中学時代の人生唯一の恋人ヒナを救うため、そして弱い自分を変えるため、タケミチは人生のリベンジを決意し、時代を行き来する。ヤンキー&タイムリープの話題作だ。
2021年4月からのアニメ化、同年7月9日(金)より北村匠を主演とする実写映画化が予定されており、盛り上がりも最高潮になるなか、8月より舞台化も決定。
舞台で主演・タケミチを演じるのは舞台『刀剣乱舞』シリーズ(博多藤四郎 役)や、舞台『炎炎ノ消防隊』(象日下部 役)など数々の舞台で個性的なキャラクターを演じる木津つばさ。本作の魅力、中学時代の自分と重ねたタケミチの男としてのかっこよさ、共演者について語ってもらった。
「何かのために体を張れる」タケミチとの共通点――
ーー本作舞台への出演が決まった時のお気持ちを教えてください。
以前からもちろん原作は知っていて、この作品がもし舞台化したら出演したいなと思っていたので、このお話をいただいたときは驚いたと同時に、「ついにやるんだ……!」というドキドキがありました。しかも“タケミチ役”でお声がけいただけるとは思っていなかったので、とても嬉しい気持ちです。でもアニメ化、実写映画化と続いてきているので、非常にプレッシャーも感じています。
木津つばさ
ーーこの作品のどういうところに面白さを感じましたか?
男心をくすぐるところです。本作には女性ファンもたくさんいると思いますが、男の子が好きなザ・少年漫画っていう要素がたくさんあります。僕は殴りあっての喧嘩もしたことがないですし、そういう世界にも触れてこなかったので、最初はちょっと非現実的な感じもしていました。そこにタイムリープというワクワクする要素が加わって。今、原作が一番盛り上がっているイイところ(2021年4月現在)なんです! 早く続きが読みたいです。
ーー普段はどんな漫画を読まれることが多いんですか?
少年漫画をよく読みます。実は講談社さん作品原作の舞台をやらせていただくことも多いです。ミュージカル『アルスラーン戦記』、舞台『炎炎ノ消防隊』もそうですね。たくさんご縁をいただいています。
ーータケミチと木津さんが似ているところ、違うと思うところとは?
まず、自分とは違うなと思う点でわかりやすいのは中学生時代です。喧嘩や抗争のような荒々しい人は親しかった友達にもおらず、自分が過ごしてきた生活とは全く違う世界です。似ているところは「何かのために体を張れる」、「守りたいもののためにしっかり自分の意志を持っている」という点です。僕も役者をやっていくうえで、生きていくうえでそういう核や芯の部分を強く持っているので、そういうところもタケミチに感情移入しやすかったです。
ーー木津さんの「核や芯の部分」とは?
僕はおばあちゃんっ子で、育ててくれた祖母に恩返しがしたいという気持ちを強く持っています。そもそも学校で習う勉強には必ず“答え”がありますが、その“答え”が出るものが特に好きではなくて。逆に答えがないものの方が、昔から魅力を感じていました。そんな時に出会ったのが“答え”のない「お芝居」。この世界で生きていきたいなと思うようになりましたが、恥ずかしくてなかなか親にも言えなくて。この将来の夢を話したとき、周りの大人が渋い顔をする中、祖母は「好きなようにさせてあげてください」と僕を後押ししてくれたんです。そのときの出来事から祖母への恩返しを心に誓っています。自分の人生の核であり、お芝居をする上でも大切にしている想いです。
木津つばさ
ーータケミチ以外にも好きなキャラクターはいますか?
うーん、魅力的なキャラクターはたくさんいると思いますが、やっぱりタケミチが一番好きです! 最初にタイムリープした時は、過去の自分が嫌になって早く帰りたいと困惑していたのに、ヒナと会うシーンがもう鳥肌すぎて! 大切な人を守るために覚悟を決めた瞬間ですよね。人の生死はあっという間で儚いけれど、大切な人と会ったり想ったりすることは生きていくうえでとても大事。そういう大切な人のために強く生きていかなければならないんだと強いメッセージが込められているような気がします。
それにタケミチが泣くシーンはどれも印象的で、人のことを想うってこんなに素敵なことなんだなと教えてくれました。漫画だよね、ノンフィクションじゃないんだよね! って何度も涙が出てきてしまいました。
あと溝中5人は信頼し合っていてとても良い関係性だなと思いました。マイキーたちは力で多くを従えることができるけど、タケミチは気持ちで人を動かす方。マイキーもドラケンもタケミチに出会って変わっていくというのが、タケミチの主人公さを際立たせていると思います。
ーーほかに気に入っているシーンはありますか?
夏祭りのお話です。タケミチがヒナの前で泣いてしまった時、ヒナは事情を知らなくても優しく受け止めてくれて。そしてそのあとのシーン!! 少年漫画なのに甘酸っぱくてきゅんきゅんしてしまいました。彼女と夏祭りに行くなんてことしてみたかったなぁ。ヒナちゃんも中学生にしては大人びてますよね。1巻でマイキーやドラケンにひるまず立ち向かう姿はかっこよかったです。彼女もタケミチと同じで心に核みたいなものを持っている、強い女性なんでしょうね。
今回は初めて地毛で演じようと思っています――
ーービジュアル撮影で実際の衣裳を着た感想をお願いします。
いよいよ始まるんだなって思います。稽古も台本もまだの状態ですが、すごい作品に出させていただけるんだなと、衣裳を着てなおさら身の締まる思いです。大事な人のために死ぬ気で戦いたいです。
ーー最近金髪にされたツイートをして、ファンの方にも「初めて見る髪型!」と言われていましたね。
オン眉で、ここまで短い髪型は初めてです。ファンのみなさんも驚いたかなと思います。
ーー実際の舞台での髪型ですか?
そうですね。今回は地毛でいきたいと思っています。タケミチは喧嘩でボロボロにもなりますし、めちゃくちゃ汗もかくと思います。地毛でやればそんなタケミチと一心同体になれるというか、リアルな感情にもっと近付くかなと。こういう原作がある作品ではカツラやウィッグ、カラコンをすることが多いのですが、僕は初めて地毛で演じるという気分を味わっています。
木津つばさ
ーーウィッグと地毛では演じるうえで違うものなんでしょうか。
全然違います。逆にウィッグ・衣裳・メイクをした状態で鏡を見ると、目の前にキャラクターがいるので、すっと役が入ってくるので切り替えはしやすいです。でもタケミチは現在と過去を行ったり来たりするので、どちらかは必ずカツラでやらなければいけないんです。
ーー現代と過去(中学生)を一つの舞台で何度も入れ替わるのはすごく大変なことだと思います。その辺り、考えている演技プランなどはありますか?
声色の区別はしようと思います。でも時間を行き来する時の感情も毎回違いますし、世界も少しずつ変わっているのでどうしようかと悩んでいます。現代の世界で死んでいたはずの人物が過去から戻ると生きているとか、すごく難しい感情だと思うんです。どう演じ分けたらお客さんに伝わるかなって考えてはいますが、演出などがつかないと固まらないので、伊勢(直弘)さんに託して、一緒に楽しみながらこの世界を作りたいです。
ーー共演者についてはいかがでしょうか。
マイキー役の松田凌さんはずーっと共演したいなと思っていました。彼のお芝居はとてもエネルギッシュで観ていて自分の活力にもなるし、本当に楽しんでお芝居をやってらっしゃるんだろうなと。憧れにも近い存在で、こういう役者になりたいですね。圧倒的な存在感をもつマイキー役の松田さん、もう既に勝手に信頼してます(笑)! きっと松田さんからは吸収することだらけなので、全部盗んでやろうって思います。
ナオト役の野口準くん、ドラケン役の陳内将さん。陳内さんと舞台でご一緒するのは2回目かな。あの背中はやっぱりかっこいいです。準は僕より年下でかわいいなと思うこともあるんですが、大人びていてしっかりしているのでなんでも任せられる役者です。初めましての方々もいますが、信頼できるカンパニーにしたいですね。
木津つばさ
ーー喧嘩の時は背中を預けられるくらい頼もしい方たちですね。
本当にそれ大切ですよ! マイキー、松田凌さんに背中を預けられる日が来たかと! うーん、これはアツいですね! 負けてられないです!
怖いけれどちょっとカッコイイ、ヤンキーの先輩たち――
ーー中学時代の木津さんはどんな子でしたか?
今でいう「陰キャ」みたいな感じで、おとなしかったです。運動は好きでしたが、教室で本を読んでいるような普通の子供でした。でも小中学生はやっぱり他の子より目立ちたいっていう欲があると思うので、本当は心の中のどこかでそういう欲求を頑張って押し殺していたのかもしれません。広島出身なので、周りにヤンキーっぽい生徒は多かったと思います。
ーー怖い先輩とかいましたか?
体育祭の時に、グラウンドにある部室の屋上に数人のヤンキーの先輩がたむろしていて、野次を飛ばしたりしていたことがあったんです。僕も友人たちも、目を付けられないように目線を合わせないようにしていましたが、怖いけれどちょっとカッコイイなって思っちゃいました(苦笑)。
ーー最後にメッセージをお願いします。
原作ファンだった『東京卍リベンジャーズ』​が舞台化して、そして主演の花垣武道を演じさせていただけるとは! これまで以上にないくらい嬉しいことであり、そしてプレッシャーもとても感じています。伝えたいことは舞台上で届けます! なので、ぜひ観に来てください。やり切ります!
木津つばさ
取材・文=松本裕美  撮影=池上夢貢

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