【愛はズボーン インタビュー】
自由を謳歌する
痛快なニューアルバム
“僕らのために”っていうのが
全曲を通してある
白井さんとGIMAさんで作られた曲がある一方で、富永さんと金城さんで作られた曲もあります。「BEAUTIFUL LIE」はそれこそ前作にはなかったスケール感のある楽曲で、少し電気グルーヴからの影響も感じました。
金城
まずふたりの好きなものを挙げていって、そこで浮かんできたアイディアから作りました。トミちゃんとはあんまり深く音楽の話をしたことがなかったんですけど、聞いてみたら僕の想像していたところとは違う角度の音楽が出てきたというか。“何聴いてるん?”って訊いたらトラヴィス・スコットって言われて。で、トミちゃんと一緒にトラヴィス・スコットの音源を聴いて、そのビートで曲を作ってみました。それからは、まさに“電気グルーヴの音色ってどんな機材を使って出してんやろう?”とか、そういうことを考えてして結構ロジカルな作り方をしてますね。ただ、そういうアプローチをしつつ、ふたりでゲラゲラ笑いながら作った曲でもあって。トラヴィスのビートやのにバスドラの音はエイトじゃなくしようとか、おもちゃみたいな音を流したりして笑ってました。前奏のシャカシャカ言っているやつ、めちゃくちゃ時間かかったよな?
富永
僕らも“どうやって鳴らすの、これ?”みたいな感じです(笑)。
金城
キーンって鳴るとこがあるんですけど、オートメーションで作っているから僕らも再現不可能です(笑)。
トラヴィスの他にはどんなキーワードが出ていましたか?
金城
リマールの「The NeverEnding Story」は聴いていました。ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』を観ている時に流れてきて、“この曲、ヤバ!”と思ったんで。80sの曲ってメロディーやハモりの感じも広いからスタジアム感があるんですよね。ああいうのを真似すれば音が広くなるかなって気持ちはありました。
そして、「ぼくらのために」。part1とpart2で2曲入っていることからも、この曲がこの作品の核になっているのかなと。それが1曲目になっているという点で、今回はバンドとしての主張やアイデンティティーを、最初にガツンと聴かせるアルバムでもあると思ったのですが。
金城
それはGIMAくんのおかげだと思います。僕はそういうことをやっちゃうのが恥ずかしいんですよ.…今も言われてから“恥ずかしい!”ってなってます。
金城
僕は「ぼくらのために」のpart1を最後の曲にしたかったんです。そういうガツンとくるものはあんまり前に出さず、最後の最後に“金城もこういうこと言うねんで”ってとこも見せて、引っこまそと思ってたんですよね。結局それが最初にきた理由はいくつかあるんですけど、なぜそれができたかって言ったら、GIMAくんのおかげです。GIMAくんは僕のように恥ずかしがらずにメッセージを出せる人やから、そういう人がおるんやったら前に出したほうがええでしょってことです。
GIMA
でも、“ぼくらのために”っていうワードがそうさせてるんやと思います。アルバムのメッセージやテーマとしても、ほんまに全曲を通して“ぼくらのために”っていうのがあると思いますし、最近はライヴのセットリストひとつとっても“ぼくらのために”がキーになっている気がします。
それが今の愛はズボーンのテーマでもあると。
GIMA
そうですね。誰かを喜ばせようって気持ちが一番前にあるのは、すごく矛盾していると思うんですよ。全ての行動はまず自分のためであって、結果的にそれが人のためになったらいいってだけなので。音楽をやるのも、バンド活動をやるのも、自分らのためやなって金城くんと話していますし、今自由にやれている理由もそういうことなのかなと思います。
「ぼくらのために」のpart1ではなく、最終的に「えねるげいあ」になったのは?
金城
そこは僕がゴリ押ししました。収録曲を聴き直してみたんですけど、「えねるげいあ」の歌詞が《DO IT MYSELF》になっているので、この曲のメッセージって実は「ぼくらのために」と一緒なんですよ。むしろ、「ぼくらのために」よりももっと個人的な世界になっていて、“自分のために自分で全部やる”っていう歌やから。“結局はお前かい!”ってキャラクターもトンチが効いていていいなと思い、最後に持ってきました。