NakamuraEmi、3ヶ月連続デジタルシン
グル第1弾「私の仕事」ーー今までの
強いイメージを良い意味で裏切る本当
の優しい歌とは

4月、5月、6月と3ヶ月連続デジタルシングルをリリースするNakamuraEmi。パワフルなリリックとメロディーが突き刺さってくるイメージが彼女の楽曲にはあるが、4月16日(金)にリリースした「私の仕事」は良い意味でイメージを裏切られるし、ひと味もふた味も違う。優しいというと簡単な表現になってしまうが、リリックもメロディーも優しく振り切れているし、これが本当の優しさなんだろうと思わせられる。コロナ禍で去年の3月、4月と自分を見つめ直した事で、「私の仕事」という言葉に、楽曲に辿り着いたのだろう。元々、彼女には丁寧さ誠実さ真摯さを感じていたが、この楽曲には、その全てが表れている。これからの人生への決意表明とも捉えられたし、彼女自身の事を歌っているのに、聴く人みんなに優しく寄り添ってくれるし、それぞれの事も見つめ直せる。とにかく、この文章であーだこーだ書き連ねるよりも、すぐに聴いてもらえる事が何よりも嬉しい。
NakamuraEmi
——去年10月に京都円山公園音楽堂で開催されたイベント『「聴志動感」~奏の森の音雫~』で、Nakamuraさんのライブを久しぶりに関西で観れたのが嬉しかったです。
今までは当たり前のように新幹線に乗って行かせてもらってましたけど、当たり前では無い事を改めて感じましたし、ライブが出来た事が本当に嬉しかったです。お客様の拍手や手拍子だけでなく、自然の木の音も聴こえてきたり、ライブハウスと違う感覚も改めて感じられましたね。
——去年は、コロナ禍の影響で予定されていたライブも中止や延期が多かったですよね。
3月からのツアーは無くなってしまいましたが、ラジオの無観客ライブに呼んでいただくなど、完全にライブを止める事が無かったのは良かったですね。配信ライブが中心にはなりましたが、どういう見た目にしたら楽しめるかを、メンバーやスタッフとも考えましたね。後、意外と関東の方でディスタンスを保った上での野外フェスが開催されたりもしていたんですよ。
NakamuraEmi
——今、お話を聞いていても思いましたが、この1年も含めて、Nakamuraさんは活動が大きく止まったイメージが無いんですよ。
元々、表に立って何かをするというタイプでは無かったので、デビューしてからの5年間は慣れない事ばかりで、周りについていくのに必死でした……。去年の3月、4月は何も動けない状態でしたから、そこで心と体を休められましたね。何やかんや追われていた5年間だったので、ようやく自分に対して客観的にもなれました。
——楽曲作りという点では、何か変化はありましたか?
通常の時期よりも、曲を作るには色々なテーマがありましたが、難しかったですね。歌詞は思い浮かぶんですけど、何ヶ月後かには思いが大きく変わったりして、(世の中に)出すものじゃ無くなったりするので……。やっぱり、いつまでにという〆切もありますしね。でも、今回は去年の3月、4月に休んだ事で、いつもなら煮詰まるところで、本を読んだり、映画を観たりすることが出来ました。今まではアウトプットとインプットの時期が完全に分かれていたので、曲作りになると、それだけになって、人間らしい生活が出来なくなっていたんです。今回みたいに気持ちを切り替えて、外に出たりなんていうのが無かったですから。それと今回は、曲作りの間にスタッフたちに聴いてもらえる時間もあったので、1曲1曲に感想を丁寧にもらえたのも良かったですね。今までもアルバムを作るにあたり、全体的に感想をもらう感じはありましたが、1曲ずつ、みんなで意見しながら、何回も修正して作業できたのは新しかったです。自分の事を曝け出して、楽曲を作る事も見直せたというか。自分が、自分が、となってしまう言葉を客観視して、より、聴いてもらう人の事を考えるようになれました。みんなが繊細な時期に、あまりにも好き勝手な事を歌う事は無いなと思いましたね。今回、「私の仕事」が出来たのも、去年の3月、4月に自分の力が抜けたのが大きかったなと。今まで「心がエグられる曲でした!」とうことが多かったですが、今回は、そうじゃない寄り添える曲が出来ました。みんなの事を直接的に歌った曲ではないですけど、みんなに置き換えてもらうことで寄り添える曲になりましたね。

NakamuraEmi
——本当に優しい曲なんですよ。で、もちろん当たり前なんですが、上辺の薄さとかが全く無くて……。どうして、ここまで優しく振り切れた曲が出来たんだろうと思って。

一体、何だったんだろう……?? 自分が凄く変わりたかったし、色々と挑戦できる時期ではありましたよね。私は曲を作るのに時間が掛かるんですけど、この曲はさぁーっと出来て。その時の素直な気持ちなのかな……?? この曲を一番好きと言ってくれるスタッフも多くて。<私の仕事は 私を強くする>という歌詞も、<私の仕事は>の後を「曲を作る」みたいな、自分の為の歌詞にするとNakamuraEmiの事を歌っている事に戻ってしまうので、<私を強くする>とかに変わっていったんです。サビを聴いた時にみんなにストンと入ってもらえるようになれたらなとは考えていましたね。なので、<私の仕事は 私を強くする>の歌詞は、みんなに当てはまるように解釈してもらえたらいいですね。それと今回、エンジニアやジャケット撮影を新しい人たちにお願いしたのも大きかったですね。今までは、ずっと同じチームでやっていたので、私が何も言わなくても大丈夫でしたし、とても甘えていました。だから一緒に組んでいる人たちを私はちゃんと活かせていたのかなとも考えたりして……。新しい人たちと組むと、今まで自分に足りなかった事もわかったし、だからこそ、今後また今まで一緒にやっていた人たちと組み直したら、また違う感じを出せるようになりたいなと思っています。長く仕事を続けていきたいからこそ、改めて頑張ろうとも思えていますね。
NakamuraEmi
——新しい人たちと仕事をすることで、より自分の仕事を意識する事が出来たというのもあるんでしょうね。なので「私の仕事」は、改めて思いますが、良いタイトルですよね。
みんな色々な仕事をされていて、だからこそ、私の仕事が成り立ってるというか、当たり前なんですけど。自由に動けなくなった時期があったからこそ、自分は、どうなのかと考えられたんでしょうね。
——以前から思っていましたが、Nakamuraさんは丁寧で誠実で真摯な人だし、この「私の仕事」は、その丁寧さ誠実さ真摯さが凄く表れた楽曲だと思います。
ありがとうございます。元々、自分は音楽だけでやっていくと思っていなかったですからね。普通に仕事があって、恋愛をして、友達と遊ぶ時間もあって、それで曲が出来ていたんですが、それが音楽だけをやる事になって、怖かったですよね……。デビューして5年間、新しい事だらけで、それが曲になっていたんですけど、どんどん若い面白い子が増えてきて、私が新人で無くなっていってヤバいなと……。だから、自分の仕事とマインドに向き合う時でしたよね。

NakamuraEmi
——4月の「私の仕事」を皮切りに、5月6月と3ヶ月連続でデジタルシングルがリリースされるのは、本当に楽しみですね。

今までアルバムをドーンとリリースするのがメインだったので。 4月は入学であったり、新社会人だったり、新しい部署だったり、戦っている人も多いだろうし、みんな大変な時に、この曲を聴く事になるから、この優しい曲にしようと思えたんでしょうね。1ヶ月1ヶ月、毎月違う形で楽しんでもらえるようにと考えています。5月は、こんな気持ちになるよね、「じゃあ、この曲!」みたいな。3曲全てを出した後は、去年新しいミュージシャンとセッションしたり、配信も有観客も色々とライブもやって、反省含め勉強になったので、失敗を怖がらずに挑戦をしていきたいです。
——33歳でメジャーデビューされていますけど、本当に激動の30代でしたよね。
確かに年齢も何かあって、今年3月に39歳になって、今年40歳になる学年ですけど、40代が凄く楽しみなんです。30代が終わるのかと思うと、濃い30代だったんだなと思いますね。「30代って何だったんだ!?」というくらい凄かったですし、終わるのも信じられないくらいに早いですけど、だからこそ新しい自分になりたいと思っていて。デビューする時に勤めていた会社を辞める事になりましたけど、会社の人たちに喜んで送り出してもらえて、「ダメなら帰ってきていいよ」とも言ってもらえたんです。なので自分で勝ち取った人生というよりは、多くの人に出会って動かしてもらった人生ですよね。その覚悟は曲にもありますし、今の曲に優しさを感じてもらえたのは、何よりも嬉しいです。強いだけでなく、優しさも必要な時期なのかなって。強さも、人を罵るとかの変な強さではなく、違う強さが必要なんでしょうね。

NakamuraEmi
取材・分=鈴木淳史 撮影=ハヤシマコ

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