山崎育三郎&古川雄大「お互いを高め
あえた」 ミュージカル 『モーツァ
ルト!』開幕直前取材レポート

“音楽の天才”モーツァルトが駆け抜けた、歓喜と苦悩の35年の生涯を描いたミュージカル『モーツァルト!』が2021年4月8日(木)から帝国劇場で開幕する。小池修一郎が2002年の日本初演以来演出を務め、2018年に新演出バージョンを上演、そして今回、3年ぶりに上演される。
初日を前日に控えた4月7日(水)、ヴォルフガング・モーツァルト役の山崎育三郎古川雄大(Wキャスト)が帝国劇場のロビーで報道陣の取材に応えた。
山崎育三郎と古川雄大(左から)
――3年ぶりの『モーツァルト!』ということになりますが、お稽古の調子などはいかがですか。
山崎育三郎:コロナ禍ということで、稽古もマスクをした状態での稽古でした。今まで経験したことのないような稽古場でした。舞台上で初めてマスクを取って、声を出したので、すごい鍛えられましたね。山でトレーニングしているような感覚。ずっと貧血になるぐらいで、マスクを付けっぱなしでの通しや稽古が結構しんどかったので、逆にすごく強くなった気もします。この赤いコートが実は今年2021年になって初めて新しくなったんです。新品になりました。すごく気持ちが高まっています。
――コロナ禍ということで新品にされたんですかね?
山崎:僕は11年この役をやっているんですけど、ずっと先輩の衣装を着ていて。多分、昨年朝ドラに出た効果ではないかなと(笑)。ついに自分の赤いジャケットを、雄大もそうですけど、作ってもらったんじゃないかなと思います(笑)。
――2人とも『エール』に出演した効果がありましたかね(笑)。
山崎:そうですね(笑)。
――古川さん、どうですか、新しいジャケットの着心地は?
古川雄大:とても気持ちがいいですね。朝ドラのおかげで、こうやって作っていただいたので(笑)。そして、(古川が演じた)ミュージックティーチャーと(山崎が演じた)プリンスが本当にバトルするという見どころがあると思いますね、はい。
山崎育三郎
――今は『モーツァルト!』のお2人としていらっしゃいますが、見る人によっては(朝ドラで演じた)久志とミュージックティーチャーと思う人もいるかと思います。お二人としては朝ドラの現場とミュージカルの現場、どのように違いますか?
古川:基本的にやることは全く違うんですけども、2人の関係は全く変わらず、(山崎は)優しくて、頼れる先輩という印象です。すごく助けていただきました、今回の稽古場でも。
――どういうところを頼って、どう助けてもらったんですか。
古川:そうですね、歌の面ですごく力になっていただきました。僕の分からないところをとにかく育三郎さんに聞いて。「こうやった方がいいよ」というアドバイスをたくさんくれたりとか、お芝居の面でも「自分はこう思うんですけど」と育三郎さんの意見を聞いたりとか。だからWキャストとして高め合っていけたのかなと思います。
――お二人でこの『モーツァルト!』に出演されるのは2回目。それでもまだ探っているところがあるんですね。
古川:そうですね、約3年ぶりの作品ですし、小池先生も「より良いものを」という演出を今回つけてくださって。また変わった部分がありながら、僕自身もどうにか進化したいなという思いでいます。やっぱり目の前で(山崎が)素晴らしいヴォルフガングを演じてくださっているので、何か盗めないのかなと。とにかく学ぶという気持ちでいました。
――山崎さん、今の古川さんの言葉をうけてどうでしょうか。
山崎:はい、そうですね。でも、それぞれなので。雄大のヴォルフガングも3年前から見違えるほど進化していますよ。僕も24歳からこの役をやらせていただいて、今年35歳。再演ごとに自分の変化に気づかされるというか、こういうことできるなとか、逆に今まで何とも思わなかったシーンで急にグッと来たりとか。自分の変化もすごく楽しんでやっていますね。
古川雄大
――以前は(古川が)なかなかご飯も行ってくれないとか、心を開いてくれないといったお話もあったんですが、今回はどうですか?
山崎:そうですね、ご飯はコロナ禍ということもあって行っていないんですけども。でもだいぶ(笑)。すごく先輩扱いしてくるんですけど、1歳しか変わらないんですよ、年齢は(笑)。僕が(舞台を)長くやっているというだけで、年齢は同世代だと思っているので、一緒に盛り上げていきたいなと。すごく今はなんでも語ってくれるようになりましたね。
――例えばどんなことを?
山崎:役のことに関しても、(古川は)結構自分でグッと考えるタイプだったんだけれど、歌のことも含めて、いろいろな役作りや音楽的なことも一緒に話したり、相談したり。朝ドラでもずっと一緒だったので。いま一番ずっと一緒にいる相手です。
山崎育三郎と古川雄大(左から)
――今回は体力勝負ということもあると思いますが、古川さんは食事をちゃんとしていますか?食べていますか?
古川:そうですね(笑)。食事は本当にちゃんと取っております。前回『モーツァルト!』をやったときに、ちょうどタイミングが重なって糖質制限をしていたんですね。この大変な舞台をやっているときに、糖質制限って、今思うと考えられないんですけど。今は本当にたくさん食べて、筋肉に必要なアミノ酸もたくさん飲んで、万全な状態で挑もうと思っております。
山崎:一緒にトレーニングをしているんです。稽古場で筋トレとか。2人ともね、実はひとまわりぐらい大きくなっているんですよ。僕なんかは衣装のサイズがほぼ全部変わりました。雄大も脱いだらものすごくムキムキですよ(笑)。
――脱ぐシーンはありましたっけ?(笑)
古川:脱ぐシーンは2箇所ぐらいあるんですけど、上半身裸というわけではなくて、タンクトップだったりとか、シャツ一枚とか、そういうのはあるんですけども。だから、あんまり分からないかもしれないです(笑)。
――サイズはどれぐらい変わったんですか?
古川:僕は体重でいうと5、6キロ増えたのかな。前回と比べると。
山崎:僕もそうですね、4、5キロぐらい増えました。やっぱり怪我をしたくないので。僕らも30代半ばになってきたので、筋肉という支えがないと。モーツァルトは、かなり動きが激しい。なので、怪我をしないためというのが、一番の目的です。
古川雄大
――稽古が非常に順調だそうですが、前回の出演から空いた3年分は、お二人とも、いろいろなお仕事をされてこられました。その経験が血となり肉となった感覚はあるんでしょうか?
山崎:そうですね、それまで経験したことは生かされます。それこそ、朝ドラでもずっと一緒だったので、2人で高め合ってきたものが、今回の舞台で発揮されるだろうなという思いはありますね。
――モーツァルトは天才と言われますが、お互いを天才だなと思うところはありますか?
古川:僕は、(山崎は)お芝居ももちろんそうですけど、やっぱり歌の部分で言うと、ずば抜けているなという風に思います。いろいろなミュージカルの方がいますけど、ミュージカルはミュージカルの歌、ポップスはポップスの歌って、結構どっちかしかできない方が多いと思うんです。でも、育三郎さんは多分両方できる。そんな方を僕は見たことがないので、天才だなと。
山崎:ありがとうございます。(古川は)ストイックで、努力の天才だなと。それが一番だと思うんですけど、デビューからの年々の雄大の進化は凄いので。僕はヴォルフガングやるだろうなと、(古川が)若い時から思っていたんですけど、自分の想像をはるかに超えた表現を、自分で掴みにいっている。すごく努力家ですね。
山崎育三郎
――2人とも、3年前とは違う感じになっていますか。
山崎:だと思います。
――舞台に立つのも少し間が空いています。その意味で不安だったり、また新たに得た自信だったり。どういった感情があるんでしょうか?
山崎:そうですね、実は舞台稽古始まって、初めてキャストの顔をみたんですよ。ずっとマスクを外した姿を見たことがなかったので。新しいメンバーの顔を初めて見た。それこそアマデちゃんという子役の子たちがいるんですけども、その子たちもマスクをしていたので、まだ顔を見たばっかりということがすごく新鮮でした。
今回、コロナ禍ということで、1回1回の公演がひょっとしたら千秋楽になるかもしれない、明日何が起こるか分からない。そんな時代の中で、舞台に立つと言うのは、本当に、これが最後でいいと思えるようなところを目指してやりたいなと、今一番思っていますね。

(写真提供/東宝演劇部)
(写真提供/東宝演劇部)
――今回『モーツァルト!』としては初めて札幌公演も入っていますし、地方公演も入っています。その辺りの楽しみはありますか?
山崎:無事にゴールまで行きたいなと思っています。なかなか関西の方も大変なことになってしまっているので、とにかく千秋楽まで走り抜けられるようにという思いでしかないです。
――共演者のみなさんはどんな様子ですか?
山崎:市村(正親)さん、市村パパは、僕は11年ずっと一緒にやらせていただいているんですけど、今回が一番艶がある声。どんどん声が出るので、びっくりするんですよ。あれは若返りだよね。
古川:思いました。
山崎:市村パパが今まで以上にキラキラ、艶のある声で、歌い上げているのは現場で感動しました。
古川:僕も本当にそう思いました。市村さん、いつもそうですけど、今回は特に気合入っているというか、まだ成長が止まらな……いや、成長というか、進化が止まらない。
山崎:成長って(笑)。
古川:進化ですね(笑)。あの年齢になってもまだまだ止まらないというのは恐ろしいと思いますし、そういう風になりたいなと憧れもあります。
山崎育三郎と古川雄大(左から)
――古川さんと山崎さんは稽古以外でどんなお話をされるんですか?
古川:筋肉トークですかね。専ら筋トレの話をしています。どうやったらここに(筋肉が)つくんだろうとか、どういうプロテインを飲んでいるとか、いろいろ筋肉の話をさせていただきました。あとは本当くだらない冗談を言い合ったり。(山崎と古川は)お互い、笑いのセンスがちょっと似ているところがあるので、これ面白いよねみたいなことを。他愛もない話から真面目な話までいろいろさせていただいています。

――最近面白かった話は?
古川:最近面白かった話ですか?ちょっと今浮かびません。たくさんありすぎて、どれを話そう(笑)。
山崎育三郎と古川雄大(左から)
――では最後に、観客の皆さんにエールやメッセージをお願いします!
山崎:今こういう状況だからこそ届けたいものがあると思いますし、劇場に足を運んでくださる全ての方が戦っている状態だと思うんですよね。このヴォルフガングが自分の人生を全うする、運命と戦っていく姿を見て、何か勇気づけられたら、エールを送られたらいいなという気持ちで、頑張りたいなと思っています。よろしくお願いします!
古河:3年ぶりの『モーツァルト!』、僕自身もそして作品としてもとにかく進化していると思います。なので、たくさんの方に見ていただければなと思いますので、ご期待ください。お願いします。
(写真提供/東宝演劇部)
(写真提供/東宝演劇部)
取材・文・撮影(会見)=五月女菜穂

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