【新企画】洋楽に特化したPodcast番
組『speakeasy podcast』とSPICEの連
動企画、第一回ゲストはReiが登場

海外音楽情報専門podcast『speakeasy podcast』とSPICEがタッグを組んで始まるインタビュー企画がスタートした。hostには2010年から2019年まで大阪のラジオ局FM802でDJを担当していた“TT”こと竹内琢也がMCを担当。第一回のゲストは竹内とも交流の深いシンガー・ソングライター/ギタリスト・Reiが登場。2018年11月発表のファースト・アルバム『REI』のInternational Editionが、アメリカに本拠地を置くユニバーサルミュージック傘下のVerve Forecastレーベルより2月26日(金)に全世界配信された。
今回、2月26日(金)、3月4日(金)の2回に分けて、Reiの近況、海外アーティスト話を配信。SPICEではダイジェストでインタビュー記事を掲載。続きが気になる人は『speakeasy podcast』をチェックしよう。
speakeasy podcast
●コロナ禍で思う事●
竹内:この一年半いろんなことがありましたよね。いろんなところでも聞かれてるとは思うのですが、どうですか?
Rei:「心細い」という気持ちがすごく増幅しました。やっぱり大人数で集まったり、ある一定以上の人数で集まる機会が減ったということもあるので、まるで地球の人口が減ったような……じゃないですけど、本当に一緒に過ごしていた沢山の人々が同じ惑星に存在しているのかさえ、疑ってしまうくらいやっぱり、苦境な気持ち。
竹内:コロナウィルスのパンデミックというのが、この1年半で言ったら、すごく大きな出来事ですけど、普通に生活してても一年半というのは、コロナだけでなく、人としてもいろいろ変わるじゃないですか。そういう部分で変わったことはありましたか?
Rei:感情の色数が増えたと思います。
竹内:というのは?
Rei:コロナも関わってるとは思うんですけど、結構、私も奥手というかシャイなほうなので、自分の世界の中に没入することが多かったりするんですけど、もっと自分が大切に想ってる人とは、より深くつながりたいという気持ちがすごくあって。コミュニケーションも自らとるようになったりはしたんですけど、自分の中で、例えば4種類しかなかった感情の色合いが倍の倍の倍くらいになった感じがありました。人が「悲しい」と言ってるのは、どういう悲しいだろう……ということをすごく考えるようになりました。
竹内:結構大きな変化ですよね?
Rei:大きいと思います。それですごく大人になったなというのも変ですけど、感情の色合いを、分析、感じる力を身につけたことによって、その人の気持ちがよりわかる人間にはなれた気がしました。
●配信ライブの心情●

Rei Tour 2021 “SOUNDS of HONEY” -the Band Set- Net Surfing!
竹内:ライブ配信だけじゃなく、やっぱりお客さん入れてのライブは気持ち的に全然違いますよね。
Rei:違いましたね。配信ライブって、例えばアニメとかで悪者とかの人たちが能面じゃないけど、黒くなって登場するじゃないですか。そういう感じじゃないけど、そういう人たちが、私をモニタリングしてるような気持ちになるんですよ。もちろん自分のお客さんだから、「自分の味方」だとわかってる一方で、そういう脅迫観念みたいなものを感じることがあって。去年、ブルーノートで配信ライブはすごく自分にとってプレッシャーのある出来事でした。なので、そこを自分自身も強くなって乗り越えて、配信で観てくださる人たちは「ライブを観たい」というポジティブな気持ちで参加してくれてるから、そのお客さんに対してと、観に来てくださったお客さんに対してとの二つのベクトルを持ちながら、ライブをやらなきゃいけないというのは今回チャレンジングでしたね。
Rei Tour 2021 “SOUNDS of HONEY” -the Band Set- Net Surfing!
竹内:MCでも仰っていましたが、今まではお客さんのことを団体みたいな感じでみていたけど、一人一人をみるようになったというか。一人一人が来てくださってるんだと感じるようになったと、MCで仰っていたのが印象的でした。
Rei:そうですね。さっき一年半での変化という話がありましたけど、自分にとって本当に大きいことだったんです。もちろんやっぱりスーパースターになりたいとは思っているんですよね。その一方で、身近な人と愛し合うとか、そういうとってもシンプルなことの難しさを感じたんです。自販機で買ってきた「好きだよ」みたいな安易さで伝えると、感情って伝わらないんだなという発見があったし、ステージでパフォーマンスしてる身としては、やっぱり一人一人を大切に思う気持ちを強めていかないといけないなという反省というか、これからそういうふうにしていこうという気持ちの表れがMCに出ていました。
●ランディ・メリルとのやり取り●
Rei:ランディに直接メールのお手紙を書いて、こういうイメージが全体にあるんだとか、最近の洋楽のトレンドとか、例えばリファレンスでランディの携わった作品だとこういうものが近いと思うとかそ伝えました。あと自分はギタリストだけど、やっぱり歌手としての見せ方をしたいから、そのバランスとかもまとめてお手紙にして、第一弾みたいな感じで送ってきてくださったものを、いくつかのスピーカーとかイヤホンとか、3つくらいの環境で聴き比べて、気になることがあったら、修正して送っていただくという作業の繰り返しをしました。
竹内:ランディ・メリルは最近でいうとポールマッカートニーのニューアルバム『マッカートニーIII』のマスタリングや、昨年はテイラー・スウィフトの『folklore』(2020年)、レディー・ガガの『クロマティカ 』(2020年)とかを手がけてて、個人的にランディのマスタリングワークで痺れたのはBECKの『COLORS』(2017年)なんですけど、これはリファレンスとして提出してました?
Rei:出しましたよ! BECK自身も私にとってのヒーローというか、ブルーズのバックグラウンドもある方ですし、今の時代を生きる現在進行系のアーティストという意味ではすごく尊敬していて。BECKもここ数年、音楽性も変化してきてますけど、『COLORS』は特にアレンジというより、ミックスやマスタリングも関わってるとは思うんですけど、いい意味で分かりやすくなったなという印象は受けたんですよね。BECKの『COLORS』というビジュアルも含めてですけど、あのビビッドな作品にすごく似合うサウンドというか、トリートメントみたいな感じの印象を受けました。
●『REI』のInternational Edition&アルバム『HONEY』について●
竹内:改めて2018年にリリースしたアルバム『REI』を、しっかり聴いたり歌詞について考えてみて、振り返るとどうでしたか?
Rei:当時に作ってた時より客観的に見れるようにはなってたので、それは良くも悪くもというか。自分の中で『REI』というアルバムは、「好奇心旺盛な10代後半の女の子」みたいな人物像だったんですよね。いろんな音楽のジャンルが大好きで、いろんな服を着たり、いろんなメイクをしたいというような感じで。なので、専門店化が飲食でもありますけど、時代が進んで、狭い分野のものに特化したビジネスが目につく時代だなというのは自分で感じている中で、いろんなことを楽しめるバラエティに富んでる作品という賑やかさがある一方で、自分にしかできないそういう音楽性、極端に言うとブルーズロック、オルタナティブ、フォークとか、そういう自分にしかできない音楽性というのを突き詰めた作品のほうがわかりやすさがあるのかなと考えを巡らせながら、再録をしました。
竹内:それは印象的な言葉ですね。そういうモードになってたというのは新鮮ですね。
Rei:実はInternational Editionを録音したのは、2019年の夏だったんですよね。コロナの影響もあって、発売が延期になったりしたので、今さっき言ったような感情の変異みたいなものを経て、アルバム『HONEY』を作ったんです。
竹内:時系列的には『HONEY』が後ってことですよね。
Rei:そうなんです。だからちょっとストイックではないんですけど、自分の芯の強さ、頑固な部分や、実はとっても繊細なところとか、そういうシンプルで、一本筋の通った作品を作りたいという気持ちに、International Editionの再録を経て思って、『HONEY』という作品ができたのかなと思います。
3月4日(金)18時配信
→Reiがこれまでに観た海外アーティストのベストライブ。
アーティストはハイエイタス・カイヨーテです。二度ライブを観てるんですけど、1度目がジャカルタのジャズフェスに東京スカラパラダイスオーケストラさんと一緒に出演した時なので6年前かな。人をかき分けて一番前の柵まで行ってライブも素晴らしくて、すごく感動しました。二度目はブルーノート東京にハイエイタス・カイヨーテがきたことがあって、それも観に行ったんですけど、もう一曲目から号泣しちゃって。あれ以上ライブで泣いたことはないんじゃないかってくらい、ボロボロ泣いてました。自分が苦しかった時に毎日、狂ったように聴いてたんですよ。「Breathing Underwater」という曲があって、『Choose Your Weapon』というアルバムに収録されてて、「水中で息をする」という意味のタイトルで、本当に毎日が苦しかった時にお風呂に入って、その曲を大きな音で鳴らしながら、お風呂に入ってた光景が自分の頭の中に残っていて、私生活の中に自分の感情が音楽と深く結びつく経験が、ミュージシャンの私ですら、なかなかないのですが、本当にその1音目が流れた瞬間から、走馬灯のように思いだして。なので、「救ってくれてありがとう」という気持ちもあったし、単純に説明いらずでした。
→影響を受けている海外のカルチャーがあれば教えてください。(ファッション、国、シーンなど)
本当、back to basicsという感じではあるんですけど、私はブルーズ音楽が大好きで、だからブルーズマンのファッション、佇まいというのはすごく影響受けてるんですよ。イギリスも大好きなんですけど、どうしてもファッションとか佇まい、音楽もそうですけど、アメリカになっちゃうんですよね。ブルーズマンっていろんな人がいるんですけど、スーツの方が多いんですよね。その影響か分からないですけど、ブレザーが好きで、セットアップとかにやっぱ惹かれちゃうところはあって。カッコ良いパリッとしたスーツっぽいもの。普段もそうですけど、気持ちが引き締まるというのもありますね。私が大好きなJ.B.レノアというブルーズマンがいるんですけど、その人も奇抜なゼブラ柄のスーツを着ていて、そういうのに憧れてたので、派手な色のセットアップとかを見ると買いたくなっちゃいますよね。
→現在、よく聴いている海外アーティストの曲を3曲教えてください。
(1)ホンネ「loving you is so easy」
(2)ポールマッカートニー「Lavatory Lil」
(3)ドゥラン・ジョーンズ & ジ・インディケーションズ「Long Way Home」
文=河辺有珠

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