【高槻かなこ インタビュー】
私のアニソンが好き
という気持ちが伝われば嬉しい
本気で歌っている表情を
撮ってほしかった
3曲目の『東京喰種トーキョーグール』OPテーマで、TK from 凛として時雨さんが2014年に歌った「unravel」のカバーは意外でした。
この曲は私が選びました。『東京喰種』が放送された時は、アニメはもちろん、この曲からもすごく衝撃を受けて、それ以来カラオケに行くと毎回歌っていました。
TKさんの歌声は男性にしては高くて、女性でも歌うのは至難の業だと思うのですが。
私、原曲キーで歌っているんですよ!
それはすごい!
裏声を混ぜながら歌いました。繊細な部分と力強い部分の両面を見せられる曲で、もともと私はこういうエモーショナルなタイプのロックが大好きなんです。でも、今までの活動ではみなさんに聴いていただく機会がまったくなくて。今回はせっかくの機会なので、こういった一面をみなさんにも知っていただきたいと思って選びました。
やっぱり難しかったですか?
カラオケで長年歌い込んできたので、パッションは刷り込まれているんですけど(笑)、その場で一発録りというのは相当の緊張感でした。でも、むしろ荒削りなほうが曲に合うと思ったので、きれいに歌おうという意識はせず、荒削りな部分を残すイメージで歌いました。
そんな3曲の歌と映像を同時収録したんですよね。
はい。本番の前に声出しで歌って雰囲気を掴んで、本番は2テイクだけ。そのうちの良いほうを選んだという感じです。収録した映像は初回限定盤のBlu-rayに収録しているので、ぜひ観てほしいですね。
歌う時はカメラが気になりませんでした?
ライヴを撮ってもらっているという感覚だったので、カメラはあまり気になりませんでした。通常のMVでも歌っているシーンがありますけど、可愛い表情やきれいな表情を撮ってもらっているので、今回はあえて、そうじゃない本気で歌っている表情を撮ってほしかったんです。表情がどんなに崩れていようとも、それも本気で歌っている証拠だから。ただ自分が真剣に歌っている時の表情は、自分でもまだ慣れませんね(笑)。
お気に入りのシーンは?
どれも雰囲気が違うんですけど、「プラチナ」は着ている服の前のボタンを外して、動き回って楽しい雰囲気が出せるように歌っているので、表情と一緒に観てもらえると感じ方も変わると思います。各曲の世界観を想像しながら歌詞の言葉を伝える気持ちを大切にして、とにかく魂を削って歌っているので、そういう部分が映像からも伝わったらいいなと思いますね。
今回の3曲はすごく良いバランスだと思いましたが、改めてこの3曲で感じたことはありますか?
たまたまですけど、3曲ともアニメの主人公が学生で、歌詞に《world》という単語が入っているという共通点に気づきました。その上で3曲が流れるアニメの世界観に共通したものは何かと考えたら、いろんな痛みもやさしさも学ばせてもらえる作品だと思ったんです。そこで私が考えた言葉を、CDを外したパッケージの中面に英語でひと言書かせていただきました。どんな言葉なのかは、実際に手に取って確認してください。
次作のアイディアはすでに考えていますか?
いろんな楽曲をすでに妄想しています(笑)。90年代とか昭和の曲とか、ジャンル問わずいろんなアニソンを歌いたいですね。男性ヴォーカルの曲をもっと歌ってみたいし、ちょっとユーモアのあるお遊び的な曲もやれたらいいなとも思っています。その時々でテーマを考えて選曲するのは、自分でプレイリストを組むような感覚で楽しいですね。
アニソンカバーを歌っていく上での夢や目標はありますか?
海外のアニソンフェスに出演することも、アニソンをカバーする上での夢のひとつです。そういうフェスでは自分のオリジナル曲だけを歌うよりも、海外で人気のアニソンも歌えたほうがもっと喜んでもらえますし、アニソン界では声優やアニソンアーティストが他のアニソンをカバーすることの需要がとても高くて。これからもそういう声にどんどん応えていきたいと思っています。
では、最後に王道ということで、アニソンで一番好きな曲は?
よく訊かれるんですけど、すごく困る質問です(笑)。挙げるなら「水の星へ愛をこめて」ですね。実はガンダム好きで、いずれ『ガンダム』シリーズのテーマソングを担当することも夢のひとつです!
取材:榑林史章