小林私

小林私

【小林私 インタビュー】
一気に人が来て去っていくのは
作品を作る上で大事なことではない

批判的な目線を持つ時は、
その目線を自分にも向ける

「生活」「悲しみのレモンサワー」「スープが冷めても」はアコースティックバージョンも配信リリースされていて、「生活」は弾き語りの時点ではブルースっぽい印象がありましたが、アレンジ後は打ち込みの音も入って明るい印象になったので、今作の中でも特に変化があった曲なのかなと。

自分の手から離れたら行くところまで行ってほしいっていうのがあって。ガラッと変わったほうがテンション上がりますよね。「生活」はちょっと特殊で、もともと1番までしかなかった曲をまずアレンジャーの中村コロスケさんに投げて4分くらいの曲にしてもらってからメロディーと歌詞を入れていったんです。だから、一番アレンジメントがありきの曲だと思います。

小林さんの歌声はすごくソウルフルで歌っていて気持ち良さそうに感じますが、今のスタイルになるまでに試行錯誤したのでしょうか?

でかい声を出したら気持ち良いっていうのはずっとあるんですけど、ひとりで6時間くらいカラオケに行って、自信がある曲を録音して聴き直してました。“ここは聴いてても気持ち良いな”って思ったところは残して、“この癖は気持ち悪い”って思ったものは消すっていうのはめちゃめちゃやりましたね。音楽的に歌がうまくなりたいからっていうよりかは、自分で自分の歌声を聴いてて楽しいからってだけなので、練習方法として正しいのかは分からないけど、今思えば自分なりの練習だったのかなと思います。

例えば「悲しみのレモンサワー」はすごくムーディーな仕上がりで、歌声にも色っぽさが出ていると思いますが、アレンジによって歌い方が変わったりは?

僕が歌ってさえいれば僕の歌になるから、そんなに気にしなくてもいいと思ってレコーディングしました。「悲しみのレモンサワー」は人生初レコーディングの曲でもあったので緊張しててあまり遊びを入れられなかったんですけど、その時のテンションとか空気感に任せて、フラットな状態で歌えたのでそれはそれで良かったと思ってます。

逆に最後のほうに録った曲はどうでした?

2曲以上レコーディングする時は2曲目のほうが調子が出るんですよね。だから、「HEALTHY」は2本目に録った曲なんですけど、ほぼ一発で決まりました。

確かに「HEALTHY」はかなりエッジが効いているので、そういった変化も聴いていて楽しいです。また、「共犯」では小林さん自身に目立ちたい気持ちはあるけど、マジョリティーにはなりたくないんだなと感じました。

そこのせめぎ合いですよね。マイノリティーになりたい気持ちと、マジョリティーになりたい気持ちもあるというか。

はっきりしない気持ちが表れててすごく人間味のある曲ですよね。

僕の性格の悪い部分が出てますよね。曲を作る上で全部そうですけど、特に「共犯」は分かりやすくて、何かに対して批判的な目線を持つ場合は、その批判的な目線を自分にも向けるっていうのは意識してます。この曲は人に向けた批判的な目を自分にも向けて、それに対して擁護してくれる人にもそういう目を向けて、いろんな矢印が交差してるんです。

歌ってる中で気持ちを込めることはあるんですか?

「共犯」は僕の言葉じゃない部分もあるから、そこはフワッとした感じで歌ったりはしました。歌詞に対する熱はあるほうだけど、最終的には聴覚情報なので、そこに期待して歌詞先行すぎるのは良くないかなと思ってます。歌詞はあるだけであって、メロディーは別のものなので、聴き心地の良さを優先してるというか。

オリジナルアルバムとしては今作が一枚目で、アレンジャーさんとの制作もあって新鮮味もあったかと思いますが、完成してみていかがですか?

自分の曲の中で自分が思ってなかったことが見えてすごく楽しかったですね。ライヴもそうですけど、バタバタする中でもアルバムをリリースするっていう特別感は今後も忘れないでいきたいです。2月28日(日)にはSHIBUYA CLUB QUATTROでリリースワンマンライヴも予定していて、1部はアコースティック、2部はバンドセットで配信もあるので、できれば両方観てもらえたほうが面白いと思います!

取材:千々和香苗

アルバム『健康を患う』2021年1月20日発売 easy revenge records
    • ERRC-2
    • ¥ 3,080(税込)

ライヴ情報

2/28(日) 東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO
1部:アコースティックライブ
2部:バンドセット

小林私 プロフィール

コバヤシワタシ:1999年生まれ。19年からYouTubeで動画投稿を始め、弾き語りカバー動画や雑談をする生配信で話題を集める。クロニカル大崎とのユニット“このままじゃまだ死ねない”としても活動中。20年6月に1st配信EP『生活』をリリースし、10月には渋谷WWWにてワンマンライヴ『文化的越冬の支度』を開催。21年1月に1stアルバム『健康を患う』をリリースする。小林私 オフィシャルTwitter

「風邪」MV

『健康を患う』Teaser

OKMusic編集部

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