キュウソネコカミの実験室!? 2020年
の音と言葉をパッケージした『モルモ
ットラボ』全員インタビュー

バンド結成10周年となった2020年に、一対となる2作のミニアルバムを制作したキュウソネコカミ。年始の『ハリネズミズム』で改めて見せたこのバンドの原点から、グッと音楽的にも歌詞面でも飛距離を見せるのが新作『モルモットラボ』だ。例えばピアノリフがメインだったり、グッとヘヴィなサウンドスケープを聴かせたり、フォーキーな世界観も窺えたり。そして何よりグッとくるのは自分たちの居場所、ライブハウスへの愛をキュウソらしい音と言葉で叫ぶオープニング。らしさと挑戦、実験が1曲ごとに濃く詰まった本作について、(時に脱線しつつ)メンバー全員インタビューを実施。新作のサブテクストとしてじっくり楽しんでほしい。
――2020年は結成10周年でコロナが来て、個人的に残念だったのはアメリカでの『SXSW』が中止になったことで。キュウソとDos Monosという楽しみなメンツが……。
ヨコタシンノスケ(Key,Vo):夢の共演だった(笑)。
――今年(※取材は2020年末に実施)はいろいろなことがなくなってしまったけれど、どこかで切り替えられたとか、切り替えられていないとか、ありますか?
ヤマサキセイヤ(Vo,Gt):まぁでも『SWSX』がなくなって、世界的にヤバいことが起こってるんだなというのは感じて。そこから3ヶ月メンバーと会えない、今まで1年のうち250日ぐらい一緒にいた奴らといきなり100日ぐらい会わなくなって。だからスイッチも入らないし、何もしてない時期がずっと続いて。で、スイッチが入り直したのが配信で。『電波鼠』っていう配信ライブをお世話になってる梅田のシャングリラというライブハウスでやって、久しぶりに楽器持って、ちょっと始まりましたね。
――ミュージシャンは何もできないから制作に向かうとか、家の機材をアップデートしたという話を聞いたんですが、どうでしたか?
ヤマサキ:それはね、多分、発言してる人がそうなだけですよ。ほんまにどんな状況になっても音楽への情熱とかは失わない人ってやっぱいるんですね、みたいな。
――え? 失ったんですか(笑)。
ヤマサキ:や、失ったというか、創作意欲、全く湧かないんで(苦笑)。僕らってライブバンドなんで、ライブでやるために曲を作ることの方が多いんですよ。だから、ライブ取り上げられたら“何しよっかなぁ”みたいな(笑)。
ソゴウタイスケ(Dr):だからリモートで曲作るか? みたいなんもちょっと言ってたんで、僕、Mac買ったんですよ、そのために。でも、リモート会議でしか使ってないです。
一同:ははは!
ヨコタ:僕らやっぱ集まらないと曲ができないタイプのバンドなんで、まず集まりたいなってとこからスタートしたんで。
――今回のミニアルバムを聴いていると、データでやりとりして作ったのかなと思ったんですが。
ヨコタ:どうなんだろ。最初の方、作ったのは結構スタジオで詰めていったやつが多かったかもね。
オカザワカズマ(Gt):ああ、確かに。作り方がちょっと変わったのは変わっていって。デモの段階でクリアな音でちゃんとやって、それを元に詰めていってっていう作業を丁寧にやったのは、丁寧にやったのかな。
――なんたって『モルモットラボ』、実験室ですからね。
ヨコタ:このテーマだけ先に決めていて、そこから結構、曲を作っていった感じもあったので。先に“これやったら挑戦じゃない?”とか“実験じゃない?”っていうことを言い合いながら作ってたので。やりたいことが先にあって、それをやるためにみんなで今までやったことのないことやろうみたいな感じになってたかな、と。いつもセイヤが作った曲だったらメソッドがあって、みんなでやっていったら“これがキュウソだ”ってなるんですけど、そうじゃなかったので、逆に“丁寧に作らないと”って感じになりました。
ヤマサキ:でもこれ結構、コロナ前にできてる曲の方が多いんですよね。
ヨコタ:半分ぐらいはコロナ前かな。だから、それぞれメンバーの曲とかは“リフものがやりたい”とか、“作詞作曲をやりたい”とか、もうそこからスタートしていったので。その中で“ああ、確かに今までのキュウソになかったね、ここ”っていうのをやるために、いつもと違う音色を使ったりとか、いつもと違うリズムになったりとかっていうのはありましたけど。
ヤマサキセイヤ(Vo,Gt)
――まず「3minutes」はストレートなライブハウス賛歌ですね。
ヨコタ:これはコロナ後に初めて作った曲っていう感じですね。
ヤマサキ:ま、作るしかないですよね。ちょっと一つぐらいはっていう。やっぱりコロナを受けて、心は動くじゃないですか。それぞれのアーティストが色々ちゃんと書いてる、僕らもなんからしく書きたいなと思った時に“三密”って言葉をネガティブな言葉としてライブハウスに叩きつけられた感じがしたので、叩きつけられたネガティブな言葉をポジティブに昇華しようかなと思って曲に書きましたね。三密っていう状態がめちゃくちゃ楽しいのがライブハウスなんで。今までと同じじゃなくても、モッシュしてぐちゃぐちゃなライブハウスでこれをやるっていうのが一個完成形というか。今はとりあえずこれを希望みたいな気持ちでやりたい、みたいな感じなんですけど。
カワクボタクロウ(Ba):この曲がすごくいいのは、一回受け入れてるところが俺、他のアーティストにはなかなかないなというか。ちゃんと“なくても死なない”って言われて、“ほんとにそうなのか?”っていう自問自答があるのが結構いいなと思ってて。
――そして「おいしい怪獣」、これはちょっとシュールです(笑)。
ヨコタ:タイアップなんで、これはもうどストレートなんですけど。比喩はあるんか?
ヤマサキ:比喩はない。
一同:ははは!
ヤマサキ:“怪獣を食べる”っていう発想だけで突っ走った曲なんで。そんな考えなかったんですよ、自分の中で。最初戸惑ったんですけど、“ああ、でも誰もやってねえな”と思って。“じゃあ好き放題書けるじゃん”と思って作りましたね。人類の歴史って、デカいの倒してみんなでご飯食べて生きてきたじゃないですか。マンモスとか。だからこの怪獣も、もし現れたら誰か一回は食おうとするんじゃない?っていう(笑)。
――(笑)。この曲は合唱がいいですね。
ヨコタ:これね、特撮というかアニメの歌って、子供の声で歌ってナンボやろっていうアイディアをちゃんとプロの人――エンジニアさんのお子さんに協力してもらって入れたら、“この感じはいいな”と。キュウソの音楽と意外とマッチしてましたね。
ヨコタシンノスケ(Key,Vo)
――3曲目の「御目覚」。これはファンの人も日常的に感じていることかもしれない。
ヤマサキ:なんか朝方優先なのがいつまで続くのかというか、世の中は朝型じゃないですか。みんなぎちぎちの電車乗って。このリモートワークが根づけばもっとね、「御目覚」のような人は減るかもしれないですね。
ヨコタ:もともとコロナ前に作ってた曲なので。単純に“朝辛い”ってことが言いたい曲なんですけど(笑)。
――最後にオチというか、“スニーカー抽選今日も当たらないな”って、セイヤさんが実際ツイートしてる内容で(笑)。
ヤマサキ:スニーカーはめちゃ応募してるんですけど当たらないですね(笑)。400万の靴とか。片足200万ですよ? トラヴィス・スコットとか。いやね、当たっても履かないんですよ、みんな。
――という、本筋に関係があるのかないのかわからないところで終わるのがいいですね。
ヨコタ:ここがやっぱりセイヤっていうか。あと、“スニーカー抽選”っていう言葉を歌詞に使ったのは多分初めてやろなと。ラッパーとかですらもこれは入れてないやろと。
――確かに。
ヨコタ:ここに生活感が出てて。
ヤマサキ:だって僕、“呟いたらもらえるんじゃないんですか?”って言われるんですよ。もらえるわけないやろ、みたいな。
ヨコタ:一握りのミュージシャンたちやんな? そんなん。
ヤマサキ:多分もう一握り上はプレ値で買ってると思います(笑)。
――プレミアムなスニーカーから見えてくるピラミッドが(笑)。
ヤマサキ:ピラミッドですよ。
――そっちの方が重いテーマな気がしてきました。
一同:ははは。
ヤマサキ:俺らはプレ値で買えないから、朝頑張って起きてる。

――深い意味ができてしまいました。で、「囚」はイントロでもうやられるかっこいい曲ですね。でもストレートな歌詞で今まさに心に留めておきたい内容で。これはコロナ後ですか?
オカザワ:後、です。
ヤマサキ:これめっちゃ苦労しました、歌詞書くの。オカザワの曲なんですよ。もっとなんか突っ込んだこと、社会的なことを歌いたいけれどビビってる部分もあって。レコーディング前日の朝7時ぐらいまで書いて。
オカザワ:これ、多分3月ぐらいかな。僕がオケだけ“こんな感じ”って作ったんですけど、その時に対バンとかライブとかで、結構ヘヴィなバンドとやることが多くて。スサシ(SPARK!!SOUND!!SHOW!!)とかcoldrainとか、あとFEVER333を見に行ったり。そういうバンドを見て、こういうヘヴィなやつもいいなと思って勝手に作ったんです(笑)。
――アレンジや音に引っ張られるところもありました?
ヤマサキ:なんかその凶暴な感じにはしたいから、自分の内側というよりも社会にちょっと物申す的な感じの歌詞にしようかなっていう意識はありましたね。
ヨコタ:普段だったら逆だもんね。“こういうことを歌いたい”っていうのがあって、これだったらこういう音色だなとか、こういうメロディだなとかフレーズだなと思うところを、逆に、これってオケがわりかし完成してて、そこの中で歌をはめていくのは多分初めてぐらいの感じだったと思います。
――これもまた別の意味でストレートですね。
ヨコタ:ストレートをやらないのがキュウソだったから、ストレートをやるのが挑戦とか実験みたいなところもあったと思います。全体的に結構そういうのはある。
――こういうことをSNS上で書くより曲にする方がかっこいいし。
ヨコタ:それはまじで俺、思うんですよ。ツイッターでそれ言えるんやったら歌う必要ないやんって思いますよね。だったらツイッターだけやってたらいいのにって思うもんな。
ヤマサキ:僕らめっちゃいろいろ我慢して、旅行とかも控えたりしてるんですけど、なんていうんですかね。ツイッター上とかではマナー良くて、ライブ会場とかでもみんなマナー守ってくれてんな、なんですけど。一歩、自分らの知らない範囲に出たら、それ以上に大きな塊の人間がいて、みんながやってたら別にやったらいいやん、みたいな。飯食いに行ったりしても、20〜30人で宴会してる人とか、“え? これってどういう感じなんやろう”って、もう分からんくて。だからそういう人たちが怖いなっていうのもちょっと入ってたりします。
カワクボタクロウ(Ba)
――そしてカワクボさんの作詞による「薄皮」。これはもう作詞、作曲をしたいと?
カワクボ:うーん、これはちょっとバックグラウンドがあって。『ハリネズミズム』が出るちょっと前の2019年末ぐらいから、すごい自分がしんどいのが続いちゃって。それがこう、内側にすごく溜まっていったんですけど、何も言わずにただ我慢して頑張ってたんですよ、ライブとか。もうそれでメンバーにも言わずに蓋を閉じちゃったんですよね。でも正直、それで迷惑をかけてるなって。“お前、ちょっと様子がおかしいぞ”ってセイヤが言ってくれて、ほんでちょっと話して。“そういうのやったら曲書いてみたら?”みたいなことがあって。ほんとにどうしてこうなってしまったかわからないけども、ほんとにメンバーに言えなかったんですよね。相談できなかったっていうので、それを歌詞にしましたね。
――ああ、そう思って聴くとまた違う感覚が。
カワクボ:そっからは結構、言えたと思ってちょっとずつ蓋が開いていって。お客さんには何にも関係ないから、――もしかしたらライブとか見てて思うことあったのかもしれないけど、俺の中でその行動はメンバーにすごい失礼やった、傲慢やったなっていうのが一番あったので、こうなりました。
――でもポップな曲になりましたね。
ヨコタ:そうなんですよね。なんなら壮大なというか、ちゃんとした曲。今までになかった感じだったので、どこから取り掛かろう?っていうところからがすごい時間かかって。でも歌ってることとかもそうなんですけど、その時にそう思って作った曲だから、割と大事にしたいなと思って、相当話した。いろいろトライ&エラーが多くて、このテンポは違う、こういうことじゃない、とかをすごいいっぱい喋って。そういうふうにやって作ったから、なんか出来上がったものは勢いだけじゃなくて、ちゃんとしっかりとしたものになったんですよ。
――「シュレディンガー」はピアノリフメインで結構テクニカルですね。
ヨコタ:そうですね。ピアノをこういう激しい曲に入れたことがなかったんですけど、入れてみたいなと思って。フジファブリックとか、昔の曲とか、結構こういう風にガッツリ、ピアノを弾いてやるやつをコピーしてた時に、いつかはやりたいなと思ったんですけど、キュウソっていつになったらこういうのやるの?って。やるタイミングがなかったんですよ。ずっとイメージもあったし、俺たちのキャラクターがあったからやる必要ないなと正直思ってたけど、今回、実験とか名前つけてるから。
ヤマサキ:俺的にはですね、ピアノやりたかったんですよ、ずっと。で、“やらしてくれた”って感じですね、俺からしたら。
オカザワ:初期の頃とか“俺はシンセで行く”って言ってたから。
ヨコタ:俺の中にはやっぱ自分のなりたい像があって、それをやるためには10年間ぐらいは初期に決めたスタイルでちゃんとやらないとって気持ちがあって。ピアノのほうが、逆にいうと俺の中ではやりやすいから。
――ちなみにこの曲は女性目線なんですか?
ヤマサキ:まぁどっちかというとそうですね。でも僕ね、自分のことを歌う時、女性目線にしてはぐらかすの好きなんです。自分のことなんですけど、性別変えたりとか。そういうことをしがち。まだ照れがあるのかもしれない。
ヨコタ:若干、女々しく感じますもんね。
――女々しいというか、男性でも女性でもあり得る歌詞ですけども。
ヨコタ:結構この業界にいたらうまくいかない恋してる人によく出会うんですね。まっすぐずっと同じ人といれる人の方が少ないから、そうなった時に恋人のことをどこまで信じられるかな、みたいな話をシュレディンガーの猫にちょっとかけて曲にしてみようかなと。
――シュレディンガーの猫の“箱を開けるまで生きてるか死んでるかわからない”という話ですね。
ヤマサキ:“スタジオ行ってくるわ”って言って、浮気してる可能性もあるじゃないですか。
一同:(笑)。
――まぁそれはどんな仕事の人でも(笑)。
ヤマサキ:ドア開けて出て行ったら何してるのか、はっきりはわからない。だから帰ってきた瞬間まで生きてるかもわからない、そういうのがシュレディンガーの猫と通じるなって思って、考えました。だからこの“毒”とか書いてるのもシュレディンガーの猫にちょっとかかってるし、《結果はまだ知れない》とか、《重ね合うリアル》っていうのも正解が二つ重なった状態。なんかそういうのもちょっと盛り込んでます。
オカザワカズマ(Gt)
――歌詞面での実験て感じがしますね。「シュレディンガー」と「ぬいペニ」が繋がってるから、恋愛系の歌詞もなかなか新しい。
ヤマサキ:「ぬいペニ」は恋愛経験少ないやつの……。
――話題になりましたね。
ヤマサキ:あ、知ってました?
――“ぬいぐるみペニスショック”って言葉と考え方があるんだと。そんなに深刻に受け取るのかとちょっと驚いたんですが。
ヤマサキ:だってイケてるヤツなんて、ぬいペニショックになること少ないじゃないですか。もう最初から女子慣れしてるというか。女子慣れしてないヤツ、全然、恋愛対象じゃないヤツから急に告られた時のっていうのを見て、“これ、めっちゃわかるー!”と思って。なんか聞いたことあるし、見たことあると思って。なんなら自分もなりかけたことあるー、と思って。
――せつないとか素朴な悲しさから、この言葉の意味を知るともうちょっと曲の意味が広がるんですよね。
ヤマサキ:そうですね。調べるんじゃないですかね、結構ショッキングな言葉なんで。で、この歌の主人公は喧嘩も弱いんですよ。腕っぷしもないから、ほんまに彼女に対して何もできないんですよね。だから、全部星になってくれ、みたいな(笑)。ほんで自分がぬいペニってことに気付いてしまって、“離れなきゃいけないんだ”と。キモがられたら終わりじゃないですか。友達でもいられなくなる。
――それがこういうフォーキーな曲調になってるとこが古典的でもあり。
ヨコタ:古典的な感じはあります。むしろフォークソングだと思います。やろうと思えばめちゃくちゃ熱くできる曲だったんですけど、いや熱くすんのもなって。歌のダイナミクスはちゃんとあるので、アレンジでそこまでサビだからってワーッてやらなくてもサビに聴こえるだろうと思ったし。
――この主人公に対する優しさなのかなと思いました。この人があんまり叫んでたら辛いですし。
ヨコタ:基本、セイヤの歌は優しいですから。
ソゴウタイスケ(Dr)
――そして今年バージョンの「シャチクズ」。これはお客さんがクールに踊りながら、でも泣きながら踊る感じがして。
一同:ははは!
――エモいですね。
ヨコタ:エモいですよね。エモい曲だったんですけど、昔あった時から。でもアレンジとかも全然突き詰められないままレコーディングしなきゃいけなくて、技術もないしアイディアもないし。でも曲はすごくいいなと思ってたので、いつか絶対、再録したいと思ってて。で、やっと今回できて。技術も上がって、より踊れてよりエモく、みたいな感じになりましたね。
ヤマサキ:これ、一番、飲食店の店長とかめっちゃ大変やと思うんです。昔、自分が働いてたところの店長とかほんとに辛そうで。
――引き続きメンタルヘルスは注意ですね。笑えるような怖いような気持ちになりつつ、最後「ポカリ伝説」で笑えてよかったです。
ヨコタ:スカッとしてもらおうと。
ヤマサキ:これでもちゃんと検証もしたので。ライブハウスで敢えて、僕、ベロベロになった状態でみんなの前でポカリ飲んだらやっぱ何人かに止められましたね。“危ないからやめとけ!”みたいな。“キタきたー!”と思って、この曲じゃあ刺さるじゃんと思って、実証実験、完璧でした。
――ちゃんとした警鐘なんですね。
ヨコタ:啓蒙活動です。すごい社会性のある曲ですよ。
――2020年に作品を作ると、悲壮感が出るか、悲壮感を突き破ってすごく前向きな作品を作る人もいますけど、このアルバムはあるがままって感じですね。
ヨコタ:そこに関しては背伸びもできんし、結局いつもの録って出しなんですよ、僕らは。今こんな世の中だから、って最初から考えてることだから。“今”しか歌わないってことをずっとやってるので。
――でも音楽的な挑戦はいいタイミングだったのかもしれない。
ヤマサキ:これを作ってみて、なんでこんなところに拘ってたんだろう?みたいなのがちょっと取れたのはよかったんですよね。なんか頭固くしすぎてた、みたいなところはあったから。それは10年の重みなのかもしれないし。
ヨコタ:それなりにやりたいことをやっていくことしかなかったんですけど、キュウソは。それでも人からどう見られてるのかとか、すごい気にするバンドなんで。やっぱキュウソネコカミはこうでしょ、ってところはあったんですよね、確実に。で、これでこういう方向に僕らは行きますよ、じゃなくて、こういう面もある、こういう面にも気づけて面白かったんですけどどうですか?みたいな。そういうアルバムになったと思いますね。
取材・文=石角友香 撮影=森好弘

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