2020年12月25日 at Zepp DiverCity Tokyo

2020年12月25日 at Zepp DiverCity Tokyo

【雨のパレード ライヴレポート】
『ame_no_parade LIVE 2020
"Face to Face"』
2020年12月25日
at Zepp DiverCity Tokyo

2020年12月25日 at Zepp DiverCity Tokyo
2020年12月25日 at Zepp DiverCity Tokyo
2020年12月25日 at Zepp DiverCity Tokyo
2020年12月25日 at Zepp DiverCity Tokyo
2020年12月25日 at Zepp DiverCity Tokyo
 前作『BORDERLESS』に伴うツアーの途中、新型コロナウイルスの影響で今年3月の東京公演が中止になって以来の観客を入れたライヴ。何よりも再確認したのは一見クールで、バンドスタイルのポップミュージックに実験的要素を貪欲に取り込むこのバンドが実は非常に人間的でリアルなコミュニケーションを渇望していたことだ。この日何度も福永浩平(Vo)は“今日は来てくれて本当にありがとう”と感謝の言葉を述べていた。それも1曲目の「if」のサビ後に言葉を発するほどだったのだ。ニューアルバムのタイトルである“Face to Face”が意味するとことは、ライヴができない状況の中でも音楽でリスナーと直に接したいということだったと思う。オンラインライヴも一度実施したが、それ以上に今の自分たちを届けることが優先課題だったのだ。それがこの日は新作からは全曲、さらに初期から節目で象徴的な存在となった楽曲も融合。今やりたい理想のライヴを実現することが、リアルライヴ…つまり、久しぶりに顔を合わせる場所でのテーマだったのだろう。

 感染対策で会場のキャパシティーの半分以下しか観客を入れられない事情もあるが、今回、キャリア史上最大のZepp DiverCity Tokyoでライヴを行なうことも背景にあったのだろう。これまで福永と山﨑康介(Gu)でシンセを駆使していたが、今回はAAAMYYY(Tempalay)がシンセとコーラス、「1969」ではギターも担当。ベースには新作で「Dear Friend」と「Child’s Heart」を弾いている雲丹亀卓人が全編に参加したこともライヴ表現のレンジを拡張。ダークでダウナーでありつつ、ネオソウル的なメロディーも感じさせる「scapegoat」や不穏さのある「Strange GUM」での親和性の高さ、蠢くベースはこのフォーミュラならではの新鮮な聴感を残した。

 また、珍しく福永が雄弁だったのも、この夜だからこそ言っておきたいことがあったのだろう。ギリギリまで開催を悩んだこともそうだが、珍しくアコギを携えての「Dear Friend」の前に実は以前からあった個人的な傷がモチーフになっている歌詞をようやく書けたのだと話す。そうした想いが曲に乗っているからだろう、山﨑も大澤実音穂(Dr)も、前にもまして歌に寄り添った演奏をしている。それは楽曲の時代を超えて、新曲の「IDENTITY」でも「Tokyo」でも感じられたことだ。

 過去曲のブラッシュアップも明確で、「Count me out」での大澤の正確無比なハイハットの刻みは生音のハウスをイメージさせ、パッシブなダンスミュージックにオーディエンスのグルーブは続く「Flash Back」、そして生で聴く哀愁と勇敢さがないまぜになった「Ahead Ahead」のイントロのギターの説得力。山﨑はギターを存分に弾き、大澤はタイトで重いビートを渾身の力で打ち鳴らす。もともと爆発力の大きいこの楽曲にひとりひとりの生のエネルギーが乗り、制限のある空間でも喜びが満ち溢れた。アンコールなし、本編のみ19曲を完遂したラストは新作と同じく「Child’s Heart」。60年代あたりから続く、ロックバンドの王道感すら漂うアレンジに乗る素直な歌詞。混乱も、今まで言えなかった素直な想いも、音楽だから形にできる言葉があるし、それをやりたいのだと新作のインタビューで福永は話していた。まさに今、雨のパレードはどんどんイメージの殻が剥がれて、核心が伝わるバンドになりつつある。

 また、公演終了後には2021年の春に全国ツアー『ame_no_parade TOUR 2021 ”Face to Face”』の開催が発表となったことも追記したい。コロナ禍の状況に於いて公演日程、場所およびチケット詳細は後日発表予定とのことだが、再び”Face to Face”で彼らに会える日を楽しみ待ちたいと思う。

撮影:Ray Otabe/取材:石角友香


セットリスト

  1. 1.if
  2. 2.Summer Time Magic
  3. 3.1969
  4. 4.IDENTITY
  5. 5.scapegoat
  6. 6.Strange GUM
  7. 7.Tokyo
  8. 8.partagas
  9. 9.Have a good night
  10. 10.Dear Friend
  11. 11.Shoes
  12. 12.resistance
  13. 13.one frame
  14. 14.new place
  15. 15.Count me out
  16. 16.Flash Back
  17. 17.Ahead Ahead
  18. 18.BORDERLESS
  19. 19.Child's Heart
雨のパレード プロフィール

アメノパレード:2013 年に結成、2016年メジャーデビュー。80'sPOP、インディR&B、エレクトロハウス、アンビエントなど様々なジャンルと洋邦の枠を超えた音楽性と、アナログシンセやサンプラー、ドラムマシーンなどを取り入れた、バンドという形態に拘らないサウンドメイクを武器に新世代のポップスを提唱する。2019年に入り現在の3人編成となり、シングル「Ahead Ahead」を携えて雨のパレード第二章の幕を開けた。続けて7月に「Summer Time Magic」、9月に「Story」を配信シングルとしてリリース。その枠にとらわれない音楽性に、アジアを中心に海外からの注目度も高まっている。2020年1月22日には4枚目のアルバム『BORDERLESS』を、さらに同年12月には5枚目のアルバム『Face to Face』をリリース。雨のパレード オフィシャルHP

OKMusic編集部

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