L→R ゆうや(Dr)マオ(Vo)、Shinji(Gu)、明希(Ba)、

L→R ゆうや(Dr)マオ(Vo)、Shinji(Gu)、明希(Ba)、

【シド インタビュー】
ファンへの想いが詰まった
3つのメッセージ

シドのファンということだけで
少しでも安心してほしい

みなさん、いろいろ変化があったんですね。ングル「ほうき星」は連続配信楽曲「ほうき星」「siren」「声色」をCD化した内容ですが、こういうスタイルは初挑戦ですよね。

マオ
新曲を出したいという想いはずっとあったんですが、決まったのがわりと最近だったんです。それで配信というかたちにして、あとからCDにしたいという話になりました。

ちなみにレコーディングはどういうスタイルで?

マオ
ヴォーカルはいつも通りスタジオに入って録りましたね。
明希
プリプロはみんなでデータを送り合うかたちでまとめていって、ギターとドラムはスタジオ、ベースはリアンプしたんですけど、これはコロナだからというわけではなく最近の僕らのやり方なんです。ミックスダウンとマスタリングに関しては各自が確認し意見をフィードバックして最終形に持っていったんですが、そこはいつもと違いましたね。

では、収録されている3曲について制作エピソードを聞かせてください。第一弾配信楽曲「ほうき星」は一番トーンが明るく、途中でテンポアップしていく曲調ですね。

Shinji
今回の3曲は最初にみんなで“こういう感じの曲が欲しいよね”って話し合って題材を固めていったんです。僕は明るめの曲の担当だったんですが、ちょうど元気が出るような曲を書きたいと思っていたところでもあり、“シドのキャリア的に”って言うと偉そうですが、明るさの中にも大人っぽさが感じられるような曲を意識してアレンジしていきました。

歌から始まる曲ですが、Aメロの後ろに入っている音はどんな手法で?

Shinji
その部分は最初はもっとシンプルだったんですが、みんなで曲を揉んでいるうちに面白い音を入れたいということになったんです。ピアノのパン効果、逆回転も取り入れています。最近はヘッドフォンで聴く人が増えていると思うので、そういうところも楽しめる曲になっています。

メロディアスな曲でありつつ、サウンドも凝っていますね。《戻れないなら ゼロを楽しもう また始めよう》とメッセージしていますが、マオさんが歌詞を書いた時に浮かんでいた想いとは?

マオ
新型コロナウイルスのニュースが流れてきた頃はみんなびっくりして手探り状態だったと思うんですけど、「ほうき星」の歌詞を書いた時はコロナの実態がだいぶ見えてきたのにまだ不安が世の中に充満していたんですよね。それは今も続いていますが、せめて僕らのファンからはその不安や怖れを少しでもなくしてあげたいっていうところから書き始めました。最初のきっかけは応援ソングではなく、ネガティブなものを取り除いてあげたかったんです。それと、起こった出来事が強烈すぎて判断を間違えてしまう人たちが増えてきたというニュースが飛び込んできて、それだけは絶対に嫌だと思っていたので、ファンのみんなに前向きなメッセージを届けたいと思って書きました。

判断を間違えた人が増えてきたというのは?

マオ
投げやりになったり、最悪は生命を絶ってしまうニュースがあふれる中で思いました。ポイントは2番のBメロ《喜び 悲しみも 乗り越えた/この繋いだ手は 誰も剥がせない》っていうところで。いつもだったら“この繋いだ手は2度と離さない”とか“僕は離さない”とか俺たちの中で完結しているものを書いていたと思うんですが、今回は自分たちとは関係のない大きな力が働いたことによって起こったことなので、“誰も剥がせない”と書いたんです。“俺たちは繋いでいようね”って気持ちを込めました。

離れているファンに向けての想いも書いた曲なんですね。第二弾配信シングル「siren」は刺さってくる痛い部分がある曲です。明希さんはどんなイメージで書いたんでしょうか?

明希
4人がどっしり構える佇まいで演奏できる曲というイメージと、シドの持っているダークな部分が存分に発揮できるイメージで作りました。ベースはまとわりつくようなドロッとしたニュアンスというか、低音がうねっている感じ…そういうグルーブを曲の特徴にしたくて、アレンジしていきましたね。メロディーラインも含めてネガティブな気持ちを吐き出すような曲にしたかったんです。

コロナ禍の中、特に大変だった春頃に書いたんですか?

明希
書いたのは緊急事態をすぎた時期なのでわりと最近なんですけど、そういう状態を経て自然と心に溜まっていたものが曲としてかたちになったという気がしますね。

いつも外にサイレンが鳴り響いていた緊急事態の日々が蘇りますが、歌詞はネガティブな感情や不安を包み隠さずに書いていますね。

マオ
今回の3曲を書こうと思った時に、芯というか真ん中の部分として強く持ちたかったことなんですが、この経験は絶対に無駄にしたくないと思ったんです。なので、ストレートに書くことによって、時代にひとつ作品を刻むことができたと思っていて、その中でも「siren」はおっしゃる通り、どストレートだと思うんです。タイトルについては、今まで感じたことがない警告だったりサイレンが毎日毎日鳴りまくっていると思っていて、外で鳴り響くサイレンもそうですけど、ニュース番組の“今日は○人、感染しました”っていうのも俺の中ではサイレンみたいなものだったんですよ。もっと身近なところだと道を歩いていて、マスクをしていない人がいたらみんなでキッて見たりとか、今までになかった空気がどんどん生まれる中、インターネットでは誰かが誰かを責めたりとか、みんな良い方向を目指してやっているつもりなのに何が正義か分からなくなったり。そういう日々が自分の中で刺さってきたので、言葉にしました。

歌もすごく刺さってきました。今までのシドになかったタイプの楽曲ですよね。

マオ
そうですね。この経験を経たからこそ生まれた曲だと思っています。

そして、第三弾の「声色」はすごくメロディアスでスタンダードな魅力を持った曲ですが、どんな時期に書いたんでしょうか?

ゆうや
みんなと同じ時期ですね。出そうと思ったタイミングで書き始めた曲です。

ピアノから始まりますが、どんなサウンドのイメージが?

ゆうや
ちょっと人恋しいようなサウンドで、大袈裟にならないようなイメージ…悲しいというよりは、もの悲しい印象の。同時に要所要所に光が一瞬見えそうになるメロディーがいいなと思いながら組み立てました。

ドラムは力強さがありますね。

ゆうや
ドラムに関しては細かいことをするのではなく、リズムを大きくとって叩いています。

ギターソロは3曲の中で一番激しいですが、Shinjiさんに注文したことはありましたか?

ゆうや
デモの段階から同じような系統のソロを入れていたんですが、Shinjiから“どういう感じがいいかな?”って相談があったので、“メロディーを奏でているというよりギターで叫んでいる感じが出せる?”って言ったら、弾いてくれたものがすごく良かったんです。

ギターの音、相当歪ませていますね。

Shinji
相当ですね(笑)。弾いていてもノイズのほうが大きいぐらい。いつもの自分なら曲に対してメロウなソロを弾いていたんですけど、デモの段階からノイジーなギターが入ってくるのがカッコ良かったんです。こういうのって適当に弾いてもできないというか、ノイジーなソロはライヴで奇跡的に生まれたりするので、家で再現するのはしっかりした演奏のソロより難しいんですよ。何も考えずに何回か録って“これ、良かったな“っていうテイクを選びました。フレーズは一切考えなかったですね。頭で考えちゃうときれいになってしまうので、“叫び”を表現しました。

マオさんが曲から受け取ったイメージは?

マオ
最初は“会いたくても会えない恋愛中のふたり”をテーマにしようと思って書き始めたんです。実際、ラブソングになっているんですが、書いている途中から違った感情が生まれてきて、“ファンのみんなが自分に抱いている感情やシドに抱いている感情ってどういうものだろう?”と思って。結果的にかなりそういう気持ちが入っちゃいましたね。

ファンの人たちとも物理的に距離を感じた一年ですものね。

マオ
そうですね。自分の声やシドの音楽や俺たち自身とファンの関係をふたりに例えるならば、そこをつなげるのは俺たちなんだって改めて考えた時に“声色”というタイトルが出てきましたね。

“声”ではなく“声色”にしたのは何かこだわりがあったんですか?

マオ
声って変化していくじゃないですか。今の声とコロナ禍以前の声は同じ声でも響き方が違うというか、受け取る側からしたら今の声はきっとすごく安心できるものなんじゃないかなって。そういう声も実際届いていますし、全然違うものになってると思うんですよ。みんなが俺の声を大切で温かいものにしてくれている。それで“声色”っていうタイトルにしました。

最後に今後のことを含めて待っているファンにメッセージをお願いします。

マオ
今、不安じゃない人ってほとんどいないと思うので、不安や落ち込んでいる気持ちをどう俺たちの音楽で少しでも救ってあげられるのかを日々考えています。それが今回のリリースでもあり、配信ライヴでもあり、個人的にもいろいろなことをかたちにしていきたいと思っているので、今まで通りの生活というわけにいかないですが、シドのファンということだけで少しでも安心してほしいですね。俺たちとファンには17年の歴史や思い出があるんだから、かなり心強いんだよって。シドの音楽が側にいることを忘れずに頑張ってくれたら、これからも俺たちは楽しいことを用意していくので“一緒に頑張っていこうね”っていう気持ちです。
Shinji
マオくんが言った通りみんな不安だと思うので、そんな中、大事なのは音楽で勇気を与えられることだと思っています。そういうステージができるように僕らも頑張るので待っていてほしいですね。

2021年5月には河口湖ステラシアターでのライヴもありますしね。

明希
そうですね。まずは1月14日の結成記念日に開催されるシドとしての初の配信ライヴ『SID LIVE 2021 ~結成記念日配信ライブ〜』に全力投球したいと思っています。みんなが待ってくれている状況の中、振替公演になった河口湖ステラシアターでのライヴはシドにとっても重要なものになると思うので、いつもの倍以上の感動を与えられるよう、待っていてくれた分、しっかりといい音楽、いい演奏を届けられるように準備して努力しようと思っています。

不安な日々だけど、会える時を待っていてほしいですよね。

明希
はい。僕らの活動によって少しでも不安を取り除けるように頑張っていきたいです。
ゆうや
とにかく会いたいですよね、すごく。まずは配信ライヴが一年振りのライヴになるんですけど、僕らもただ休んでいたわけではないので、新曲が3曲ありますし、溜まっていたものをドカーンとぶつけて、延期になっていたステラシアターはお互いに笑顔で…しかも、その時には大きな声で叫んでもいい状況になっていると嬉しいですよね。一年分、叫んでほしいし、僕たちも声を浴びたいんですよ。登場した時に声援がワーッと響いたら…

それだけで感無量でしょうね。

ゆうや
そうなんですよ。最初から最後まで感動するライヴになると思います。
マオ
もう、やりたい一心ですからね。やれるだけで感動すると思います。

取材:山本弘子

配信シングル「ほうき星」2020年11月23日配信開始 Ki/oon Music
    • ※各ストリーミングサービスおよび
    •  主要ダウンロードサイトにて配信
配信シングル「siren」2020年12月7日配信開始 Ki/oon Music
    • ※各ストリーミングサービスおよび
    •  主要ダウンロードサイトにて配信
配信シングル「声色」2020年12月21日配信開始 Ki/oon Music
    • ※各ストリーミングサービスおよび
    •  主要ダウンロードサイトにて配信
シングル「ほうき星」2020年12月23日発売 Ki/oon Music
    • 【初回生産限定盤】(CD+写真集)
    • KSCL-3285~6
    • ¥2,273(税抜)
    • 【通常盤】(CD)
    • KSCL-3287
    • ¥1,364(税抜)

ライヴ情報

『SID LIVE 2021 ~結成記念日配信ライブ~』
1/14(木)  開演20:00

『SID LIVE 2020 -Star Forest-』(延期公演)
[2021年]
5/15(土) 山梨・河口湖ステラシアター
5/16(日) 山梨・河口湖ステラシアター

シド プロフィール

シド:2003年結成。08年、TVアニメ『黒執事』オープニングテーマ「モノクロのキス」でメジャーデビュー。10年の東京ドーム公演では4万人を動員。結成10周年となった13年には初のベストアルバム『SID 10th Anniversary BEST』をリリースし、オリコンウィークリー1位を獲得。同年、横浜スタジアムで10周年記念ライヴを開催し、夏には初の野外ツアーで4都市5公演で5万人を動員し大成功を収める。16年1月、シングルベストアルバム 『SID ALL SINGLES BEST』を発表。18年はバンド結成15周年&メジャーデビュー10周年のアニバーサリーイヤーとして、計50本以上にも及ぶ全国ライヴハウス公演やアジアツアーを実施し、19年3月にグランドファイナルとして横浜アリーナ公演を大成功に終えた。20年3月にシングル「delete」を発表。11月より3作品連続配信を経て12月23日にシングル「ほうき星」をリリースする。21年には自身初の配信ライヴと河口湖ステラシアターでのライヴも控えている。シド オフィシャルHP

「ほうき星」MV

OKMusic編集部

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