天才アーティストとしての
才能が開花した
ドリー・パートンの『ジョリーン』
本作『ジョリーン』について
「ジョリーン」はドリーの数多い自作曲の中で、もっともたくさんのアーティストにカバーされている。日本ではオリビア・ニュートン・ジョンのカバーが有名であるが、80年代にはシスターズ・オブ・マーシー、ストロベリー・スイッチブレイドなどのグループや、21世紀になってからはホワイト・ストライプスやペンタトニックスといったロック系のアーティストによってもカバーされている。
「オールウェイズ・ラブ・ユー」は74年にドリー本人の歌で全米1位を獲得、その後、映画『テキサス1の赤いバラ』(主演も務める)でサントラとして82年に再録音し、この時にも本人のバージョンが1位を獲得している。そして、ホイットニー・ヒューストンが1位を獲得するのは92年で、3回も同じ曲が1位になるというケースは長いポピュラー音楽史のなかでも極めて珍しい。
「アーリー・モーニング・ブリーズ」はアルバム『コート・オブ・メニー・カラーズ』に収録されていたものを再録音しており、彼女は旧作を録音し直すことが少なくない。
本作以降のドリー・パートン
その後もリンダ・ロンシュタット、エミルー・ハリスとの『トリオ』(’87)、ブルーグラスにチャレンジした『ザ・グラス・イズ・ブルー』(’99)や『リトル・スパロウ』(’01)などもある。これまでにリリースしたアルバムはスタジオ録音だけで50枚近い。今年の10月にリリースされた最新盤『ホリー・ドリー・クリスマス』はスタジオアルバムとして47枚目で、すでにカントリーチャートでは1位となっている。ドリー・パートンという才能は74歳になった現在もそのパワーは尽きることがないようだ。もし、彼女の音楽を聴いたことがないなら、これを機会にぜひ聴いてみてほしい。きっと新しい発見があると思います。
TEXT:河崎直人