川島海荷&新井郁の2人芝居『PINT』
開幕迫る! 日常会話の「ズレ」から
生まれる不思議なコメディ~取材会レ
ポート

新井郁と川島海荷による二人舞台『PINT』が2020年12月3日から東京・浅草九劇で上演される。開幕を直前に控えた11月24日、東京都内で報道陣に稽古が公開され、新井と川島、そして脚本・演出を担当するオークラが取材に応じた。

 
川島が新井に「2人芝居をやりたい!』と話を持ちかけたことからスタートした本企画。舞台の物語でも、川島の演じる堀口未來が、新井の演じる浅香里奈に「芝居」をしたいと相談する場面があるが、それはこの経緯を踏まえたもの。バナナマンや東京03のコントを手掛けるオークラが、川島と新井がそれぞれ持つ雰囲気や性格を加味した上で、コメディタッチの作品に仕上げている。
川島海荷
ーー稽古を拝見しました。ゆるっとふわっと日常会話の延長線上のようで、どこかズレもあって、不思議なコメディという印象でした。そもそもどういう意図で脚本を書かれたのでしょう。
 
オークラ 僕は海荷ちゃんに頼まれて脚本を書いたのですが、僕の芝居をよく見にきてくれるんです。コメディしかやったことないので、そういうことだろうなぁと(笑)。突然この2人が芝居をやるとなったときに、この2人だからこそできる芝居って何かなと考えたら、この2人が芝居をやるという芝居がいいなと思って。どこまで自分の中でコメディタッチで描けるのかということを考えながら、稽古しています。
 
ーー見ている限り、あんまりダメ出しは仰らないんですね。
 
オークラ 言うときは言いますけれど、そんなにTHE・ダメ出しはしないです。どちらかというと、僕自身書く本が本人の素に近いところで、セリフがあまり無理して芝居をしている感じでやらないので。できれば自然体でセリフなんだろうか?本当に喋っているんだろうか?という感じでやりたいんです。「こういう風にやってくれ」というよりは、その人が持っているものを出したいと思ってやっています。
新井郁
ーー2人芝居ということで大変なこともあると思うんですが、改めて意気込みを。
川島 あられちゃん(※新井郁のこと)はもともと友達ではあったんですが、一緒に仕事をしたことはなくって。彼女の舞台を何回か見させていただいて、すごく魅力的な女優さんだなと思ってたので、今回一緒にお芝居させてもらえることをすごく楽しみにしていました。
 
もともと仲良しで、信頼関係があるので、壁はなくて、すごく入りやすかったですね。オークラさんが書いてくださる脚本も設定自体が友達で進んでいく。でも合ったり合わなかったりズレが生じていく。普段の私たちにもちょっとそういうところがあるのかなぁと思いながらも、楽しく稽古させていただいています。
川島海荷と新井郁(左から)
新井 友達なんですけど、全く同じ環境にはいなくて。どちらかというと、(川島は)昔からこの業界にいるけど、私は一度社会人を経験してからこの業界に入っている。いろいろ違う立場だけど、同じような悩みを持っている。だから、友達として仲良くなったというのもあるんですけど。今回の2人芝居で、彼女の中で渦巻いているもの、私の中で渦巻いているものをお互い出せたら、見たことない何かが出そうだなと思いました。
 
ーー一緒に稽古されているなかで、新たに発見した一面があれば教えてください。
 
川島 冒頭に(新井による)長台詞があるのを聞いていて、私はそんなに舞台で長台詞を言ったことがなくて、頼もしいなというか。(新井の)長台詞から始まるのは、私もすごく心強いなと思いました。それを見て、私も負けないようにというか、ちゃんとついていこうという気持ちになりましたね。
 
新井 海荷は......例えばオークラさんが「女の子ってこういうことあるよね」と言って、「いや、ないですよ」と自分で言った後に、素で「こういうこと」をやったりとか(笑)。不意にぶっ込んでくることがあって。
 
川島 お芝居中じゃないときのことだよね?
 
新井 いや、お芝居中も結構出ているんだよ。気付いていないかもしれないけど。会話劇なので、海荷と会話をしようとすればするほど合わなかったり、逆に一発で合ったり。予測ができなくて。そういう意味では新鮮で楽しいところですね。
  
オークラ そういう芝居になっています。考えいることが同じだと思っているけど、ずれているという(笑)。
新井郁と川島海荷(左から)
ーーオークラさんは、以前「僕は、個人的にその人間が持っているであろう本性を想像し作品を作っていくのが好きで、今“2人の本性“について日夜考えているところなのだが、それを考えれば考えるほど、2人がどんどん“えげつない人間“に仕上がってくるのは何故なんだろう? おそらく、この2人なら面白がって演じてくれると思います」と話されていましたが、この「えげつない」というのはどのあたりから......?
 
オークラ その人の持っているであろう、悪気のない気持ちが、人に対しては悪気になっていたりだとか。そういうものによって二人が噛み合わなくなって、争っていたりすると、一番えげつのないものになるのかなと。それぞれ女優をやっている人が二人芝居をやったらという設定の話なので、作り物としての価値観の違いがどんどん出てきつつ、二人が抱えている私生活がちょっとだけ垣間見えて。僕がイメージする世界で、二人がもし本当に芝居をしたらこんな感じになるんじゃないかなというのを書いています。
オークラ
ーーお二人は脚本を読んで、何かシンパシーを感じられたのですか。
 
新井 最初の長台詞はあて書きしたのかなという感じ。「あ、こういうこと考えるよな」っていう。今回、言いにくいセリフが全くなくて! それはきっと自分の中にある思いと一緒だからだろうな、と思います。
 
川島 私は舞台の中では、結構相手のことを無視したり、自由な感じの役なんですけど、私自身はそうじゃないと思っていたんですが、二人でお芝居やっている時に、彼女(新井)が「え?」みたいに私に戸惑っている顔を見るんですね。この顔、プライベートでも何回か見たことあるなと。私、戸惑わせていたんだと反省しました。
川島海荷
ーーそこはオークラさんも意識されているのですか。
 
オークラ そうですね。3人で食事をしたときに、2人を見ていたら、友達と言いながらも、なんとなく会話がそんなに噛み合っていないと感じて(笑)。その違和感って見ている人もなんとなくイメージできるなと思って、そのままにしていいかなと思って。
 
川島 噛み合わなさもたまに心地いいのかも。だから一緒にいられるのかな!(笑)
新井郁
ーーちなみに、2人の仲良くなったきっかけは?
 
新井 共通の知り合いがいて、私の舞台を観に来てくれたことが一番最初です。
 
川島 完全に私がアプローチしました! 仲良くなりたいって。
 
新井 結婚会見みたいになっている(笑)。
 
川島 ラブコールを送って、紹介してもらいました。2015年ぐらいのときだと思います。
 
新井 そこから似ているところもあるなぁって。社交的じゃないというか、大勢で飲むと隅っこにいるタイプ。それを知って、あ、仲良くなれそうと思って、一緒にお酒を飲んだりしています。
川島海荷と新井郁(左から)

この日は稽古が報道陣に1時間ほど公開された。冒頭に披露される、新井の演じる浅香里奈の長台詞のシーンから、川島の演じる堀口未來と里奈が芝居の構想を練っているシーンまで。
 
取材会でも話されていたが、描いているのは、日常生活のようだが、二人の会話はあまり噛み合わないまま進む物語。その絶妙な「ズレ」がまた不思議な笑いを生む。コメディ作品かつ川島と新井が友達同士ということもあり、現場は終始ゆるやかで和やかな雰囲気。どんな本番の舞台に仕上がるのか。楽しみにしていたい。
 
本作は、12月3日から6日まで東京・浅草九劇にて。なお、12月3・4日の各19:00開演回、6日の13:00開演回ではオンライン生配信も行われ、各回とも翌日までアーカイブ配信される。お見逃しなく!
取材・文・写真撮影=五月女菜穂

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