夜韻-Yoin-。癒しの歌声が眠れぬ夜を救う

夜韻-Yoin-。癒しの歌声が眠れぬ夜を救う

夜韻-Yoin-。癒しの歌声が眠れぬ夜を
救う

100点中の3点
──まずは、それぞれ、音楽を始めたきっかけは?
あれくん:高校に入ってからですね。モテたくて、友達に誘われて軽音部に入ったんですよ。僕、最初はボーカル志望だったんですけど、でもその軽音部は、入部にオーディションがあったんです。先輩がいる前で歌わされて。そこで点数をつけられたんですよね。で、3点だったんです。

──満点は?
あれくん:100点です。

──え!
あれくん:100点中の3点。
──ちなみに、その時、何歌ったんですか?
あれくん:『千本桜』です。
(一同爆笑)
涼真:そりゃ無理ですよ!(笑)
美咲:大変そう(笑)。
あれくん:それで3点とって、心もボロボロに……(笑)。

──それ……選曲ミスも大きかったと思いますよ。
あれくん:(笑)。自分では、カラオケで歌っていけてるなと思ったんで、その曲にしたんですよね。でも3点だったから。そこから「ボーカルは自分には無理かな」と思ったんです。それで、ギターを買ってたんですよね。音楽やるならギターをやろう、と。ただ、軽音部に入るのは辞めよう、と。オーディションが、結構、心に来ていたんで。それで、1年くらい独学でギターを練習したんです。僕、高校3年間はずっとメタラーで。メタルを聴いていましたね。

──早弾きこそ、ギター、みたいな?
あれくん:そう、その通りで。音も歪ませて、ギャンギャンやってたんです。そこが僕の音楽の始まりですね。

──じゃあ、曲を作り、歌をやるようになったのは?
あれくん:高校を卒業して、それこそ本格的に始めたのは20歳とか、21歳とか。2~3年前ですね。

──わかりました。作曲や歌については、また後で詳しく伺うことにして。涼真さんが音楽を始めたきっかけは?
ギタリストとピアニスト
涼真:中3まで野球をやってたんですけど、引退して、やることないなと思った時、親父がギターやってて「ギターかっこいいな」って思ってギターを始めたのがきっかけですね。始めた時に「プロになろう」って思って、そのために高校、専門学校に行って。

──その時思った「プロ」って、どういう人だったの?
涼真:学生の時と今では解釈が違っているんですけど。学生の時は、売れてる人、人気がある人がプロだと思ったんです。でもそれがだんだん変わって来た。ミュージシャンっていうのは、自らのスキルを作品に還元するプロフェッショナル。アーティストっていうのは、自分の個性を音楽に変換する人。
だから今は「プロ」っていうと、ミュージシャンって方がしっくりくる気はします。ただ、僕が今、目指しているのはその両方が出来る人。アーティストでもあり、ミュージシャンでもある……そうなれるように活動していきたいと思っていますね。

──美咲さんが音楽を始めたきっかけは?
美咲:3歳の頃からピアノを始めたので、そこからずっとクラシックでしたね。小学3年生くらいから、ピアニストになりたいっていう思うようになりました。
だから、高校も音楽科に行って、音大に入る道を歩んできたんですね。だから、ずっとクラシックだったんですけど、いわゆるこっちの……J-POPと言われるようなジャンルに興味をもったのが19歳の時で。
魅力的な歌声を持つ同世代が近くにいたっていうのが大きなきっかけでした。その後ろで弾かせてもらえたらどれだけ幸せだろう、楽しいだろうな、弾きたいなって思って。
それから、音楽アプリとかを使いながら、いろいろチャレンジしてみたんですけど、最初はもう全然、わからなくて。その時、楽譜に書いてあることしか出来なかったんだって思って。コードもわからないし、アドリブも出来ないし。「なんでこうなるんだろう、どうしてこうなるんだろう」って。当時ヒットしている曲のストリングスのラインとかめちゃくちゃ繰り返し聴いて、いろいろ覚えていったんですよね。

──ストリングスのラインに耳がいくのは、クラシック出身ならではという感じがしますね。
美咲:そうかもしれないですね。

──歌っている人の後ろで弾いてみたいと思ったのは、その時が初めて? 
美咲:元々はクラシックで、「あなたの演奏はソロ向きじゃなくて、伴奏向き」ってずっと言われてきたんです。伴奏するのがすごく好きだったんですね。それはジャンル問わずなんでも。

──あぁ、合唱とかで伴奏したり?
美咲:そうですね。クラスで合唱するときは、絶対にやりたい、みたいな(笑)。なんか……歌を支えたいっていう気持ちが強かったのかなと思います。
そこから「歌っている人と一緒にやりたい」っていうのが強く固まって、サポートミュージシャンの活動をするようになって。大学通ってクラシックやりながら、いろんなジャンルのサポートもやっていったという感じでしたね。

──歌う人を支えてピアノを弾く楽しさって?
美咲:楽譜がないというか、楽譜が真っ白なわけじゃないですか。コードしかないから。最初はどうしようって感じだったけど、それだけ自由だし幅も広い。自由に描けるんだってことに魅力を感じた時、初めて楽しいって思いました。

承認欲求の行方
──さて。高校時代メタラーだったあれくんですが、曲を書き始めたのが先? 再び歌い始めたのが先?
あれくん:曲ですね。歌い始めたのは、曲を書き始めてから半年後くらいです。

──歌い始めようと思った理由は?
あれくん:アコースティックギターを買ったんですよ。20歳の頃だったかな。

──なぜアコースティックギターを買おうと?
あれくん:生の音がすごい素敵だなと思って。何もない状態から音を作れるじゃないですか。それが良かった。買った当時は、自分で曲を作ろうなんて思ってなかったし、自分で、今みたいに活動するなんて思ってなかったんですよ。ただ単にアコースティックギターの音が好きで、弾くのが好きだったんで買ったっていう。でもまだ歌おう、とは思わなかったんですよね。

──1度、歌に対して心を折られているからね。
あれくん:そうなんです。3点が……結構、引きずっていました。でも、ふと「今、自分の歌ってどうなんだろう?」って考えたことがあったんですね。そう思った時、配信アプリとかで発信してみようかなって考えて、歌い始めたんです。それがアコースティックギターを買ってから半年後くらい。

──自分の歌に対する世間の反応を試してみたかった?
あれくん:そうです。もう、承認欲求ですね、完全に。

──なるほど。発信するのは怖くはなかったですか?
あれくん:いや、めちゃくちゃ怖かったですよ。

──すごい勇気だなと思ったんですよ、今、話を聞いてて。
あれくん:ははは(笑)。すごく勇気がいりました。だから怖くて、最初、わけわかんないこと、していましたよ。配信アプリって、配信はじめると人が観に来るじゃないですか。で、配信始めて、人が観にきたら配信をやめるってことをやってたんです。1カ月くらい、ずっとそれをやってた。

──それは……本当に、わけわかんないね(一同笑)。
あれくん:そうなんです(笑)。それでも、何回も観に来てくれる人がいて、そういう中で、慣れていって。徐々に大丈夫になっていって、定期的に配信をしていくようになりました。
デビュー曲について

──『Seafloor』はどのようにして作っていきました?
あれくん:(涼真を指さし)2人で曲を作ろうって一緒にいて。休憩しようってコンビニに行ったんですよね。
涼真:ご飯を食べようとか言って。じゃあ、コンビニ行くかって感じでした。
あれくん:そしたら、コンビニで歌詞と曲が一気に降りてきたんですよ。それで帰って制作して、もう1~2時間くらいで出来上がりました。
涼真:そう、あっという間でしたね。
あれくん:そうだったよね。それで出来上がった曲を美咲さんに投げて、フィーリングでちょっとピアノつけてみてみたいな感じで。
──コンビニに行ったのは夜?
涼真:深夜だったと思います。俺らのことなんで(笑)。
あれくん:そう。夜。夜の10時は過ぎてました。
涼真:嘘ですよ。もっと深夜ですよ。俺らが夜の10時に外に出るわけないです(笑)。
(一同爆笑)
あれくん:そっか。もっと深夜帯でした(笑)。

──最初に降りてきたのは曲のどの部分?
あれくん:「海の底に 深い海の底に 落ちていく感覚があった」ってとこですね。最初の冒頭3行が一気に降りて来たんです。

──自分の中に“深い海の底に落ちていく感覚”って、元々あったと思う?
あれくん:いや、無いですね。海に行かないんで(笑)。
▲夜韻-Yoin- Seafloor (OFFICIAL VIDEO)
──え、そこ?(笑)じゃあ“底に落ちていく”感覚っていうのは、自分の中にあると思う? もっというと、自分の中にある“闇の底”を描いている意識はある?
あれくん:例えば病んでいる子とかの心の模様を描いているような気持ち。曲を作る中でそういう気持ちはずっとあって。 「底」っていうのは、きっとずっとあって、急に降りて来たんだと思います。

──美咲さんは、「Seafloor」を初めて聴いた時、どんな印象を持ちました?
美咲:もう……すごっ……っていう。歌詞とメロと、涼真くんがつけてくれたLo-fi(=ダウンテンポのビート)感が絶妙にマッチしてて、本当に感動しましたね。私が1番大事にしたかったのは、この曲の情景で。ピアノで、波とか海とか、海の底の低音な感じとか、アプローチ出来るなと思って。間奏のピアノソロも、そういうイメージで。水と、海と、波の感じを探りながらつけていきました。

波の音も加工してるんです
──涼真さん、アレンジをしていく中で、全体的に大事にしたものは?
涼真:曲の3D感はめちゃめちゃ大事に作りました。

──それは、サウンドが立体的になっていて、多面性があるってことでしょうか?
涼真:そうです。こういう感じのサウンドって、単調に作ろうと思ったら、すぐに出来ちゃう音楽だと思うんですよ。

──ダウンテンポ、チルとかアンビエントのムードがある音楽ってこと?
涼真:そうです。チルミュージックって、ある程度、テンプレートがあるものだから。こういうパターンで、こういう音、みたいな。

──そうですね。特にここ1~2年くらいは。
涼真:そうですね。チチィーって音、まず入れとけ、みたいな(笑)。その中で、新しいことがやりたいなと思って。哀しい時とか、何かしらエモーショナルな感情の時に聴きたくなる、そこに刺さる音って何なんだろうって考えたんですよ。で、テーマとして「海」ってあったんで。わかりやすく波の音を入れてみたりして。

──冒頭の演出ですね。
涼真:そうです。あの波の音も加工してあって。もうちょっと切なくしようと思って、いろいろ試しているんですよね。この曲は、ミュージシャンとして作っている面ももちろんあるけど、自分のアーティスト性が前に出た曲だと思っているんです。
「こんなことやっちゃたら怒られるかな」みたいなのも入れたり(笑)。昔はトラックメイカーって言ったら、EDMがまず浮かんだと思うんです。でも今は違う。時代の変化とともに、使って来る音色とかも変わってくると思うんですよね。
だからまずはそこのテンプレートを踏襲して、トレンドを聴きまくって「あぁ、こうなってるんだな」ってインプットして。そこに僕の好きなものを入れてアウトプットしていく。ノリでよっしゃ!個性が出たっていうよりは、めちゃくちゃ考えて作った個性っていう感じです。
共感性を大事にしてる
──あれくんの作る曲に対しては、どんな風に思ってる?
涼真:まず、めちゃめちゃメロディーセンスがいいと思ってるんです。日本でもたくさん、すごいなと思うメロディーメーカーの方がいらっしゃいますけど、そういう感じがするんです。「あ、メロディー作れちゃう、天才」って感じる。
僕はトラックを作る上で、そのメロ自体をいじることも出来るけど、それはしたくない。あれくんに降りてきたものを、どれだけ生かししつつ、どれだけ引き立たせるかっていうのが、僕の腕の見せ所だなと思うんですよね。

──『Seafloor』って、確かに夜に合う曲だと思うんだけど、日中でもこう……溶け込むんですよね。で、日中に聴いた時、夜って暗いんだよな、海の底って暗いよなって思わせるんですよね。そこに結構びっくりして。すごいなと思いました。
あれくん:ありがとうございます。やっぱり病む時って夜じゃなくても病んだりするから。基本的には夜が多いかなと思うんですけど。朝でも心が遮断されて病んだりすることもあれば、日中でも嫌なことがあれば、そういうことがあるだろうし。

──病むって言葉が何回か出て来たんですけど。あれくんの中では「病むこと」は、曲を作るひとつの原動力になったりする?
あれくん:そうですね。この世界、幸せな人はいるけど、幸せじゃない人の方が多いと思うんですよ。それを自分の中でテーマにしていて。幸せな人って、パリピな音楽しか聴かないイメージがあって。
でも、心に響く系の曲っていうのは、心に闇を抱えてたりとか、心の隙間が出来ている人に響くと思っていて。そういう部分をテーマにして、そこに向けてメッセージ性を持って行ったりとか。そういう共感性は、すごく考えています。直観的に降りてくるものなんですけど、そこに価値をつけて、曲を作るようにしています。
僕、曲は、共感してもらえるだけでいいと思うんですよ。それだけで、ちょっと沈んでいる子とかが、ちょっとでも気が楽になると思うから。自分でもそういうことがあったりするし。そういう共感性は大事にしていますね。

──1人ずつ、歌詞のお気に入りのフレーズを教えてください!
涼真:考えたことなかったな。
あれくん:僕はすぐ出て来るけど。
涼真:「夢にも痛みがあった」です! あぁ、エモ! わかるー。いい歌詞書きますね、この人。
美咲:えー……(熟考)「言葉では足りないようだ」です。

──この最後の「ようだ」が、余韻ありますよね。
美咲:そうなんですよ。自分の心情が重なる隙間があるというか。
あれくん:僕は「空虚な部屋に 閉じ込められていく そんな幻覚があった」って部分ですね。心の闇を描写したところ。この曲で描きたかったテーマですね。

自分の歌声で寝られます!
──あれくんの書く歌詞って、テーマも切実だし、選ぶ言葉もセンシティブなんだけど、こう……聴いてて暗くならないんですよね。そこが、このユニットの個性であるし、あれくんの声質のせいもあるのかなぁ、と。
あれくん:ありがとうございます。
涼真:でも、ほんっと、声、いいっすよね。
一同:はははは(笑)。

──「いい声だね」って言われることに対してはどう思う?
あれくん:もう、普通に。素直にすごく嬉しいです。でも、今でも自分の声は嫌いです。歌声はまだ聴けるんですけど、こうやって話している自分の声は嫌いです。ここで録音されてるの、一生、聴きたくないです(笑)。

──歌声は最初から大丈夫だったの?
あれくん 大丈夫でしたね。自分の歌声で寝られます!
──えぇ!それはすごいですね。声質よりも歌声のゆらぎが、せせらぎとか自然界のゆらぎに似ているのかな。
あれくん:なんですかねぇ(笑)。α波ですかね。よく言われます。
涼真:だって本当、いい声だもん(笑)。

TEXT 伊藤亜希
プレゼント応募についてTwitterで応募するとサイン入り色紙をUtaTenをご覧の方に抽選でプレゼント!!
【応募方法について】
(1)UtaTen(@utaten)のTwitterアカウントをフォローをします。
(既にフォローしていただいている方はそのままで!)
(2)UtaTenのページにあるこの記事上下のツイートボタンからツイート。
※入力されている内容は消さないようにご注意ください!(追記はOK!)
(3)応募完了となります。応募締め切り後、当選者の方にDMにて当選の旨をご連絡致します。
※応募完了後であっても、該当のTweetの削除、UtaTenのフォローを外した場合、その時点で応募対象外となります。
Follow @utaten
Tweet
【応募締め切り】
11/29 21:00まで
【当選の通知方法】
締め切り後に抽選を行い、当選者には@utatenからDMにてご連絡いたします。
※ご自身のTwitterアカウントのDM設定をご確認ください!!

UtaTen

歌詞検索・音楽情報メディアUtaTen

新着