【Eins:Vier インタビュー】
30年経ってまた集まった意味を
自然なかたちで表すことができた
1995年にメジャーデビューし、繊細なギターとグルービーなリズム隊が重なりあったサウンドから、当時のシーンで異彩を放ったEins:Vier。2017年に再始動表明していた彼らが待望のミニアルバム『five sights』をリリースする。結成30周年に相応しく、“らしさ”と“新しさ”が同居した入魂の一作だ。
そもそも新曲を作るなんて
数年前には想像もしなかった
本作は6曲入りのミニアルバムながら、実に内容の濃い作品に仕上がりましたね。
Hirofumi
自分自身の集大成でもあるし、バンドも止まっていたとはいえ、Eins:Vierとしての衝動みたいなものはあるわけで、そこを曲の中、歌詞の中に詰め込めたなら、“それはすごくやり甲斐のあることやな”という意識はありましたね。しかも、変に無理せず、狙わずに、自然にやりたい気持ちもあって。“果たしてそんなんできんのかな?”という不安もあったことは事実やし、“ダメやったらやめよう”くらいのテンションでやったんですけど、結果的には30年経ってメンバーがまた集まった意味を、すごく自然なかたちで表すことができたかなと。
30周年というタイミングで、再結成後初めて新曲が収録された久々の音源なので、肩に力が入っても不思議じゃないでしょうが、意外とそうでもなく?
Hirofumi
そうですね。ここまで活動を何度かやっていたのもすごい良かったと思います。Eins:Vierらしさと新しさを入れた作品にしたかったんですけど、そういうものが作れた感じですね。
Lunaさんはいかがですか?
Luna
率直に言って、よくできたなと。それは“いいものができた”という意味じゃなくて、ほんまに…。
よく完成させることができた?
Luna
はい。今思い返しても(苦笑)。MVも撮ったんですけど、それも含めて“もう一回やれ”と言われたら、もう勘弁してほしい(笑)。まぁ、一個一個を積み重ねてきたからここまでこれた感じなんですけど。あと、この間にコロナ禍でライヴがなくなって、なんとなくぽっかりした気持ちがなくもなく。本当はライヴがあって、この『five sights』もだいぶ前に発売されてたはずなんで、どこか間延びしたようなところもあるんですけど、“よう完成したよなぁ”って(苦笑)。
コロナ禍でレコーディングの日程が変わったり、ライヴがなくなって気持ちの持って行き方が難しかったり?
Luna
いや、コロナは関係なくて。コロナに追われながらもギリギリのタイミングで制作は間に合ったんです。それこそ新曲を作る時から“本当にできるの?”というところから始まってて。でも、作る以上は変なものは出したくないし…まぁ、いろいろとやった結果、間に合わせることができたという。
Yoshitsuguさんはいかがでしょうか?
Yoshitsugu
“良かったな”というのが率直なところで、なんかホッとしてます。自分たちらしいものであり、今でもあるという、そういうものが作れたのは良かったなって。曲作りに入る時が一番大変やったんですけど、ひとつ光が見えてからは早かったんですよ。自分もどういったものを作ったらいいのかというのが掴めてなくて。
立ち上がりの時点では“さて、これはどう進めていいものか?”というところが大きかったわけですか?
Yoshitsugu
そうですね。再結成自体が自分たちから“新曲を作ってアルバムを出そうぜ”という感じで始まってなくて、周りの人たちの後押しがあって、そこから始まっているから、最初はあんまり実感がなかったというか。
さきほどLunaさんが“本当にできるの?”というところから始まったとおっしゃったのは、その辺もありますか?
Luna
そもそもの立ち上がりは、再始動後にセルフカバーを出したし(2018年発表のアルバム『Searching Red Light』)、もう一度同じことはできないから、30周年でライヴを一本だけやるだけならいいんですけど、そうじゃない動き方をするならば何か新しいアイテムがいるという話になって、“だったら新曲がいるよね”って…という流れだったんです。ただ、僕もYoshitsuguと同じで、その時点では全然イメージが湧けへんし、何から手をつけていいのかも分からんし、モチベーションも全然なくて(苦笑)。そんな中で“とにかく一回やるだけやってみよか?”と。それで“これ!”というものができなかったら、30周年はライヴ一本だけで終わりにする…それくらいの感じで始まったんです。
再始動後にセルフカバーアルバムを作っているわけで、その次のアイテムとなれば当然、自他ともに新曲を期待するところではあるんでしょうけれども、適当なものを出すわけにもいかない…ということですよね。Hiroさんは新曲を作ることに関しては最初から前向きだったんですか?
Hirofumi
次の展開というか、30周年を考えた時、ライヴだけをやるというのは寂しいし…と考えると、周りの人たちも自分たちも自然と“新曲が入ったものを提供できればいいよね”とは思ったんですけど…
Luna
だから、最初は一曲でいいと思ってたんですよ。
Hirofumi
うん。一曲でも何か新しいものを提示できればいいって。でも、中途半端なものやったら出さんほうがいいし、思い切りライヴをやって終わったほうが楽しいやろうと。そこで、“それはできないやろ!”と思う派と、“やってみたほうがええんちゃう?”と考える派に分かれたんです。そもそも新曲を作るなんて数年前には想像もしなかった…“新曲なんてやるわけないやん”くらいのテンションやったんが、“30周年やし、新曲を作ろうか?”というノリになったわけやから、俺は“それは無理やろう”じゃなくて、“やってみたらええやん”と…でも、俺にも“どうなんやろ?”という感じはありましたね(苦笑)。
(笑)。つまり、全員が暗中模索といいますか、先が不透明な中で新曲作りをスタートさせたんですね。
そもそもEins:Vierが再結成し、さいたまスーパーアリーナでの『V-ROCK FESTIVAL 2011』にて復活ライヴを行なったのも、イベントの主催者から出演をオファーされたことに端を発したものだったと、当時の他媒体のインタビューで読みました。
Hirofumi
Eins:Vier自体、一貫して受け身なんで(苦笑)。
Luna
前回のセルフカバーのツアーは規模は置いておいて、みんなが“やりたい”って感じだったんで、受け身ではないのはそれが唯一かな? 唯一のメンバー発信(笑)。
逆に言えば、このバンドらしい感じでアルバム制作が始まったということになりますか(笑)。
で、できるかどうか分からないけど、まず新曲制作に取りかかったと。それは3人でスタジオに入ってやったんですか?
Luna
ドラムはサポートの方に手伝いに来てもらって。