【みゆな インタビュー】
私もあなたもひとりじゃない
このアルバムで
返信(リプライ)を届けたい
すごくアドレナリンが出て、
本来の自分に戻れた気がした
確かに人と人とのつながりの中で出来上がった楽曲ばかりですね。なぜそういう作風になったんだと思います?
違う視点から見たいというか。前作は孤独が象徴的で、今でもそういうテイストが好きなんですが、今回は気づいたら周りに人がいた。『みゆなの部屋』以外でもラジオの企画で「DeadRock」もファンと一緒に作りましたからね。
「DeadRock」を含めて特に前半の楽曲はBPMも上がってますよね。
疾走感を感じてもらえると思います。でも、元気がある曲には抵抗があって…自分は悲しい曲を聴いて、そこに良さを感じていたので。だけど、書くうちに“いいな、こういう伝え方も悪くない”と思いました。ひねくれ者だから“頑張れ”とか書きたくないし…サビは自分に対して書くようにしたんです。それがみんなに伝わればいいなと。《幻とか予言者とか/何も気にしないよ》の歌詞の“予言者”ってわりと親だったりするんですけど、親子という関係の中で親の理想を無理やり子に押しつけようとするみたいなことがあったりすると思うんですが、そういうことに対してひと言言いたくなったというのもあります。
そして、「乙女の声は天津風」はyonawoの荒谷さんの提供曲ですが、みゆなさんはもともとyonawoのファンだったそうで。
それは運命です! 初めて福岡でライヴをした時の対バンがyonawoさんで、ライヴが素晴らしかったんです。で、ライヴ終わりに“応援してます!”って声をかけました。昨年、福岡でライヴをやった時も観に行ったんです。初めてグッズを買ったのもyonawoさんなんですよ! …話すと止まらなくなってしまいますね(笑)。なので、今回は私の要望もあって、荒谷さんの声も入っているんです。コロナでお会いできなかったけど、私の声と好きなバンドのヴォーカルの声が寄り添ってるところもキュンキュンしちゃって。しかも、私のことをイメージして歌詞を書いてくれたんです。
《独り占め私を奪って》の歌詞はみゆなさんが書きそうな内容だと思いました(笑)。
お恥ずかしいですね。“天津風”の意味を知ってます? “空高く突き抜ける風”という意味なんですけど、“乙女の声”ってもしかしたら私のことなのかなと思っていて。それが嬉しくて。ライヴのような感覚でレコーディングも楽しく歌えました。
「ソレイユ」は今作の中でも明るいサウンドに仕上がってますね。
これはテレビ宮崎開局50周年ドラマ『ひまわりっ〜宮崎レジェンド〜』の主題歌として作ったんで、もっとも宮崎と向き合った曲ですね。宮崎の方からお声をかけていただけたことが嬉しかったんです。私にとって“宮崎=故郷”だから、聴いた方が自分の故郷や大切な場所みたいなものを思い浮かべてくれたら嬉しいですね。
「レインレイ」は今作の中でもいい意味で異質な雰囲気を放ってますよね。
とても楽しいレコーディングになりました。すごくアドレナリンが出て、本来の自分に戻れた気がしましたし、これが私だなって。ラストにかけて盛り上がって、叫んでますからね(笑)。それもすごく気持ち良かったです。ライヴをしたくなりました。“絶対、私、カッコ良い!”と思いながらライヴができる曲だと思います。
歌詞は一度終わった恋だけど、それでも相手を強く求める気持ちを描いているように感じました。
そうですね。付き合っている最中でもいいんですけど、“こっちを見てよ!”って。「あのねこの話 feat. クボタカイ」に出てくる女の子もそうで、言いたいことを言えない、素直になれない女の子の心の中みたいな。「レインレイ」ってあえてカタカナにしたことで、この冷め切ったイメージも気に入ってます。最後にこの曲を置くことで爪痕を残せた気がします。
取材:荒金良介