『OSAKA GENKi PARK』オフィシャルラ
イブレポート【お祭り広場 GENKi ST
AGE】初日ーーflumpool、Novelbrigh
tらが太陽の塔の下で「元気」を届け

『大阪文化芸術フェス presents OSAKA GENKi PARK』2020.10.10(SAT)お祭り広場 GENKi STAGE
10月10日(土)、大阪・万博記念公園で開催された『大阪文化芸術フェス presents OSAKA GENKi PARK』の初日。こちらのレポートではイベントのシンボリックな存在でもある、「太陽の塔」の真裏に位置するお祭り広場に設置された「お祭り広場 GENKi STAGE」(以下、GENKi STAGE)でのイベントの模様をお届けしたい。
●1970年大阪万博50周年記念セレモニー
1970年大阪万博50周年記念セレモニー
他のステージに先駆けて、「GENKi STAGE」では「1970年大阪万博50周年記念セレモニー」が行われた。2020年は1970年に同会場で開催された大阪万博から50年目というメモリアルイヤーに。「GENKi STAGE」のあるお祭り広場は万博当時から同名の会場として多くの人が行き交った場所でもあり、イベントの開幕を告げるセレモニーにぴったりの場所。そんな場所で、まずは関西大学応援団吹奏楽部が「大阪ラプソディ」や吉本新喜劇のテーマソングなどを披露し、会場は大阪らしいお祝いムードたっぷりに。
1970年大阪万博50周年記念セレモニー
さらに、大阪万博をオマージュしたパフォーマンスとして、当時のパビリオンで来場客をもてなしたホステスのユニフォームを復刻させたパレードが会場を盛り上げる。鮮やかな衣装をまとった21人のモデルが当時の映像とともに会場に登場。当時のユニフォームの一部を手掛けた、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会シニアアドバイザーでもある、デザイナー・コシノジュンコも当時のエピソードを語り、当時の熱気の高さを伝える。開会の挨拶では吉村洋文大阪府知事や松井一郎大阪市長、井上信治国際博覧会担当大臣らも登壇。吉村大阪府知事は2025年に向け、「新しい万博を発信していきましょう」と意気込みを語る。
吉村洋文大阪府知事
さらに、2025年日本国際博覧会アンバサダーであるコブクロの2人も登場。吉村大阪府知事と松井大阪市長とのトークで地元大阪ならではの話が弾み、なんとその場で2025年日本国際博覧会の公式テーマソングの担当アーティストに任命するというムチャぶりも! これまで大阪マラソンの公式テーマソングを担当するなど、大阪と縁のある2人だが、突然の大役に小渕は「音楽生命をかけて力になれたら!」と意気込みを語ってくれた。コブクロは「Road to 2025 SPECIAL LIVE」として、「東の広場 PARK STAGE」に両日出演しているので、ライブレポートはそちらをチェックしてほしい。
●『OSAKA GENKi PARK』 feat.ドリカムディスコ
OSAKA GENKi PARK feat.ドリカムディスコ
『OSAKA GENKi PARK』feat.ドリカムディスコではDREAMS COME TRUEのライブでパフォーマーとして活動するダンサーチーム・S+AKSも登場し、広い野外の会場をダンスホールへ代えていく。10月14日(水)にリリースされる、ドリカムディスコ(通称ドスコ)のミックスコンピアルバム『DREAM CATCHER 3』で「あなたと同じ空の下」のドスコミックスで参加しているFM802のDJ中島ヒロトが「未来予想図II」「SUNSHINE」「大阪LOVER」などライブでおなじみの楽曲を次々に展開。OSAKA SPECIAL DANCERSとして、同志社香里ダンス部OGや大阪KIDS DANCERも参加し、パーティーを盛り上げていく。さらにスペシャルゲスト中村正人の登場で会場は一気に大盛り上がり。中村は「生マサさんだよ~!」とステージセンターで華麗にステップを決める。もちろん、「歌うな~!叫ぶな~!ディスタンス保って!」と感染症対策の呼びかけも忘れない。さらに、ステージはDJ中島ヒロト、加藤真樹子とのトークセッションへ。観客の前での久しぶりのパフォーマンスに感無量になりつつも、地元大阪出身の中村は会場となった万博記念公園や1970年の大阪万博の当時の思い出について語っていく。万博開催中はもちろん、解体工事の最中にも同会場を訪れていたという中村は、根っからの万博ラバーっぷりをアピール。
OSAKA GENKi PARK feat.ドリカムディスコ
『DREAMS COME TRUE WINTER FANTASIA』とコラボし、毎年、大阪·中之島周辺の水辺にシンボルツリー「ドリカムツリー」を植樹しているDREAMS COME TRUE。今後もその活動を続けたいと語りつつ、馴染みのある万博記念公園でもまたライブがしたいと、期待高まる発言も。さらに、2025年に開催される日本国際博覧会に向け、バンドとしても色々と協力できたらという意欲高まる発言に会場からは大きな拍手が送られた。
OSAKA GENKi PARK feat.ドリカムディスコ
「GENKi STAGE」には家族連れでも気軽にイベントが楽しめるよう、テーブルやイスが並ぶファミリーラウンジエリアが用意されていた。ステージ後方は階段状にのんびりと座りながらライブを観ることができるし、他のステージとは違って足元は芝生ではなくコンクリート作りに。台風が過ぎた直後、雨のぬかるみが残る公園内でも気にすることなく過ごせると、一日を通じてたくさんの人が訪れるステージになっていた。
竹中雄大(Novelbright / Vo)
大阪出身の5人組ロックバンド・Novelbrightの登場に会場からは大きな拍手が沸き起こった。今年8月にメジャーデビューしたばかりの彼ら。「地元に帰ってまいりました!!」と声高らかに1曲目「Walking with you」へ。
ねぎ(Novelbright / Dr)
圭吾(Ba)、ねぎ(Dr)の軽快なリズム、山田海斗(Gt)の緻密に作りこまれたメロディが野外の広い会場に心地よく響き渡る。台風が過ぎ去った直後で時折強風が吹きすさぶも、メンバーのテンションをただ煽るだけで、竹中雄大(Vo)が「派手にやっていきましょう!」ともっと大きな熱量を求め観客に声をかける。

圭吾(Novelbright / Ba)
沖聡次郎(Novelbright / Gt)

山田、沖聡次郎(Gt)の2人が華やかなギターを奏でる「おはようワールド」。緩急するどいバンドサウンドで観客の視線を奪うと、サビから一気に開放感ある音を放っていく。先述した通り、数か月前にメジャーデビューしたばかりの彼らはコロナ禍ということもあり、デビューを祝うライブや春、夏フェスへの出演も叶わなかった……。
山田海斗(Novelbright / Gt.)
この日が久しぶりの有観客でのライブ、そして初の野外ステージ、しかも地元でのイベント出演に、あふれんばかりの感謝の気持ちを丁寧に、確かな言葉で伝えていく。この日のイベントは感染症対策のため観客はライブ中に歓声が出せず、通常のライブとは違った環境。それでも「声が出せなくても、ライブに手を抜けない!」と、ライブに懸ける思いを語り、「忘れられない1日にしましょう!」と「また明日」へ。竹中のハイトーンボイスは爽快感をもって、野外の広い会場に心地よく響き渡り、楽曲がより大きな立体感を描いていくのがわかる。
Novelbright
ステージ後半からは、デビュー曲「Sunny drop」で開放感たっぷりな、よりアグレッシブなステージを展開していく5人。「いまの苦しい時期、この先も不安があるけど支えてくれる、見守ってくれるファンのため、頑張って走ってこられた。音楽で夢を見させられるように!」と、待ちに待った有観客での野外ワンマンライブの決定の知らせを伝える(11月4日、大阪・大阪城西の丸庭園特設会場)と、「今日よりもヤバい景色を作りたい!!」と意気込みを語り、ラスト「拝啓、親愛なる君へ」へ。歌詞にある<歓びの歌此処で歌うから>のままに、音楽を鳴らす喜び、さらなる躍進を誓ったライブにたくさんの拍手が送られた。
山本彩
「山本彩です。よろしくお願いします!」と、バンドを携え爽やかに登場したのが山本彩だ。疾走感が心地よいロックナンバー「TRUE BLUE」から始まったステージ。ギターをかき鳴らし歌う声は緩急巧みで、吐息さえも表情豊かに届けられていく。この日の衣装は白地に色彩豊かなペイントが施されたロングシャツに、プリーツたっぷりのスカートで、ステージ背景にある『OSAKA GENKi PARK』のカラフルなロゴにぴったりとハマっている。ダイナミックなサウンドのなか、澄んだ歌声に大人の色香が交わる「unreachable」ではスカートが風に揺れ、黒く長めの前髪をゆらし歌う彼女の姿に目が奪われる。スクリーンには、はらりと垂れ落ちた髪からのぞく凛とした瞳がアップで映され、映像カメラマンのセンスに思わずニヤリとしてしまう。
山本彩
MCでは久しぶりの有観客、そして地元でのライブに喜びを語りつつ、ステージに上がる直前の空に虹が上がっていたことに「ちょっとでもハッピーになれる時間になれば」と、一緒にステージを楽しみたいと言葉をかけ、「feel the night」へ。夕暮れに近づいていくこの時間にぴったりなメロウなサウンドが心地よく体を揺らす。同曲は彼女が書き下ろし、LUCKY TAPESの高橋海をフィーチャリングしたもので、原曲のラップ部分は高橋が担当している。この日は自身でラップも披露したのだが、その多彩っぷりに道行く人もついつい足を止め、ステージへと惹きつけられていた。
山本彩
ライブ中盤は10月28日(水)にリリースされる新曲披露が続いていく。まずは、タイトルの言葉に思わずドキッとする「愛なんていらない」、憂いのある言葉が続くなか「今を生きていくんだ」という芯の強さを打ち出したロックバラードを愛し気に歌う。「自己嫌悪になり、逃げ出すことは悪くない。その先で気付くこともある。焦らず、自分が思い描く自分になれば」と、楽曲に込めた願いを語った「ゼロユニバース」では、誰かの助けになるだろう言葉の数々にじっと聴き入る観客の姿が印象的だった。
山本彩
最後は「よっしゃ、行くぞ!!」と晴れやかな表情で気合いを入れ、「Let’ s go crazy」、「Are you ready?」とライブ定番のロックナンバーを颯爽と打ち鳴らし、全7曲のステージを駆け抜けていった。
●大商学園高校ダンス部
大商学園高校ダンス部
「GENKi STAGE」では、他のステージにはないパフォーマンスも楽しめた。この日は今年開催された『日本高校ダンス部選手権』で優秀賞を受賞した、大阪・豊中市の大商学園高校ダンス部がダンスパフォーマンスを披露。コロナ禍において、ミュージシャンが満足にライブ活動できなかったのと同じように、部活に励む学生たちも全国大会やコンテストなどの開催中止や規模縮小が相次ぎ、活躍できる場は限られていた。そんな中で用意された大きなステージ。出演は1校のみながら、全力で踊りきる学生たちの表情はとても晴れ晴れしかった。
●山村隆太&阪井一生flumpool
山村隆太&阪井一生(flumpool)
午後7時を過ぎ、夜になった会場でひと際大きな存在感を打ち出していた太陽の塔。その真裏に位置する「GENKi STAGE」で、初日のファイナルを飾るのはflumpool、山村隆太(Vo)と阪井一生(Gt)の2人によるアコースティックライブだ。バンドの始まりは先の2人と尼川元気(Ba)、3人でのアコギユニットからだが、山村と阪井2人だけでのステージはなんともレアで、会場はこの日一番の大入りに。

山村隆太&阪井一生(flumpool)
「来てくれてありがとう」と、軽く言葉を掛け、1曲目に選んだのはデビュー曲「星に願いを」。長く愛されてきた名曲が早々に披露されたことに驚きつつも、観客からはたまらず歓喜の声が漏れ聞こえる。この日はサポートに磯貝サイモンがキーボードで参加。観客からのクラップのリズムも加わり、アットホームな雰囲気が作り出されていく。

10月2日からデビュー以来10回目となる大型全国ツアーがスタートしたばかりの彼ら。バンド編成でのライブに慣れたところでのこの日のアコースティックライブ。「しっくりけ~へん」「(イスに座ってのライブ)気持ち悪いわ~」とボヤきつつも、実はたくさんの観客の前でのライブに緊張しているよう。地元大阪で大きなイベントが開催されたことに喜びつつ、「みんなの願いが叶ったステージ。力になれるよう、全力で歌います」と「ちいさな日々」へ。コロナ禍で思い寄せることなく過ぎ去った春を思い、山村は夜空に尽き抜けるような澄んだ歌声を響かせる。が、曲終わりに実は阪井がギターの出だしでミスしていたことを暴露! ツッコミを入れつつ互いに責任を押し付け合う姿も無邪気で、さすが大阪といったホーム感を感じてしまう。
山村隆太(flumpool)
今年1月から大阪のラジオ局·FM802でラジオ番組『FM802 Radio Fields』(毎週土曜21時~)を担当している山村は、ライブで披露する楽曲を番組内のリクエストで募集。そこで選ばれたのがコブクロ「轍-わだち-」だ。路上ライブで活動していた頃、音楽を始めるキッカケでもある憧れの存在である彼らの楽曲を何度もコピーしていたことなど、当時のエピソードを語る。「コロナ禍で何もできない無力感があるなか、背中を押してくれた曲」と、軽快にギターを鳴らし、力強い歌唱を聴かせる2人にオーディエンスもクラップで応える。
山村隆太&阪井一生(flumpool)
ライブはあっという間に最終曲「君に届け」へ。ドラマチックな楽曲はそのままに、バンドセットに負けないポップなギターアレンジを鳴らす阪井。真っ直ぐな思いを綴った言葉のなか、「大阪が好きです」とアレンジして観客を沸かす山村。会場の後ろいっぱいまで手が掲げられ、多幸感たっぷりなステージで幕を閉じた。
奇跡的に台風が過ぎ去り、最高のお天気の中で繰り広げられた素晴らしいライブの数々。2日目も間違いなく最高のステージが待っているだろう。
取材・文=黒田奈保子 撮影=ハヤシマコ

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