『OSAKA GENKi PARK』オフィシャルラ
イブレポート【もみじ川広場 RIGHT
STAGE】初日ーーKEYTALK、岡崎体育、
ビッケブランカ、山崎まさよし&松室
政哉、KREVA、ウルフルズらが名曲の
連続で圧倒

『大阪文化芸術フェス presents OSAKA GENKi PARK』2020.10.10(SAT)もみじ川広場 RIGHT STAGE                 
『大阪文化芸術フェス presents OSAKA GENKi PARK』が10月10日(土)、11(日)、大阪・万博記念公園一帯にて開催された。1970年の大阪万博から50年目という節目に、広大な敷地全体を使い、アートや音楽をはじめ、ジャグリングやライブペインティングなど多彩な文化芸術プログラムが楽しめる同イベント。入場時の検温や消毒はもとより、来場者全員に大阪出身のアーティスト・黒田征太郎デザインのイベントロゴが入ったレジャーシートが配布され、それを使用することで自ずと距離が保たれるなど、様々な新型コロナウイルス感染予防対策を実施。最終的には2日間で約4万人の観客が訪れ、コロナ禍における最大規模のイベントとなった。
計46組のアーティストが5つのステージに分かれライブを行った2日間の中から、本稿では初日「もみじ川広場 RIGHT STAGE」の模様をレポートする。
KEYTALK                          
KEYTALK
連日の雨が嘘のように晴れ上がった初日の「RIGHT STAGE」を前に、入場時に配布された特製レジャーシートを広げ開演を待つオーディエンス。FM802が主催する日本最大級の野外フリーライブ『FM802 MEET THE WORLD BEAT』でもおなじみの緑が広がるスペースに、しょっぱなからフェスには欠かせないアンセム「YURAMEKI SUMMER」をブチ込んできたのが、トップバッターのKEYTALK。
寺中友将(KEYTALK / Vo.Gt)
一気に場内総立ちの絶景を生み出し、巻き起こった大きな拍手を手拍子に変えた「Summer Venus」の甘酸っぱいメロディが、そよぐ風と共に響き渡るのも爽快感いっぱいだ。

八木優樹(KEYTALK / Dr.Cho)

「本当に今日はすごくいい天気だし、開催できてよかったのひと言で。今年の夏はなかなか思うようにいかず……僕らは夏が大好きなバンドなので、たまりまくったものを全部吐き出していきたいと思います! こういうフェスの一番手、めちゃくちゃ得意です。テンション上げてまだまだいきます、よろしく!」(寺中友将・Vo.Gt)
首藤義勝(KEYTALK / Vo.Ba)
そんなMCを体現するような、四つ打ちビートで踊らせる「バミューダアンドロメダ」も余裕すら感じるライブバンドとしての佇まいで、スウィートなラブソング「Love me」、ヘヴィなリズム上で代わる代わるツインボーカルがスイッチする「BUBBLE-GUM MAGIC」と、その後も野外映えするポップソングの連続!
小野武正(KEYTALK / Gt.MC.Cho.)
そして、「さっき、ここ(=マイク)の先っぽにトンボがとまりまして。もう秋の訪れを感じました」(Vo.Ba/首藤義勝)、「僕らはお客さんの前でライブするのは8カ月ぶりなんですよ。声が出せないとかコール&レスポンスできないとかはありますけど、めちゃくちゃ✕3楽しいなと思ってます!」(小野武正・Gt.MC.Cho)と、久しぶりに見たステージからの景色を感慨深そうに語る。
KEYTALK
続いて、「いつも「エビバディセイ、ぺーい(=小野の愛称)!」というのをやってるんで、心の中で唱えてもらっていいですか? どんなシュールな空間になろうと関係ないです!」(小野)と、無言のコール&レスポンスを敢行。その予想通りの空気に、「ハンパねーなこれ(笑)。でも伝わってくるね」(小野)、「みんな、声は出せなくても手は上げられる。ダンスはできる。ラスト、踊っていきましょう!」(寺中)と続け、最後はライブ鉄板「MONSTER DANCE」で大盛り上がり。最高のトップバッターとして「RIGHT STAGE」の幕開けを飾ったKEYTALKだった。
岡崎体育                              
岡崎体育
「久しぶり~! 今日は声が出せない分、身体を動かそうぜ。踊れー!」と、ド頭から挨拶代わりのバキバキのEDMチューン「Open」でブチ上げた岡崎体育。瞬時にハンズアップで「RIGHT STAGE」を埋め尽くしたかと思えば、昨年TikTokで話題となったロックナンバー「なにをやってもあかんわ」では、自ら腹太鼓を叩いてクラップを促す(笑)。
MCでは、「今日は10月10日です。前までは祝日で、僕にとってはすごく大切な日やったんですけど……名前、変える意味ある? 体育の日のままでよくない?(笑)」と呼びかけ、「さよなら体育の日」を披露。某名曲を彷彿とさせるのはタイトルだけで、まるで毛色の違うファニーなエレクトロビートに乗せて、「スポーツの日に変えて得するの、マキタスポーツだけやから!」と絶唱する。
岡崎体育
ここで、「ちょっと元気な感じの曲が続いたんで、バラードを歌っていこうかなと」と「Voice Of Heart 2」を。ひときわ情感たっぷりに歌い上げていると、「中途半端な歌唱力でイキッた歌い方すんな」、「お前みたいな全身ミートボールみたいなヤツ」etcと、聴こえないはずの心の中の声が大音量で聴こえてくる(笑)。「瑛人くんの「香水」のMVで踊ってる女の人の動き!」と激しく動き回るなど、突っ込む隙すら与えないボケの多重攻撃で、オーディエンスの腹筋を崩壊へと追い込んでいく。
「今年は野外フェスなんて1回もできひんかと思ってたけど、大阪が頑張ってくれたおかげで開催が実現して、台風も見事にそれて。本当によかったですね! ということで、マジで作ったバラードも歌わせてください。ずっと大事にしてた歌です。まぁまぁいい歌なんで聴いてください」
そんな照れ隠しから始まった「エクレア」は、さっきの言葉に嘘がないことを、自然と沸き立った拍手と鳥肌が証明する。何とも言えないノスタルジーと切ないメロディが、感動を引き連れ胸に去来する。オーディエンスも彼の歌声と心地よい風に揺られながらじっと聴き入り、最後は今年作ったお気に入りの曲という「Eagle」を。
岡崎体育
「自分の家で1人で打ち込んで作った音楽を、たくさんの人に聴いてもらって、こんな幸せなことがあるかー! そのお礼と言っては何ですが、音楽は素晴らしいということをみんなに伝えたいと思います。自分の家で1 人で作った音楽が、これだけの人を果たして沸かせられるでしょうか? 僕の人生のテーマがそこです。僕の作ってきた歌に共感してくれるなら……飛べー!!」
岡崎体育
ユーモアと音楽愛の狭間で、最後の最後まで徹底的にオーディエンスを巻き込み、己の持ち味を伝えた岡崎体育の緩急自在のライブだった。
ビッケブランカ
あの『ライオン・キング』でおなじみのSE「Circle of Life」が流れれば、サポートメンバーが1人ずつステージへと赴き、ドラムのビートに合わせてクラップが自然発生と、主役の出番前に会場の空気はすでに準備万端。いざビッケブランカが軽やかに現れると、いきなりのキラーチューン「Shekebon!」から壮観の風景が生まれ、ビッケも遠くまで見渡すようなそぶりを見せる。
ビッケブランカ
「こんなにたくさんの人が来てくれて……本当にありがとうございます!」と想いを告げた後は、神戸・甲陽音楽&ダンス専門学校の現役学生ダンサーを呼び込み、「迷わないで。自分のやってきたことに自信を持って。絶対に練習は裏切らないからね!」と、なぜか部活の先輩口調のビッケ(笑)。総勢37名のダンサーを率いた「ウララ」のスペシャルバージョンでは、手を振るオーディエンスも加わって、会場全体で楽曲の世界観を表現するようなド迫力のパフォーマンスが実現。その流れのまま「Ca Va?」と立て続けにライブの起爆剤を投入し、トップスピードで上昇していく高揚感が、みるみるうちに会場を占拠する。
松本大(LAMP IN TERREN)×ビッケブランカ
そして、「今日はピアノを弾かないんですけど、初披露の曲があるんです。ちょうどこの季節、この時間帯、この気温にピッタリだと思います」と、ここからはDJセットでお届け。「Little Summer」の曲中には、同曲でコラボしているLAMP IN TERRENの松本大(Vo.Gt.Pf)がサプライズでステージへ。異なる魅力を持つ二声がクールなサウンドと溶け合っていく様は、ビッケの言う通りすっかり涼しくなった「RIGHT STAGE」に映える贅沢なワンシーンとなった。
ビッケブランカ×岡崎体育
それにとどまらず、「今日はもう1人友達が来てくれて」とビッケが呼びかけると、「よ! 1時間ぶり(笑)」と岡崎体育が再登場。タイムテーブルが発表されたとき、そして、DJブースに描かれたキツネとタヌキの模様を見たときに感じていた胸騒ぎがきっちり現実となった、これまた初披露となるビッケブランカ VS 岡崎体育の「化かしHOUR NIGHT」では、会場中がハンズアップ&ジャンプでボルテージはMAXに! めくるめく豪華コラボの連続で、ビッケが「ライブが終わるのが名残惜しい」と何度も口にしたのも頷ける濃密なステージとなった。
山崎まさよし&松室政哉
昨年、ライブドキュメンタリー番組の収録で長崎県の離島・五島を訪ねた山崎まさよしと松室政哉。音楽事務所オフィスオーガスタの先輩/後輩でもある2人のシンガーソングライターが、『OSAKA GENKi PARK』ではどんな化学反応を見せるのか? その出演が発表された時点から興味深いライブとなっていたが、「2人合わせて山室まさ哉です!」(山崎)、「全然知らんおっさんの名前になりましたけど(笑)」(松室)と、しょっぱなのMCから気心知れた良いムード。まずは山崎まさよしの楽曲「未完成」を、一番は松室、二番は山崎といったように、持ち場と見せ場が入れ替わるスタイルで魅せていく。
松室政哉
「次は僕の曲を山さんと一緒に」(松室)と、今度は松室の代表曲「海月」を切々と歌い上げ、ギターを置きハーモニカでブルージーな彩りを添える山崎。熱演続きの「RIGHT STAGE」に一服の清涼剤のように優しいメロディが沁み渡り、会場中のオーディエンスがステージに惹きつけられている光景には何ともグッとくる。例え声を上げられなくても、同じ時間、同じ場所で音楽を共有する。その尊さと喜びを改めて思い出させてくれるようなパフォーマンスだ。続いては、山崎がルーパーを駆使しタンバリンで叩いたビートを流し、松室の楽曲「今夜もHi-Fi」へ。メロディを縫うように絡みつく山崎のハーモニカも絶品で、松室もその共演が楽しくてたまらないという表情。充実のセッションの連続に心が満たされる。
山崎まさよし
「今日はご両親もいらっしゃるらしいやん?」(山崎)
「地元なんでね(照笑)。僕も久々に大阪に帰ってきました。2人でリハしてるときも、台風がどうなるか分からなくて……」(松室)
「皆さんとお会いできて本当によかったです。大阪も大変な状況ですけど、それも打破する意味も込めて新曲を作りました」(山崎)
山崎まさよし&松室政哉
エフェクトのかかったビートに山崎の勇ましい雄叫びが立ち向かうような「Updraft」では、松室がギターでボトムをしっかりと支え、山崎がその歌声を聴かせたかと思えば、再びその役割を入れ替え2人で力強くメロディを押し進めていく。そして、「皆さんも自粛中の発散になればいいなと思います、野菜の歌です」(山崎)と最後に奏でたのは、名曲「セロリ」。日本のポップス史に残る1曲を、自然に囲まれた抜群のシチュエーションで聴けたこのシーンは、『OSAKA GENKi PARK』に訪れた多くの人に力を与えたことだろう。
KREVA                               
KREVA
陽が落ち始めた「RIGHT STAGE」を鮮やかな照明とグルーヴィーなバンドサウンドが染め上げるなか、満を持して登場したのがKREVAだ。「パーティーはIZUKO?」からステージを横断し、アグレッシブなパフォーマンスで観る者をロックオン。「そこのTシャツ着てる子、1から5の数字どれがいい?」とオーディエンスに尋ねたかと思えば、その数字通り即座に「ツータイムス!」と楽曲をシメたのもさすがのひと言。
「このバンドで、ツアーに向けてずーっと準備してたんですよ。そこから我々、こうして人前に経つまでに10カ月かかりました。1曲目で感極まって、ああライブっていいなと思いました。ただね、そんな感慨に浸るためにここに来たんじゃないんですよ!」
KREVA
豪雨のようなフラッシュライトに打たれながらの「基準」では、ヘヴィなギターリフをかいくぐるように矢継ぎ早にメッセージを突き刺し、演奏する喜びを存分に味わうバンドメンバーとの黄金配合で、「ストロングスタイル」でもモノの違いを見せつけるステージを展開。これぞプロフェッショナルな王者の風格、楽曲とシンクロする光のドラマには心底シビれた。
「このストロングスタイルを貫くのは1人じゃ無理です、皆さんに紹介します!」と、ここでバンドのコーラス&キーボードでもあるSONOMIに声をかけ、男女の歌声とスタンスが絶妙に交差する「ひとりじゃないのよ feat. SONOMI」を最強にして最新のグルーヴで伝えていく。
「我々は生きながら学んでどんどん賢くなっていくと同時に、痛みとか傷とかこういう訳分かんない状況とか、いろいろ抱えていくと思います。でも、それもいつか全部いい思い出にできたらいいなと思います。今はこうやって開催してくれたことを最大級に感謝しながら、深く、濃く、素敵なときをみんなで一緒に重ねましょう」
KREVA 
「素敵な時を重ねましょう feat. SONOMI」は、コロナ禍におけるKREVAのステイトメントを、極上にメロウなサウンドに乗せた1曲。そして、そのまま「声が出せないなら手を叩く、動く、またはじっと見る。皆さんの出せる100%をぶつけてください!」と突入した「C’ mon, Let’ s go」は、2011年にリリースされた楽曲にも関わらず今にドンピシャのリリックに、その先見性と普遍性を思い知る。ラストは代表曲にして名曲「音色」。圧倒的な才能と経験値、決してオーディエンスを置いていかないエンターテイナーとしての凄み。KREVAここにありという堂々のパフォーマンスを見せてくれた。
ウルフルズ
そして、初日の「RIGHT STAGE」のトリとなるのは、大阪が生んだ至宝ウルフルズ! SEが「アホグラミー賞」で1曲目が「バカサバイバー」なんて字面のセットリストが成立するのは、この世にウルフルズしかいない(笑)。幾度となく「心の声ー!」とけしかけるトータス松本(Vo.Gt)だったが、サビで連呼できない代わりに拳を上げるのも十分楽しく、ウルフルズの楽曲の強さには改めて感心させられる。そして彼らとしても、万博公園のステージは恒例の野外ワンマンライブ『ヤッサ』が行われるホームグラウンドとあって慣れたもの。
ジョンB(ウルフルズ / Gt.Cho)
「次は大阪の、大阪による、大阪のための!」(トータス松本、以下同)とビートをつなげた「大阪ストラット」でも、関西のオーディエンスの血肉と化したようなソウルミュージックを聴かせていく。「あえていつも通りやってるからね。声を出せへんのは知ってるよ。でも聴こえるよ俺には。サンキュー大阪!」とオーディエンスの確かな熱量を受け止め、コロナ禍に少しでもみんなに元気と笑顔を届けたいという想いから生まれた「タタカエブリバディ」では、夜の帳が下りた「RIGHT STAGE」にオーディエンスの手拍子がこだまする。
サンコンJr.(ウルフルズ / Dr.Cho)
「2月にファンクラブツアーでなんばHatchで歌って以来、人前がすごく久しぶりで気持ちが舞い上がってるウルフルズですけど」とはトータス松本。あまりに久々のライブのため立ち位置を間違うなど、ステージ上で起きていたハプニングをメンバー同士笑い合う姿も微笑ましい。その上、自分のサインを忘れそうになったと語るジョンB(Ba.Cho)に(笑)、「珍しいよね、ジョンBが舞い上がるって。だからよっぽどのことなんですよ。本当にやれてよかったし、集まってくれてありがとう!」と、トータス松本がバンドを代表して感謝を述べる。
トータス松本(ウルフルズ / Vo.Gt)
全てのエンタテインメントの復活を願う一本締め✕5を受けて始まった「バンザイ~好きでよかった~」、続く「笑えれば」も本当に素晴らしい曲で、飾らない言葉で綴られる心のスタンダードナンバーの数々が、ライブというかけがえのない空間の存在価値を思い起こさせる。これに代わる体験なんて、やっぱりそうはない。
「いつも通りやってると、何かとお客さんに声を出させる曲が多いことが分かったわ(笑)。精一杯心で歌ってね!」と続けた「ええねん」、そしてラストは、「今日も明日も楽しくいこう。またやろう、何回でもやろう、ちょっとずつ。最後はこの曲で大いに盛り上がって……心の声でね(笑)」と、あの耳慣れたギターのカッティングが誘う「ガッツだぜ!!」。何度もオーディエンスを鼓舞しながら、「また会おう大阪!」と再会を約束したウルフルズが、「RIGHT STAGE」の、そして『OSAKA GENKi PARK』の初日を見事に締めくくった。
取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=渡邉一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)

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