CooRie

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【CooRie インタビュー】
コロナ禍で辿り着いた
ナチュラルな気持ちへの回帰

多くのゲームやアニメのテーマソングを手がけるrinoのセルフプロデュースプロジェクト・CooRieが完成させた、2年9カ月振りのオリジナルアルバム『NATURAL7』。そこには激動の半年を送る中で揺れ動いた感情が詰まっており、改めて人とのつながりの大切さを実感したと彼女は語る。

とにかくやさしい気持ちを
手放さないようにしたいと思った

“NATURAL7”というタイトルはどういう気持ちでつけたのでしょうか?

“自然とか原点という意味ですか?”とよく尋ねられるのですが、それとはちょっと違っていて。装飾ばかりの表現がここ数年続いて、面白いアプローチとか奇をてらったこととか、そういうものが楽しいと思っていたんですね。でも、今作は削ぎ落としていく作業がしたかったんです。“なぜCooRieを始めたのか?”という原点に戻って、もともといたプロデューサーの方が好きだと言ってくれた私の声を軸にして、シンプルにアルバムを作りたいと思ったんですよ。18年もやっていると、いろんな技術や思考が生まれる中、どんどんシンプルになれなくなってしまっていて。そこでもう一度ナチュラルな気持ちで作ろうというところと、7枚目のアルバムという意味で“NATURAL7”と。

なるほど。そういう自然な気持ちで作ったアルバムであると。

シンプルに作る気持ちを、もう一度取り戻したかったんです。私は作家もやっているんですけど、作家をやっているといろんなコンテンツに助けられることがあるんですよ。作品のキャラクターだったり、歌い手さんの声や技術だったり。でも、自分が真ん中に立って音楽を作っていく作業は、それとはまったく違うものなんです。

タイアップとか何かお題があるほうが作りやすいとも言いますよね。

向かうべき答えがありますからね。でも、いざ自分の曲となると、どこに向かえばいいのか…デビュー当時は“自分のことを分かってほしい”という気持ちに向かえば良かったんですけど、18年も経つとそういう段階ではないし。それにアルバムを作ろうと考え始めた時と今では、世界が変わってしまったのもあって。

もともとは6月にリリースされる予定だったのが、コロナの影響で発売日が3カ月伸びましたからね。それによって新しく作った曲もありましたか?

「NATURAL」以外の新曲の歌詞は、ほとんどをそのあとに書きました。曲はその前からあって、ワンコーラス分だけ歌詞があったものもあったんですけど、それも書き直したし。「ROCKじゃない」と「まどろみ」は曲もコロナ禍に作ったものだし、「まどろみ」を作ったのはつい最近で…いつ作ったのか聞いたら引くと思います(笑)。とはいえ、コロナ禍のことを直接的に歌っているわけではないんですけど、連日いろんな人の意見が耳に入ってくるので息苦しさを感じていたし、今までのアルバムとは確実に考え方が変わりましたね。新曲の6曲は、1曲目と6曲目ではマイクの前に立つ気持ちがだいぶ違ったというのはあります。

コロナ禍の前、緊急事態宣言中、そして今とでは、物の見方や価値観がすごく変わりましたからね。

それによってやっと辿り着けたのが“ナチュラル”という気持ちですね。世界が変わり始めた頃は、みんなどうにかしてライヴをやろうとしていたけど、それが容易ではないことが分かり、みんな工夫をし始め、今はできることで音楽を表現していこうというスタンスになった。私もコロナ禍で学生時代の友達と以前よりも深くつながるようになったという変化がありました。カナダに住んでいる友達から向こうの医療現場の話が聞けたり、子供がいる友達からも状況を聞くことができて。音楽業界ではないところでリアルな声をいっぱい聞けたことは、制作においてすごく影響がありましたね。

刺激になった?

刺激もそうだし、立場によって感じ方がすごく違っていて。地域によっても違うし、働きに出ている人や家にいる人でも違いがあることが分かったので、あまり決め込まないほうがいいんだなと。とにかくやさしい気持ちを手放さないようにしたいと思いました。

実際、やさしくて穏やかな雰囲気のアルバムですね。シティポップ調の表題曲「NATURAL」の歌詞には猫が出てきますが、CooRieさんは猫好きとのことで。

以前に飼っていた猫が亡くなって、その子が亡くなって初めての曲だと思って作ったのが「NATURAL」なんです。当たり前のようにあった存在が突然いなくなった時の気持ちを書きました。亡くなった子はCooRieの活動が始まった頃に我が家に来て…その子とは16年ずっと一緒だったんです。アルバム制作の途中に新しい子を迎え入れたので、「まどろみ」では新しく迎えた子のことを歌詞に入れてみました。もちろんファンのみんなに早く会いたいという気持ちを込めつつ作ったんですけど、2番に出てくる《ふわふわと》というところがそうで。猫で始まって猫に戻ることで、やさしい気持ちでレコーディングを終えることができて良かったです。
CooRie
アルバム『NATURAL7』

OKMusic編集部

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