【仲村瞳の歌謡界偉人名言集】#165
ミュージシャン・早川義夫の言葉

作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、バンドマン、振付師、……そして、歌手。きらびやかな日本の歌謡界を支えてきた偉人たちを紹介するとともに、その方々が発したエネルギー溢れる言葉を伝えます。常軌を逸した言動の裏に、時代を牽引したパワーが隠されているのです! このコラムで、皆様の生活に少しでも艶と潤いが生まれることを願います。

好きであるということが一番大事なのだ

『就職しないで生きるには(1) ぼくは本屋のおやじさん』(著・早川義夫/晶文社/1982年5月10日発行)より

伝説のサイケデリックロックバンド・ジャックスのフロントマンであり、多くのアーティストがカバーする名曲「サルビアの花」の作曲者としても知られる、早川義夫。彼は、この本のタイトル通り、突如としてミュージシャンから書店経営者に転職した。今回の名言は、書店経営にかけた想いを表した言葉である。書店経営が初めてでも、本に詳しくなくても、本が好きであればいいという考えの早川。「嫌なことを、やりたくないことを無理矢理やっているからトラブルが起きるのだ」というシンプルな処世術を伝えてくれている。しかし、好きといえども早川には様々な苦難が待ち受けていたのであった。好きなことだからこそ、苦難を乗り越えられるという気持ちになれる言葉である。
早川義夫(はやかわよしお)
1947年12月15日生まれ、東京都千代田区出身。サイケデリックロックバンド・ジャックスのフロントマン、シンガーソングライター、作家。1965年、高校の同級生と3ピースバンドのナイチンゲイルを結成。1966年、バンド名をジャックスと改めライブ活動を始める。1968年、シングル「からっぽの世界」で、ジャックスのメンバーとしてレコードデビュー。同年、1stアルバム『ジャックスの世界』をリリース。1969年、『第1回全日本フォークジャンボリー』に出演。そのステージを最後にジャックスは解散。同年、2ndアルバム『ジャックスの奇蹟』とソロデビューアルバム『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』をリリースしている。ジャックスは活動中にはヒットしなかったものの、日本におけるサイケデリックロックの礎ともいえる伝説的バンドとして語り継がれている。狂気を孕んだ歌声、アバンギャルドで繊細なメロディ、独特な世界観で、現在もなお熱狂的ファンが多い。音楽ディレクターとしても岡林信康加川良らを担当。その後、音楽業界から離れて、1972年に川崎市内にて『早川書店』を開店。1994年、2ndアルバム『この世で一番キレイなもの』で23年ぶりにミュージシャン復帰を果たす。2018年、鎌倉歐林洞でのライブを最後に、現在は音楽活動を休止している。
仲村 瞳(なかむらひとみ)
編集者・ライター。2003年、『週刊SPA!』(扶桑社)でライターデビュー後、『TOKYO1週間』(講談社)、『Hot-Dog PRESS』(講談社)などの情報誌で雑誌制作に従事する。2009年、『のせすぎ! 中野ブロードウェイ』(辰巳出版)の制作をきっかけに中野ブロードウェイ研究家として活動を開始。ゾンビ漫画『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ~童貞SOS~』(著・すぎむらしんいち/講談社)の単行本巻末記事を担当。2012年から絵馬研究本『えまにあん』(自主制作)を発行し、絵馬研究家としても活動を続ける。2014年にライフワークでもある昭和歌謡研究をテーマとした『昭和歌謡文化継承委員会』を発足し会長として活動中。

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