ネクストブレイクの予感漂う8組が大
阪城音楽堂に集結『MORNING RIVER S
UMMIT 2020』2日目ライブレポート

9月5日(土)、大阪・大阪城音楽堂で『MORNING RIVER SUMMIT 2020』が開催された。2008年のスタート以来、注目の若手アーティストが数多く出演するイベントとして注目を集め、12回目を迎える今年は初の3dayでの開催に。2日目となるこの日の出演はI Don’ t Like Monday、アイビーカラー、OKOJO、Suspend 4th、Sunrise In My Attache Case、ひかりのなかにreGretGirlヤユヨの計8組。しかも、チケットは1000円ポッキリでと格安すぎる価格! コロナ感染症対策で入場者数はキャパの50%に制限されているものの、夏の残暑がまだまだ残る9月最初の週末、野外で存分に音楽を楽しもうと会場には多くの観客が集まった。
OKOJO
OKOJO
「この日をずっと楽しみにしてました!」と久々のライブに気合十分、トップバッターで登場したのは2018年結成の大阪発3ピースバンド、OKOJO。「イー・アル・サン・スー!」、中国語のカウントアップが可愛い「サイチェン・マイフォーチュン」のちょっと癖になるキュートでポップなナンバーを皮切りに一気に観客の耳を引き寄せる。
まつした(Vo.Ba / OKOJO)
大阪城音楽堂でのライブは初めての彼ら。「みんなの初めてをいただきに来ました!」とショートムービーアプリでバズったことでも話題の「最低なラブソング」、耳なじみがよく、良い意味でちょいダサなギターポップナンバー「もううんざりだ!」などを披露。
でんでん(Gt.Cho / OKOJO)
まつした(Vo.Ba)のほんわかとした声、ヤマト(Dr.Cho)のキャッチ―なビート、ど真ん中を突くでんでん(Gt.Cho)のメロと、初聴きでも虜にしてしまう独自のポップセンスで魅せていく。
ヤマト(Dr.Cho / OKOJO)
最後のバラード曲「おばさんになっても」まで、様々な色や景色を見せるラブソングでバンドのカラーを存分に打ち出してくれた。
OKOJO
ヤユヨ
ヤユヨ
初恋の嵐「Untitled」をSEに登場したのは大阪発、現役女子大学生の3人組ガールズバンド・ヤユヨ。彼女たちもまた初の大阪城音楽堂ステージだったがその堂々たるというか、無邪気なステージングに初っ端から目が離せなかった。
リコ(Vo.Gt / ヤユヨ)
一曲目は「七月」、伸びやかで表情豊かなリコ(Gt.Cho)の歌声、ぺっぺ(Gt.Cho)が奏でる女性の愛しさや鬱とした感情を想像させるメロ、歌詞にに乗る感情をより立体的に見せるはな(Ba.Cho)のリズム。何歳だっけ? と思わず彼女たちの年齢を疑ってしまうほど、情感たっぷりな表現に引き込まれてしまう。
はな(Ba.Cho / ヤユヨ)
続く「いい日になりそう」はタイトル通り、この曲を朝一番に聴けば良いことが起こりそうなすっきりと爽快なナンバーが酷暑のうだるような暑さを忘れさせてくれる。
ぺっぺ(Gt.Cho / ヤユヨ)
「今日出会ったYOUたちに届けたい!」と「ユー!」へ。タンバリン片手にステージでクルクル回るリコの天真爛漫ぷりと、ぺっぺとはなのキュートなコーラスに同性ながら胸がキュンとしてしまう。
ヤユヨ
「さよなら前夜」「今度会ったら」まで、コロコロと愛らしく表情を変えるサウンドを響かせ、ヤユヨワールドはあっという間に終わりを迎えた。
ヤユヨ
ひかりのなかに
ひかりのなかに
東京出身、3ピースロックバンド・ひかりのなかには「冴えない僕らに灯火を」からハツラツとしたフレッシュなロックサウンドを響かせる。ヤマシタカホ(Vo.Gt)の凛とした歌声は甘酸っぱく爽やかで、ジョー(Dr)の表情豊かなビートにぴったりとハマってくる。
ヤマシタカホ(Vo.Gt / ひかりのなかに)
最初こそ緊張した面持ちを見せていたが、「舞台裏」「ナイトライダー」とガラっとスタイルを変えた攻めのロックサウンドを打ち鳴らすと、たけうちひより(Ba)のプレイもよりアグレッシブになり、ステージ上の3人の表情にも変化が。
たけうちひより(Ba / ひかりのなかに)
軽音部で結成され、今年高校を卒業したばかりの彼ら(平均年齢18歳!!)。生ライブは実に8か月ぶりで、その間ひたすらスタジオで音源を作り続け、現在は6か月連続配信の真っ最中とバンド活動は活発に見える。
ジョー(Dr / ひかりのなかに)
それでも、「(観客に)音楽が届いていると思うと、いてもたってもいられない!」(ヤマシタカホ)と、観客の前で演奏することに感無量な様子。最終曲「ムーンライト」で感情を音にぶつけ、ライブバンドとしての本質を見せつけた。
ひかりのなかに
アイビーカラー
アイビーカラー
イベント前半を締めくくるのは、大阪発の4人組ピアノロックバンド・アイビーカラー。1曲目「春を忘れても」から、バンドの魅力である透明感とノスタルジックを抱き合わせたバンドサウンドで存在感を打ち出していく。
佐竹惇(Vo.Gt / アイビーカラー)
次曲「short hair」、佐竹惇(Vo.Gt)の儚なげな歌声に川口彩恵(Key)のクラシカルなのにエモーショナルな演奏が重なり、情景がよりくっきりと見えてくる。
川口彩恵(Key / アイビーカラー)
かと思えば、「L」ではこんな一面もあるのかと驚かされるほど、碩奈緒(Ba)、酒田吉博(Dr)のリズム隊が繊細なメロをより強固な印象に打ち出してくる。
酒田吉博(Dr / アイビーカラー)
「今夏はライブだけでなく夏らしいことが何もできなかった」、「真昼に花火を打ち上げるつもりで」(佐竹)と「夏の終わり」へ。1曲目で春の訪れを歌い、夏の終わりを感じさせるライブへと続いていく。彼らのステージで感じ取れる四季の移ろいは、秋や冬にもあるいろんな表情を、もっと楽曲で感じたいという欲を掻き立てられる。
碩奈緒(Ba / アイビーカラー)
「今日ここで鳴らせる音楽を噛みしめて」と最終曲「夏空」へ。美麗なメロが観客の心をすっと撫で上げ、爽やかな夏の記憶を綴ってくれた。
アイビーカラー
Kazuya(Vo.Gt / Sunrise In My Attache Case)
リハーサルから夏の野音というシチュエーションにバッチリハマった空気感を作り上げた、Sunrise In My Attache Case。
SHUNYA(Ba / Sunrise In My Attache Case)
本番となれば言わずもがなで、硬質なビートに導かれた「Reason」の壮大なサウンドスケープで野音を包囲。「自由に、好きに、楽しんでいってください!」(Vo.Gt・Kazuya、以下同)と開口一番、「Tell Me Why」の甘酸っぱいメロディが会場いっぱいに広がっていく。
和希(Gt / Sunrise In My Attache Case)
波の音のSEから溶け込んだ「Holiday」といい、「みんなダンスできますか?」と会場中にハンズアップの花が咲く絶景を生み出した「Going Crazy」といい、夏を彩るドラマチックなセットリストで次々と魅せていく。
岡P(Dr / Sunrise In My Attache Case)
「俺たち、ライブは7ヵ月ぶりなんですよ。やっとステージに立てて嬉しいんですけど、バンド的にも停滞して、どうしていいか分からなくて、1曲1曲に向き合ったり、俺たちにできることは何だろうと考えて……。ちょっとずつ試行錯誤して、これからもやっていこうと思うのでよろしく!」
Sunrise In My Attache Case
コロナ禍の葛藤の中で掴んだ光を増幅させたような最後の「The Wall」は、バンドのタフなマインドと音楽へのピュアな気持ちを乗せて大空に鳴り響いた。
I Don’ t Like Mondays.
CHOJI(Gt / I Don’t Like Mondays.)
しょっぱなの「モンスター」から大人の色香漂う歌声と余裕すら感じる堂々のステージングで野音をロックオンしたのは、アイドラことI Don’ t Like Mondays.だ。
KENJI(Ba / I Don’t Like Mondays.)
クールでアーバンな「Plastic City」でもそのセオリーを遵守し、オーディエンスも気持ちよさそうに肩を揺らす。そして、浮遊感に満ちた「全部アナタのせいなんだ」が少し陽の落ちた会場に響きわたる光景は、火照った心と身体を心地よくクールダウンさせていく。
SHUKI(Dr / I Don’t Like Mondays.)

「皆さんの前で久々に生演奏をさせてもらえるので、せっかくなら一緒に楽しんでいけたらなと思ってます。大事な人を思い浮かべて聴いてほしい曲です」(Vo・YU)
YU(Vo / I Don’t Like Mondays.)

夏をモチーフにした新曲「Sunflower」は、泣きのギターが切ないメロディをより一層引き立てるようなミドルチューン。終盤の「LEMONADE」~「TONIGHT」の流れでは、オーディエンスが手を振り、クラップし、ジャンプする。そんな見慣れたはずの景色が、かけがえのないものであったことを改めて思い起こさせる。最後までハイクオリティな楽曲群で魅了し続けた、アイドラのさすがのパフォーマンスだった。
I Don’t Like Mondays.
Suspended 4th
開戦の口火を切った「BIGHEAD」から、ギター、ベース、ドラムが互いに刺激し合いながら加速していくような強烈なサウンドで見る者を圧倒したサスフォーことSuspended 4th。
Kazuki Washiyama (Gt.Vo / Suspended 4th)
「Rainy, rainbow later」でもアーシーでスケールの大きなビートを響かせ、初の野音にもまるで物怖じしないステージマンとしての華をまざまざと見せつける。
Hiromu Fukuda (Ba / Suspended 4th)
熱狂するオーディエンスに「すげーな大阪。でも、車線変更するときは道を譲ってください(笑)」(Gt.Vo・Kazuki Washiyama、以下同)と和ませつつも、「97.9hz」が始まるや凄まじいフレーズの応酬でブチ上げ、「オーバーフロウ」では壮絶なグルーヴをステージ上に創出。

Dennis Lwabu (Dr / Suspended 4th)

さらには、「調子はどうだい大阪! 身体を動かせば楽しい、音楽ってそういうもんだろ。忘れちまったか!?」と、超高速リフ✕最高潮のテンションで会場を飲み込んだ「ストラトキャスター・シーサイド」で野音を一気に制圧!
Seiya Sawada (Gt / Suspended 4th)
最後はライブができる喜びを噛みしめ、「でも、これが普通なんで。俺らがやっていくんで」と、渾身の「INVERSION」でエンディングへ。リバサミの12年の歴史に鮮烈な印象を刻み付けたサスフォーの圧巻のライブだった。
Suspended 4th
reGretGirl
reGretGirl
いよいよ残すは大トリというところで、台風の接近により急遽1時間のインターバルが取られたが幸い雨が降ることはなく、reGretGirlが満を持して登場。
平部雅洋 (Vo.Gt / reGretGirl)
幕開けの「Shunari」から、フィジカルに訴えかける一体感ではなく、心の奥からこみ上げる高揚感に突き上げられるのは、まさにreGretGirlの真骨頂。
十九川宗裕 (Ba /reGretGirl)
疾走感溢れるポップソング「インスタント」、「もうすっかり夜になっちゃいましたけど、僕らは夜が似合うハンドだと思うんでピッタリの曲を」(Vo.Gt・平部雅洋、以下同)と歌い上げたエモーショナルな名曲「デイドリーム」、フォーキーな情景が浮かび上がる「二色浜」と、ヒットポテンシャルの高い楽曲を立て続けに披露していく。
「久々にライブしてるから、100m走った後みたいな脇腹の痛みがあるよ(笑)。こんな状況になってしまって、ライブがしたいなとずっと思ってて……実はさっきの曲でちょっと泣いてました。いつも不安でどうしようもなくて、救ってくれるのは音楽だけで、生で聴いてもらえるのが本当に嬉しい」
前田将司 (Dr / reGretGirl)
素直な気持ちを吐露し歌い出した「スプリング」は、これぞreGretGirlという切ないミドルチューン。スリーピースの飾らないバンドサウンドに情感を乗せ、最後はライブ鉄板「ホワイトアウト」「replay」の 2連発!
reGretGirl
「また絶対に会おう!」とオーディエンスと再会を約束し、ネクストブレイクの予感漂う8組が集結した1日を見事に締めくくったreGretGirlだった。
取材・文=黒田奈保子(OKOJO、ヤユヨ、ひかりのなかに、アイビーカラー)/奥“ボウイ”昌史(Sunrise In My Attache Case、I Don’ t Like Mondays.、Suspended 4th、reGretGirl)
撮影=ハヤシマコ(OKOJO、ひかりのなかに、Sunrise In My Attache Case、Suspended 4th)/日吉“JP”純平(ヤユヨ、アイビーカラー、I Don’ t Like Mondays.、reGretGirl)

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