森光子生誕100年の特別番組が放送 
黒柳徹子、東山紀之、堂本光一、井上
芳雄らの“証言”と岡本健一、上白石
萌音の『放浪記』

2020年8月28日(金)BSプレミアムにて、今年生誕100年を迎える森光子の特番が放送されることが決定した。生前の森と親交が深かった豪華俳優たちが思い出を語るほか、実力派俳優たちが映像を介して森と“競演”し、『放浪記』の舞台に立つ。
世界はコロナ禍で苦境を強いられている中、五輪大会も延期された。日本中で 緊急事態として自粛が続く中、文化の灯、特に演劇は壊滅的な打撃を受けている。「平和でないと、スポーツも芝居も出来ない。平和こそ一番大切」と常々語っていたのは、8年前に92歳で他界した女優の森光子だ。今年5月で生誕 100年を迎えた。
代表作『放浪記』は、日本が貧困にあえいでいた時代に作家を目指した林芙美子の自伝的作品。「放浪記が始まったのは東京オリンピックの3年前なんです」と森光子は言いながら 50 年に渡り演じ続け、公演回数2017回という単独俳優の最多公演記録を打ち立てた。 地方から上京し、貧しさを乗り越えて頑張る姿は人々の共感を呼び、観客を励ました。
森光子の舞台にかける情熱は、様々な後進の舞台人に受け継がれている。とくに子供のなかった森を母のように慕っていたジャニーズのタレントたちは、森の精神を受け継ぎながら、精力的に活動を続けている。
番組は、50年にわたり日本人に勇気を与え続けた放浪記が今の俳優達に残した遺産をドキュメントする第一夜と、2000回の公演時の舞台の完全版を第二夜に放送する。
第一夜に登場するのは、NHKドラマ『若い季節』(1961~64)の共演以来、親交があり、『放浪記』でも芙美子のライバル役日夏京子を演じた(2003年、2008年)黒柳徹子。森との友情や、晩年に垣間見た森の孤独の一端について語る。そして、1986年のNHK「紅白歌合戦」初出場の折に、森と対面を果たし、以来、大河ドラマ『琉球の風』や帝国劇場での舞台などで共演し、大女優としての歩みを終生見守ってきた少年隊の東山紀之。東山は、森光子の教えや森が2010年に『放浪記』を降りた後の交流について語る。さらに、舞台『SHOCK』でミュージカルの単独主演記録を更新しつつも、今年の新型コロナ禍で公演の中止を余儀なくされたKinKi Kids堂本光一。『SHOCK 』に毎年駆け付け、堂本を励まし続けた森や恩師のジャニー喜多川氏が今の世に生きていればどんな示唆を与えてくれたか帝国劇場の客席で思いを馳せる。そして、ミュージカルの貴公子と呼ばれ、2006年に帝国劇場でのミュージカルで初主演を務め、森から励ましの言葉をもらった井上芳雄。井上は、『放浪記』の場面の一つである「カフェー・壽楽」に迷い込み、『放浪記』に出演していた俳優(『放浪記』初演から出演してきた東宝現代劇の丸山博一、森とプライベートでも親交があり、2009年の『放浪記』最終公演にも出演した田根楽子)に森の秘蔵エピソードを聞く。
さらに、劇場中継の映像を利用し、森光子と『放浪記』での共演が叶わなかった二人の実力派俳優が、森とのバーチャル共演に臨む。5幕から成り、各場が独立した芝居のように見事な戯曲となっている『放浪記』は、場面だけをピックアップしても一つの芝居として成立しうる。林芙美子と相手役の二人芝居の場面を再現する。
第三幕「尾道」に臨むのは、岡本健一(演/香取恭助)。『放浪記』を何度も観劇し、舞台『深川しぐれ』(1997)『本郷菊富士ホテル』(1998)で森と共演も果たし、私生活でも親交のあった岡本健一が、念願であった、芙美子の初恋の男・香取恭助役を演じる。「尾道」は帝劇の大舞台にブルーバックを設置し収録した。『放浪記』の映像は、岡本の年齢51歳)に近い1981年の『放浪記』(森光子当時61歳、三木のり平が潤色・演出を手掛けた初めての公演)を用意した。岡本が演じる香取恭助役は尾道に暮らす男で、方言を口にする。岡本は尾道の言葉を現地の人に改めて吹き込んでもらい、方言をマスターして「共演」に臨んだ。
第二幕二場「女給部屋」・第四幕第二場「渋谷の木賃宿」に臨むのは、上白石萌音。森が長台詞を聞かせる第二幕二場の「女給部屋」と、でんぐり返しで有名な第四幕二場の「渋谷の木賃宿」を再現。芙美子と芙美子の妹分の悠起(ゆき)の二人芝居の場面である。過去に八千草薫、松原智恵子、岸本加世子、藤谷美紀らが演じた悠起役を、今回、上白石萌音が演じる。映像は2005年の芸術座公演。 NHKのスタジオにブルーバックを設置する中、岡本と同様にセリフや動きを完全に叩き込み、本番に臨んだ。
いずれの場面も、『放浪記』の演出家である北村文典が監修し、衣裳は『放浪記』の全衣裳を担当してきたスタッフが担当。小道具も『放浪記』の舞台で実際に使用したミカン箱(芙美子が原稿を書く文机代わり)、原稿用紙などを用意した。岡本や上白石に対しての相手役を務めたのは、森光子の演技をつぶさに見てきた付き人の女優たち。各年度の森の映像の動きやセリフ、目の動きを再現し、二人の演技をサポートした。
岡本健一インタビュー
■今回のオファーを受けた時の心境
7月の半ばに、ありがたいことに菊田一夫演劇賞を頂いたのですが、その後すぐに今回のお話を頂きました。菊田一夫演劇賞を頂いた時、最初に頭に浮かんだのは森光子さんの事でした。
森さんとは30年以上前からずっと過ごさせていただいたのですが、よく菊田先生の言葉や「菊田先生がいるから今の自分がいる」というお話を伺っていました 。受賞を森さんに報告したいと思った矢先 に今回のお話だったので、非常に心が震えたというか、ありがたいと思っています。
■視聴者へのメッセージや森さんへの思い
森さんは テレビなどあらゆるジャンルで ご活躍なさっていましたけれど、自分としては舞台の森さんの姿を本当に尊敬していましたので、それを 今回このような 形でもう1回見られる、森さんを特集して いただける というのは、今を生きる私たちにとっても力になると思うし、素晴らしい企画だな と 思います 。自分より下の世代には、森光子さんの舞台をリアルタイムで体験した人がどんどん少なくなってくる。そういう人たちに、自分が尊敬し影響を受けた 森さんのお芝居や、ずっとライフワークにしていた『放浪記』80歳を過ぎてもずっと新作に取り組んでいたことなどを、伝えていかなければいけないと思っています。
上白石萌音コメント
収録の数日前に台本をいただいてから、ずっと脳内が『放浪記』一色でした。(過去の映像と合成するため)どういうふうに撮影するかイメージできずにいたのですが、想像以上に臨場感があって驚きました。池田さん(昌子 森光子さんの付き人を長らくつとめ、『放浪記』に出演していた女優。上白石さんの収録で森さんのアンダースタディを務めた)が入ってくださったのももちろんですし、森さんの生の声が、録音ではあれどこの場に響き、時を超えてお会いできたような気持ちになりました。実際の小道具や衣裳を使って芝居をさせていただけたこともあり、夢のようでした。沢山勉強させていただいて光栄に思います。
森さんはレジェンドといいますか、目指すべき女優像と思っていましたので、間接的にでもお芝居のやりとりが出来たのは、本当にこんなことってあるんだな、という気持ちです。

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