AKi カメラ越しに無心で歌を届け、
全身全霊で演奏を響かせた無観客配信
ライブ公式レポ

シドの明希(Ba)によるソロプロジェクト、AKiが7月26日(日)にThunder Snake ATSUGIで開催した無観客配信ライブ『AKi 2020 「Live Stream #01 -Defeat COVID-19-」』のオフィシャルレポートが到着した。

今年6月、5年5か月ぶりとなる最新アルバム『Collapsed Land』を発売したAKi。本来なら現在もアルバムのリリースツアー真っ最中の予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大予防のため、ツアーの全公演が開催延期。緊急事態宣言は解除され、自粛要請が徐々に緩和され始めているとはいえ、終息の見通しがなかなか見えない現在。それでも音楽をファンに届けたいと願うAKiが選んだのは“無観客配信ライブ”という選択だった。
7月26日(日)神奈川・Thunder Snake ATSUGIにて、AKiが無観客配信ライブ『AKi 2020 「Live Stream #01 -Defeat COVID-19-」』を開催。全国のみならず、海外のファンも自宅のモニタ前でAKiの渾身のステージを見届けた。
ツアーとは異なるコンセプトを打ち立てての無観客配信ライブという、初の試みに挑む場所としてAKiが選んだのは、自身のホームグラウンドであり、全ての始まりの場所であるThunder Snake ATSUGI。7月11日、12日にツアー初日となる2DAYSを行う予定だったこの会場。無観客ライブのため開演直前になってもフロアに観客の姿は無いが、限りなく生に近い興奮をファンに届けるため、マスクやフェイスガードでしっかり感染予防をした中継スタッフが忙しなく動き回っている。普段のライブでは見ることの無い光景だけど、最高のライブをお茶の間に届けようとチーム一丸となって必死で準備する姿が熱く美しい。
開演時間を少し過ぎ、ライブへの期待に満ちたファンのコメントがニコニコ生放送の画面を飛び交う中、いよいよ配信開始。青い照明に包まれたステージの映像から、厚木の街中へと映像が切り替わると、画面に飛び込んできたのは一台の白いオープンカー。会場前に止まった車の運転席から登場したのは、サングラス姿のAKi。粋な演出に「明希明希明希~~!」とコメントが埋める中、AKiはそのまま会場へ。SEが鳴り、舞台袖に待ち構えていたメンバーと共にステージに上がるとベースを背負い、「飛ばして行こうぜ! 俺たちのSTORY始めようか!?」と声を上げて「STORY」でライブがスタート。
配信ライブが始まってまず驚いたのが音の良さ。息遣いまで聞こえてくる臨場感やライブ感がありながら、各パートがバランス良くクリアにタイトに聴こえる音の印象は、CDとも生ライブとも異なる新感覚。ライブ後半、MCで「音にめちゃくちゃこだわった」と語っていたが、ヘッドホンから鳴るこのサウンドを体感するだけでも、このライブに参加した価値があったと言っても言い過ぎじゃない。
「Be Free」、「FAIRY DUST」とライブが続き、普段のライブと変わらないノリで「行くぜ、みんな!」と掛け声や手拍子を煽るAKi、「ヴォイ! ヴォイ!」とコメントで返す視聴者。生の掛け声や手拍子は聴こえないけど、ファンの興奮が画面を通じてしっかり伝わってくる。また、最前列より至近距離で見てる気分になる臨場感抜群のカメラワークも秀逸で、AKiのふとした表情や魅せ場たっぷりのベースプレイなど、生のライブだと見過ごしてしまうシーンをしっかり目に焼き付けられるのも配信の魅力。
アグレッシブなパフォーマンスに、メンバーを隔てるアクリル板も気にならないのも不思議。MCではAKiも画面のコメントを見ながら、ファンと対話。「モニタ越しだけど、みんなとの距離、絶対にもっと近くなるよ」とカメラに優しく語りかけると、ザクザクと刻むラウドなサウンドに温かい歌声を乗せた「Sing it Loud」を披露する。
「拳上げろ!」と煽りヘヴィな演奏で始まった「HEADZ UP」、幻想的かつ力強いサウンドに切なく美しい歌声を響かせた「ジウ」と続き、「みんなが目の前にいる気持ちでやれてます、やっぱり伝わるものは伝わるんだね」と笑顔を見せたAKi。ファンのコメントに回答しながら「こんな自由に楽しめるライブ無いよね?」と楽しそうな表情を見せると、「きっと、みんなが一番待ち望んでた曲じゃないかと思います」と、新曲「Collapsing」をライブ初披露。「いまの俺たちが詰まってます!」と披露したアグレッシブなロックチューンは最新型のAKiバンド・サウンドを見事表現しており、ファンも「最高~~!」と歓喜する。続く、「FREAK SHOW」の“Turn up”のコーラスに付いた「天丼!」の空耳コメントにみんなが爆笑&便乗し、妙な一体感や盛り上がりが生まれたのも配信ならではの自由さ。
AKi 撮影=上原俊
AKiが「バラード系の曲やりたいんだけど、聴きたい曲ある?」と直接問いかけ、コメントでリクエスト曲を募るという展開も配信ならでは。アコギの音色に乗せた優しく美しい歌声で聴かせる「Wait for You」では《みんなと誓った 約束の地へ》と語りかけるように歌い、たっぷり感情を込めて歌った「pray」はモニタ前の視聴者の涙を誘い、AKiのウエットな面を見せる。
「厚木サンダースネークから、俺たちの音聴こえてますか!?」と始まった「Monolith」のパワフルな歌と演奏で再び熱量を上げると、ライブは早くも終盤戦。「お前たちの温度、確かに感じるぜ!」と「Brave New World」、「libido」を連続投下し、クライマックスを生む。
カメラ越しに無心で歌を届け、耳に手を当ててオーディエンスの声を聞き、全身全霊で演奏を響かせたAKi。その瞬間、ステージ上のAKiバンドと遠く離れた視聴者の間に確実に一体感が生まれる。「俺たちの本気受け止めてくれよ、いいか?」と始まった本編ラストは「All Through The Night」。ニコ生に「会場で暴れたい!」のコメントが溢れたアップテンポで疾走感のあるこの曲に、みんながライブハウスで笑顔で再会する明るい未来が見えた。
アンコールでは、8月15日(土)に『Collapsed Land』ツアーの初日にして、ファイナルとなる無観客配信ライブ『AKi 2020 「Live Stream #02 -Collapsed Land-」』の開催を発表。配信での開催ながら、この日のライブに大満足したファンから歓喜のコメントが多く流れる。
「俺と言えばこの曲なんじゃないか?と思って、取っておきました」と、アンコールで披露した曲は「The Inside War」。痛快なビートやサウンドを思い切り楽しみながら、噛みしめるように歌と演奏を紡いでいたこの曲。「歌ってください!」と視聴者を煽り、“WowWowWow”の吠え声をモニタ越しに合わせて満足そうな表情を浮かべると、「コロナなんかに負けんなよ!」とメッセージを残して完全燃焼。新旧織り交ぜた様々なアプローチの楽曲にいまの真正直な気持ちが込められた、AKiの魅力が全方向から見えるライブとなった。
終演後はVIPチケット購入者を対象とした、公開打ち上げを配信。「ジンジンしたよ!」と配信ライブに大興奮していたThunder Snake ATSUGIの渡辺店長と和気あいあいとしたトークを展開し、ファンを大いに楽しませたAKi。ライブイベント本格再開の日はまだ見えないけど、アンコールのMCで「いつかみんなとまた会うため、そのための今日だから。音楽を止めるな!」と語っていたように、AKiはライブハウスで再び会えるその日まで決して音楽を止めることなく、これからも様々な形でみんなに音楽を届け続けてくれることだろう。
文=フジジュン

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