史上最高の
ハードロック作品のひとつに
数えられるAC/DCの
『バック・イン・ブラック』
本作
『バック・イン・ブラック』について
収録曲は全部で10曲。漆黒のジャケットと、1曲目の「地獄の鐘の音(原題:Hells Bells)」の冒頭の鐘が印象的だ。もちろん、これはボン・スコットへの追悼を表しているわけだが、決してセンティメンタルにはならず、いつも通り豪快にぶっ飛ばしている。時代は80s、シンセ時代に突入し軽めのサウンドが全盛であることなど知ったこっちゃないと、ヘヴィでダイナミックな人力演奏で真正面から勝負している。テンポが遅いのにスピード感に満ちあふれるタイトルトラック「バック・イン・ブラック」や、ライヴでは必ず演奏される「狂った夜(原題:You Shook Me All Night Long)」はとても美しいナンバーで、このタイプの曲はこれ以降よく登場する。ヒットした「ノイズ・ポリューション(原題:Rock and Roll Ain't Noise Pollution)」は低速のブギにもかかわらず、イメージ的には倍速で突っ走るジョンソンのヴォーカルが素晴らしい。
彼らはアメリカでもイギリスでもないオーストラリア出身だからこそ、70sハードロックが純粋培養されており、同時代のヘヴィメタルやハードコアパンクの多くが今聴くと古臭くなってしまっているのに比べて、いつまでも瑞々しいサウンドが詰まっている。本作は1980年の時点でリリースされた最高のハードロック作品のひとつであり、その音楽は40年の時の流れを経ても全く古くならず、今もリスナーの心を揺さぶる力を持っている。
『バック・イン・ブラック』の40周年を記念して、YouTubeで『The Story Of Back In Black』(インタビュー・シーンやライブ映像など)が公開されているので、興味のある方はチェックしてみてください。
TEXT:河崎直人