【NORTH インタビュー】
純度の高い曲を
世の中に発信していきたい
雨の日に聴きたくなる曲を
作りたいと思った
そして、今作「EYES ON ME」は“雨”というのがひとつのポイントになっていますが、これは曲に出てくるふたりのストーリーが先に思い浮かんで生まれたコンセプトですか? 季節的にも梅雨・初夏のリリースということでぴったりだと思いました。
雨の日に聴きたくなる曲を作りたいと思ったのがきっかけです。“雨”と言えば暗めの印象だと思いますが、その雨によって引き寄せられたふたりが、すれ違ってしまう日々の中で出会った時のことをふと思い出す。そして、いてもたってもいられず、その人のもとへ会いに行くというストーリーになっています。
《頭の中じゃ会ってる》というフレーズですが、いつでも連絡を取れる現代だからこそ言えることだと思いますし、この言い訳っぽい一行にすごく登場人物の性格や人間味を感じました。
このフレーズはすぐに浮かんだ印象があります。SNSなどでいつでも連絡を取れる時代だからこそ、実際に会って話すことの大切さや、忘れかけてることとかを思い出してほしいと思っています。
「EYES ON ME」は少し勝手だけど、主人公なりの愛情を感じる一曲で、彼が素直になっていけばいくほど、サウンドに温かみがでてくる展開も心地良かったです。どのように制作していったのでしょうか?
この曲はトラックから作っていき、ミニマルでローファイヒップホップっぽく仕上げて、そこから歌詞とメロディーを同時に作っていきました。サウンドの質感にかなり気を使っていて、ギターも目立ちすぎると邪魔をするのでわりとシンプルに入れていきましたね。時間的には2、3日で全体像は完成していました。
ギターは外のスタジオで録られたそうですね。
ひとりでレコーディングをすることは初めてだったのですが、周りのサポートもあったおかげでスムーズに進んだ印象があります。制作に関係があるか分かりませんが、レコーディングの休憩にスタジオの周辺を散歩して、桜が少し咲いていたり、天気も良くてめちゃくちゃリフレッシュになりました。スタジオにこもってるとすごく集中するので、息抜きの散歩はこれからのレコーディングにも必須かなと思いましたよ(笑)。
散歩意外に自宅作業の息抜きで行なっていることはありますか?
窓を開けて外の空気を吸いながらYouTubeで面白い動画を観たり、やってもいないゲームの実況動画を観ています。今のところこれが一番の息抜きになっていますね。あとは、スマホゲームを一試合だけやるということをします。
「君がいないこの世界では」(2019年発表のアルバム『NCYL』収録曲)がTikTokで取り上げられるなど、10代~20代の同世代からの反響もありますが、このように音楽をさまざまな方法でアピールできる現代について、アーティストとして思うことや大切にしていることはありますか?
誰でも音楽を配信したりできる時代にさまざまな方法で自分の曲をアピールしていくことはすごく面白いですし、いいと思います。それによってどんどん新たな音楽に触れる機会が増えていくことはとてもいいのですが、同時に消費されるスピードも早くなっていると感じます。その中で、いつ聴いてもいい曲だと思ってもらえるような曲、純度の高い曲を世の中に発信していくことを大切にしています。
これまでの制作活動、楽曲リリースを経て今のNORTHさんが思うアーティスト像などがありましたらおうかがいしたいです。
これからは自分の世界観や意思をしっかりと音楽で提示していき、自分の曲を聴いてくれる誰かの感情を動かすアーティストを目指していきたいです。なので、これから先はすごく楽しみですし、自分の曲を聴いてくれる方々に少しでも楽しんでいただきたいと思います。
取材:岩田知大
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配信シングル「EYES ON ME」2020年7月29日配信開始
NORTH
ノース:1998年生まれ、広島出身のシンガーソングライター&トラックメイカー。エレクトロ、ヒップホップ、ポップス、アンビエンスなどをベースに音楽活動を行ない、19年に発表したアルバム『NCYL』ではレコーディング、ミキシング、ジャケットイラストなど全てを自身で手がけた。『NCYL』の収録曲「君がいないこの世界では」がTikTokやYouTubeなどで注目を集める。20年2月には配信シングル「何聴いてるの?」、7月に配信シングル「EYES ON ME」をリリース。NORTH オフィシャルTwitter